下水道法の一部を改正する法律(昭和四五年一二月二五日法律第一四一号)及び下水道法施行令の一部を改正する政令(昭和四六年六月二三日政令第二〇三号)は、それぞれ去る六月二四日から施行され、これに伴う関係省令(下水道法施行規則の一部を改正する省令(建設省令第二一号)、下水の処理開始の公示事項等に関する省令の一部を改正する省令(厚生省・建設省令第二号)、下水の水質の検定方法に関する省令の一部を改正する省令(厚生省・建設省令第三号))及び関係告示(建設省告示一七〇五号、一七〇六号、厚生省・建設省告示第二号)も去る一〇月九日に公布施行されたが、これについては、左記の諸点に留意し、その趣旨の徹底及び運用に関し、遺憾のないよう配慮されたい。
第一 改正の主意
最近における急激な都市化の進展に対処して、都市の計画的な整備を図るためには、特に立ち遅れている下水道の整備を推進することが、現下の急務であるが、下水道整備の極度の立ち遅れを反映して、近年、河川、湖沼あるいは海域などの公共用水域の水質の汚濁による公害問題は、極めて深刻なものとなつている。政府としても、このような公共用水域の水質の汚濁に対処するため、公害対策基本法に基づき、公共用水域の水質の汚濁に係る環境基準を定めて、その達成に努めているところであるが、特に都市地域における水質の保全を確保するためには、下水道の整備が必要不可欠の要件と考えられる。このような下水道をめぐる諸般の事情を考慮し、下水道整備の円滑化とその維持管理の適正化を図り、もつて都市環境の整備改善と公衆衛生の向上に寄与するとともに、公共用水域の水質の保全に資することを目的として立法されたものである。
第二 公害関係諸法との一体的運用
今回の一部改正は、公害関連行政の強化を図るため、水質汚濁防止法等の一連の公害関係諸法の整備の一貫としてなされたものであり、特に水質汚濁による公害問題に対しては、水質汚濁防止法及び下水道法が、強力な個別排出規制と対策事業に関する施策の基本法となつている実情にかんがみ、今後の下水道行政の推進にあたつては、水質汚濁防止法の運用との関連に特に配慮し、総合的な水質保全行政が円滑に推進されるよう注意されたい。
第三 地方公共団体の執行体制の確立の必要性
(1) 今回の改正に伴い、都道府県は、流域別下水道整備総合計画の策定、流域下水道の設置管理、流域下水道に接続する流域関連公共下水道の認可及び下水道の維持管理に関する指導監督を行なうべきことが下水道法上明確化されたので、従来の管下市町村に対する下水道事業の行政上の指導監督業務の適正な遂行とあわせて、この際都道府県の下水道行政に対する執行体制の強化について、抜本的な対策を検討し、適切な措置を講ずる必要がある。この点に関しては、去る八月一六日建設大臣に対する都市計画中央審議会の「下水道事業を執行するための執行体制に関する方策についての答申」(別添)においても提言されているところであるので、念のためつけそえる。
(2) また、今回の改正に伴い、市町村においては、工場排水等に関する規制、監督の強化及び終末処理場の維持管理の強化等下水道法上もその責務の明確化がなされた。これにあわせて、市町村の下水道行政に対する執行体制の強化についても、抜本的な対策を検討し、適切な措置を講ずる必要がある。
第四 新下水道整備五箇年計画の決定
下水道事業の推進については、去る四月五日下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律が公布施行され、昭和四十六年度を初年度とする新下水道整備五箇年計画が発足することとなつた。同法に基づく第三次下水道整備五箇年計画は、去る八月二七日閣議決定され(別添)、政府としてはこの計画に即して、今後の下水道事業の緊急かつ計画的な整備を図つていくこととしている。
第五 改正点の要旨及び運用上注意すべき事項
一 第一条関係
