建設省都計発第七二号、建設省住街発第五一号
平成七年五月二五日

各都道府県知事、各指定都市の長あて

建設省都市局長、住宅局長通達


都市再開発法等の一部改正について


標記については、平成七年五月二五日付け建設省都計発第七一号「都市再開発法等の一部改正について」をもって建設事務次官から通達されたところであるが、さらに左記の事項に留意し、遺憾のないようにされたい。
なお、貴管下関係機関に対しても、この旨周知徹底方お願いする。

第1 市街地再開発事業の推進について

市街地再開発事業の施行区域要件については、高度利用地区に関する要件及び耐火建築物に関する要件が緩和され(都市再開発法第二条の二及び第三条)、これにより、市街地再開発促進区域の区域要件(都市再開発法第七条第一項)及び個人施行者の施行の認可の基準(都市再開発法第七条の一四)も緩和されたが、これらに関しては、次の点に留意して、市街地再開発事業の一層の推進に努めること。
(1) 高度利用地区の区域に加え、再開発地区計画の区域(再開発地区整備計画が定められている区域のうち、当該再開発地区整備計画において高度利用地区について定めるべき事項が定められており、かつ、建築基準法第六八条の二第一項の規定に基づく条例(以下「地区計画条例」という。)で、これらの事項に関する制限が定めれらているものに限る。)内においても、市街地再開発事業を施行することができることとされたが、これにより、より弾力的かつ多様な建築物等に関する制限を定めることができる再開発地区計画制度を活用することにより市街地再開発事業を弾力的に実施することが可能となったこと。

なお、「高度利用地区について定めるべき事項」とは、容積率の最高限度及び最低限度、建ぺい率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度並びに壁面の位置の制限(壁面の位置の制限にあっては、敷地内に道路に接して有効な空間を確保して市街地の環境の向上を図るため必要な場合における当該道路に面する壁面の位置の制限に限る。)であり、本制度においては、建築基準法上の一般的な制限の緩和に係る事項を含め、地区計画条例でこれらの事項に関する制限が定められていなければならないので、都市計画担当部局と建築担当部局との間で一層の連携を図ること。

(2) 耐火建築物に関する要件に関しては、従来からの「耐火建築物の建築面積の合計が全ての建築物の建築面積の合計のおおむね三分の一以下であること」という要件に加え、「耐火建築物の敷地面積の合計が全ての宅地の面積の合計のおおむね三分の一以下であること」との要件を満たす区域においても市街地再開発事業を施行することができることとされたが、これにより、都心部等に散在する低・未利用地を一定程度取り込んだ区域においても市街地再開発事業を施行することが可能となったほか、木造建築物の除去が進んで空地が増え、耐火建築物の建築面積の比率が相対的に高まった地区においても事業を施行することが可能となったこと。

第2 地区計画制度の拡充について

1 街並み誘導型地区計画制度の活用について

(1) 都市計画法第一二条の五第七項の規定による地区計画(以下「街並み誘導型地区計画」という。)は、地区の特性に応じた建築物の高さ、配列及び形態を一体的に定め、工作物の設置の制限等必要な規制及び建築物の形態に関する制限の緩和を行うことにより、個別の建築活動を通じて街並みを誘導しつつ、土地の合理的かつ健全な有効利用の推進及び良好な環境の形成を図ることを目的として創設された制度であるので、その積極的な活用を図ること。

街並み誘導型地区計画制度は、多様な市街地においてその活用が可能であるが、活用の例としては、次のような場合が想定されるので、参考とされたい。
1) 都心部又はその周辺部において、人口が減少している地域等で、地域コミュニティの安定化、市街地環境の確保、公共公益施設の有効利用等の観点からみて、必要な建築物の用途制限を定め、土地の合理的かつ健全な有効利用を進め住宅の確保及び供給促進を図る必要がある場合
2) 木造共同住宅等が密集している住宅市街地で、居住環境の向上を図るとともに、良質な住宅の供給を促進するため、土地の合理的かつ健全な有効利用を図る必要がある場合
3) 商店街で建築物の建替えが相当程度行われる地域において、土地の有効利用を促進するとともに、機能的で魅力ある商店街を形成するよう誘導する必要がある場合
4) 住工混在の既成市街地において、地場産業等の工業の利便の維持・増進と居住環境の向上を併せて図る必要がある場合
5) 相当の土地利用転換が行われる地域において、街区単位で背割線に沿って中庭的な空間を確保しつつ、良好な一団の住宅市街地整備を行う必要がある場合

