国税庁回答
平成二年三月一四日付け



市街地再開発事業に係る消費税の取扱いについて

照会要旨 市街地再開発事業に係る消費税の取扱いについては、別添のとおり取り扱ってよいか。
回答要旨 そのとおり取り扱って差し支えなし。



別添

平成元年一二月二五日
建設省都市再開発課

市街地再開発事業に係る消費税の取扱いについて

標記については、第一種市街地再開発事業の権利変換処分による権利床の取得及び公共施設管理者負担金にあっては不課税であり、第二種市街地再開発事業の管理処分による権利床(建物部分)の取得及び公共施設管理者負担金(工作物等に係る部分)並びに第一種市街地再開発事業及び第二種市街地再開発事業に係る保留床(建物部分)の取得にあっては課税と決定されているところである(大蔵省主税局税制第二課と調整済み)が、その他の具体的事項について、左記のように解してよいか御回答願います。
一 市街地再開発事業の施行地区内の従前の権利者が地区外に転出する場合について

(一) 第一種市街地再開発事業における地区外転出者の資産に係る課税関係

第一種市街地再開発事業において、都市再開発法(以下「法」という。)第七一条第一項の規定による権利者からの自己の有する建築物に代えて金銭の給付を希望する旨の申出があった場合の当該建築物の施行者の取得(法第八七条第二項本文)については、法第九一条第一項により支払われる当該建築物に係る補償金は、資産の譲渡の対価ではなく、権利の消滅の対価であり、かつ、消費税法施行令第二条第二項に規定する補償金に該当しないことから、不課税と解してよろしいか。

(二) 第二種市街地再開発事業における地区外転出者の資産に係る課税時期

第二種市街地再開発事業において、権利者から法第一一八条の二第一項の規定による譲受け希望の申出がなく、自己の有する建築物が施行者に買い取られる場合の当該建築物の施行者に対する譲渡に係る課税時期(課税資産の譲渡があったものとされる時期)については、消費税法取扱通達九―一―一三に基づき、納税義務者である当該権利者の判断により1)建物の引渡日又は2)契約の効力発生日(所有権移転日)のいずれかを選択できると解してよろしいか。
また、権利者の有する建築物が施行者に収用される(法第一一八条の二六第一項参照)場合は、課税時期については、納税義務者である当該権利者の判断により1)土地収用法第四八条の規定による権利取得裁決において定められた権利取得の時期又は2)同法第四九条の規定による明渡裁決において定められた明渡しの期限のいずれかを選択できると解してよろしいか。

(三) 仕入税額控除

第二種市街地再開発事業において、施行者が地区外に転出する権利者の有する建築物を契約に基づき、又は収用により取得することは、事業として他の者から資産を譲り受けること(課税仕入れ)に該当することから、仕入税額控除できるものと解してよろしいか。
また、当該課税仕入れは、課税売上げ(権利床及び保留床の譲渡のうち建築物に係る部分並びに保留床の賃貸)に要するものか、非課税売上げ(権利床及び保留床の譲渡のうち土地に係る部分)に要するものか区別できないので、施行者の課税売上割合が九五%未満の場合は、消費税法第三〇条第二項第二号に基づき、当該課税仕入れに係る消費税額に課税売上割合を乗じた額が控除できると解してよろしいか。

二 市街地再開発事業の施行地区内の従前の権利者が権利床を取得する場合について

(一) 第二種市街地再開発事業における従前資産に係る課税時期

第二種市街地再開発事業において、権利者が法第一一八条の二第一項の規定による譲受け希望の申出をして、権利床を取得する場合の当該権利者の有する建築物(従前資産)の譲渡に係る課税時期は、権利床の取得に係る課税時期と同時期である従前資産の対償に代えて権利床を取得した日(法第一一八条の一八の規定により、建築工事完了の公告の日の翌日とされる。)であると解してよろしいか。

(二) 第二種市街地再開発事業における従前資産に係る課税標準

第二種市街地再開発事業において、権利者が権利床を取得する場合の当該権利者の有する建築物の譲渡に係る課税標準は、当該建築物の価額の確定額(法第一一八条の二三第二項の規定により、当該建築物の対償の額に、契約に基づき、又は収用により施行者に取得された時から建築工事完了の公告の日までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額とされる。)であると解してよろしいか。

(三) 仕入税額控除

第二種市街地再開発事業において、施行者が権利床を取得する権利者の有する建築物を契約に基づき、又は収用により取得することは、事業として他の者から資産を譲り受けること(課税仕入れ)に該当することから、仕入税額控除できると解してよろしいか。
また、当該課税仕入れは、課税売上げ(権利床及び保留床の譲渡のうち建築物に係る部分並びに保留床の賃貸)に要するものか、非課税売上げ(権利床及び保留床の譲渡のうち土地に係る部分)に要するものか区別できないので、施行者の課税売上割合が九五%未満の場合は、消費税法第三〇条第二項第二号に基づき、当該課税仕入れに係る消費税額に課税売上割合を乗じた額が控除できると解してよろしいか。

(四) 第二種市街地再開発事業における権利床に係る課税標準

第二種市街地再開発事業において、権利者が権利床を取得する場合の当該権利床の譲渡に係る課税標準は、当該権利床の価額の確定額(法第一一八条の二三第三項の規定により、事業計画決定の公告の日等における近傍同種の建築物の取引価格等を考慮して定める相当の価額に事業計画決定の公告の日等から工事完了の公告の日までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額を基準として定めた額とされる。)であると解してよろしいか。

(五) 第二種市街地再開発事業における施設建築物の工事請負等に係る仕入税額控除

第二種市街地再開発事業における施設建築物の工事請負等は、課税売上げである権利床(建物部分)及び保留床(建物部分)の売上げに要する課税仕入れであることから、施行者は、消費税法第三〇条第二項第一号の場合にあっては、課税資産の譲渡等のみに要する課税仕入れとして課税仕入れに係る消費税額を控除できると解してよろしいか。

(六) 清算金に係る課税関係

市街地再開発事業においては、権利者の施行者に対する従前資産である建築物の譲渡及び施行者の権利者に対する従後資産である権利床(建物部分)の譲渡が課税対象となる(ただし、第一種市街地再開発事業にあっては不課税)のであり、法第一〇四条又は第一一八条の二四第一項の規定により、施行者が徴収し、又は交付する清算金については、従前資産と従後資産との差額の調整にすぎないことから、課税の対象外であると解してよろしいか。

三 借家権価格の補償について

第一種市街地再開発事業において、法第七一条第三項の規定による借家権者からの借家権の取得を希望しない旨の申出があった場合の法第九一条第一項により支払われる借家権を失うことに対する補償金は、資産の譲渡の対価ではなく、権利の消滅の対価であり、かつ、消費税法施行令第二条第二項に規定する補償金に該当しないことから、当該補償金の支払いは、不課税と解してよろしいか。

四 参加組合員の負担金について

第一種市街地再開発事業における参加組合員の施設建築物の取得については、法第四〇条第一項の規定による参加組合員の負担金(参加組合員が取得することとなる施設建築物の一部等の価額に相当する額)は、保留床の譲渡の対価と同一の性格を有し、資産の譲渡の対価と考えられることから、課税と解してよろしいか。


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