今回の下水道法の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)の趣旨は、目的の改正にみられるごとく、従来の都市環境の整備改善という目的に加えて、公共用水域の水質保全対策としての下水道の果す役割を明規するとともに、これに対応した下水道の管理体制を確立しようとするものである。下水道からみた総合的な水質保全計画としての流域別下水道整備総合計画に関する規定の新設(改正法二条の二)、公共下水道は流域下水道に接続する場合を除いて終末処理場を有すべきものとしたこと(改正法二条三号)、流域下水道に関する規定の新設(改正法二五条の二〜二五条の一〇)、工場排水等に関する規制、監督の強化(改正法一一条の二、一二条の二、三九条の二)及び下水道の維持管理者の資格要件を定めたこと(改正法二二条二項)等は、右記の趣旨を具体化したものである。
二 第二条関係
(1) 公共下水道は終末処理場を有するか、流域下水道に接続することを要件としたが、これは公共用水域の水質保全という観点から、公共下水道の最終の姿を示すものであり、今後は、この要件を満たすことが事業計画の認可の条件となる。なお、現在、下水道法(以下「法」という。)四条の認可を受けて設置した、又は設置中の公共下水道で、終末処理場に関する計画のないものについては、改正法施行後三年間は、従前どおり公共下水道として取り扱うこととしているが、その間に可及的すみやかに、終末処理場に関する事業計画を定め、認可を受けるよう措置するとともに、その事業の実施の促進を図る必要がある(改正法附則二条)。
(2) 終末処理場の定義の改正に伴い、従前のいわゆる特別都市下水路に設けられる処理施設も終末処理場の概念に含まれることとなつたので(予算上は「特定公共下水道」として取り扱われる。)、今後公共下水道として管理するものについては、公共下水道の事業計画の認可が必要である。
三 第二条の二関係
(1) 今回新たに規定が設けられた流域別下水道整備総合計画は、水質環境基準を達成するために必要とされる下水道の整備に関する総合的な基本計画であり、将来における水質保全対策事業のための基本計画ともなりうるものである。
(2) 流域別下水道整備総合計画が定められた地域においては、具体の下水道の整備は、この総合計画に適合して実施していくこととなるので、公共下水道又は流域下水道の事業計画の認可基準においても、この旨が規定されている(改正法六条五号、改正法二五条の五、四号)。
(3) 流域別下水道整備総合計画は、当該地域についての個別の排水規制の状況、河川等の下水の放流先の状況などとも密接な関連を有するものであるので、この計画の策定にあたつては、事前に河川部局、公害部局、農林部局などの関係部局と十分調整を図つておくことが必要である。とくに河川法上の一級河川に係るものにあつては、建設省地方建設局との調整を十分に図る必要がある。
(4) 流域別下水道整備総合計画は、水質環境基準が定められた後原則として二年以内に策定するように努め、その策定後も事情の変更等を考慮して、原則として五年ごとに見直しを行なうものとする。
(5) 流域別下水道整備総合計画は、水質環境基準を達成するために定めるものであるが、策定にあたつての将来目標は、原則として策定時より二〇年後とする。
四 第五条関係
公共下水道の事業計画の内容については法五条、施行規則二条に規定されているが、今回の改正により、排水区画割平面図、排水施設の構造標準図並びに吐口、雨水吐室及び伏越の構造図は不要とするとともに、排水施設の平面図及び縦断面図についても下水排除面積二〇ヘクタール以上の主要な管渠(開渠については一〇ヘクタール以上)のみに限ることとした。
また、従来排水区単位に記載していた調書は、原則として処理区単位(流域関連公共下水道については処理分区単位)に記載することとし、分流式公共下水道の雨水管渠についてのみ排水区単位に記載することとした。
以上により、事業計画の認可手続の大巾な簡素化を図つた。
五 第六条関係
(1) 流域関連公共下水道に係る認可にあつては、流域下水道の事業計画が基本となるものであるので、これに適合することが認可の基準とされている(改正法六条四号)。
