建設省都公緑発第八六号
平成五年六月三〇日

建設省都市局長通知


都市公園法施行令の一部を改正する政令及び都市公園法施行規則の一部を改正する省令の制定について


都市公園法施行令(昭和三一年政令第二九〇号)の一部を改正する政令及び都市公園法施行規則(昭和三一年建設省令第三〇号)の一部を改正する省令が、いずれも平成五年六月三〇日政令第二三五号及び建設省令第一四号をもって公布、施行された。今回の改正は、都市公園法制定以後の都市公園を取りまく経済社会の変化を踏まえ、これらの変化に対応した都市公園の設置及び管理を推進するため、住民一人当たりの都市公園の敷地面積の標準、地方公共団体が設置する都市公園の配置及び規模の基準、公園施設に関する制限等及び占用物件の範囲等に関する規定を整備するために行われたものである。その運用に当たっては、特に左記の事項に留意し、今回の改正の趣旨を十分に踏まえ、都市公園の設置及び管理に遺憾のないよう努められたい。
おって、この旨を貴管下関係機関に周知徹底されたい。
なお、昭和三四年一二月一一日付け建設計発第四八四号建設省計画局長通達、昭和四〇年五月四日付け建設都発第六〇号建設省都市局長通達及び昭和四一年三月一六日付け建設都発第四一号建設省都市局長通達は、廃止する。

一 住民一人当たりの都市公園の敷地面積の標準について(令第一条関係)

都市公園法施行令(昭和三一年政令第二九〇号。以下「令」という。)第一条の住民一人当たりの都市公園の敷地面積の標準の改正は、現在の都市公園の整備水準が、国民一人当たり六平方メートルを超えることが確実と見込まれるなど、現行の住民一人当たりの都市公園の敷地面積の標準は既に達成しているか、又は達成しつつあることにかんがみ、豊かさを真に実感できる国民生活を実現するために必要である都市公園の着実な整備を図るため行われたものであること。本条の運用に当たっては、この改正の趣旨にかんがみ、都市公園の着実な整備に努められたいこと。

二 地方公共団体が設置する都市公園の配置及び規模の基準について(令第二条関係)

令第二条の地方公共団体が設置する都市公園の配置及び規模の基準の改正については、都市における良好な環境形成への意識の高まり、都市公園の機能の多様化、土地利用状況に応じた都市公園の整備の必要性等にかんがみ、従来の都市公園の配置及び規模の基準に、新たに広場公園等について規定を整備したものである。同条の運用に当たっては、次の事項に留意すること。
(一) 令第二条第一項第一号の主として街区内に居住する者の利用に供することを目的とする都市公園(以下「街区公園」という。)は、これまで児童公園として設置されてきたものであるが、当該公園が最も身近に存在する都市公園として、児童の利用に限らず広い年齢層による日常的な利用に供されるものであることから、利用者を限定する規定及び名称を廃止したものである。

これに伴い、昭和五一年一〇月二一日付け建設省都公緑発第一四七号建設省都市局長通達「都市公園等整備緊急措置法及び都市公園法の一部を改正する法律の施行について」(以下「都市局長通達」という。)記三(四)1)4)及び(六)表中「児童公園」を「街区公園」に改め、(五)2)中イを次のように改める。
「イ 街区公園 地区の実状に合わせ、児童の遊戯、運動等の利用、高齢者の運動、憩い等の利用に配慮し、遊戯施設、広場、休養施設等を最も身近な公園としての機能を発揮できるよう配置するものとすること。」
なお、街区公園の誘致距離及び敷地面積の標準は、これまでの児童公園の誘致距離及び敷地面積の標準と変わらないものであること。また、現在既に児童公園という名称が用いられている都市公園について、今回の改正に伴い名称を変更することは必ずしも要しないものであること。
また、昭和三七年一一月一五日付け建設都発第二五七号建設省都市局長通知記一(一)及び昭和四三年八月三〇日付け建都公緑発第四七号建設省都市局長通達は、街区公園においてもなお有効であること。

(二) 同条第二項の主として動植物の生息地又は生育地である樹林地等の保護を目的とする都市公園(以下「都市林」という。)は、都市の生活環境を維持・向上させるという機能の発揮を目的として、都市でまだ自然環境が残されている地域を中心として、市街地やその周辺部においてまとまった面積を有する樹林地等における野生動物の保護、都市気候の改善を目的とした都市公園として位置づけたものであること。

