建設省都下企発第六三号
平成一一年一二月二八日

都道府県下水道担当部長・指定都市下水道担当局長あて

建設省都市局下水道部長通知


下水道法施行令の一部を改正する政令等の施行について


標記について、ダイオキシン類対策特別措置法(平成一一年法律第一〇五号)附則第七条による下水道法(昭和三三年法律第七九号)の一部改正に伴い、下水道法施行令の一部を改正する政令(平成一一年政令第四三五号)、下水の水質の検定方法に関する省令の一部を改正する省令(平成一一年厚生省・建設省令第二号)及び下水道法施行規則の一部を改正する省令(平成一一年建設省令第四九号)が、平成一一年一二月二七日に公布され、平成一二年一月一五日から施行されることとなるが、これらについては左記の諸点に留意した上で適正な運用を行うよう配慮されたい。
なお、都道府県におかれては、貴管内の市町村(指定都市を除く。)に対しても、この旨の周知徹底についてよろしくお願いする。

第一 改正の趣旨

ダイオキシン類対策特別措置法の施行により公共用水域に排出される水に対してダイオキシン類に係る水質排出規制が実施されることに伴い、公共下水道又は流域下水道の放流水のダイオキシン類に係る水質の基準、特定事業場から公共下水道又は流域下水道に排出される下水のダイオキシン類に係る水質規制の基準等の規定の整備を行うものである。

第二 改正の概要

1 下水道法第一一条の二第二項関係

下水道法の特定施設の定義として、従来からの水質汚濁防止法(昭和四五年法律第一三八号)の特定施設(以下「水質汚濁防止法特定施設」という。)に加え、ダイオキシン類対策特別措置法の水質基準対象施設(以下「ダイオキシン類対策法特定施設」という。)を追加することとしたものである。

2 下水道法施行令第六条関係

ダイオキシン類対策特別措置法又は同法に基づく条例の規定により、下水道の終末処理場からの放流水についてダイオキシン類に係る水質排出基準が定められている場合(下水道終末処理施設がダイオキシン類対策特別措置法の水質基準対象施設である場合)には、当該基準をダイオキシン類に係る下水道からの放流水の技術上の基準として追加することとしたものである。
下水道終末処理施設がダイオキシン類対策特別措置法の水質基準対象施設である場合とは、当該施設がダイオキシン類対策特別措置法施行令(平成一一年政令第四三三号)別表第二第一号から第五号まで及び第七号に掲げる施設に係る汚水又は廃液を含む下水を処理する下水道終末処理施設である場合である(ダイオキシン類対策特別措置法施行令別表第二第六号)。
なお、ダイオキシン類対策特別措置法の水質基準対象施設でない下水道終末処理場からの放流水について地方自治体の独自の条例でダイオキシン類についての水質規制が行われる場合は、下水道法施行令第六条第二項の規定に基づき、当該条例で定められたダイオキシン類に係る水質基準が下水道からの放流水の技術上の基準となる。

3 下水道法施行令第九条の三関係

(1) 第一号について

下水道法第一二条の二第一項の規定による特定事業場から下水道への下水の排除の制限の適用除外となる場合の一つとして、ダイオキシン類に係る下水を特定事業場から公共用水域に直接排除したとしても、ダイオキシン類対策特別措置法の規定又は同法の規定に基づく条例により定められた水質排出基準がその下水について適用されない場合を定めたものである。

(2) 第三号、第四号について

ダイオキシン類対策特別措置法と水質汚濁防止法における特定施設の概念はそれぞれ別のものであるが、ダイオキシン類対策特別措置法附則第七条による改正後の下水道法の特定施設は、ダイオキシン類対策法特定施設と水質汚濁防止法特定施設を合わせたものである。したがって、ダイオキシン類対策特別措置法及び水質汚濁防止法と下水道法との間の適用関係を調整するため、
1) ダイオキシン類対策法特定施設のみを有する特定事業場にある施設について新たに水質汚濁防止法特定施設の指定がなされた場合(第九条の三第三号)
2) 水質汚濁防止法特定施設のみを有する特定事業場にある施設について新たにダイオキシン類対策法特定施設の指定がなされた場合(第九条の三第四号)について、それぞれ一定期間水質規制の適用除外とするものである(当該特定事業場が条例によりダイオキシン類に係る水質規制(処罰規定があるものに限る。)を受けていた場合は除く。)。
本規定により、ダイオキシン類対策特別措置法の施行によって、ある施設(工事中を含む。)が新たにダイオキシン類対策法特定施設となった際にも、ダイオキシン類に係る水質規制の適用は原則として一年間猶予されることとなる

4 下水道法施行令第九条の四関係

(1) 第一項について

柱書き部分は、水質汚濁防止法特定施設には水質汚濁防止法で規制されている項目が、ダイオキシン類対策法特定施設にはダイオキシン類対策特別措置法で規制されている項目(ダイオキシン類)が、それぞれ下水道への下水の排除に係る水質の基準となるよう書き分けたものである。
なお、ダイオキシン類に係る規制の数値は、ダイオキシン類が「下水道で処理困難な物質」(下水道法第一二条の二第二項)であるため、下水道法施行令第九条の四第一項第一号から第三一号までに掲げる物質の例にならい、ダイオキシン類対策特別措置法施行規則(平成一一年総理府令第六七号)において規定されたダイオキシン類に係る水質規制の基準と同値である。

(2) 第二項(下水の水質の検定方法等に関する省令(以下「検定省令」という。)第八条)について

今回新たに水質規制項目として加えられたダイオキシン類についての検定方法は、検定省令第八条第三九号に掲げるように日本工業規格K〇三一二に該当する方法により行うこととするものである。

(3) 第三項(検定省令第九条)について

ダイオキシン類の量を表す数値は、その量をその毒性に応じて二、三、七、八―四塩化ジベンゾ―パラ―ジオキシンの量に換算した数値を用いることとされており、その換算方法については、検定省令第九条においてダイオキシン類対策特別措置法施行規則第三条に規定する方法によるものとするものである。

(4) 第四項について

ダイオキシン類対策特別措置法の規定による下水道終末処理場からの放流水に対するダイオキシン類に係る水質規制の基準が同法の規定に基づく条例により上乗せされている場合は、当該上乗せ条例の基準を第一項第三二号の基準に代えて下水道への下水の排除に係る水質の基準とするものである。

(5) 第五項について

ダイオキシン類対策特別措置法の規定又は同法の規定に基づく条例により、ある施設から公共の水域又は海域に下水を直接排除するのであれば第一項第三二号の基準(第四項の規定が適用されるときは当該基準)よりも緩やかな基準(いわゆる「暫定基準」がこれに該当する。)で規制がなされる場合は、当該基準を下水道への下水の排除に係る水質の基準とするものである。

5 下水道法施行令第九条の六関係

(1) 第三号について

下水道法第一二条の二第五項の規定による水質規制は、特定事業場から下水道へ排除される下水に対し水質汚濁防止法による規制項目についての規制を行うものであるため、ダイオキシン類対策法特定施設のみを設置する事業場からの下水について規制の適用がないようにするものである。

(2) 第四号について

第九条の三第四号の趣旨と同様である。なお、第九条の三第三号にあたる規定がないのは、第一二条の二第五項の規定による水質規制項目には、ダイオキシン類対策法特定施設に係るものがないためである。

6 下水道法施行令第九条の八関係

下水道からの放流水の水質をダイオキシン類に係る下水道法第八条の技術上の基準に適合させるため、同法第一二条の二第一項の規定の適用がない下水であって、かつ、当該下水道からの放流水について定められたダイオキシン類対策特別措置法又は条例の規定による水質規制の基準に適合しない下水を排出する者に対して、除害施設の設置その他の必要な措置を講じさせる旨の条例を制定することができることを規定するものである。
なお、第一号にあってはダイオキシン類対策特別措置法又は同法に基づく条例の規定により、第二号にあっては地方自治体の独自の条例(第一号に規定するものを除く。)の規定により、下水道からの放流水についてダイオキシン類についての水質規制が行われている場合を規定するものである。

7 下水道法施行令第一二条関係

ダイオキシン類に係る規制が下水道からの放流水に対してなされている場合(下水道法第八条の放流水の技術上の基準にダイオキシン類に係る基準が定められている場合)には、下水道管理者はその放流水に対するダイオキシン類についての水質検査を少なくとも毎年一回以上行うこととするものである。

8 下水道法施行令第二〇条関係

都市下水路に施設又は工作物その他の物件を設けようとする場合の許可に係る技術上の基準として、水質汚濁防止法の場合と同様に、ダイオキシン類対策特別措置法又は同法に基づく条例の規定により定められた水質排出基準に適合する下水以外の物を都市下水路に入れるための施設でないことを加えることとするものである。

9 第二一条第二項及び第二二条第三号関係

下水道法第三〇条第一項に規定する技術上の基準によらなければならない特定排水施設となる要件である水質の基準及び当該技術上の基準により暗渠としなければならない排水渠となる要件である水質の基準に、ダイオキシン類についての第九条の四第一項第三二号の基準を追加することとするものである。

10 下水道法施行規則第八条及び別記様式第五関係

下水道法第一一条の二第二項(使用の開始の届出)、第一二条の三第一項、第二項及び第三項(特定施設の設置等の届出)並びに第一二条の四(特定施設の構造等の変更の届出)の様式中「特定施設の種類」の欄について、従来水質汚濁防止法施行令別表第一に掲げる号番号と名称を記入していたものについて、あわせてダイオキシン類対策特別措置法施行令別表第二に掲げる号番号と名称を記載することとするものである。

11 下水道法施行規則第一五条第二号関係

下水道法第一二条の一一の規定に基づき、特定施設の設置者は下水の水質の測定をし、その結果を記録する必要があるが、この水質測定の頻度を規定する下水道法施行規則第一五条第二項を改正し、ダイオキシン類についての水質測定の頻度を年に一回以上とするものである。これにより、ダイオキシン類対策法特定施設の設置者は、ダイオキシン類についてダイオキシン類対策特別措置法による測定と同様に年に一回以上の水質測定をする必要があることとなる。

12 附則関係

下水道法施行令の一部を改正する政令、下水の水質の検定方法に関する省令の一部を改正する省令及び下水道法施行規則の一部を改正する省令は、ダイオキシン類対策特別措置法の施行の日(平成一二年一月一五日)から施行されることとするものである。

第三 留意事項

1 ダイオキシン類対策特別措置法の施行による下水道法の改正(平成一二年一月一五日)により、新たに下水道法の特定施設(ダイオキシン類対策法特定施設)となった施設については、下水道法第一二条の三第二項に規定する届出を三〇日以内に行う必要があるので、特定施設の設置者等に対する周知徹底方よろしくお願いする。また、当該施設を設置する特定事業場から下水道へ排除する下水のダイオキシン類に係る水質基準の遵守等についての周知徹底方よろしくお願いする。
2 ダイオキシン類対策特別措置法施行令別表第二第一号から第五号まで及び第七号に掲げる施設に係る汚水若しくは廃液を含む下水を処理する下水道終末処理施設はダイオキシン類対策特別措置法の水質基準対象施設に該当し、ダイオキシン類対策特別措置法に基づく届出等の手続を行う必要が生じるため、各処理区域内における特定施設の設置状況等に注意するようお願いする。

第四 水質汚濁防止法施行令の一部を改正する政令の施行について

水質汚濁防止法施行令の一部を改正する政令(平成一一年政令第四一二号)が平成一一年一二月二二日に公布され、平成一二年三月一日より施行されることとなった。これにより、ジクロロメタンによる洗浄施設及び蒸留施設(水質汚濁防止法施行令別表第一第七一号の五、第七一号の六)が、水質汚濁防止法の特定施設とされるとともに、下水道法の特定施設(水質汚濁防止法特定施設)とされたので、下水道法第一二条の三第二項に規定する届出の提出、当該施設を設置する特定事業場から下水道へ排除する下水の水質基準の遵守等についての周知徹底方よろしくお願いする。

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