

建設省都下公発第一六号
平成六年七月一九日
建設省都市局長通達
下水道モデル事業等実施要綱について
平成六年度より新たに「市街地排水浄化対策モデル事業」、「熱利用下水道モデル事業」、「再生水利用下水道事業」及び「下水道雨水貯留浸透事業」を実施することとし、別紙のとおり実施要綱を定めたので通達する。
なお、「下水道モデル事業等実施要綱について」(平成四・九・一都下公発第二二号)は廃止する。
また、貴管下市町村(指定都市を除く)にもこの旨周知徹底方よろしくお願いする。
下水道モデル事業等実施要綱
1 目的
下水道モデル事業、積雪対策下水道事業、再生水利用下水道事業及び下水道雨水貯留浸透事業(以下モデル事業等という)を円滑に執行するため、モデル事業等の指定・採択(以下指定等という)について、基準を明確にするとともに事業の実施方法等を定める。
2 モデル事業等の定義
モデル事業等とは、以下のものをいう。
(1) アクアトピア(カムバック・アクアトピア構想)〔昭和五九年度創設〕
住民と清らかな水との結びつきを深めることを目標とした都市づくり運動を「カムバック・アクアトピア構想」と名づけ、この構想に基づき下水道事業を実施する都市をいう。アクアトピア(Aquatopia=Aqua+Utopia)とは、親水都市のことである。
(2) アメニティ下水道モデル事業〔昭和六〇年度創設〕
下水処理水を有効利用し、水質が悪化したり、流量が減少している都市内のオープン水路にせせらぎを復活させる事業をいう。
(3) 下水道水緑景観モデル事業(ウォーター スクウェア プラン)〔昭和六二年度創設〕
都市内のオープン水路をより親水的な構造にしたり、水路の周りを緑化し良好な水辺景観を創造する事業をいう。
(4) モデル下水道事業
地域住民や国民に広く下水道事業の効果をアピールする事業や、予算の効率的使用、経済的な技術・手法等を採用する事業をいう。
1) アピール下水道〔昭和五七年度創設〕
市民の暮らしと下水道との結びつきを強め、短期間に下水道事業の効果をアピールする事業をいう。
2) アイデア下水道〔昭和五七年度創設〕
下水道の建設費又は維持管理費の低減ができる技術を積極的に採用する事業をいう。
(5) 市街地排水浄化対策モデル事業〔平成六年度創設〕
汚濁の著しい湖沼等の公共用水域の水質浄化・流入汚濁負荷の削減を図る雨天時初期汚濁対策事業及び晴天時雑排水対策事業をいう。
(6) 熱利用下水道モデル事業〔平成六年度創設〕
下水及び下水処理水の熱の有効利用をするための事業をいう。
(7) 下水汚泥資源利用モデル事業〔昭和六三年度創設〕
下水汚泥を用いた建設資材を使用する下水道建設事業をいう。
(8) 未来都市下水道モデル事業〔平成元年度創設〕
高品質な下水道施設の建設、民間活力の活用、新技術の採用等により、下水道の施設空間、処理水、汚泥等の付加価値を積極的に引きだし、都市整備の核となる多様な都市サービス機能を備えた下水道を整備する事業をいう。
(9) アクアパークモデル事業〔平成二年度創設〕
潤いのあるオープンスペースを確保するため、下水道事業を公園事業と有機的、一体的に整備する事業をいう。
(10) 新技術活用モデル事業〔平成四年度創設〕
下水道新技術の普及と効率的な事業の執行を図るため、下水道に関わる新技術を先駆的に導入・評価し、その普及に貢献する事業をいう。
(11) 積雪対策下水道事業〔平成二年度創設〕
都市内の積雪を速やかに排除するため、下水道施設や下水処理水等を活用する事業をいう。
(12) 再生水利用下水道事業〔平成六年度創設〕
下水処理水を再生水として利用するための事業をいう。
(13) 下水道雨水貯留浸透事業〔平成六年度創設〕
雨水の流出を抑制を計り、合流式下水道の越流水対策に資する事業をいう。
3 モデル事業等の指定等
(1) 指定等の要件
別表(モデル事業指定等の要件)による。
(2) 申請
モデル事業等の指定等を希望する下水道事業実施者は、予算要望時に都道府県を経由(都道府県及び政令指定都市は直接、以下同じ)して建設省都市局下水道部に申請書及び調書を提出する。
(3) 指定等
都市局長は、各モデル事業の指定等の要件に該当する都市又は箇所の中から指定等を行う。
(4) 指定等の方法
指定等は、原則として年度当初に都道府県を経由して行う。
4 事業の実施
(1) 事業実施計画
モデル事業等の指定等を受けた事業実施者は、事業実施計画を作成して都道府県を経由し、事業範囲、補助対象、維持管理の方法等について建設省下水道部と協議する。
(2) 事業の実施
指定等を受けたモデル事業等については、協議が整い次第速やかに当該事業を実施するとともに、モデル事業の趣旨に鑑み住民等への広報活動に努める。
5 事業の完了
(1) モデル事業が完了した場合、事業実施者は、都道府県を経由して都市局下水道部に事業実施の効果等について報告する。
(2) 事業実施者は、完成した施設等について維持管理の方法を定め、モデル事業等の目的が達成されるよう適切な維持管理を行う。
6 その他
(1) 各モデル事業等の補助金等の交付要領については、別の定めによる。
(2) この要綱は、平成六年度予算より適用する。
なお、平成五年度以前のものについて指定等を行ったものについては、既に指定等があったとみなし、本要綱を適用する。
「下水道モデル事業等実施要綱について」(平成四・九・一都下公発第二二号)は廃止する。
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別表 モデル事業指定等の要件
モデル事業等
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指定等の要件
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アクアトピア
(カムバック・アクアトピア構想)
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1 地方公共団体と住民とが一体となり、下水道整備事業を中心として良好な水環境を復活する運動が盛り上がっており、次のいづれかにあてはまる都市。
1) 昔から地域住民となじんだ伝統的風土のある水環境の復活・保存を積極的に図ろうとしている都市。
2) 天然記念物や地域住民が親しんできた水棲生物の復活・保存を積極的に図ろうとしている都市。
3) 鯉の放流、ホタルの蘇生、せせらぎの復活等、住民と水の交わりのある場の創造プランがある都市。
2 下水道事業により著しい水質保全効果が認められる都市、又は短期間に下水道事業による水質保全効果が期待できる都市。
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アメニティ下水道モデル事業
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市民生活をより「アメニティ(快適)」なものにするため、公共下水道雨水渠又は都市下水路に処理水を導水し、水路のせせらぎを復活させるもの。
