建設省都公緑発第一四七号
昭和五一年一〇月二一日

各都道府県知事・指定市市長・地方建設局長・北海道開発局長・沖縄総合事務局長あて

建設省都市局長通達


都市公園等整備緊急措置法及び都市公園法の一部を改正する法律の施行について

標記については、昭和五一年八月二三日から施行されたが、今後都市公園法の実施に当たっては、左記の諸点に留意して遺憾なきを期するとともに、速やかに関係事項を貴管下関係機関に周知徹底方取り計らわれたく命により通達する。
なお、昭和三九年二月二七日付け建設都発第一八号建設省都市局長通達は、廃止する。

一 国の設置に係る都市公園について

(一) 設置基準

国が設置する都市公園法(以下「法」という。)第二条第一項第二号イの都市公園については、一の都府県の区域を超える広域の利用(北海道の区域にあっては、その全域にわたる利用)に供されるものとして今後全国的かつ計画的に整備する必要があり、その設置基準として都市公園法施行令(以下「令」という。)第三条の規定が設けられたものであるので、同条の運用に当たっては、次の事項に留意すること。
1) 令第三条第一号の「二〇〇キロメートル」は、主として日帰りの広域利用に供される都市公園として、急行電車、高速道路バス等による片道の所要時間が約三時間に相当するものとして定められたものであること。
2) 令第三条第三号の規定は、国が設置する都市公園として整備するにふさわしい素地を備えていることが望ましいことから定められたものであること。

なお、法第二条第一項第二号イの都市公園については、第二次都市公園等整備五箇年計画においては、新規整備に着手する箇所は一ないし二箇所としているので念のため申し添える。

(二) 都市計画決定

国が設置する都市公園に関する都市計画決定については、関係地方建設局及び関係地方公共団体は、十分連絡調整を行うとともに、当局とも事前に十分打合せを行うこと。

(三) 都市公園を設置すべき区域の決定についての協議

法第二条第一項第二号イの都市公園を設置すべき区域の決定に関する法第二三条第五項の規定に基づく建設大臣の都道府県との事前協議は、当該都市公園の設置及び管理に要する費用の一部を地方公共団体が負担することとなるので、この協議により当該都道府県の意向が反映されるよう定められたものであること。

二 兼用工作物について

兼用工作物制度は、近年、河川、道路、下水処理施設等において、環境整備の一環としてこれらの施設及びその周辺の緑化が進められている状況にかんがみ、これらの施設を都市公園として活用することにより環境整備の促進と土地の効率的利用を図るため、都市公園とこれらの施設とが相互に効用を兼ねる場合においては、両管理者間の協議により別に合理的な管理の方法を定めることができることとしたものであり、この制度の運用に当たっては、次の事項に留意すること。
1) 法第五条の二第一項の「都市公園と他の工作物とが相互に効用を兼ねる場合」とは、一の施設又は工作物が、河川道路、下水道の終末処理場等他の工作物としての効用を果たすと同時に都市公園としての効用をも果たす場合をいい、兼用工作物の範囲は、両者の効用を兼ねている部分(これと一体となって密接不可分の関係にある部分を含む。)に限られること。
2) 両管理者が同項の「管理の方法」を定めるに当たっては、都市公園と他の工作物とが相互に効用を兼ねる部分について、当該他の工作物の管理者が令第一〇条の規定により公園管理者に代わって行うことのできる権限及び他の工作物の管理に関する法令の規定により公園管理者が当該他の工作物の管理者に代わって行うことのできる権限の範囲内において行うべきものであること。
3) 都市公園を設置すべき区域の決定及びその決定についての事前協議(法第二三条)、都市公園の設置の公告(法第二条の二)等都市公園の設置に関する権限は、令第一〇条の「公園管理者に代って行うことのできる権限」には含まれないものであること。

三 地方公共団体の設置に係る都市公園について

(一) 都市公園条例の改正

今回の法改正において都市公園の設置に関する規定等が整備されたことに伴い、別添のとおり昭和三一年一一月二九日建設設計発第三三九号建設省計画局長通達による都市公園条例のひな型の改正案を作成したので、これを参考にして速やかに所要の条例改正を行われたいこと。
なお、いまだ都市公園条例を制定していない地方公共団体においては、速やかに所要の条例を制定されたいこと。

(二) 都市公園の設置

都市公園の設置については、従来は地方公共団体の条例にゆだねられていたが、今回の改正において法第二条の二の規定により都市公園を管理することとなる者が令第九条に掲げる事項を公報その他所定の手段によって公告することにより設置されることとなったものであること。

