消費税法(昭和六三年法律第一〇八号。以下「法」という。)、消費税法施行令(昭和六三年政令第三六〇号)及び消費税法施行規則(昭和六三年大蔵省令第五三号)は、昭和六三年一二月三〇日に公布され、平成元年四月一日から適用されることとなったところである。
第一 総論的事項
1 消費税は、事業者が行った資産の譲渡等(事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供をいう。以下同じ。)に課される。この場合、地方公共団体の下水道事業に係る特別会計については、一の法人が行う事業とみなして消費税法が適用されるので、独立して納税義務を負うこととなる。
2 下水道事業に関連する主なものとしては、下水道法(昭和三三年法律第七九号)第二〇条第一項に規定する下水道使用料が課税対象となるほか、同法第三一条の二第一項に規定する市町村の負担金も課税対象となる見込みである。また、都市計画法(昭和四三年法律第一〇〇号)第七五条第一項等に規定する受益者負担金は、課税対象とならない見込みである。
3 納付税額は、課税期間の課税標準額に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除して計算するのが原則である。ただし、下水道事業特別会計において国庫補助金、一般会計繰入金等の資産の譲渡等の対価以外の収入がある場合には、その計算方法について特例が定められているところである。
また、地方公共団体については、前期のほか、申告期限、帳簿記載事項等に関する特例措置が設けられているので、留意されたい。
4 消費税は、円滑かつ適正に転嫁されるべきものとされていることにかんがみ、下水道に関する建設工事、維持管理等の発注に当たっては、消費税の転嫁を受け入れるよう、特に留意されたい。
5 消費税の導入に伴い、平成元年度より、下水道の建設、維持管理等に要する費用が増加すると見込まれるため、消費税を含んだ費用を前提として、歳入歳出予算を作成する必要がある。
6 消費税の導入に当たっては、次のような経過措置が講じられている。
(1) 平成元年四月一日前から継続的に使用させている下水道の使用料について、同日以降初めて確定する使用料の一部は課税されないこと。
(2) 昭和六三年一二月三〇日前に締結した工事の請負に係る契約に基づき、平成元年四月一日以後に当該契約に係る課税資産の譲渡等を行う場合には、当該課税資産の譲渡等には、課税されないこと。
7 消費税制度の概要については、別紙「参考」「略」を参照されたい。
第二 下水道使用料の改定について
1 消費税は、最終的にはその負担を消費者に転嫁することを予定している税であり、下水道使用料に係る消費税についても円滑かつ適正な転嫁を行う必要がある。
このため、各公共下水道管理者においては、法が適用される本年四月一日から転嫁を行えるよう、同日までに下水道条例を改正し、下水道使用料の改定を行われたい。
なお、各公共下水道管理者の管理する下水道の使用について法附則第二条第二項に規定する経過措置の適用がある場合には、下水道条例に当該経過措置に係る規定を設ける必要があることに留意されたい。
2 消費税の転嫁と併せ、消費税以外のコストの動向等を踏まえて下水道使用料の改定を行う場合においては、消費税の転嫁に見合った改定分とその他の要因による改定分を明確に区分すること等により、住民等の十分な理解を得られるよう努められたい。
3 下水道使用料に消費税を転嫁する際の端数処理については、合理的かつ明確な方法により行われたい。合理的な限度を超えた端数の切り上げ等により、過大な引き上げが行われることのないようにする必要がある。
4 納税義務を免除される公共下水道管理者においても、消費税の実施に伴い一般的には使用料対象経費が増大することとなるため、適切な措置を講じられたい。
第三 流域下水道関連市町村負担金の改定について
1 流域下水道関連市町村負担金に対する消費税の課税又は不課税の取り扱いについては、現段階では確定していないが、課税となることが確実な見込みである。その場合、当該負担金に係る消費税について円滑かつ適正な転嫁を行う必要がある。
このため、各流域下水道管理者においては、法が適用される本年四月一日から転嫁を行えるよう、同日までに所要の措置を講じられたい。
2 流域下水道関連市町村負担金に消費税を転嫁する際の端数処理については、合理的かつ明確な方法により行われたい。合理的な限度を超えた端数の切り上げ等により、過大な引き上げが行われることのないようにする必要がある。
3 納税義務を免除される公共下水道管理者においても、消費税の実施に伴い一般的には流域下水道関連市町村負担金の対象経費が増大することとなるため、適切な措置を講じられたい。
第四 その他
消費税の導入に伴う下水道の建設工事、維持管理等の発注に係る積算、契約等に関する留意事項については、別途通知する。