建設省都下調発第三号
平成六年一二月一日

各都道府県下水道管理担当課長あて

建設省都市局下水道部下水道企画課下水道事業調整官通達


下水汚泥の緑農地等への有効利用の促進について(たい肥等特殊肥料に係る品質保全推進基準について)


標記に関してはリサイクル型社会の構築に加え下水汚泥の処分地問題の緩和を図る観点から従来よりその促進を図ってきたところであるが、今後についてもより一層努力されたい。
その促進方策に関する事項として、今般、別紙写しのとおり、全国農業協同組合中央会の報告を受け、農林水産省農蚕園芸局長より農林水産省肥飼料検査所長、農林水産省地方農政局長、都道府県知事宛通知があり、たい肥等特殊肥料に係る品質保全推進基準(以下、本基準という)が周知されたところである。
本基準は下水汚泥肥料及び下水汚泥たい肥(以下、下水汚泥肥料等という)を含むたい肥等特殊肥料について、品質及び表示基準を定めたものであるが、下水道管理者として、特に左記の事項に留意して積極的に対処されたい。
なお、本基準の概要(下水汚泥関係分)を添付するので参考にされたい。
また、貴管下市町村に対しても、この旨、周知徹底されたい。

1 本基準は有機質肥料等を利用する農業者等に良質な肥料を供給すると共に品質に関する正確な情報を提供することを目的としたものであり、これにより有機質肥料等の利用が一層促進されるものと期待される。各下水道管理者にあっては本基準を活用して下水汚泥の有効利用の一層の促進に努力されたい。
2 本基準は望ましい品質に関する基準であり、下水汚泥肥料等が必ず本基準に適合しなければならないというものではないが、下水汚泥肥料等の下水汚泥の有効利用が評価を得て円滑に推進されるためには全体的な品質の向上が不可欠であることから、本基準に達していない下水汚泥肥料等を製造している下水道管理者にあっては適正な維持管理や製造方法等により極力品質の向上に努力されたい。
3 下水汚泥肥料等を製造している民間企業等に下水汚泥を原料として供給している下水道管理者にあっては当該民間企業等に対しても本基準を周知されたい。


別紙

たい肥等特殊肥料に係る品質保全推進基準について

(平成六年一二月一日)
(六農蚕第四八四九号)
(知事あて農林水産省農蚕園芸局長通知)
近年、有機農業等への関心の高まり及び未利用有機物のリサイクルの推進を反映して、たい肥等の特殊肥料の需給が増加している。しかし、これらの肥料は、原材料の種類、有機物の腐熟度等によりその効果・特性が大きく異なることから、これらを利用する農業者等に品質に関する正確な情報を提供し、各肥料の効果・特性を生かした適正な利用を推進することが必要である。
このため、良質な肥料を供給することを目的とした民間の自主的な品質保全対策を支援するため、平成三年度から三か年間、全国農業協同組合中央会を事業主体として「有機質肥料等品質保全推進事業」を実施してきたところ、この度その事業の成果として別添のとおり肥料の品質及び表示基準を定めた旨報告があった。
今後、本基準が、生産業者、関係団体等の自主的な品質保全策として活用されることは、肥料取締法に基づく肥料の品質保全とあいまって、未利用有機物のリサイクル、環境保全型農業の推進等に寄与すると期待されることから、貴職にあっても、本対策をご了知の上、左記の点に留意ありたい。
1 本基準は、肥料の一層の品質向上を目指すとともに、品質に関する情報を的確に利用者に伝え、当該肥料の品質特性を生かした適正な施肥を通じた利用の推進を図るためのものであり、肥料を生産又は輸入する場合の品質の最低要件として定めている肥料取締法(昭和二五年法律第一二七号。以下「法」という。)に基づく基準とは性格を異にするものであること。
2 本基準は、特殊肥料のうち特に生産量の多いたい肥等の有機肥料について、原料の種類ごとに望ましい基準を定めたものであり、原料又は製法が異なる肥料間の品質の優劣を示す基準ではないこと。
3 肥料の種類によっては、長期間過大に連用する等施用方法によっては土壌中に蓄積するおそれのある亜鉛等重金属を含有するものもあるが、本基準では当該事項を表示することとしているので、農用地における重金属等の蓄積防止に当たっては、この表示の活用が有効であると考えられること。
4 本基準に基づく肥料の容器等への原材料、成分量等の表示を業者が自主的に行う場合も、公正な取引を確保する観点から、法第二六条第一項の規定の趣旨を踏まえたものであること。