(2) 流域別下水道整備総合計画との適合性については、三の(2)を参照されたい。
六 第八条及び第一二条関係
(1) 改正法の施行と併わせて、水質汚濁防止法が施行され、下水道終末処理施設が特定施設として定められることにより(水質汚濁防止法施行令別表第一、七三号)、終末処理場からの放流水について、下水道法施行令(以下「令」という。)六条一項の水質基準の適用を受けるとともに同条二項の規定(水質汚濁防止法施行令附則一一項の規定による令六条二項の改正)により水質汚濁防止法三条一項の総理府令による一律基準又は同条三項の条例による上乗せ基準の適用をも受けることとなつているので、重金属類等を含む排水がある地域については、工場排水等の状況の把握に努め、放流水の水質基準の遵守に遺憾のないよう、法一二条及び令九条による除害施設の設置等の監督指導を強力に行なう必要がある。
(2) 放流水の水質基準の遵守等下水道の適切な維持管理を確保するため、法一二条一項の規定による除害施設の設置等の基準に関する令九条の規定は、昨年一〇月一四日及び去る六月二三日に改正され、除害施設の設置等に関し対処しうるよう措置しているので、今後は、この基準を受けた条例の適正な運用に十分配慮されたい。
(3) なお、水質汚濁防止法二条一項においては、旧公共用水域の水質の保全に関する法律三条一項による場合と異り、終末処理場を現に設置していない公共下水道及び流域下水道並びに都市下水路は、「公共用水域」に含め、水質汚濁防止法による個別排出規制を行なうこととしているが、下水道の実態は、下水道管理者が知悉しているところであるので、同法による都道府県知事の指導監督については、下水道管理者が積極的に協力して、その水質保全に努められたい。
(4) 水質汚濁防止法による排水規制については、「水質汚濁防止法の施行について」昭和四六年七月三一日付け還水管第一二号、環境事務次官通達を参照されたい。
七 第一一条の二(令第八条の二)関係
(1) 日量最大五〇m3以上の大量の下水を排出する者又は令九条一項五号から二一号まで若しくは同条二項各号に掲げる範囲内の悪質な水質の下水を排出する者は、あらかじめ当該下水の量又は水質及び使用開始の時期を公共下水道管理者に届け出ることとされた。これは公共下水道に流入する下水の量又は水質の見込みを適確に把握することによつて、公共下水道の維持管理の適正化を図つていこうとするものである。悪質な下水に対する対応策としては、本条のほか法一二条の除害施設の設置、改正法一二条の二の水質測定、法一三条の強制立入り調査、改正法三九条の二の報告徴収などの規定がおかれている。
(2) 使用開始等の届出を受けた場合には、事前に悪質な下水に対する除害施設の設置等の指導を積極的にすべきである。なお、本条は、改正法施行後新たに下水を排出しようとする者についてのみ適用されるものであるが、従前からの排出者についても、実態の把握に努めるよう関係者の協力を要請すべきである。
(3) 本条の運用にあたつては、衆議院建設委員会の附帯決議の趣旨に鑑み、除害施設の設置等について、事前に予防効果を確保するため、届出制に対して厳しい事前調査、改善命令等の措置のもとで、許可制に等しい程度の運用を図つて、下水道の維持管理の適正化に資することとされたい。
八 第一一条の三関係
(1) 処理区域内において既存のくみ取便所がそのまま永続して存することは、公衆衛生の観点からも望ましいことではなく、また一方でし尿収集をしなければならないという二重投資の不都合も生じ、公共下水道整備の目的を阻害することとなる。そこで、従来旧清掃法に規定されていた水洗便所への改造促進規定を一層強化して、既存くみ取便所については、処理開始後三年以内に水洗便所に改造するよう、その建築物の所有者に対して義務づけを行ない、ひいてはくみ取作業をできる限り不要とすることによつて、清掃事業の合理化にも資そうとするものである。なお、既に処理区域となつている地域については、改正法の施行後三年以内に改造を行なうべきこととしている(改正法附則四条)。
