都下発第五二号
昭和四二年七月二八日

各都道府県知事あて

建設省都市局長通達


下水道法の一部を改正する法律及び下水道整備緊急措置法について


下水道法の一部を改正する法律(昭和四二年法律第四〇号)及び下水道整備緊急措置法(昭和四二年法律第四一号)は、昭和四二年六月二一日公布施行され、下水道法施行令の一部を改正する政令(昭和四二年政令第二一一号)は、昭和四二年七月二八日公布施行され、なお、これに基づく建設省令及び厚生省令、建設省令は、近く制定される予定である。
下水道法及び下水道法施行令の今回の改正の主な趣旨は、従来公共下水道の管渠と終末処理場の建設が建設省と厚生省の所管に分かれていたものを建設省の所管に一元化し、下水道事業の強力な推進を図る措置を講じたものである。
また、下水道整備緊急措置法は、従来、生活環境施設整備緊急措置法(昭和三八年法律第一八三号)に基づいて策定されていた昭和三八年度を初年度とする下水道整備五箇年計画及び終末処理場整備五箇年計画を改訂し、下水道投資の拡大を図るとともに、下水道行政の所管の変更に伴い終末処理場もあわせて一体とする下水道の整備計画を策定する必要から、昭和四二年度を初年度とする新下水道整備五箇年計画を発足させるべく、その根拠法として制定されたものである。
両法の制定により、下水道事業は、強力に推進されることとなるのであるが、終末処理場を含む下水道事業の執行にあたっては、左記に留意のうえ、遺憾のないようにされたい。なお、この旨を貴管内に周知徹底されたい。

一 地方公共団体の下水道事業の執行体制の整備について

(1) 都道府県においては、従来国における行政所管との関連もあり、公共下水道の事業計画の認可、国庫補助金等に関する事務が、管渠と終末処理場について異なる部局で執行されているところであるが、今回の法改正の趣旨に沿って、その一元化を図るとともに、増大する事務量に対処するため、執行体制について所要の整備を図られたい。
(2) 公共下水道管理者である市町村等においては、新下水道整備五箇年計画の発足により、さらに増大する事業量を強力かつ円滑に執行するため、機構、人員の整備等その執行体制の整備を図られたい。

二 コンサルタントの活用について

新下水道整備五箇年計画の発足により、今後さらに著しく増大する事業を円滑に実施するためには各地方公共団体における執行体制の整備を図るとともに、なお、予想される技術者の不足に対処するため、下水道事業に関する調査、計画、及び工事の設計等の業務について左記に留意のうえコンサルタントを一層、有効適切に活用して下水道事業の遂行に遺憾のないよう措置されたい。
(1) 業務を委託するコンサルタント業者は十分な技術能力、経験を有するものを選定すること。
(2) コンサルタント業者と委託契約を行なう場合における契約方式等については、別添の建設省直轄事業について定められている取扱いを参考にされたいこと。

三 終末処理場整備事業の執行について

(1) 公共下水道の終末処理場と管渠は、一体的施設であることにかんがみ、今後一層、両施設の調和のとれた整備を図り、下水道投資の効果の確保に努められたい。
(2) 今後、新たに終末処理場を設置する市町村が増加する状勢にあるが、各市町村においては終末処理場が水質公害防除に対し、重要な役割を果す施設であることにかんがみ十分な経験、技能を有する技術者の確保に努めることはもちろん、工事の実施に当っては、次の事項に留意されたい。

イ 施工業者については、とくに終末処理場に関する技術力、工事経歴等を慎重に考慮し、十分な能力、責任を有するものを選定すること。
ロ 終末処理場は、工事完成後相当の期間実際に運転し、その実績によって、当初計画のとおり施行されたか否か確認する必要があるので、施工業者との契約に当っては、この措置が確保できるよう努めること。

四 公共下水道の事業計画の認可について

今回の下水道法の改正により、下水道法に基づく事業計画の認可は、終末処理場に関するものを含めて、すべて建設大臣が行なうこととなったが、その際予定排水区域の面積が五〇ヘクタール以下の公共下水道に係る認可を除き、保健衛生上の観点からする厚生大臣の意見をきくことになっているので、各公共下水道管理者は、事業計画の認可手続を行なうにあたっては、左記書類及び図面の写を一部添付されたい。
(1) 書類

イ 事業計画書
ロ 下水道法施行令第四条第一号から第四号までに掲げる事項を記載した書類

(2) 図面

イ 下水道計画一般平面図
ロ 処理施設の平面図、水位関係図及び構成図
ハ 下水の放流先の状況を明かにする図面


別添

土木事業に係る設計事務等を委託する場合の契約方式等について

(昭和三四年一月一九日)
(発厚第三号)
(各地方建設局長あて事務次官通知)
最近改正 昭和五二年 四月 一日厚発第一〇五号
建設省直轄の土木事業に係る調査、計画及び設計の業務を外注する場合の取扱を、左記のとおり定めたから、通知する。
一 建設省直轄の土木事業に係る調査、計画及び設計に関する業務(高度の技術的判定を含まない単純な測量及び調査を除く。以下「設計業務等」という。)を外注するときは、原則として、委託契約を締結するものとする。
二 設計業務等の委託料は、目の細分「測量及び試験費」又は「調査費」から支出するものとする。
三 契約担当官等(会計法(昭和二二年法律第三五号)第二九条の三第一項に規定する契約担当官等をいう。)は、設計業務等を随意契約により建設コンサルタント(建設コンサルタント登録規程(昭和三九年建設省告示第一一三一号)第六条の規定による登録を受けた建設コンサルタントをいう。)に委託する場合において、設計業務等の処理に必要な技術水準を勘案し必要があると認めるときは、委託者に、当該受託者に所属する技術士(技術士法(昭和三二年法律第一二四号)第一四条の規定による登録を受けた者をいう。)で当該設計業務等の処理の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かせるものとする。
四 委託契約書の様式は、別紙を標準とするものとする。
五 設計業務等を委託する場合において、第三項の規定により主任技術者を置かせるときは、契約書に主任技術者の氏名を記載するとともに、次の一条を加えて委託契約を締結するものとする。