(2) 大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律(平成七年法律第一五号)により大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法第三条の六第三項の規定が改正され、国及び地方公共団体が同条第一項の住宅市街地の開発整備の方針に従い良好な住宅市街地の開発整備を促進するため定めるよう努めるべき都市計画として、地区計画が追加されたところであるが、同項第二号の地区内においては、街並み誘導型地区計画についても積極的に定めるように努めること。

2 街並み誘導型地区計画の策定に当たっての基本的な考え方について

街並み誘導型地区計画の策定に当たっては、次の点に留意すること。
(1) 当該地域における建築物の形態の誘導の必要性についての都市・住宅政策上の位置付け、周辺における土地利用の動向、公共施設の整備状況、社会的・経済的状況等から総合的に判断し、都市機能の増進に寄与するものとなるよう努めること。
(2) 容積率制限及び斜線制限の緩和により市街地環境を悪化させることのないよう、建築物の形態及び工作物の設置の制限等を適切に定めることにより良好な市街地環境の形成を図る内容とすること。
(3) 街並み誘導型地区計画は、必ずしも一体的な相当規模の建築行為を前提とするものではなく、地権者による個別の建築活動の積み重ねにより街並みを誘導するものであること、また、建築制限の緩和に当たっては、壁面の位置の制限等、土地の利用形態に一定の制限が必要となっていることから、地区計画の案の作成に当たっては、地区内の地権者等の今後の土地利用等に関する意向等の把握に努めるとともに、その意向が適正に反映されたものとなるよう配慮すること。

3 街並み誘導型地区計画の区域について

(1) 街並み誘導型地区計画制度は、前面道路幅員による容積率制限及び斜線制限の緩和が可能な制度であるが、本特例を適用することのできる区域は、次に掲げる条件に該当する土地の区域内であること。

1) 地区整備計画が定められている区域のうち、次に掲げる事項が定められている区域であること。

(イ) 容積率の最高限度(前面道路幅員による容積率制限を緩和する場合に限る。)
(ロ) 建築物の敷地面積の最低限度
(ハ) 壁面の位置の制限(道路に面する壁面の位置を制限するものを含むものに限る。)
(ニ) 建築物の高さの最高限度
(ホ) 都市計画法第一二条の五第七項後段の規定による壁面の位置の制限として定められた限度の線と敷地境界線との間の土地の区域における工作物の設置の制限

2) 地区計画条例で、1)(ロ)から(ニ)までに掲げる事項に関する制限が定められている区域であること。

(2) 街並み誘導型地区計画は、現に適正な配置及び規模の公共施設が整備されている区域はもとより、必要な地区施設の決定その他の措置を講ずることにより同様の公共施設が整備されることが確実と見込まれる区域についても定めることが可能であること。

4 街並み誘導型地区計画策定の基準等について

街並み誘導型地区計画の策定は、従来の地区計画策定の基準によるほか、次の基準等によること。
(1) 区域の整備、開発及び保全に関する方針

街並み誘導型地区計画は、その目的にかんがみ、地区計画の整備、開発及び保全に関する方針において、当該地区において実現すべき市街地像、形態制限の緩和を行うことにより街並みを誘導する基本的考え方を明らかにするとともに、建築物等の整備に当たっての規制・誘導の方針等を明らかにすること。この場合において、規制・誘導の方針については、当該地区計画において合理化される形態制限の内容について、区域の整備、開発及び保全に関する方針の附属図面などを活用して、具体的に記述するよう努めること。

(2) 地区整備計画

1) 従来の地区計画制度における地区整備計画においては、都市計画法第一二条の五第三項第一号から第三号に掲げる事項のうち、当該地区計画の目標を達成するために必要と認められる一以上の事項を定めればよいこととされていたが、街並み誘導型地区計画において前面道路幅員による容積率制限及び斜線制限の特例の適用を受けるためには、地区整備計画において、3の(1)の1)の(イ)から(ホ)までに掲げる事項が定められ、かつ、これらの事項のうち、(ロ)から(ニ)までに掲げる事項に関する制限が地区計画条例で定められていることが条件となっていること。
2) 街並み誘導型地区計画の区域内における建築物に係る容積率の最高限度は、原則として次により定めることとすること。

(イ) 容積率の最高限度は、地区整備計画の区域の全域にこれを定めること。
(ロ) 容積率の最高限度は、これが前面道路幅員による容積率制限の緩和の上限となることにかんがみ、当該地区整備計画の区域の土地利用の適正な増進が図られ、かつ、良好な環境の各街区が形成されるように定めること。この場合において、容積率の最高限度は、用途地域に関する都市計画において定められている容積率以下でなければならないものであること(街並み誘導型地区計画と用途別容積型地区計画又は容積の適正配分とを併用する場合を除く。)。
(ハ) 地区整備計画の区域内の用途地域の指定状況、道路幅員の状況、土地利用の現況等にかんがみ必要がある場合には、当該区域を区分してそれぞれ異なった容積率の最高限度を定めること。
(ニ) 容積率の最高限度については、当該地区整備計画の区域の土地利用の適正な増進が図られ、かつ、壁面の位置の制限により確保される空地等を勘案して良好な環境の街区が形成されるように定めるとともに、壁面の位置の制限、建ぺい率及び建築物の高さの最高限度で規定される建築可能な空間との均衡を失しなように定めること。なお、土地利用の現況及び将来の見通し等にかんがみ、壁面の位置の制限、建ぺい率及び建築物の高さの最高限度で規定される建築可能な空間により実質的に建築物の容積率の最高限度が同時に規定され、容積率の最高限度を定める必要性が乏しいと認められる場合には、この趣旨を当該地区計画の整備、開発及び保全に関する方針において明示した上で、容積率の最高限度を用途地域に関する都市計画において定められている容積率と同じ数値で定めることも差し支えないこと。

3) 街並み誘導型地区計画の区域内における建築物の敷地面積の最低限度は、敷地の細分化により市街地環境の悪化を招くことを防止するために定めることとされたものであり、当該区域における敷地規模の現状、建築物に係る容積率の最高限度等を総合的に勘案して、当該区域における良好な環境を維持増進するよう定めること。
4) 街並み誘導型地区計画の区域内における建築物に係る壁面の位置の制限(道路に面する壁面の位置の制限を含むものに限る。)は、次により定めることとすること。

(イ) 壁面の位置の制限は、これが建築物の高さの最高限度と相まって斜線制限の緩和の上限となることにかんがみ、道路に面して、若しくは他の建築物との間に有効な空地を確保し、又は区域内の建築物の位置を整えることにより、良好な環境を備えた各街区が形成されるよう適切に定めること。
(ロ) 壁面の位置の制限のうち、道路に面するものについては必ず定めるものとし、それ以外の壁面の位置の制限についても、良好な環境を備えた各街区を形成するため必要と認められるときは、これを定めるよう努めること。ただし、壁面を隣地境界線と接して設けることによって街並みを誘導する場合には、この趣旨を当該地区計画の整備、開発及び保全に関する方針に定めた上で、隣地境界線に面する壁面の位置の制限を定めなくとも差支えないこと。
(ハ) 道路の新設、敷地の分割等敷地境界線の変更が生じた場合には、速やかに壁面の位置の制限について所要の変更を行うこと。
(ニ) 壁面の位置の制限は、地盤面からの高さにより異なる内容とする等、立体的に定めることができるものであること。

5) 街並み誘導型地区計画の区域内における建築物の高さの最高限度は、これが壁面の位置の制限と相まって斜線制限の緩和の上限となることにかんがみ、通風、採光等の市街地環境を確保しつつ、区域内における建築物のスカイラインを整えることによって良好な市街地空間が形成されるように定めること。
6) 街並み誘導型地区計画の区域内における工作物の設置の制限(当該区域において連続的に有効な空地を確保するため必要なものに限る。)は、次により定めることとすること。

