各都道府県下水道担当部長、各政令指定市下水道担当局長あて
記
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別紙 合理化事業計画の策定要領
はじめに
「下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法」(以下「合特法」という。)の趣旨に基づいて、全国の市町村では、1)金銭措置を講じたもの、2)代替業務を提供したもの、3)従業員の雇用対策を講じたもの、等それぞれの市町村の地域性、歴史性、財政状況等に基づいて多種多様な支援措置が講じられてきた。こうした実態の背景としては、”一般廃棄物処理業等“と一口に言っても地域によってかなり異なる形態で行われてきたこと、また、下水道の普及状況が全国一律ではないため、いざ実行の段になるとその時々の社会経済状況を反映する等の側面があるものと考えられる。ともかく、これまで市町村は、それぞれに試行錯誤しながら固有の支援策を選択してきたのが実情である。
この要領は、今後下水道の普及により著しい影響を受ける一般廃棄物処理業等(し尿(浄化槽汚泥を含む。以下「し尿等」という。)の処理を業として行う者をいう。以下同じ。)に対して支援策を講じようとする市町村が、「合特法」に基づく合理化事業計画を作成することを容易にするために作成したものである。
1 「合特法」の概要
本法律は、一般廃棄物処理業等(し尿等の処理業をいう。以下同じ。)が下水道の整備等により受ける著しい影響を緩和し、併せてその経営の近代化及び規模の適正化を図るために必要な措置を講ずることにより、その業務の安定を保持するとともに、廃棄物の適正な処理の確保を図り、ひいては公衆衛生の向上と生活環境の保全に資することを目的として昭和五〇年に制定された。近年、下水道の整備は全国的な規模で進展し、これに伴い一般廃棄物処理業等はその事業の転換、廃止等を余儀なくされる事態が生じてきている。
しかし、これらの事業者が事業の転換、廃止等を行う場合、不要となる運搬車、運搬船等の設備及び器材を他に転用することは極めて困難であり、このため、事業そのものの転換、廃止等も容易ではない実情にある。しかも、し尿等の処理の適正な実施を確保するためには、これらの事業は、下水道の終末処理場による処理への転換が完了する直前まで、その全体の規模を縮小しつつも、継続して行わなければならない。
このような事情にかんがみ、市町村が合理化事業計画を定め、都道府県知事の承認を受けて合理化事業を実施することにより、これらの事業の業務の安定を保持するとともに、廃棄物の適正な処理に寄与することを目的とするものである。
2 租税特別措置法の概要
昭和六〇年の「合特法」の一部改正により、第三条第二項において資金上の措置に関する事項を合理化事業計画に定めることとされ、平成元年七月二五日衛環第一〇三号環境整備課長通知により、一般廃棄物処理業者に交付する交付金のうち、廃棄した運搬車、運搬船等の設備及び機械の減価を補てんするために償却後の取得価額又は帳簿価額を基準として交付する金額(以下「減価補てん金」という。)並びに転廃業を助成するために所定の計算式によって算定した金額(以下「転廃業助成金」という。)については、租税特別措置法第二八条の三及び第六七条の四の転廃業助成金等に係る課税の特例の対象となることになった。
3 合理化事業計画の策定に当たっての留意点
各市町村においては、下水道の普及状況が一定の段階になると、著しく影響を受ける一般廃棄物処理業等(し尿等の処理に係る業務をいう。以下同じ。)の縮小又は廃止の対策を進める必要性が生じてくると予測される。これまでの実例を見てみると、「合特法」に基づく合理化事業計画の事例は非常に少ないので、次の諸点に留意され、「合特法」に基づく合理化事業計画を策定されるよう努められたい。
(1) 「合理化事業計画」は、下水道に係る事業計画等必要な書類が整い、その市町村における下水道の整備について、その具体的な方針や見通しが明らかになった以降できるだけ早い時期に策定されることが望ましいと考えられること。
(2) 近隣都市及び同規模の他都市の前例や計画の情報収集に努めること。
(3) 一部事務組合等複数の市町村に関係する広域的対応が必要な場合は、都道府県等とも相談を行い、必要に応じ調整を依頼すること。
4 合理化事業計画の参考例
次のとおり「合理化事業計画」の参考例を作成したので、計画作成時において実務上の参考とされたい。
