このため、政府においても、阪神・淡路大震災の基本方針及び組織に関する法律(平成七年法律第一二号)を制定し、また、多くの分野にわたる復興のための措置を順次講じているところである。
大震災による被害を受けた工場等についても、復旧、復興を図るための新設及び増設は、規制の適用が除外されるように、近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律(昭和三九年法律第一四四号。以下「法」という。)の運用について、下記のとおり、必要な解釈の明確化等の措置を講ずるとともに、承認等の手続きを可能な限り迅速に処理することとしているところである。
1 仮設工場の取扱いについて
震災により被災した事業者のために建設された仮設工場については、通常一棟の建物の中に複数の企業が用途上独立した区画の中で製造業を営むものである。
こうした工場に係る法の適用については、平成七年四月二八日付け七国都総第一四八号国土庁大都市圏整備局長通達「近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律の運用の弾力化等について」記2で明らかにされているとおり、入居している企業の単位ごとの作業場面積を基準に基準面積に該当するかどうかを判断するものであり、現在建設されている仮設工場は、入居する一企業に割り当てられる区画が原則一〇〇〇平方メートルを超えない限り許可無しで新設することが可能である。
2 法第七条第一項第一号の許可基準について
阪神・淡路大震災の被災地域に存していた工場等については、法第七条第一項第一号の「人口の増大をもたらすこととならないと認められるとき」に該当するかどうかについては、当該震災以前の人口を基準に判断されるものとする。
従って、以下に掲げる事例のいずれについても、従前の規模を超える場合を含め、震災以前の工場の従業員の合計を上回る者を雇用する等の特段の事情がない限り、本号の基準に該当し、法第四条第一項ただし書による許可を受けて建設できるものである。
(1) 震災以前から工場等制限区域内に存した工場等が、当該震災によって被害を受け、一度工場等制限区域外に移転した後、工場等制限区域内に再び工場等を新設する場合
(2) 震災により滅失した工場等の敷地の上に、従前の規模を超える工場等を再建する場合(従前の規模を超えない工場については、本号の基準に該当するまでもなく、近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律施行令(昭和四〇年政令第一六一号)第五条第三号により当然に許可可能である。)
(3) 震災により滅失した工場等の事業者が、工場等制限区域内の別の土地に工場等を新設する場合
(4) 震災により滅失した複数の工場等について、工場等制限区域内の別の土地に集約化した工場等を新設する場合
3 許可等の事務の迅速化について
先に述べたとおり、法第四条第一項ただし書の許可に係る事務の処理に当たっては、今般の大震災が未曽有の大惨事であり、かつ、その復旧、復興が緊急を要するものであることを踏まえ、申請の際の添付書類の可能な限りの削減等を通じてその迅速な処理に努められたい。
この場合、近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律施行規則(昭和四〇年総理府令第三二号)第二条においては、許可に係る事務処理期間を一月以内と定めているがこれにとらわれず、できる限り一月より短期間での事務処理が可能となるよう努められたい。
国土庁においても、法第七条第二項の承認の処理に当たっては、関係行政機関と十分な連絡調整の下に、その事務の簡素化、迅速化に従前以上に取り組むことにより許可に係る事務の早期の完結に努めることとしており、既にその旨関係行政機関に通知し、必要な協力を依頼したところであることを念のため申し添える。