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下水道水緑景観モデル事業
(ウォータースクウェアプラン)
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次のいずれかに該当すること。
1) 都市内を流れる開渠構造の水路を親水的な構造にし、水路に沿って植栽をするもの。
2) 開渠構造の水路に沿って遊歩道を設置し、植栽をするもの。
3) 開渠構造の水路に沿って植栽をするもの。
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モデル下水道事業
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1 アピール下水道については、次の要件の1つを満たすこと。
1) 短期間で効果の得られるもの。
2) 地域住民や国民に対してアピール効果が大きいもの。
3) 地名度の高い水域を対象とするもの。
4) 市民運動と連動しやすいもの。
2 アイデア下水道については、次の要件の1つを満たすこと。
1) 建設費の軽減が図れるもの。
2) 用地面積の縮小が図れるもの。
3) 省資源、省エネルギーにより維持管理費の削減が図れるもの。
4) 環境対策上効率的に住民の納得が得られるもの。
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市街地排水浄化対策モデル事業
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次のいずれかに該当すること。
1) 水質保全上重要な湖沼等の公共用水域に流入する初期雨水又は雑排水が、当該公共用水域の水質汚濁の原因となっていること。
2) 雑排水又は初期雨水による水路の水質悪化が著しく、周辺生活環境に悪影響を与えていること。
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熱利用下水道モデル事業
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下水熱を利用することが、経済性、環境への負荷削減効果、省エネ効果等の観点から総合的に判断して有利と認められる地域において実施されること。
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下水汚泥資源利用モデル事業
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下水道施設の建設に汚泥を用いた建設資材を積極的に使用するもの。
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未来都市下水道モデル事業
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下水処理水循環利用モデル事業等各種モデル事業の内容とともに、新技術の活用、下水道の多目的活用等を複合的に実施するもの。
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アクアパークモデル事業
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次の1以上に該当するもの。
1) 下水道施設の上部を利用した公園の整備、又は下水道の敷地を隣接する公園と一体的に整備するもの。
2) 近隣の都市公園における下水道資源の活用をはかるもの。
3) 景観に配慮した下水道施設を整備するもの。
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新技術活用モデル事業
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次の技術を採用するものであって、一定の評価を受けたもの。
1) 建設省又は日本下水道事業団が開発した技術。
2) 官民共同で開発した技術。
3) 建設省技術評価制度で評価を受けた技術。
4) 日本下水道事業団における民間開発技術審査証明で評価を受けた技術。
5) その他、適用が適当と考えられる技術。
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積雪対策下水道事業
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積雪対策に資する公共下水道、流域下水道、都市下水路の整備事業であって、次に掲げる施設の整備を行うもの。
1) 主要な流雪水路、融雪水路及びこれらに付属する投雪口等、並びにこれらを補完するポンプ施設流融雪用水取水施設等の施設。
2) 処理水供給施設。
3) 融雪槽。
4) その他必要な施設。
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再生水利用下水道事業
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次のいずれかに該当する事業を対象とする。
1 公共下水道管理者又は流域下水道管理者が再生水利用のために行う事業で、次の各号のいずれかに該当する地域において実施されるもの。
1) 渇水のある、またはその恐れのある地域。
2) 水資源開発促進法に基づき、水資源の総合的な開発及び利用の合理化の推進を図る必要があるとされている地域。
3) テクノポリス、リゾート、多極分散等の地域立法に基づき、新たに開発プロジェクト等が実施される地区。
4) 湖沼、水道水源等、汚濁総量を削減する必要のある地域。
2 新住宅市街地開発事業、都市拠点総合整備事業等公的な面的開発事業に関連して第3セクターが実施する再利用水量200m3/日以上の再生水利用事業に対して地方公共団体が助成する事業。
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下水道雨水貯留浸透事業
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1 本事業においては、次のいずれかに該当する地域を対象とする。
1) 10年に一回程度の大雨に対して浸水解消を図るために雨水の流出抑制の必要な地域。
2) 水質保全のため合流式下水道の越流水対策が緊要でかつ雨水の流出抑制の必要な地域。
2 本事業を行うに当たっては、公共桝と一体的に雨水の貯留浸透機能を有する排水設備の設置又は改造に対し市町村が助成するなど流出抑制促進のための施策を実施していること。
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