建設省都下公発第二九号・建設省都下流発第一一号
平成元年一一月二四日

下水道担当部長あて

建設省都市局下水道部・公共下水道課長・流域下水道課長通知


下水道整備の柔軟かつ機動的対応(フレックスプラン)について


標記について、下水道の早期整備に対する社会的要請に柔軟かつ機動的に対応し、効率的な下水道整備を促進するため、平成元年度より左記のとおり実施することとしたので、その運用に当たっては遺憾なきよう取り計らわれたい。
なお、貴管下市町村(指定都市を除く。)に対しても、この旨周知徹底方よろしくお願いする。

一 制度の趣旨

下水道は、地域の将来の土地利用、人口動態等の社会的条件及び、地形、河川の流量、水質等の自然的条件を勘案した上で、合理的な全体計画を定め、これに基づき整備を行っている。
整備に際しては、処理場の段階的整備、管渠の二条管方式の採用など極力効率的な事業の推進に努めてきたところであるが、終末処理場から遠く離れ、下水道が整備されるまで相当の年月を要する地域において、生活環境の改善又は団地開発等の社会的要因から早急に下水道整備を行うことが要請されている場合、終末処理場周辺から順次整備を進めていくという通常の整備方式ではこれらの要請に敏速に対処できないという構造的な制約がある。
そこで、早急に下水道整備が求められる地域において、全体計画に定める終末処理場とは別に中間的な処理施設を設置するなど、ニーズに柔軟かつ機動的に対応できる下水道整備方式(フレックスプラン)の実施を認めるものとする。

二 事業対象区域

フレックスプランは、次の各号に掲げる要件を満たす区域について実施するものとする。
一) 当該区域が下水道全体計画区域内にあり、管渠の接続までにおおむね一〇年以上の年月を要し、かつ、原則として下水道法上の事業計画認可区域外の地域であること。
二) 当該区域が新規の大規模開発や土地区画整理事業等の社会的要因により下水道の先行整備を図るべき地域、または、既成市街地であっても他地域より優先して下水道を整備すべき地域等、緊急に下水道を整備する必要がある地域であること。

三 法手続等について

一) 都市計画法関連

都市計画区域内で実施するフレックスプランについても、通常の公共下水道及び特定環境保全公共下水道事業と同様に都市計画決定を行うこととするが、中間的な処理施設等の都市計画決定に当たっては、計画書の備考欄に中間的な施設である旨を記載することとする。
都市計画事業認可についても、通常の公共下水道及び特定環境保全公共下水道と同様である。

二) 下水道法関連

フレックスプランに係る下水道法上の事業計画認可については以下のとおりとする。
イ) フレックスプランに係る事業計画に定めるべき事項及び様式等については、従来の公共下水道事業計画書と同様とするが、処理施設調書の摘要欄に、中間的な処理施設であり、全体計画に基づく管渠が到達した時にはこれに接続し遅滞なく下水を排除する旨を記載するとともに、計画説明書に当該地区をフレックスプランで実施すべき必要性、妥当性及び、全体計画との整合性等について記載することとする。
ロ) 流域下水道の全体計画区域内においてフレックスプランを実施する場合は、単独公共下水道又は単独特定環境保全公共下水道として事業計画認可を受けるものとする。
ハ) フレックスプランに係る事業計画については、フレックスプランに係る処理区ごとに認可を取得することができるものとする。

三) その他

イ) フレックスプランに係る中間的な処理施設は、下水道法第二条第六号に規定する終末処理場の処理施設である。
ロ) フレックスプランに係る中間的な処理施設の維持管理を民間に委託して行う場合には、昭和六二年九月一七日付け建設省都市局長通達(建設省都下管発第一〇号)及び昭和六三年六月一四日付け建設省都市局下水道部下水道管理指導室長通知(建設省都下管発第一八号)がなされているので留意されたい。

四 事業執行上の留意点等について

一) フレックスプランに係る終末処理場用地費については、以下のいずれかのとおり措置することが望ましい。

イ) 公共用地等無償で使用することが可能な土地がある場合は、極力利用する。
ロ) 全体計画で当該地区内もしくは当該地区周辺にポンプ場等が計画されている場合(将来とも下水道施設用地として使用する場合)は、可能な限りその土地に処理場を設置し、その際、将来とも下水道用地として必要な部分は国庫補助金、それ以外の部分については単独費で措置する。
ハ) 前期イ)又はロ)に該当しない場合は、単独費で措置する。

二) フレックスプランに係る処理施設は、当該施設が中間的な施設であることに鑑み、処理施設の使用期間及び目標処理水質等を総合的に勘案した上で、例えば鋼板製のものとするなど可能な限り簡易な構造のものとする。
三) フレックスプランに係る区域内の管渠整備に当たっては、全体計画との整合を図りつつ整備を進めるものとするが、全体計画に基づく管渠では初期投資が過大となる場合(当該区域以外の地区の下水量が大半を占めるような幹線管渠が当該区域を通過するような場合等)においては、二条管方式とするなど効率的な下水道整備に努めることとする。
四) フレックスプランに係る中間的な処理施設等の効用が廃止される場合には、従来どおり補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の規定(第二二条等)が適用されるので留意されたい。

五 その他

フレックスプランの事業採択に当たっては、事前に建設省に協議することとなるが、その要領は従来の事業計画認可変更協議と同様とし、また、その時期は随時とする。
なお、流域下水道の全体計画区域内、又は流域別下水道整備総合計画等で広域処理区域と位置付けられている区域内で事業を実施する場合は、公共下水道課及び流域下水道課と協議されたい。

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