(三) 既存の都市公園の取扱い

法第二条の二の規定により都市公園の設置に関する規定が設けられたことに伴い、都市公園等整備緊急措置法及び都市公園法の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)の施行の際現に地方公共団体が設置している都市公園で令第九条に掲げる事項が公告されていないものについては、改正法附則第二項の規定により改正法の施行の日において改正後の法の都市公園として設置されていることとなったが、広く一般に周知させる趣旨から改正法附則第三項の規定により改正法の施行の日から三月以内に令第九条に掲げる事項を公告しなければならないこととされているので、速やかに所要の公告をすること。

(四) 都市公園の配置及び規模の基準

令第二条の地方公共団体が設置する都市公園の配置及び規模の基準の改正については、都市公園の機能の多様化、都道府県による広域の利用に供する都市公園等の整備の増大の状況にかんがみ、都市公園の種別ごとにその設置基準を体系的に整備したものである。同条の運用に当たっては、都市公園が公害・災害の防除を図る上で、また災害時の避難地・避難路として効果的であることを十分配慮するとともに、次の事項に留意すること。
1) 令第二条第一項第一号の街区公園、同項第二号の主として近隣に居住する者の利用に供することを目的とする都市公園(以下「近隣公園」という。)及び同項第三号の主として徒歩圏域内に居住する者の利用に供することを目的とする都市公園(以下「地区公園」という。)は、住区を単位として設ける住区基幹公園として、それぞれ当該各号に定める誘致距離及び敷地面積の標準に従い計画的整備を図ること。
2) 同項第四号の主として一の市町村の区域内に居住する者の休息、観賞、散歩、遊戯、運動等総合的な利用に供することを目的とする都市公園(以下「総合公園」という。)及び主として運動の用に供することを目的とする都市公園(以下「運動公園」という。)は、都市を単位として設ける都市基幹公園として、容易に利用することができるように配置し、その規模は、総合公園にあってはおおむね一〇ヘクタール以上、運動公園にあってはおおむね一五ヘクタール以上で、かつ、それぞれの都市公園が設置される都市の規模等に応じてそれぞれの機能を十分発揮することができるように定めること。なお、当該都市の規模等の関係上個々の都市公園ごとにこれらの規模を確保することが困難な場合においても、都市基幹公園の性格を有する都市公園の整備は必要であるので、地区公園、総合公園又は運動公園の機能を併せ有する都市公園を整備することとし、それぞれの都市公園の機能を充足するために必要な施設の配置が行われるようその規模を定めること。
3) 同項第四号の一の市町村の区域を超える広域の利用に供することを目的とする都市公園で、休息、観賞、散歩、遊戯、運動等総合的な利用に供されるもの(以下「広域公園」という。)は、近年のレクリエーション活動の広域化等の現象にかんがみ、地方生活圏等一の市町村の区域を超える区域を対象とするもので、その配置に当たっては自然的条件、交通の条件等を考慮するとともに、災害時の最終避難地としての機能を十分発揮することができるよう配慮し、その規模はおおむね五〇ヘクタール以上で、かつ、選択性・多様性に富んだ屋外レクリエーション拠点としての機能及び防災拠点としての機能を十分発揮することができるように定めること。
4) 1)から3)までに掲げる都市公園の整備に当たっては、それぞれの都市公園の有する特質を考慮し、街区公園、近隣公園、地区公園、総合公園及び運動公園にあっては、それぞれの都市公園が設置される市町村、広域公園にあっては当該都市公園が設置される都道府県における分布の均衡を図り、全体的な計画配置に十分配慮すること。
5) 同条第二項の主として公害又は災害を防止することを目的とする緩衝地帯としての都市公園(以下「緩衝緑地」という。)は、大気汚染、騒音、振動、悪臭等の公害又はコンビナート地帯等の災害を防止するため、公園・緑地の有する存在機能に着目して都市公園として位置付けたものであること。
6) 同条第二項の主として風致の享受の用に供する都市公園(以下「風致公園」という。)、動植物公園、歴史公園等の特殊公園、主として動植物の生息地又は生育地である樹林地等の保護を目的とする都市公園(以下「都市林」という。)、主として市街地の中心部における休息又は観賞の用に供することを目的とする都市公園(以下「広場公園」という。)、都市の自然的環境の保全・改善及び都市景観の向上の用に供することを目的とする都市公園(以下「都市緑地」という。)、市街地における良好な居住環境の確保及び災害時の避難路の確保の用に供することを目的とする都市公園(以下「緑道」という。)等については、それぞれ特殊な立地条件を要するが、それぞれの設置目的に応じて都市公園としての機能を十分発揮することができるように配置し、及びその敷地面積を定めること。