(2) 水洗化の普及については、このような法律上の義務づけのみによつて実効を期しうるものではないので、関係住民等の理解をうるようその周知徹底方策について細心の注意をするとともに、水洗化に要する資金の融通等及び利害関係者間の紛争の解決についても積極的に努力されたい。
(3) 処理区域内において新築、改築等を行なう建築物については、建築基準法三一条の規定が適用されるので、本条の適用はない、また既存くみ取便所が設けられている建築物について、それが著しく衛生上有害であると認められる場合には、建築基準法一〇条にも抵触する場合があるので、このような建築物について改正法一一条の三、三項、四項の改造命令を出すにあたつては、建築基準法の特定行政庁とも事前に十分調整を図つておくことが必要である。
九 第一二条の二(令第九条の二、規則第三条の三)関係
(1) 令九条一項五号から二一号まで、又は同条二項各号に掲げる範囲内の悪質な水質の下水を排出する者は、その下水の水質を測定し、結果を記録しておかなければならないこととされた。これは、公共下水道へ流入する下水の水質を常に把握することによつて除害施設等の監督の万全を期し、公共下水道の維持管理の適正化を図つていこうとするものである。
(2) なお、令九条の二、二項括弧書においては、公共下水道管理者が水質測定義務を免除できる者を定めうることとしている。これは当該工場又は事業場からの排水が、終末処理場の能力、排水の量又は水質等を総合的に勘案して、公共下水道の維持管理上特に必要がないと認められる場合には、水質測定義務を免除することができるものとしたものである。
(5) また、測定の頻度については一応下水道法施行規則三条の三、二号に規定がなされているが、終末処理場の能力、排水の量又は水質等を総合的に勘案して、公共下水道管理者において、測定の頻度について実情に応じうるよう別段の定めをすることも可能である。
一〇 第一三条関係
本条は、旧法一三条を全面的に改正して、下水道の維持管理の適正化を図るため排水施設、除害施設等の検査のための立入り権限を強化したものである。これによつて、工場、事業場に対する立入検査は夜間でも行なえることとなり、また工場、事業場側の同意がえられない場合においても強制的な立入検査を行なうことが可能となつた。なお、その立入りを妨げた者に対しては、罰則の適用(改正法四九条三号)がある。
一一 第二〇条(令第一一条の二)関係
(1) 公害防止事業に対する企業等の事業者の応益負担の適正化を図るべきことが強く要請されているが、そのような背景のもとに、公共下水道についても、悪質下水を排出する企業等の事業者の費用負担の適正化を図るため、下水の水量のみならず、その水質に応じても、使用料を徴収できることを明らかにした。この点に関しては、昨年八月一四日に建設大臣に対する都市計画中央審議会の「下水道の整備のための方策に関する答申」においても明らかにされているところである。
(2) なお、水質使用料制度は、一部の例外を除き、ほとんど採用されていないので、建設省においても、実情を調査のうえ、標準的な制度を確立するよう措置する予定である。
(3) 公共下水道の使用料の実態は、一部の例外を除き、当該公共下水道の維持管理費にも充たない現状であるので、前記の答申においても提言されているとおり、下水道使用料が汚水分に係る維持管理費にも充たない場合には、少なくともそれが支弁される程度のものとなるよう措置する必要がある。
(4) 下水道使用料については、改正法附則六条の規定による地方自治法の一部改正に伴い、地方税の滞納処分に準じた強制徴収が可能となつた(地方自治法附則六条の五、三号)。
(5) 公害防止事業費事業者負担法の規定に基づき、特定の事業者にその設置費の一部を負担された特定公共下水道に係る使用料は、令一一条の二に規定する基準に従い、設置費の一部を負担した事業者の使用料とその他の事業者(新規参入者など)の使用料とを区分して定めることとされた。