<参考例>
「○○○市(町村)合理化事業計画」
1 目的
本市(町村)の下水道の普及により一般廃棄物処理業等は大きな影響を受けると予測されるので、その影響への対処はこれらの業務に携わる業者の経営努力を基本とするが、本市(町村)は、その経営に影響を与えると予測される時期において支援策(援助策)を実施し、将来にわたりし尿等の適正な処理を確保するとともに、一般廃棄物処理業者等の業務の安定を保持することを目的として、本計画を策定する。
2 本市(町村)の状況
市(町村)の人口、面積、特徴等。
3 一般廃棄物処理業務等の沿革及び現在の状況
し尿汲み取り業は、昭和○○年から委託制となり(昭和○○年から許可制となり)、現在に至っている。平成○○年現在の本市(町村)のし尿等の要処理量は○○○klであり、別表一の○○業者に委託されている(許可されている)。
4 下水道整備等の見通し
本市(町村)の下水道普及率は平成○○年度末現在○○%である。本市(町村)の下水道整備計画としては、別表二のとおり平成○○年度末に○○%を目指している。
5 し尿等の要処理量の見通し
本市(町村)の下水道整備計画に基づく下水道普及率の伸びに伴い、し尿等の要処理量は別表二のとおり減少すると予測される。
6 し尿等の処理体制の水準
年度別のし尿等の要処理量は、別表二のとおり推移し、それに伴い本市(町村)は別表三のとおりし尿等の処理体制の推移が見込まれる。
7 一般廃棄物処理業等の経営の見通し
本市(町村)における一般廃棄物処理業務等は委託制(許可制)であり、下水道整備計画に基づく普及率の向上により別表3のとおりの影響を受けると見込まれる。
8 合理化事業の内容等
(1) 目標
本市(町村)における一般廃棄物処理業者等の有するし尿等の処理に係る車両について、○○台にすることを目標とする。
(2) 対象
別表1の業者を対象とする。
(3) 実施期間
平成○○年度から○○年度までの○年間とする。
〔※五年程度を目安として設定し、引き続き計画策定を必要とする場合には、所要の見直しを行うこと。〕
(4) 実施方法
本市(町村)は、次の支援策(援助策)を実施する。
※ 次の諸事例を参考に、各自治体の実情に応じて、確実に実施できるものを選択するよう努められたい。
ア 事業の転換のための援助
一般廃棄物処理業者等が事業の転換を図る場合において、次の1)〜7)のような業務を、当該業務に必要な知識、技術、経験等に留意しつつ、転換先の業務として活用する。
また、業務への転換が円滑に行われるよう、従業員に対する必要な資格等の取得のための研修等の援助策を講じる。
1) ごみ処理(再生を含む。)業務
2) 下水道汚泥運搬処分業務
3) 下水道管路施設の維持管理業務
4) 下水道処理施設の維持管理業務
5) 農業集落排水施設の維持管理業務
6) 道路清掃管理業務
7) その他市町村が民間事業者に委託することができる業務
イ 転廃交付金等の交付
一般廃棄物処理業務等の歴史性、関係性の中で援助(支援)の必要性、内容等の検討を行い、計画策定段階では平成元年七月二五日環衛第一〇三号環境整備課長通知の別紙の計算式等を踏まえ、転廃交付金等を交付する措置を講じる。
ウ 職業訓練の実施、就職のあっせん
従業員の雇用対策としては、各市町村の実情に併せ職業訓練の実施、就職のあっせん等の措置を講じる。
エ その他各自治体独自の対策
一般廃棄物処理業者等の経営の近代化及び規模の適正化等の各自治体独自の対策を講じる。
9 添付書類
(1) ○○○市(町村)一般廃棄物処理計画
(2) 一般廃棄物処理業者等との委託契約書等
(3) 公共下水道の事業計画及び認可書の写し
(4) 公共下水道が供用開始されている場合には、供用開始を公示したことを明らかにする書面及び図面
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(別表1) <別添資料>![]() |
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(別表2) <別添資料>![]() |
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(別表3) <別添資料>![]() |
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