有機質肥料等品質保全研究会の報告について

(平成六年七月二九日)
(JA全中営農発第五三号)
(農林水産省農蚕園芸局局長あて全国農業協同組合中央会会長通知)

拝啓

日頃は本会事業につきましてご高配をいただき厚くお礼申しあげます。本会は、平成三年度より三カ年にわたり貴省のご指導と補助を得て掲題の「有機質肥料等品質保全研究会」を設置し、有機質肥料等の望ましい品質に関する基準を作成し、有機質肥料等の有効利用に資するため、これを満たす高品質で安全な肥料を積極的に推奨する民間による制度の検討をおこなってきました。
このたび成案を得て「有機質肥料等品質保全研究会報告書」を上梓いたしましたのでご報告いたします。
成案は、肥料の生産、輸入、販売を業とする者が、品質に係わる推奨基準に適合する旨(「有機質肥料等推奨基準に係わる認証要領」に基づく品質表示)を自己認証することといたしました。このため、1)推奨基準(共通品質基準、種類別品質基準)、2)品質基準項目の分析法、3)品質確認の方法を含む「有機質肥料等推奨基準に係わる認証要領」を広く提案いたします。つきましては、貴省におかれましても趣旨ご理解をいただきますようご案内申しあげます。
敬具
別添‥有機質肥料等品質保全研究会報告書 一部
(省略)
以上



参考

有機質肥料等推奨基準に係る認証要領

第1 趣旨
本要領は、平成三年度から同五年度の三カ年にわたり、農林水産省補助事業として全国農協中央会内に設置された、「有機質肥料等品質保全研究会」によって提案されたバークたい肥等の品質に係る推奨基準に適合する旨を自己認証する際に当面の間、従うべき要領である。
当該推奨基準によって製品の品質管理及び表示を行った業者(肥料の生産、輸入又は販売を業とする者であって地方公共団体等を含む。以下同じ。)は、下記の各事項を遵守した上で、これに準拠した旨の表示をできるものとする。
第2 適用の範囲
本要領は、肥料取締法(昭和二五年法律第一二七号)に規定される特殊肥料に該当するものであって、下記第四の共通品質基準及び種類別品質基準に適合する肥料に適用する。
第3 定義
本要領において対象とする各肥料の定義は、以下の通りとする。
肥料の種類
製法等の定義
バークたい肥

バーク(樹皮)を主原料とし、家きん・家畜ふん等を加えてたい積腐熟させたもの

下水おでい肥料

下水をばっ気処理又は発酵処理して得られるもの及びその処理物

し尿おでい肥料

し尿等をばっ気処理又は発酵処理して得られるもの及びその処理物

食品工業おでい肥料

食品工業排水をばっ気処理又は発酵処理して得られるもの及びその処理物

下水おでいたい肥

下水汚泥を主原料とし、たい積腐熟させたもの

し尿おでいたい肥

し尿汚泥等を主原料とし、たい積腐熟させたもの

食品工業おでいたい肥

食品工業汚泥を主原料とし、たい積腐熟させたもの

家畜ふんたい肥

牛ふん又は豚ぷんを主原料とし、たい積腐熟させたもの

付記) 特殊肥料の指定名中「はっこう乾ぷん肥料」、「人ぷん尿」又は「人ぷん尿処理物」に該当するものについては、たい積腐熟させたものにあっては、前記の「し尿おでいたい肥」に、それ以外のものにあっては、前記の「し尿おでい肥料」に準ずるものとして、以下の品質基準等の対象とする。
第4 品質基準
推奨肥料である旨の表示(以下「推奨表示」という。)をする業者にあっては、当該肥料が左記の品質基準に適合していることを確認しなければならない。

1 共通品質基準

(1) ひ素、カドミウム及び水銀については、「肥料取締法に基づく特殊肥料等の指定」に掲げる規制に適合すること。
(2) 植物の生育に異常を認めないこと。なお、幼植物試験(こまつなによる)により異常の有無を検定することが望ましい。
(3) 乾物当たりの銅及び亜鉛の含有率が、それぞれ六〇〇ppm及び一八〇〇ppm以下(重量/重量単位)であること。