(6) なお、公害防止事業費事業者負担法は、昭和四六年五月一〇日以降新たに実施される特定公共下水道事業について適用されるものであり、それ以外の下水道事業には適用されない(同法附則一項)。また、同法は、特定公共下水道事業の設置費についてのみ規定しており、維持管理費については規定していないので、本条三項の基準の適用にあたつては、維持管理費に係る使用料は区別する必要がない。
(7) 公害防止事業費事業者負担法による特定公共下水道に係る事業者の費用負担については、「公害防止事業費事業者負担法の施行について」昭和四六年六月二六日付け総公対第九九号、内閣総理大臣官房公害対策室長通達を参照されたい。
一二 第二一条関係
(1) 下水道の処理施設から生じる汚でい等のたい積物の処理の基準については、終末処理場の維持管理の一環として別途政令で基準が定められる予定である。したがつて、下水道の処理施設から生じる汚でい等のたい積物の処理については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令に定める処理基準の適用はないものである。
(2) なお、汚でい等のたい積物の海洋投入処分を行なう場合における排出海域及び排出方法に関する基準は、別途海洋汚染防止法一〇条二項三号に基づく政令として定められる予定である。
一三 第二二条(令第一五条の二、第一五条の三)関係
下水道の設計又は工事の監督管理については、従来資格要件が定められていたが、今回、処理施設又はポンプ施設の維持管理についても一定の資格要件を定め、下水道の維持管理の適正化を期することとした。従つて、これら施設の維持管理にあたつては、少なくともその技術上の責任者は、令一五条の三に規定する資格を有する者であることが必要である。なお、その者の監督の下に作業に従事する職員は必ずしもその資格を有することを要しないものである。
一四 第二章の二(流域下水道)及び第三一条の二関係
(1) 流域下水道は、改正法二条四号に規定されているとおり、もつぱら地方公共団体が管理する下水道からの下水を受け入れて、それを排除及び処理する根幹的な下水道であり、また二以上の市町村からの下水を受け入れる広域的な下水道でもあるので、その管理主体は原則として都道府県としている(改正法二条四号、同二五条の二)。
(2) 流域下水道事業は、関連の公共下水道の整備事業と一体となつてはじめてその実効を発揮しうるものなのであるから、流域下水道の設置、改築、修繕、維持その他の管理にあたつては、関連公共下水道の管理者たる市町村と十分連絡調整を図つておくことが必要である。認可に際しては改正法二五条の三、二項、事業計画については改正法五条一項二号、同二五条の四、一項三号及び四号、供用開始については改正法二五条の六、同九条二項、使用制限については改正法二五条の七、同一四条、市町村の負担金については改正法三一条の二などの規定がおかれている。
(3) 流域下水道の施設には、流域関連公共下水道を接続する場合、あらかじめ他の施設又は工作物その他の物件の管理者と協議して共用の暗渠を設ける場合(たとえば共同溝を設ける場合など)のほか、流域関連公共下水道の予定処理区域外における飛行場、その他継続して大量の下水を排除する施設からの下水を流域下水道に流入される場合、終末処理場から放流される水を利用するために当該終末処理場に接続して導水管を設ける場合(工業用水としての再利用などが考えられよう。)その他の場合であつて、流域下水道管理者が流域下水道の施設の維持管理上特に支障がないと認めた場合を除いては、何人に対しても物件を設けさせてはならないこととなつているので、令一七条の五の運用にあたつては流域下水道の維持管理上特に支障がないかどうかを判断して厳格に運用する必要がある。
(4) 改正法三一条の二の規定により、流域下水道の建設費又は維持管理費について、関係市町村に分担金を求めることができるものとされているが、流域下水道が広域根幹的な施設であることから、原則として都道府県が管理すべきものとしている趣旨を考慮し、関係市町村に負担させるべき額は、その建設に要する費用については、従来どおり当該費用から国費を除いた額の二分の一以下の額とし、その維持管理に要する費用については、当該費用のうち関連公共下水道管理者が使用料として利用者に負担されるべき額、使用料の徴収状況等を勘案して定めることとされたい。
(5) 改正法二条の二による流域別下水道整備総合計画は、個別の下水道計画の前提として策定されるべきものであるので、公害対策基本法に基づき、水質環境基準が定められた流域について、今後新たに流域下水道の事業計画を策定しようとする場合には、流域別下水道整備総合計画の策定をまつて行なうこととされたい。
(6) なお、改正法施行の際、既に流域下水道事業に着手している都道府県は、改正法附則三条の規定により、可及的すみやかに事業計画を策定して建設大臣に届け出る必要がある。この場合、現に着手している流域下水道の計画を相当程度変更しようとするときは、届出にかえて、変更部分をも含めて一括して改正法二五条の三の規定による認可を受けることを妨げない。
一五 第三四条(令第二四条の二、建設省告示第一七〇五号)関係
(1) 法三四条の規定による国庫補助に関する政令を定め、その政令(令第二四条の二)に基づく建設省告示第一七〇五号(以下「建設省告示」という。)も去る一〇月九日に定められた。これは、今回昭和四六年度を初年度とする新下水道整備五箇年計画が策定されたこととあわせて、国庫補助に関する政令を定め、その基準の明確化を図ることとしたものである。これによつて、国庫補助率及び国庫補助対象施設の範囲が明確化され、公共下水道については、主要な管渠及び終末処理場並びにこれらの施設を補完するポンプ施設その他の主要の補完施設が補助対象施設とされ、その場合の主要な管渠の範囲は、建設省告示により基準が定められている。
(2) 令二四条の二、一項一号及び建設省告示一項により、公共下水道の終末処理場の事業費のうち、補助対象とならないものは、従来どおり終末処理場の門、さく、へいその他これらに類する施設に係る事業費としており、その額は、五箇年計画に含まれている終末処理場の総事業費のうち、おおむね一〇%程度と見込まれている。
(3) 令二四条の二、一項一号に規定する「特定の事業者の事業活動に主として利用される公共下水道」(特定公共下水道)とは、当該公共下水道の汚水に係る計画下水量のうち、事業者の事業活動に起因し、又は附随する汚水の計画下水量が、おおむね三分の二以上を占めるものを特定公共下水道として取り扱うものとする。
(4) 昭和四五年度以前に既に事業に着手していた特定公共下水道については、令二四条の二、一項一号及び建設省告示二項一号の規定により、従来どおり、企業等の事業者の負担分を総事業費の四分の一としている。国費については、補助対象事業費のうち、企業等の事業者の負担分として補助対象事業費の四分の一を控除した補助対象事業費の四分の三に対して三分の一の補助(補助対象事業費に対して四分の一の補助)をすることとしている。なお、昭和四五年度以前に既に着手していた特定公共下水道事業について、昭和四六年度以降に事業計画の拡張が行なわれた場合において当該事業計画に基づいて施行される事業も建設省告示二項一号の規定の適用を受けるものである。
(5) 昭和四六年度以降に新たに着手した特定公共下水道で、令二四条の二、一項一号及び建設省告示二項二号に規定する公害防止事業費事業者負担法の規定を適用しないものとは、例えば、当該特定公共下水道の設置が工場団地の造成等新市街地の開発等に係るもので企業等の事業者が特定しない場合をいうが、この場合には、企業等の事業者の負担分を総事業費の三分の一としている。国費については、補助対象事業費のうち、企業等の事業者の負担分として補助対象事業費の三分の一を控除した補助対象事業費の三分の二に対して三分の一の補助(補助対象事業費に対して九分の二の補助)をすることとしている。