なお、ここで言う「樹林地等」とは樹林地を中心とし、当該樹林地の周辺で当該樹林地を補完する土地を含むものであり、農地は含まれないものであること。また、当該都市公園は、農業用のため池、水路等の農業用施設の用に供されている土地には設置されないものであり、当該都市公園の設置等により、農業用施設の改修又は管理方法の変更を伴う等農業用施設と関連する場合には、当該都市公園の計画及び実施(変更を含む。)に当たり、当該都市公園の設置者は、あらかじめ十分な時間的余裕をもって、当該農業用施設の管理者及び都道府県農林担当部局と協議を行うものとする。

(三) 同条第二項の主として市街地の中心部における休息及び観賞の用に供することを目的とする都市公園(以下「広場公園」という。)は、主として商業・業務系の土地利用が行われている地域において、都市景観の向上、周辺施設利用者のための休息及び観賞の用に供されることを目的とする都市公園として位置づけたものであること。
(四) (二)及び(三)に伴い、都市局長通達記三(四)6)「歴史公園等の特殊公園」の下に「、主として動植物の生息地又は生育地である樹林地等の保護を目的とする都市公園(以下「都市林」という。)、主として市街地の中心部における休息又は観賞の用に供することを目的とする都市公園(以下「広場公園」という。)」を加え、二(五)2)中「ヌ」を「ヲ」に、「リ」を「ル」に改め、「チ」の次に次のように加える。

「リ 都市林 市街地及びその周辺部においてまとまった面積を有する樹林地等において、その自然的環境の保護、保全、自然的環境の復元を図れるよう十分に配慮し、必要に応じて自然観察、散策等の利用のための施設を配置するものとすること。
ヌ 広場公園 市街地の中心部の商業・業務系の土地利用がなされている地域における施設の利用者の休憩のための休養施設、都市景観の向上に資する修景施設等を主体に配置するものとすること。」

三 公園施設の種類について(令第四条関係)

(一) 令第四条各号に掲げる公園施設のうち、蹴球場、相撲場等名称変更が行われた施設については、逐次既存の公園施設についても名称変更を進めていくこと。
(二) 同条第二項のキャンプ場は、従前は野営場とされていたか、都市公園内で野原等にテント等を利用して滞在を行うための施設、及びそれに付随する施設の総体を指すものであり、自然観察等の野外活動を行うための施設であること、また、オートキャンプ場も、車を利用することにより野原等で滞在を行うための施設及びそれに付随する施設の総体であり、自然観察等の野外活動を行うための施設であることから、キャンプ場に該当するものであること。
(三) 同条第四項のゲートボール場は、ゲートボールの競技人口が近年増加しており、幅広い年齢層が手軽に行えるスポーツとして一般に普及してきたところであって、特に、高齢者に人気が高いことから、今後、本格的な高齢化社会を迎えるに当たって、ゲートボール場に対するニーズは増大していくものと見込まれることにより、今回公園施設として追加することとしたものであること。
(四) 同条第四項の温水利用型健康運動施設とは、温水を利用した種々の軽運動を行うための施設であり、記録や勝敗を争う競技スポーツを含め、水泳の用に供するものではなく、水中における歩行、エアロビクス等の基礎体力を少しずつ高めていくことを目的とした運動、ある程度継続して行う軽い全身的な運動を行う施設であること。したがって、保養のためのいわゆるクアハウスはこれに含まれないこと。なお、温水利用型健康運動施設という名称は、温水を利用すること自体が健康増進に寄与することを意味するものではないこと。
(五) 同条第五項の自然生態園とは、自然の状態を保全し又は人工的に造園し、生物とその環境及び共生者との関係について観賞、観察することのできる施設を備えた施設をいうものであり、野鳥観察所とは、野鳥等の観察のために設けられる簡易な建築物などをいうものであり、いずれの施設も、自然環境に対する意識の高まり、自然とのふれあいに対するニーズに対応するための公園施設として位置づけることとしたものであること。
(六) 同条第五項の体験学習施設とは、公園利用者が、運動、植物等に関する実験、体験、実技、講義等を行うことができる施設をいうものであり、緑豊かな環境の中で、体験、学習活動等を通じた参加型のレクリエーションに対する需要の高まりに対応して公園施設として位置づけることとしたものであること。
(七) 同条第二項のキャンプ場、同条第四項のゴルフ場(ゴルフ練習場を含む。)、ゲートボール場、温水利用型健康運動施設及びスキー場、同条第五項の自然生態園、野鳥観察所及び体験学習施設、同条第六項の飲食店(軽飲食店を除く。)及び宿泊施設(簡易宿泊施設を除く。)は、国立・国定公園特別地域内において設置されないこと。
(八) 同条第四項のゴルフ場(ゴルフ練習場を含む。)及びスキー場は、自然環境保全法の原生自然環境保全地域、自然環境保全地域特別地区及び都道府県自然環境保全地域特別地区、鳥獣保護及び狩猟ニ関スル法律の鳥獣保護区特別保護地区並びに絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の生息地等保護区内において設置されないこと。
(九) 同条第六項の「飲食店(料理店、カフェー、バー、キャバレーその他これらに類するものを除く。)」及び「宿泊施設」は、それぞれ改正前は「軽飲食店(料理店、カフェー、バー、キャバレー、旅館その他これらに類するもの以外の飲食店をいう。)」及び「簡易宿泊施設(ヒュッテ、バンガロー、旅館等もっぱら宿泊の用に供される施設で簡素なものをいう。)」とされていたものであり、国民のニーズの高度化、多様化を踏まえ、今回これらの施設に関する限定を廃止したものであるが、このような限定を廃止したとしても、都市公園に公園施設として設けられる限りは都市公園法第二条第二項により「都市公園の効用を全うするため」設けられる施設である必要があることから、これらの施設を設置するに当たっては、施設の種類、規模、配置等が当該都市公園の計画に照らして適切であるか、公園管理者においては慎重に判断されたい。