(五) 都市公園の設計指針

1) 都市公園の設計に当たっては、気象、地形、植生等の自然的条件及び誘致区域内の人口構成、レクリエーション需要、交通等の社会的条件を考慮の上、都市公園の有する環境保全機能、レクリエーション機能及び防災機能が最も効果的に発揮されるとともに、安全かつ快適な環境及び美的な景観が創造されるよう努めるほか、次の事項に留意すること。

イ ゾーニングは、都市公園全体として調和のとれたものとするとともに個々のゾーンごとの機能を考慮し、合理的な配置になるよう配慮したものとすること。
ロ 動線計画は、安全かつ円滑な利用者の流れ又はその集合を考慮したものとするとともに、ゾーニングとの連けい及び施設相互の連絡について十分配慮したものとすること。
ハ 施設の配置及び規模は、それぞれの施設の機能と利用者の動向・需要を配慮したものとすること。
ニ 都市公園内の環境の保持及びその周辺の環境の向上を図るため、都市緑化対策推進要綱(昭和五一年六月九日建設事務次官通達)III一の趣旨に従って植栽地の確保を図るよう配慮すること。

2) 都市公園の種別ごとの設計指針は、次によるものとすること。

イ 街区公園 地区の実状に合わせ、児童の遊戯、運動等の利用、高齢者の運動、憩い等の利用に配慮し、遊戯施設、広場、休養施設等を最も身近な公園としての機能を発揮できるよう配置するものとすること。
ロ 近隣公園 住区住民の日常的な屋外レクリエーション活動に応じた施設を中心に設計し、休養スペースを十分確保するものとすること。
ハ 地区公園 地区住民の身近なスポーツを中心としたレクリエーション施設を主体に、休養施設、修景施設等を有機的に配置するものとすること。
ニ 総合公園 休養施設、修景施設、運動施設、自由広場、散策路等を総合的かつ有機的に配置するものとすること。なお、当該都市の性格等を配慮してシンボル的な施設を配慮することを考慮するものとすること。
ホ 運動公園 運動施設の敷地面積の合計が、公園面積の二五パーセント以上五〇パーセント以下の範囲において、都市住民のスポーツ需要の実態及び自然的条件を十分考慮して陸上競技場、野球場、サッカー場、テニスコート、バレーコート、プール、体育館等を適宜配置するものとすること。また、修景施設、広場、散策路等を配置し、都市公園内の環境の保持を図ること。
ヘ 広域公園 自然的条件の活用に留意しつつ、住民の週末型の屋外レクリエーション需要の実態を十分考慮して、多様性を有する各種のレクリエーション施設を有機的に配置するものとすること。
ト 特殊公園 風致公園にあっては、自然的条件を十分活用した修景施設を中心に設計し、運動施設等積極的利用を目的とした施設は原則として避けるものとすること。

植物公園にあっては、温室、見本園等を適宜配置し、修景施設、休養施設等の適正な配置にも十分留意するものとすること。
動物公園にあっては、動物飼育施設(動物舎、放飼場等)の敷地面積の合計は、原則として、公園面積の二〇パーセント以下にとどめるものとすること。
歴史公園にあっては、文化財等の保護・活用を図り、歴史公園にふさわしい環境が形成されるよう必要な修景施設等を配置するものとすること。

チ 緩衝緑地 風向、地形等の自然的条件に留意しつつ、公害の緩和又は災害の防止に資するよう比較的高密度な植栽地を配置するものとすること。
リ 都市林 市街地及びその周辺部においてまとまった面積を有する樹林地等において、その自然的環境の保護、保全、自然的環境の復元を図れるよう十分に配慮し、必要に応じて自然観察、散策等の利用のための施設を配置するものとすること。
ヌ 広場公園 市街地の中心部の商業・業務系の土地利用がなされている地域における施設の利用者の休憩のための休養施設、都市景観の向上に資する修景施設等を主体に配置するものとすること。
ル 都市緑地 都市内の自然的環境の保全・改善及び都市景観の向上に役立つよう植栽地を主体に配置するものとすること。
ヲ 緑道 災害時における避難路の確保、都市の日常生活の快適性と安全性の確保、レクリエーション需要への対処等の目的に適合するよう歩行者路、自転車路等を中心に、植樹帯その他の修景施設を設け、必要に応じてベンチ等の休養施設を配置するものとすること。

(六) 都市公園の整備標準

地方公共団体が設置する次の表に掲げる都市公園については、令第二条の規定による都市公園の配置及び規模の基準によるほか、同表の整備標準によりその整備の促進に努められたいこと。

種別
対象人口
整備標準
(一人つき平方メートル)
街区公園
市街地人口
近隣公園
市街地人口
地区公園
市街地人口
総合公園
都市計画区域内人口
運動公園
都市計画区域内人口
一・五
広域公園
都道府県人口


別添〔略〕


All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport