経企山村第八号
昭和四一年三月五日

各都道府県知事あて

経済企画事務次官通達


山村の要件および振興山村の指定について

山村振興法(昭和四〇年法律第六四号)の円滑な実施を図るため、別紙(一)のとおり、「山村の要件および振興山村の指定申請」にあたっては遺憾のないようにされたい。
なお、当通達は、二月一八日開催された山村振興対策審議会における答申(別紙(二))の趣旨にのっとり定められたものである。



別紙(一)

山村の要件および振興山村の指定について

山村振興法(以下「法」という。)第七条第一項に基づく振興山村の指定は、山村振興法施行令第一条の山村の要件を備える旧市町村につき、振興の緊要度が高いと認められる順に調査を行ない、その調査の結果に基づいて振興山村を指定することとするが、これらそれぞれの基準は次の通りである。
第一 山村振興法第二条に規定する山村の要件について

一 旧農林業センサス規則(昭和三四年農林省令第三六号)に基づく林業調査の結果による当該旧市町村の区域に係る林野率が〇・一五以上であり、かつ当該旧市町村の人口密度が一町歩当り一一六人未満であること。
二 当該旧市町村の区域における次の各号に掲げる施設について、それぞれに掲げる条項に該当するものが三以上あること。

(1) 交通施設

当該旧市町村内の各部落から市町村事務所又は国道若しくは都道府県道に至る代表的な道路(農道および林道を含む。)が普通自動車の交通の不能な区間を有するか、又はその交通に著しい支障をきたすものであること。

(2) 生産基盤施設

農道(牧道を含む。)若しくは林道の構造又は当該旧市町村内にある農用地若しくは林野に対するこれら、施設のそれぞれの密度が、当該区域の農林業の経営近代化又は資源の開発上著しく不十分であること。

(3) 国土保全施設

当該旧市町村に直接影響のある法第三条第四号に規定する国土保全施設の整備が著しく不十分であること。

(4) 文教施設

小学校又は中学校の施設の整備が当該地域以外の地域と比べて著しく不十分であること。

(5) 厚生施設

医療施設の利用が当該区域以外の地区と比べて著しく不便な状況にあること。

第二 法第六条第二項に規定する調査の優先順位について

振興山村の指定のための調査は山村(一団として調査する場合を含む。以下同じ。)のうち当該山村の自然的条件若しくは社会的条件又は当該山村の属する市町村の財政事情からみて、振興の緊要度の高いと認められる山村から順次行なうものとする。なお、次に掲げる地域は、それぞれの法律の趣旨に照して、当分の間調査の対象とはしない。
一 奄美群島振興特別措置法に基づく奄美群島
二 離島振興法に基づく離島振興対策実施地域
三 首都圏整備法に基づく既成市街地、近郊整備地帯及び都市開発区域
四 近畿圏整備法に基づく既成都市区域、近郊整備区域及び都市開発区域
五 中部圏開発整備法に基づく都市整備区域および都市開発区域
六 都市計画法に基づく都市計画区域内にあって市街地化しようとする方針が具体化している地区が山村の地域の相当部分を占める地域
七 工業整備特別地域整備促進法に基づく工業整備特別地域のうち同法に基づく事業の実施が他地域に比較して十分でない地域以外の地域
八 新産業都市建設促進法に基づく新産業都市の区域のうち同法に基づく事業の実施が他地域に比較して十分でない地域以外の地域

第三 法第七条第一項に規定する振興山村の指定の基準について

第三項の調査の行なわれた山村であって、次の用件に該当するものを振興山村として指定するものとする。
一 当該山村の住民の山村振興に対する主体的意欲が盛んであり、これらの意欲が十分に反映された山村振興計画の作成が可能であると認められること。
二 周辺地域との関連性、人口及び労働力の動態、資源の活用可能性ならびに産業の開発可能性等からみて、その地域に相応して、かつ、当該山村に係る地域振興諸施設との調整のとれた合理的山村振興計画を作成することができること。
三 当該山村の住民の組織する団体、当該山村を含む市町村および都道府県が山村振興事業の推進につき相応な指導および執行体制を備えていること。
四 当該山村の住民の所得水準又は当該山村の属する市町村の財政事情からみて当該山村以外の地域との均衡上法の趣旨に照らして山村振興計画を作成することが必要であると認められること。
五 前記二の山村振興計画の内容とする事業が有効に実施されうると認められること。



別紙(二)

経企山村審第三号
昭和四一年二月一八日

内閣総理大臣

佐藤栄作殿

山村振興対策審議会会長
清井正

振興山村の指定基準について(答申)

本日開催いたしました第二回山村振興対策審議会において、昭和四〇年一一月二〇日付けをもつて諮問のあつた「振興山村の指定基準について」は審議の結果、左記のとおり答申します。
山村振興法第七条第一項に基づき内閣総理大臣が、振興山村の指定する場合の判断基準は、同法第六条第一項の調査の結果に基づき
(一) 山村住民の山村振興に対する意欲の有無
(二) 合理的山村振興計画の作成の可能性
(三) 山村振興事業の推進に対する関係団体の指導及び執行体制の有無
(四) 山村振興計画の効率的実施の可能性
(五) 山村住民の所得水準又は市町村の財政事情からみた山村振興の必要性

の五項目を重点的に配慮して作成することが適当である。

なお、同法第六条第二項の調査の優先順位を判断するに当たり、次に掲げる地域は、それぞれの法律の趣旨に照して、当分の間調査の対象としないことが適当であると認めることを付記する。
(一) 奄美群島振興特別措置法に基づく奄美群島
(二) 離島振興法に基づく離島振興対策実施地域
(三) 首都圏整備法に基づく既成市街地、近郊整備地帯及び都市開発区域
(四) 近畿圏整備法に基づく既成都市区域、近畿整備区域及び都市開発区域
(五) 都市計画法に基づく都市計画区域内にあつて市街地化しようとする方針が具体化している地区が、山村の区域の相当部分を占める地域
(六) 工業整備特別地域整備促進法に基づく工業整備特別地域
(七) 新産業都市建設促進法に基づく新産業都市の区域
(八) 産炭地域振興臨時措置法第一〇条の規定の適用を受ける地区


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