なお、「(料理店、カフェー、バー、キャバレーその他これらに類するものを除く。)」とは、風俗営業法の適用を受けるものを排除する趣旨であり、今回の改正により、限定が削除されても、これらのものは都市公園内に公園施設として設置できないものであること。
なお、売店、飲食店、宿泊施設等については、都市公園法第五条第二項に基づき公園管理者以外の者が許可を受けて設置又は管理する場合が多いが、これらの許可に当たっては、学識経験者等をもって構成される公園審議会等の意見を聴する等の措置を講ずること。

(一〇) 同条第七項の廃棄物の再生利用のための施設は、都市公園の植栽管理等に伴い排出される剪定技、落ち葉等の廃棄物を、堆肥、舗装材、土壌改良材等として再生し、都市公園の管理運営に利用するための施設をいうものであること。なお、都市公園から排出された廃棄物以外の廃棄物を広範に受け入れるような施設は、もはや都市公園の効用を全うするため設けられる施設とはいえないことから、本項の廃棄物の再生利用のための施設には該当しないものであること。

四 許容建築面積の特例(令第五条関係)

(一) 令第五条第一項において、休養施設、運動施設、教養施設のうちこれまで特例対象となっていなかった施設で建築物であるものが新たに許容建築面積の特例が認められる公園施設となり、また、許容される建築面積の割合も百分の十に引き上げられることとなったわけであるが、都市公園は、本来、屋外で休息、運動等のレクリエーションを行う場所であり、都市環境の改善に大きな効用を発揮する緑地を確保するとともに、災害時の避難地・避難路として機能することを考慮して設置される施設であるので、原則として建築物によって建ペイされない公共オープンスペースとしての基本的性格を有することにかんがみ、本特例を適用する場合においては、都市公園の位置、面積、利用目的等から判断して、当該都市公園の機能を増進すると認められる場合に限り、これらの建築物の外観及び配置、当該都市公園の緑化面積等を十分検討して設置するものであること。なお、この場合、公園審議会等を十分活用されたいこと。
(二) 都市公園に公園施設として設けられる建築物の許容建築面積の特例は、これまで、遺跡等で建築物であるもの及び都道府県立自然公園の利用のための施設として設けられる建築物を除き、敷地面積が四ヘクタール未満の都市公園については認められないこととなっていたが、今後は、敷地面積が四ヘクタール未満の都市公園についても特例が認められることとなつたものであること。しかしながら、敷地面積の小さい都市公園にあっては、建築物である公園施設の設置が当該都市公園の公共オープンスペースとしての機能を阻害するおそれがあることから、本特例を適用する場合においては十分に留意すること。
(三) 同条第三項は、今回、新たに、公園施設の建築物としての構造に着目して、当該建築物が建築されたことにより公共オープンスペースが喪失されることを補う構造を有する建築物についての許容建築面積の特例を定めたものであること。この場合において、「屋根付広場」とは、公園施設である広場が屋根により上空が覆われているものの、壁を有しないことにより建築物の内部が外部と一体的なオープンスペースを形成している建築物をいうものであること。また、「壁を有しない雨天用運動場」についても、屋根付広場と同じであり、公園施設であるテニスコート等の運動場が屋根により上空が覆われているものの、壁を有しないことにより建築物の内部が外部と一体的なオープンスペースを形成している建築物をいうものであること。さらに、「高い開放性を有する建築物で建設省令で定めるもの」は、省令第二条に定める建築物をいうものであること。