2 種類別品質基準

(1) 下水おでい肥料の品質基準

ア 品質表示を要する基準項目

基準項目
基準値
有機物
乾物当たり 三五%以上
炭素―窒素比(C/N比)

一〇以下

窒素(N)全量
乾物当たり 二%以上
りん酸(P2O5)全量
乾物当たり 二%以上
アルカリ分
乾物当たり 二五%以下

イ 品質表示を要さない基準項目

基準項目
基準値
水分
現物当たり 三〇%以上

注 %は、重量/重量単位
ウ 付記

(ア) 凝集剤としてアルカリ分を含有するもの以外のものを用いた肥料にあっては、品質基準項目のうちアルカリ分の表示を省略できる。

(2) 下水おでいたい肥の品質基準

ア 品質表示を要する基準項目

基準項目
基準値
有機物
乾物当たり 三五%以上
炭素―窒素比(C/N比)

二〇以下

窒素(N)全量
乾物当たり 一・五%以上
りん酸(P2O5)全量
乾物当たり 二%以上
アルカリ分
乾物当たり 二五%以下

イ 品質表示を要さない基準項目

基準項目
基準値
水分
現物当たり 五〇%以上
pH
現物につき 八・五以下

注 %は、重量/重量単位
ウ 付記

(ア) 本肥料の製造には、発酵過程で六五℃が二日間以上保たれ、かつ、二週間以上の好気性発酵を経ること、特に、副資材として木質資材を用いた場合には、さらに二箇月以上の通気たい積を行うことが望ましい。
(イ) 凝集剤としてアルカリ分を含有するもの以外のものを用いた肥料にあっては、品質基準項目のうちアルカリ分の表示を省略できる。

第5 品質確認の方法等

1 品質基準への適合については、公的機関又は環境計量事業者の分析証明の付された化学分析数値等との対差確認を以て行うこと。
2 幼植物試験については、当該項目の表示に先だって、自社以外の試験機関等において行った試験の結果によって確認すること。
3 分析証明については常時生産業者連絡先に保管し、他者よりの請求があった場合は、これを開示すること。
4 上記1、の分析数値等は、三年を超えない期間のうちに更新すること。また、製造施設、製法等に変更があった場合も更新すること。
5 品質管理分析を行う毎にこれを記録し、異常値の発生があった場合は、これを回復するまで推奨表示は行わないこと。

第6 表示

1 表示事項

推奨表示は左記の各事項について別記様式によって行うものとする。
(1) 表示義務事項

ア 推奨基準の分類による肥料の種類名
イ 原材料(分類は別記1により、重量割合の大きい順で記載する。)
ウ 品質表示を要する基準項目毎の分析値又は基準値(双方を併記する場合にあっては、分析値、基準値の別を明記して表示すること。分析値の表示は、任意の濃度に対して以下又は以上である旨を表示してもよい。以下同じ。)
エ 「下水おでい肥料」、「し尿おでい肥料」、「食品工業おでい肥料」、「下水おでいたい肥」、「し尿おでいたい肥」及び「食品工業おでいたい肥」にあっては、共通品質基準に掲げる銅及び亜鉛の分析値又は基準値
オ 生産業者名称、住所及び電話番号(品質確認を行った業者であること。)
カ 工場名
キ 生産年月
ク 各肥料毎に別記2の施用上の注意事項

※前記のアからクの事項と同等の項目を、地方増進法等の法令の様式に基づき別に表示した場合は、該当する事項について記載を省略できる。

(2) 任意表示事項

ア 販売業者名称及び住所
イ 幼植物試験を実施し異常を認めなかった肥料にあっては、その旨の表示
ウ 品質基準に適合し、前記の表示義務事項を表示した肥料にあっては、左記の字句による宣伝分章等への基準適合表示

「有機質肥料等品質保全研究会推奨基準に準拠」

2 表示の方法

(1) 袋詰め品にあっては、袋上又は販売パンフレット上に記載する。
(2) バラ流通品にあっては、販売パンフレット上に記載する。
(3) 前記の表示事項は、同一記載面(袋の背面、パンフレットの同一ページ上等)に一括して表示すること。

3 表示禁止事項

(1) 「バークたい肥」、「下水おでいたい肥」、「し尿おでいたい肥」、「食品工業おでいたい肥」及び「家畜ふんたい肥」については、「完熟」の用語を商品名及び推奨表示に使用しないこと。



別記様式
<別添資料>


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