(主任技術者)

第〇条 乙は、頭書の主任技術者に委託業務の処理の技術上の管理をつかさどらせなければならない。

六 予定価格の積算方法は、別に官房長が定めるところによるものとする。
七 設計業務の受託者には、原則として、当該設計に係る工事の入札に参加させ、又は当該工事を請負わせてはならないものとする。



別紙

設計業務等委託標準契約書

委託業務の名称
履行期限 昭和  年  月  日
業務委託料

頭書業務の委託について、委託者支出負担行為担当官○○地方建設局長を甲とし、受託者○○○○を乙とし、次の条項により委託契約を締結する。

(総則)

第一条 乙は、別冊「仕様書」に基き、頭書の業務委託料(以下「業務委託料」という。)をもって、頭書の履行期限(以下「履行期限」という。)までに、頭書の委託業務(以下「委託業務」という。)を完了しなければならない。
2 前項の「仕様書」に明記されていない仕様があるときは、甲乙協議して定める。

(権利義務の譲渡等)

第二条 乙は、この契約によって生ずる権利又は義務を第三者に譲渡し、又は承継してはならない。ただし、書面により甲の承諾を得たときは、この限りでない。
2 甲は、この契約の成果品を自由に使用し、又はこれを使用するにあたり、その内容等を変更することができる。

(再委託等の禁止)

第三条 乙は、委託業務の処理を他に委託し、又は請け負わせてはならない。ただし、書面により甲の承諾を得たときは、この限りでない。

(委託業務の調査等)

第四条 甲は、必要と認めるときは、乙に対して委託業務の処理状況につき調査をし、又は報告を求めることができる。

(業務内容の変更等)

第五条 甲は、必要がある場合には、委託業務の内容を変更し、又は委託業務を一時中止することができる。この場合において、業務委託料又は履行期限を変更する必要があるときは、甲乙協議して書面によりこれを定める。
2 前項の場合において、乙が損害を受けたときは、甲はその損害を賠償しなければならない。賠償額は、甲乙協議して定める。

(期限の延長)

第六条 乙は、その責に帰することができない事由により、履行期限までに委託業務を完了することができないことが明らかとなったときは、甲に対して遅滞なく、その事由を附して履行期限の延長を求めることができる。ただし、その延長日数は、甲乙協議して定める。

(損害のために必要を生じた経費の負担)

第七条 委託業務の処理に関し発生した損害(第三者に及ぼした損害を含む。)のために必要を生じた経費は、乙が負担するものとする。ただし、その損害が甲の責に帰する事由による場合においては、その損害のために必要を生じた経費は、甲が負担するものとし、その額は、甲乙協議して定める。

(履行遅滞の場合における延滞金)

第八条 乙の責に帰する事由により、履行期間までに委託業務を完了することができない場合において、履行期限後に完了する見込があると認めたときは、甲は、延滞金を付して履行期限を延長することができる。
2 前項の延滞金は、業務委託料に対して、延長日数に応じ年八・二五パーセントの割合を乗じて計算した金額とする。
3 甲の責に帰する事由により第十条の規定による業務委託料の支払が遅れた場合には、乙は、甲に対して年八・二五パーセントの割合で遅延利息の支払を請求することができる。

(検査及び引渡)

第九条 乙は、委託業務を完了したときは、遅滞なく、甲に対して業務完了報告書を提出しなければならない。
2 甲は、前項の業務完了報告書を受理したときは、その日から十日以内に成果品について検査を行わなければならない。
3 前項の検査の結果不合格となり、成果品について補正を命ぜられたときは、乙は、遅滞なく当該補正を行い、甲に補正完了の届を提出して再検査を受けなければならない。この場合、再検査の期日については前項を準用する。
4 乙は、検査合格の通知を受けたときは、遅滞なく、当該成果品を甲に引渡すものとする。

(委託料の支払)

第十条 乙は、前条の規定による検査に合格したときは、甲に対して、業務委託料の支払を請求するものとする。
2 甲は、前項の支払請求があったときは、その日から三十日以内に支払わなければならない。

(違約金)

第十一条 乙の責に帰すべき事由により、甲が契約を解除したときは、乙は業務委託料の十分の一を違約金として甲の指定する期限までに納付しなければならない。

(秘密の保持等)

第十二条 乙は、委託業務の処理上知り得た秘密を他人に漏らしてはならない。
2 乙は、成果品(設計業務等の履行過程において得られた記録等を含む。)を他人に閲覧させ、複写させ、又は譲渡してはならない。ただし、甲の承諾を得たときは、この限りでない。

(契約外の事項)

第十三条 この契約に定のない事項又はこの契約について疑義が生じた事項については、必要に応じて甲乙協議して定めるものとする。

本契約の証として本書二通を作り、当事者記名捺印の上各自一通を保有する。

昭和  年  月  日

甲 ○○県○○市○○町○○番地

○○地方建設局
支出負担行為担当官
○○地方建設局長    ○ ○ ○ ○ [印]

乙 ○○県○○市○○町○○番地

○ ○ ○ ○ [印]


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