なお、建築物の屋根が公衆の利用に有効な空地となつている建築物(いわゆる半地下の建築物等)は、地盤面の取り扱いにもよるが、通常は地盤面よりも下にあることにより建築面積に算入する必要のない例が多く、原則として建築面積に算入する必要がないこと。

五 公園施設に関する制限等(令第七条及び第八条関係)

(一) 改正前の令第七条は、児童公園には公園施設として少なくとも児童の遊戯に適する広場、植栽、ぶらんこ、すべり台、砂場、ベンチ及び便所を設けなければならないとされていたものであるが、これらの施設が児童の公園利用に必要な施設であることの普遍性が高いことは基本的に変わりがないものの、児童公園の利用状況は高齢化の進展等により利用者や利用方法が変化してきていること、児童公園についても他の都市公園と同様地域の実状や創意工夫が活かされたものとすることについての要望が強まっていることなどから、この児童公園に設けるべき公園施設の基準を廃止することとしたものであること。したがって、各公園管理者においては、現状の利用状況に見合った、地域の状況や創意工夫等が活された児童の遊び場の確保について今後とも積極的に推進されたいこと。
(二) 改正前の令第八条第二項は、都市公園内に売店、軽飲食店、メリーゴーラウンド等一定の遊戯施設及びゴルフ場については、一定面積以上の敷地面積を有する都市公園でなければ設けることができないとされていたものであるが、都市公園において緑を観賞しながら食事を楽しむことなど都市公園に対する国民のニーズの変化等により、公園施設に対するニーズについても高度化、多様化しており、こうしたニーズを単純に都市公園の面積という基準のみによって割り切り、利用形態を限定することは困難になってきたことから、売店、軽飲食店及びゴルフ練習場に限り、都市公園の敷地面積に関する制限を廃止することとしたものであること。したがって、これらの施設を都市公園に設置する場合には、個別の都市公園ごとに、当該都市公園の利用状況、地域の実情等諸条件を勘案した上で、最適な公園施設を設置するよう配慮すること。
(三) 改正前の令第八条第五項は、都市公園に売店又は軽飲食店を設ける場合においては、売場又は出入口は都市公園の外周に接しないようにしなければならないとされていたが、売場や出入口が公園利用者の利便に資する方向に設けられる必要があるとしても、公園利用者の動線や都市の景観等からみて売場や出入口の望ましい方向が公園設計上一概に定まるものではないことから、公園設計の自由度を高めるためにこのような制限を廃止することとしたものであること。なお、この規定が廃止されたことによっても、売店や飲食店の売場や出入口が都市公園の外周のみにしか向けられていないのであれば、公園利用者以外の一般の人々を主たる対象として営業することとなり、「都市公園の効用を全うする」施設とはいえず、公園施設に該当しないものであること。

六 占用物件について(第一二条及び第一六条関係)

(一) 地方公共団体の要望、都市地域における治水対策を緊急に進める必要性等を考慮し、令第一二条第二号の二に都市公園の地下占用物件として河川管理施設を追加することとなったが、追加する河川管理施設は省令第六条第一項第三号に該当するものに限定されており、また、令第一六条第四号の二により当該河川管理施設の頂部と地面との距離は原則として三メートル以上必要とし、さらに、同条第九号により占用の許可の対象となる都市公園についても省令第八条に該当するものに限定されていること。
(二) 同条第二項の、令第一二条の二の地下占用物件は公園予定地又は現に供されていない都市公園の区域に設けられるものでなければならないとする制限は廃止されることとなったが、これらの施設を占用させることにより都市公園の利用及び利用者の安全が妨げられることのないよう十分留意されるべきものであること。
(三) 水道施設、下水道施設、河川管理施設及び変電所(以下「水道施設等」という。)を設ける場合には、都市公園の外周部の植込みを造成し、又は保全するため、水道施設等の主要構造部は、やむをえない場合を除き、都市公園の外周から五メートル以上離すものとすること。
(四) 占用物件の外観及び配置については、都市公園の風致及び美観を害しないものとされているところであるが、当該都市公園が有する歴史的、文化的価値あるいはそれぞれの利用目的に応じて有している機能をも害することのないよう占用物件の許可に際しては、有効適切な指導を行うものとすること。

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