

昭和五四年五月一日
自転車駐車場整備事業の取扱いについて
駅周辺等における自転車の放置問題が深刻化している現状に鑑み、昭和五三年度より、街路事業の一環として、都市計画事業により地方公共団体が道路の附属物として、整備する自転車駐車場に対し、国がその費用の一部を補助することとなった。
本取扱いは、当該補助事業にかかる都市計画決定自転車駐車場の整備にあたって必要とされる基準、要領を示すものである。(資料―1)採択基準、補助率)
一 (整備の基本方針)
自転車駐車場の整備については、交通対策本部において「自転車駐車対策の推進について(昭和五三年一月二三日付」(資料―2))が決定されており、また昭和五三年度においては、駅周辺等における自転車駐車場の整備に対する国の助成制度が講ぜられたことにより、本制度を活用し今後地方公共団体による自転車駐車場整備を積極的に進めるものとする。
なお一般の街路事業(道路改良一種二種、総合都市交通施設整備事業等)に合わせて整備する自転車駐車場も従来どおり整備の促進を図ることとする。
二 (自転車駐車場施設整備計画)
自転車駐車の整備にあたっては、以下の事項を内容とする自転車駐車場施設整備計画を策定し建設省に提出しなければならない。
この場合、警察、鉄道事業者、道路管理者等の関係者の意見を聞いて行うものとする。また交通対策本部決定の「自転車駐車対策の推進について」における「推進計画」が定められている場合は、これと調整のとれたものとしなければならない。
なお、市町村が整備計画を策定する場合にあっては、都道府県は必要な指導、助言を行うものとする。
1) 自転車駐車場整備についての基本的考え方
駅周辺の交通網整備の方向と、その中での自転車駐車場整備の位置づけ。
2) 自転車駐車場を整備すべき区域(以下整備区域)
○ 駅単位で設定することとし、一の市町村をこえる場合は、それぞれ市町村別に区分した計画を添えることとする。(以下の項目についても同様に取り扱う。)
○ 整備区域は駅から概ね三〇〇mを標準とするが、これを越えた区域とすることができる。
3) 整備区域における将来自転車駐車需要台数
○ 将来自転車駐車需要台数の推定は、資料―3)の調査要領を参考として行うこととする。
4) 今後整備すべき自転車駐車場の台数
{(3)の台数)−(現況の自転車駐車場の台数)}とする。
5) 整備区域内道路における自転車駐車の規制の方針
6) 整備区域内の自転車(歩行者)道整備の方針
7) 自転車駐車場が整備されるまでの自転車駐車に対する暫定処理方針
三 (自転車駐車場の都市計画決定)
資料―4)「自転車駐車場の取扱いについて」(昭和五三年七月二〇日建設省都計発第四五号建設省都市局都市計画課長通達)を参照されたい。
四 (道路の区域の決定)
自転車駐車場は道路の附属物(道路法第二条、道路法施行令第三四条の三)として行なうので道路の区域決定を行なうこととする。
五 (用地の取得等)
(一) 鉄道の用地の譲受を受ける場合は、時価で買収することとする。
鉄道の高架下等の鉄道用地は貸付け、もしくは区分地上権の設定によることができる。
(二) 普通財産である国公有地については、無償の譲与もしくは貸付けによることができる。
(三) 水路敷等の蓋かけは、占用もしくは、兼用工作物とする。
六 (自転車駐車場の供用)
自転車駐車場を供用する場合には道路の現状が下記のいずれかに該当する道路に接続することとする。
1) 巾員八m以上の道路で原則として自転車歩行者道又は自転車道を設置する道路
2) 巾員四m以上八m未満の道路で、自転車利用者が集中する時間帯は自動車の通行を規制する等自転車利用者の安全性を確保するための措置を行う道路
3) 自転車歩行者専用道路又は自転車専用道路として道路法により指定する道路又は道路交通法により規制する道路
但し、接続する道路の自動車交通量が著しく少ない又は当該道路の延長が著しく短い等の場合はこの限りでない。
七 (設計基準)
(一) 自転車駐車場はセメントコンクリート舗装またはアスファルト舗装で舗装することとする。設計及び施行の基準はアスファルト舗装要綱の歩道自転車道、セメントコンクリート舗装要綱に準拠することとする。ただし、自転車駐車部分はセメントコンクリート舗装とするのが望ましい。
この場合舗装の厚さについては、以下の値を標準とする。
路盤の厚さ /歴青系については、一〇cm程度/コンクリート版については、五cm程度/
表層の厚さ /歴青系については、三cm程度/コンクリート版については、七cm程度/
(資料―5))
(二)
1) 鉄道、道路の高架下等を除き原則として上屋を設置することとする。
2) 鉄道、道路の高架下については、必要に応じ上屋に準ずる機能の施設を整備することができる。
3) 上屋の設置にあたっては、建築基準法(資料―6)関係主要条文解説)の適用を受けるので同法の規定を遵守することとする。
4) 平面式自転車駐車場の上屋の建築限界は二・一mとする。
5) 上屋の材料、色彩については、美観に配慮することとする。
(三) 自転車が整然と配列できるよう(資料―7))原則として置台を設備するものとする。
