経企開2第一五号
昭和三八年八月三日

各都道府県知事あて

経済企画庁総合開発局長通達


低開発地域工業開発地区の指定等の申請について


低開発地域工業開発促進法(昭和三六年法律第二一六号、以下「法」という。)第二条第一項および第六項の規定に基づく低開発地域工業開発地区(以下「開発地区」という。)の指定および開発地区の区域の変更(以下「指定等」という。)に係る申請は左記により受け付けることとなつたので、通知します。
一 指定等の申請の時期

今回の開発地区の指定等の申請は、本年八月三一日までとする。

二 指定等の方針

今回の指定等は、すでに指定された開発地区との均衡を考慮し、申請に係る地区の指定等を行なわないことが著しく不適当であると認められるもののうち、次の要件に該当する場合に限り行なうものとする。
(一) 申請に係る地区において、法第四条または第五条の規定の適用を受ける企業の立地がすでに決定し、かつ、当該企業の操業が近く行なわれることが確実であるものであること。
(二) (1)のほか、別紙第一の前回指定基準に該当するものであること。

三 申請書の提出先および提出部数

申請書は、正本一通に写し二部を添えて総合開発局(開発計画課)に提出すること。

四 申請書の添付書類

申請書の添付書類の様式は、別紙第二のとおりとする。なお、開発地区の区域の変更の場合には、変更に係わる区域について記載すること。



別紙第一

低開発地域工業開発地区の指定基準

(昭和三七年六月二〇日)
(第二回低開発地域工業開発審議会了承)
一 低開発地域の範囲

(一) (地域の考え方)

低開発地域は、例えば東北地方とか山陰地方とかの広域的な地域と考え、発展段階的な見地から全国をおおむね「産業の開発の程度が低くかつ経済の発展の停滞的な地域」(本法第二条第一項)と「その他の地域」に大別して、前者の地域を低開発地域とする。

(二) (地域の設定)

前記の低開発地域を都道府県別にみるとおおむね次のとおりとなる。すなわち、各都道府県別の経済分析指標として経済水準を示す指標(所得水準 産業構成比、財政力指数)と経済の発展率を示す指標(所得増加率、工業生産附加価値増加率、人口増減率)を用いそれぞれの総合指数の組合せを勘案して、各都道府県を発展段階的な見地からA・B・Cの三段階に分類する。
この都道府県分類により、総合指数がおおむね全国平均を上まわるAグループの各都道府県及びBグループのうち、とくに発展率の高い都道府県が、「既成四大工業地帯及びその周辺並びにこれらを相互に結ぶ太平洋岸、瀬戸内海沿岸の本土ベルト地域」に集中していることがわかる。従つて、概念的には低開発地域は、これらの地域を除く地域ということができる。
しかしながら、都道府県の行政区画を採用することは必ずしも適当でないので、次の都市の圏域の要素を加えることとし、おおむねその圏域内にある地域は低開発地域から除外するものとする。

(三) (具体的な地域の範囲)

前記の圏域は一応の目安であるので、具体的にはこれに若干の巾をもたせ、その関係地域の経済水準及び発展動向を勘案し、またその府県の開発地域区分を尊重して、おおむね別紙のとおり具体的な地域範囲を定めるものとする。

(注)

(地域の取扱い)

この地域は固定的なものではなく、地域経済構造の著しい変動がみられる場合には、適時必要な修正が行なわれるべきものとする。

二 開発地区の指定

開発地区の指定は、先に定める低開発地域内にあつて、本法施行令で定める一定の要件に合致する地区を対象とするが、なお具体的な地区の選定に当つては、次の基準によるものとする。
(一) (拠点性)

指定されるべき地区は、本法第二条第一項の趣旨に基づき、その地区の工業開発が、その低開発地域の工業開発に寄与しうるような条件を具備し、かつ、その工業開発の効果がその周辺地域に波及することが期待されるような中小拠点とする。
従つて、例えば次のような地区を拠点とするには問題があるので、原則として指定しないものとする。
(イ) 四大工業地帯に社会的、経済的に近距離にある地区
(ロ) 工業のある程度の集積が認められる地区(集積地区)に隣接しまたは近接する地区で、例えば次のような地区

(a) 一つの集積地区に隣接しまたは近接する地区
(b) 二つの集積地区に挾まれた中間地区
(c) 集積地区と認められる都市集団の一部の地区

(ハ) 観光資源その他資源の保護等の見地から工業開発の拠点とすることが適当でないような地区

(二) (立地条件)

(イ) 本法施行令第一条第一号にいう、その地区が具備すべき工業の立地条件は、次のとおりとする。

(a) 工場用地がある程度まとまつて確保され、かつ、その用地が土地利用上工場適地と認められるものであること。
(b) その工場用地が国道に沿つているか、あるいは近接しており、または鉄道の駅等に近いか、あるいは港湾に近接しており、かつ、これらの施設を利用するのに便利であり、またその施設の整備が容易であること。
(c) 工場適地面積に見合う、通常必要と考えられる工業用水量の確保が容易であること。
(d) 当該地区並びに周辺地区を管理する公共職業安定所管内において、相当数の求職者があること。

(ロ) 前記の工業の立地条件については、工場立地の調査等に関する法律の規定による工業適地の調査等工業の開発に関する国の調査の成果をしんしやくするものとするが、これらの調査が行なわれていない場合であつても、その他の地域開発に関する調査が行なわれているときはこれを考慮するものとする。

(三) (開発熟度)

この法律は、とくに一定期間内において税制上の優遇措置を講ずることにより、その他区の工業の開発を促進しようとするものであることにかんがみ、この法律の運用上の効果を考慮し、現状において、工場の誘致計画が進行中の地区であり、また工場誘致のための立地条件の整備が行なわれつつある地区から指定するものとする。

(四) (地域別の重点)

この法律は、既成四大工業地帯とくに京浜阪神地区の外部経済の集積による利益を受けることが少なく、また経済水準が低く、かつ、雇用の安定を必要とする地域の開発をとくに重視するものであるから、地区の指定に当つては、とくにかかる条件に恵まれない地域(例えば北海道、東北、山陰、南四国、南九州等の地域)の工業の開発を促進するよう重点的に配慮するものとする。

(五) (他の施策との関連)

本法との密接な関連を有する地域開発施策との一体的な運用に努めるものとし、その取扱いは、おおむね次の方針によるものとする。
(イ) 全国総合開発計画(北海道の場合は全国総合開発計画と北海道総合開発計画)で予定されるような大規模工業開発地区の一部及びこれに隣接しまたは近接する地区は、指定しない。
(ロ) 産炭地域のうち、産炭地域振興臨時措置法第六条並びに税制特別措置法第一三条及び第四五条の適用のある地区は提定しない。

三 開発地区の範囲

開発地区の範囲は、次のような必要最小限度のまとまりをもつた地区の範囲とする。
(一) (用地上の一体性)

工場用地が散在することなく、ある程度まとまつて確保され(まとまつた工場用地が接近し、又連続している場合を含む。)かつ、その工場用地がその地域の工業開発の中心となりうるような範囲

(二) (施設利用上の一体性)

港湾、鉄道、道路等の施設が開発上一体性を有し、分離して考えることができない範囲

(三) (土地利用計画上の一体性等)

土地利用計画上及び地形上分離して考えることができない範囲



別紙二〔略〕


All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport