別添

地域振興整備公団法(昭和三七年法律第九五号)第一九条の二第二項に規定する地方における都市の整備に関する基本方針を次のとおり定める。

昭和四九年一一月二八日

国土庁長官

地方における都市の整備に関する基本方針

我が国の地域社会の現状に照らすと、地域の特性をいかし、良好な生活・自然環境を備えた魅力ある都市を整備することにより地方における住民の福祉の向上と人口の定着を図ることが極めて重要な課題となつている。

地方における都市の整備は、基本的には地方公共団体が中心となつて進めるべきものであり、国としても、高福祉社会を建設し、国土の均衡ある発展を図るという見地からこれに積極的に協力する必要がある。

地域振興整備公団(以下「公団」という。)は、地方における都市の整備のための業務(地域振興整備公団法第一九条の二第二項に規定する業務をいう。)を行うに当たつては、以上のような見地に立つて、地域社会の意向を尊重しつつ、左記に定めるところにより事業実施基本計画を作成し、その的確な実施を図るものとする。

記

一　事業の選定等

(一)　公団が地方公共団体の要請を受けて事業の選定を行うに当たつては、国土の均衡ある発展に寄与することに留意しつつ、次の要件に適合すると認められるものを選定するものとする。

ア　国又は地方公共団体が定める国土の利用、地域の整備、開発若しくは保全、環境の保全又は施設の整備に関する計画又は施策、土地利用に関する計画等との整合性が図られること。

イ　用地、用排水、交通、防災その他自然的、経済的、社会的諸条件が備えられていること。

ウ　当該事業の周辺の都市及び農山漁村に及ぼす影響が十分に検討され、かつ、周辺の都市及び農山漁村との調和が図られること。

エ　当該事業の環境に与える影響が十分に検討され、かつ、環境の保全が図られること。

オ　要請に係る地方公共団体における計画等の熟度が高く、かつ、その推進体制が整えられること。

カ　要請に係る地方公共団体が中心になつて用地、用水等の確保が図られる見通しがあり、かつ、当該地方公共団体が公団との適正な機能分担の下に事業を推進する意思を有していること。

キ　当該事業に係る経費の回収について確実な見通しがあるものであること。

(二)　事業の規模については、その効果が当該事業予定区域と周辺地域を含めた広域的な経済社会生活圏に波及するような相当な規模のものであることを基本としつつ、経済社会生活圏の広がり又は併せて行われる他の諸事業との関連性を考慮して弾力的に決定するものとする。

二　事業の内容

公団が行う事業の内容は、次の基準にそつて、地域の特性をいかし、良好な生活・自然環境を備えた都市の整備に寄与するように決定するものとする。

(一)　適正な土地利用に関する計画の下に、広域的かつ長期的観点に立つて総合的で均衡のとれた整備が行われるよう配慮すること。

(二)　地域の経済的、社会的、分化的特性に適合した特色ある都市機能の集積に資するよう配慮すること。

(三)　都市機能の整備、都市施設の配置等に関し、効率の向上、利便の増進及び環境の保全に配慮すること。

(四)　輸送手段の確保に配慮すること。

(五)　地域住民の安全、健康及び福祉の確保に配慮すること。

(六)　緑地の保全及び緑化の推進等により自然環境の保全を図るとともに、文化財の保護及び都市美観の創造に配慮すること。

(七)　農林地の保全及び農林漁業との健全な調和に配慮すること。

(八)　事業予定区域と周辺地域を含めた広域における関連事業との調和に配慮すること。

(九)　計画の策定に際し、環境に与える影響を事前に十分に評価し、環境に与える影響が大きい区域は避けることとし、更に計画の策定及び実施に当たつても広域的かつ長期的観点に立つて環境の保全のための措置を講ずること。

三　事業の実施

(一)　公団が行う事業は、地方公共団体との間の緊密な協力と適正な機能分担の下に推進することとし、このため、公団の事業が行われる地域ごとに公団と地方公共団体との間の連絡調整の場を設け、意思の疎通と緊密な協力を図るものとする。

(二)　公団が造成、整備した宅地、利便施設、公共施設等は、原則として、利用者、地方公共団体その他の管理者等に譲渡するものとする。

なお、施設の整備、管理等に関しては、必要に応じて公共・民間の共同出資による事業主体を活用するよう配慮するものとする。

(三)　地方公共団体が管理することとなる利便施設、公共施設等の整備に要する経費については、国及び公団が地方公共団体の財政負担を配慮してとる適切な措置とあいまつて、地方公共団体は適切な負担をするものとする。