市民農園整備促進法(平成二年法律第四四号。以下「法」という。)の運用に当たっては、左記事項に留意の上、遺憾のないようにされるとともに、適正かつ円滑にその事務処理が行われるよう貴管下関係機関を指導願いたい。
第一 基本方針
一 都道府県知事が法第三条第一項の規定により市民農園の整備に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めるに当たっては、次の点に留意するものとすること。
(一) 基本方針を定めるか否かは、都道府県知事が判断するものであり、今後、整備することが見込まれる市民農園の数、地域農業政策との兼ね合い等の結果、基本方針を定めることが必要と判断した場合に、当該基本方針を定めるものとすること。
(二) 基本方針には、次の事項を記載するものとすること。
ア 市民農園周辺の道路における危険を防止し、その他交通の安全を図り、及び道路の交通に起因する障害を防止するよう配慮すること。
イ 市民農園周辺の道路の整備状況を十分に勘案し、その整備に支障をきたさないよう配慮すること。
ウ 自然環境の保全に十分配慮すること。
二 都道府県知事が基本方針を定め又は変更しようとするときは、都道府県の市民農園担当部局はあらかじめ十分な時間的余裕をもって自然保護担当部局及び道路担当部局と調整を行うこと。
三 都道府県知事が基本方針を定め又は変更しようとするときは、都道府県の市民農園担当部局はあらかじめ十分な時間的余裕をもって公安委員会の意見を聴き、調整を行うこと。
第二 市民農園区域の指定
一 市町村は、法第四条第一項の規定により市民農園として整備すべき区域(以下「市民農園区域」という。)を指定し、又は同条第四項の規定によりその指定した市民農園区域を変更しようとする場合においては、次の土地の区域は指定しないものとすること。
(一) 臨港地区(港湾法(昭和二五年法律第二一八号)第二条第四項の臨港地区をいう。)、港湾隣接地域(港湾法第三七条第一項の港湾隣接地域をいう。)及び港湾施設が相当程度集積し、又は集積することが予定されている港湾地区内の埋立地(以下「臨港地区等」という。)
(二) 自然公園法(昭和三二年法律第一六一号(同法施行規則(昭和三二年厚生省令第四一号)を含む。)、に基づく国立公園及び国定公園の特別保護地区及び第一種特別地域
(三) 工場立地法(昭和三三年法律第二四号)第三条第一項に規定する工場立地調査簿に記載された工場適地(農林水産省と通商産業省との間で協議の調ったものに限る。以下同じ。)
(四) 農村地域工業等導入促進法(昭和四六年法律第一一二号)第五条第三項第一号に規定する工業等導入地区
(五) 自然環境保全法(昭和四七年法律第八五号)に基づく原生自然環境保全地域及び自然環境保全地域の特別地区
(六) 防衛の用に供される通信施設に係る土地
(七) 現に郵便局の用に供されている土地及び郵便局の用に供される予定の土地の区域
二 市町村は、法第四条第一項の規定により市民農園区域を指定し、又は同条第四項の規定によりその指定した市民農園区域を変更しようとするときは、あらかじめ十分な時間的な余裕をもって所轄警察署長に通知し、所轄警察署長が道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害を防止する観点から市町村に対し調整を申入れた場合には十分調整を行うこと。
三 都道府県知事が法第四条第二項の規定により市民農園区域の指定に係る同意をし、又は同条第五項の規定によりその同意した市民農園区域の変更に係る同意をしようとするときは、都道府県自然環境保全地域の特別地区及び自然公園のうち一の(二)に掲げる地区又は地域を除く特別地域を市民農園区域に含めようとする場合には、市民農園担当部局は国立公園管理事務所との協議(国立公園の場合に限る。)又は自然保護担当部局との調整(都道府県自然環境保全地域、国定公園及び都道府県立自然公園の場合に限る。)を十分に行うこと。
四 市町村が法第四条第一項の規定により市民農園区域を指定し若しくは同条第四項の規定によりその指定した市民農園区域を変更しようとするとき、又は都道府県知事が法第四条第二項の規定により市民農園区域の指定に係る同意をし若しくは同条第五項の規定によりその同意した市民農園区域の変更に係る同意をしようとするときは、市民農園担当部局は、あらかじめ十分な時間的余裕をもって道路担当部局に連絡し、道路担当部局から市民農園区域周辺の道路の整備状況等を勘案し、市民農園担当部局に調整の申入れがあった場合には十分調整を行うこと。
第三 市民農園の開設の認定
一 市町村は、市民農園を開設しようとする者が法第七条第一項の規定により市民農園の開設の申請を行う場合において、市街化区域内で次の区域については申請に含めないよう指導し、含まれている場合には、認定をしないものとすること。
(一) 第二の一の(一)の臨港地区等
(二) 工場立地法第三条第一項に規定する工場立地調査簿に記載された工場適地
(三) 農村地域工場等導入促進法第五条第三項第一号に規定する工業等導入地区
二 市町村は、法第七条第三項の規定により市民農園の開設の認定をし、又は同条第六項の規定によりその認定に係る市民農園の整備及び運営に関する計画(以下「整備運営計画」という。)の変更の認定をしようとするときは、あらかじめ十分な時間的な余裕をもって所轄警察署長に通知し、所轄警察署長が道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害を防止する観点から市町村に対し調整を申入れた場合には十分調整を行うこと。
三 都道府県知事が法第七条第四項の規定に基づく市民農園の開設の認定に係る同意をし、又は同条第六項の規定によりその同意した整備運営計画の変更に係る同意をしようとするときは、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律(昭和三二年法律第一六四号)第二条第一項各号に掲げる営業が当該同意を求められている認定に係る市民農園において営まれることとなる場合には、市民農園担当部局は衛生部局との間で十分な調整を行うこと。
四 市町村が法第七条第三項の規定により市民農園の開設の認定をし若しくは同条第六項の規定によりその認定に係る整備運営計画の変更の認定をしようとするとき、又は都道府県知事が法第七条第四項の規定により市民農園の開設の認定に係る同意をし若しくは同条第六項の規定によりその同意した整備運営計画の変更に係る同意をしようとするときは、市民農園担当部局はあらかじめ十分な時間的余裕をもって道路担当部局に連絡し、道路担当部局から市民農園周辺の道路の整備状況等を勘案し、市民農園担当部局に調整の申入れがあった場合には十分調整を行うこと。
五 個人施行者、土地区画整理組合、市町村、市町村長又は市のみが設立した地方住宅供給公社が施行する土地区画整理事業の施行地区内の土地について市町村が法第七条第三項に規定する認定(以下「認定」という。)をし、又は当該認定に係る整備運営計画の変更をするに当たっては、あらかじめ、その施行地区を管轄する市町村の土地区画整理事業担当部局と十分連絡調整を行うこと。
また、土地区画整理事業の施行地区内の土地について都道府県知事が法第七条第四項に規定する同意をするに当たっては、建設大臣が当該土地区画整理事業の施行者である場合にあっては建設省都市局区画整理課と、住宅・都市整備公団又は地域振興整備公団である場合にあっては当該施行者である公団と、都道府県、都道府県知事又は地方住宅供給公社(市のみが設立したものを除く。)が施行者である場合にあっては当該都道府県の土地区画整理事業担当部局と、あらかじめ、十分連絡調整を行うこと。
第四 その他
法第一四条の規定(資金確保等)は、努力規定であるので、地方公共団体はこれにより具体的な財政負担の義務を負うものではないこと。