(6) 流域下水道について、令二四条の二、一項二号及び建設省告示三項一号の規定による終末処理場の門、さく、へいその他これらに類する施設に係る事業費としては、五箇年計画に含まれている終末処理場の総事業費のおおむね一〇%程度、建設省告示三項二号の規定による特定の事業者に負担させることが相当な費用は、五箇年計画に含まれている流域下水道の総事業費のおおむね六%程度を見込んでおり、両者をあわせて総事業費のおおむね一〇%程度の地方単独事業を見込んでいる。なお、この事業者に負担させることが相当な費用については、原則として関係市町村が改正法三一条の二に基づいて分担し、当該関係市町村は、その分担に係る費用を公共下水道の使用料により、事業者から回収するようにすべきである。
(7) 建設省告示の別表による基準の例外として取り扱われる建設省告示四項一号は、過去の補助対象率に比較して急激な変化を来たすことのないよう、暫定的かつ例外的に措置しようとするものであり、これに該当する都市については、個別に建設省において定める方針である。
(8) 同じく建設省告示四項二号については、従来どおり、当該新市街地の開発に係る公共下水道の管渠のうち事業費の四〇%の額に相当する主要な管渠を補助対象とし、残りの六〇%の額に相当する管渠については、当該新市街地の開発者の負担として措置するものとされたい。
一六 第三七条の二、第三九条関係
従来、終末処理場の維持管理については厚生省の専管とされていたが、下水道の維持管理は除害施設等の監視監督とあわせた終末処理場の適正な維持管理が望まれるのであり、今回の改正によつて建設大臣の終末処理場の維持管理に関する勧告及び報告徴収の規定を設けた。これにあわせて、建設省設置法の改正を行ない、建設省において終末処理場の維持管理まで含めた下水道の一元的な行政を行なえることとした(改正法附則七条)。
一七 第三九条の二関係
公共下水道管理者は、令九条一項五号から二一号まで又は同条二項各号に掲げる範囲内の悪質な下水を排出する者から、その下水を排除する事業場等の状況、除害施設又はその排除する下水の水質に関し必要な報告を徴することができることとされた。これは、除害施設等の維持管理状況を適確に把握することによつて、公共下水道の維持管理の適正化を図つていこうとするものである。
一八 第四〇条(令第二五条)関係
今回の改正により、流域関連公共下水道についての法四条一項の規定による認可、改正法三七条の二の規定による勧告、及び法三九条の規定による報告の徴収については、厚生大臣又は建設大臣の権限を都道府県知事に委任することとした。
一九 その他
(1) 終末処理場におけるくみ取し尿の処理については、下水道整備五箇年計画の実施にあたり、し尿処理施設整備との重複投資をさけるため、処理区域内における水洗便所に改造するまでの間のくみ取便所からのし尿も、その全量を終末処理場において処理できるよう措置する必要がある。
(2) 都市下水路については法二七条の規定による指定を行なうことが要件とされているが、指定がなされないままに放置されている例が見られる。また、在来水路等ですでに下水路化しているものについては、積極的に法二七条の規定による指定を行なう等、管理責任の明確化を図り、都市下水路の維持管理の適正化に努められたい。
(3) 今回の法改正に伴い、
イ 「昭和三四年度特別都市下水路新規事業実施について」昭和三四年五月二一日付け建設計発第一五九号、建設省計画局長通達は廃止する。
ロ 「昭和四三年度流域下水道事業の取扱いについて」昭和四三年二月一二日付け建設省都下発第四号、建設省都市局長通達は廃止する。
ハ 「都市計画下水道事業受益者負担金の徴収について」昭和四四年九月一〇日付け建設省都計発第一〇四号、建設省都市局長通達中、下水道事業受益者負担に関する標準条例案の「五 特別都市下水路に係る条例」を「五 特定公共下水道に係る条例」に改め、標準条例案五の第一条中「下水道法施行令(昭和三四年政令第一四七号)第二条第一号に該当する都市下水路(以下「特別都市下水路」という。)」を「特定の事業者の事業活動に主として利用される公共下水道(以下「特定公共下水道」という。)」に改め、第二条中「特別都市下水路」を「特定公共下水道」に改める。