置台の設備が適当でない自転車駐車場にあっては、自転車の整理、将棋倒しの防止を図るため、概ね一〇mに柵を設けるものとする。
(四) 自転車駐車場は、道路本体と明確に区別し、一般自転車歩行者交通が進入しないよう、柵、植樹等で囲むものとする。
(五) 雨水が流入しないよう配慮することとする。
(六) 必要に応じ、植栽・水利施設・照明施設(二〇lx程度、地下式にあっては出入口一〇〇lx程度、その他の部分五〇lx程度。)便所、管理人詰所を設置することができる。(資料―8))
(七) 階層式の自転車駐車場の構造については、建築基準法に準拠することとする。但し、設計荷重、建築限界及び斜路については下記によるものとする。
1) 荷重
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等分布荷重(kg/m2)
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床版及び床組を設計する場合の荷重
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三〇〇
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主桁を設計する場合の活荷重
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二七〇
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地震時
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一六〇
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2) 建築限界
高さは二・五mとする。但し、鉄道高架下等で構造上やむを得ない場合は二・一mまで縮小できるものとする。
3) 斜路
1 斜路及び斜路付階段の斜路部の勾配はそれぞれ一二%、二五%を超えてはならない。なお、斜路付階段の階段部の勾配は途中で変えてはならない。
2 斜路及び斜路付階段で高さが三mを超える場合には、高さ三m以内ごとに踊り場を設けるものとする。踊り場の踏み幅は次表の値以上とする。
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踊り場の踏み幅
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直階段の場合
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二m
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その他の場合
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斜路幅+階段の幅員
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3 斜路付階段の階段部のけあげ及び踏面の寸法は、次表の値によらなければならない。
けあげの幅
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一六cm以下
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踏面の寸法
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二六cm以上
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(注) 斜路の幅員は二m以上、斜路付階段の幅員は二・一m以上とする。
なお、斜路付階段の斜路部分の幅員は六〇cmを標準とする。
(八) 機械式自転車駐車場については、設計にあたって別途協議すること。
八 (管理、運営)
(一) この自転車駐車場の整備は、道路整備事業の一環として行うものであるため、無料を原則とするが、必要に応じ自転車駐車場利用者との計画により、自転車の自転車駐車料を支払わせることができる。
(二) 自転車駐車場において、自転車が盗難または損傷された場合、有料の場合を除き通常地方公共団体が責務を負う事は困難であると考えられるので、施錠の義務化等、自転車駐車場の利用にあたっての注意事項及び遵守事項について記載した看板等を設置しておくこととする。(資料―9))
(三) なお、当該自転車駐車場は、建築基準法第四三条第一項における道路とはみなさない。
/[資料―1)]/[資料―2)]/}〔略〕
[資料―3)] 駅周辺等の自転車駐車場整備地区における将来の自転車駐車需要台数の推計(1)
(注)
1 期間は概ね10年後
2 駅勢圏は町丁目等既存の人口調査単位でよい。
※ 自転車利用率=整備地区への自転車駐車台数/駅勢圏の現況人口
駅周辺等の自転車駐車場整備地区における将来の自転車駐車需要台数の推計(2)
資料―4)〔略〕
[資料―5)]
アスファルト舗装要綱
七―三―二 歩道及び自動車道舗装の構造
(一) 加熱アスファルト混合物を用いる場合
路盤に切込砕石工法を用いる場合は一〇cmまたは粒度調整工法を用いる場合は七cm程度の厚さを設け二・五〜四cmの表層をもうける。
* 通常三cmとしている。
(二) その他の舗装
瀝青系の表層の工法には浸透式工法、常温混合式工法が用いられる。またアスファルトブロックや舗石、コンクリート板、コンクリート平板などが用いられる。
(一) アスファルト舗装を設けた例
(i)
(凍上抑制層を設けることもある)
(ii)
(凍上抑制層を設けることもある)
(二) セメントコンクリート舗装を設けた例
(凍上抑制層を設けることもある)
簡易舗装要領
二―二―三―二 各層の厚さ
(一) 表層厚は三〜四cmとする。表層のうえに摩耗層をおく場合は、その厚は一・五〜二・〇cmとする。
(二) 表層と上層路盤との合計の厚さは、下層路盤に修正CBRが一〇〜二〇の材料を用いる場合には一五cm以上、二〇以上の場合には、一〇cm以上とする。
(三) 下層路盤の厚さは舗装厚より表層と上層路盤との合計厚を差引いたものとする。
(四) 在来砂利層を堀りおこして施工する場合、設計CBRが二・五以下であれば路床土の上にしゃ断層として厚さ一〇cm以上の砂層を設ける。
上層路盤 下層路盤を安定処理した場合の舗装構成例
表層
安定処理路盤設計CBR五・一以上の場合は在来砂利層に補足材料を加えて安定処理を施したもの(下層路盤の一部を含む)
下層路盤(在来砂利層をも含む)
資料―6)〔略〕
[資料―7)]
自転車の収容方式・配列例
(一) 収用方法
一 主線通路式……一般に用地が長方形の場合用いる。
収容方法は、駐車場用地の敷地形状と出入口位置の制約によって概ね決定されるが、出入口位置の制約がない場合においては、駐車場対象施設に対してでいるだけ近い動線パターンとなるよう、あるいはあき施設が発見しやすいような収容方法を採用することが望ましい。
二 主線、支線通路式……一般に用地が正方形に近い場合用いる。
通路は、駐車場内のどの方向にも通り抜けできるようにし、その幅は一・五〇メートル以上とする。また、勾配が二%をこえる傾斜床には原則として駐車スペースを設けてはならない。
階層間のミニバイクの移動は、斜路付階段によることを原則とするが、次の基準による自走式斜路とすることもできる。
1) 自走式斜路の勾配は、ミニバイクの登坂能力にあわせて、六分の一以下、巾員を一・四m以上とする。
ただし、頻繁に対面通行が考えられるような場合には、巾員を二・二m以上とし、その中央にラインを入れ通行分離を行うこととする。なお自走式斜路には、歩行者専用階段を自走式斜路として別途設けることとする。
また、勾配の八分の一以下の自走式斜路については「階段に代わる斜路」として階段を別途設けないことができる。その場合、ミニバイクの通行帯と歩行者通行帯は、分離することとする。
なお、自転車、ミニバイク併用駐車場の場合は、ミニバイクの自走式斜路に自転車が乗り入れることのないよう配慮することとする。
2) 自走式斜路の踊場、その他に関する基準は、三―五斜路付階段(二)、(三)、(四)、(五)を準用することとする。
三―六 ミニバイク置場
一 一台当りのミニバイク置場の寸法は、設計諸元の全長、全巾を用いて算出するものとする。
二 ミニバイク置場の梁下の有効高さは二・一m以上とする。
三 ミニバイクの転倒を防止するため、転倒防止柵等を設ける。
四 ミニバイク置場は、原則として、ミニバイクを斜路から出し入れする構造としてはならない。
五 ミニバイク置場の勾配は、原則として二%以下とする。
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三―九 積載荷重
ミニバイク駐車場の積載荷重は、次表の値を原則とする。
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床の構造計算をする場合
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大梁、柱又は基礎の構造計算をする場合
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地震力を計算する場合
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三〇〇kg/m2
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二七〇kg/m2
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一六〇kg/m2
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/資料―8)/資料―9)/}〔略〕
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