(イ) 工作物の設置の制限は、壁面の位置の制限により建築物が後退した区域について工作物の設置を適切に規制することが、道路との一体的な空間や隣地との一体的な空間を確保し、市街地の環境を確保するため重要であることにかんがみ定めることとされたものであり、当該区域における壁面の位置の制限及び建築物の高さの最高限度等を総合的に勘案して当該区域における良好な環境を維持増進するよう定めること。
(ロ) 工作物の設置の制限は、建築基準法第二条第一号に定める建築物(建築物に附属する門、塀を除く。)以外の工作物に関して高さの最高限度若しくは最低限度、位置、用途、形態若しくは意匠又は構造が当該地区の特性にふさわしいものとなるよう定めること。
(ハ) 工作物の設置の制限は、壁面の位置の制限として定められた限度の線と敷地境界線との間の土地の区域(以下「セットバック区域」という。)において、連続的に有効な空地を確保するため必要なものについては、これを必ず定めなければならないこと。この場合において、連続的に有効な空地を確保するため必要な工作物の設置の制限とは、隣地に面するセットバック区域で他のセットバック区域と一体となって連続的な空地が確保できる区域及び道路に面するセットバック区域において行われる制限であること。
(ニ) 壁面の位置の制限を立体的に定めた場合における壁面の位置の制限として定められた限度の線とは、地盤面において定められた壁面の位置の制限の限度の線となること。

(3) その他の留意事項

1) 街並み誘導型地区計画の策定及び特定行政庁の認定の運用に関しては、都市計画担当部局と特定行政庁とは、十分に緊密な連絡調整を図ること。
2) 街並み誘導型地区計画に係る地区整備計画の決定に当たっては、周辺における土地利用の動向、公共施設の整備状況等を勘案し、道路に対する交通負荷の発生によって近隣の環境に支障をきたさないよう十分配慮すること。
3) 都市計画法第八条第一項第三号に掲げる高度地区に関する都市計画については、建築物の高さの最高限度が定められた高度地区の区域において当該最高限度を超えて街並み誘導型地区計画で建築物の高さの最高限度を定めようとするときは、当該街並み誘導型地区計画で定める建築物の高さの最高限度と同一の数値となるよう高度地区に関する都市計画を変更する等所要の措置を講ずること。
4) 建築基準法第五六条の二の規定に基づく日影規制については、街並み誘導型地区計画における容積率の最高限度、建築物の高さの最高限度等当該地区の市街地像に応じた市街地環境を確保する観点から、必要に応じて日影条例の適用対象区域や規制値について見直しを行うこと。
5) 街並み誘導型地区計画においては、土地区画整理事業、市街地再開発事業、住宅街区整備事業、街なみ環境整備事業、街並み・まちづくり総合支援事業、密集住宅市街地整備促進事業等の各種事業制度を併せて活用することにより、当該地区の市街地像の実現をより効果的に進めることが可能であるので、必要に応じその積極的な活用に努めること。また、プロジェクトによる都市環境の整備・改善、良好な地域社会の形成等を勘案して、必要に応じ、街路事業、公園事業、下水道事業等の関連公共施設の整備事業の推進に努めること。

5 特定行政庁の認定について

前面道路幅員による容積率制限及び斜線制限の緩和に関する特定行政庁の認定に当たっては、次の点に留意すること。
(1) 特定行政庁の認定による前面道路幅員による容積率制限及び斜線制限の緩和は、良好な建築計画を誘導することにより、目指すべき市街地像に応じた市街地の形成を実現する上で極めて重要な役割を果たすものであり、その適切な活用を図ること。
(2) 認定をすることができる建築物は、3の(1)の1)の(イ)から(ホ)までに掲げる事項が定められ、かつ、これらの事項のうち、(ロ)から(ニ)までに掲げる事項に関する制限が地区計画条例で定められている区域内にあることが条件であること。
(3) 前面道路幅員による容積率制限の緩和に関する認定は、地区計画の内容に適合し、かつ、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がない建築物について行うことができること。また、斜線制限の緩和に関する認定は、地区計画の内容に適合し、かつ、敷地内に有効な空地が確保されていること等により、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がない建築物について行うことができること。

認定に当たっては、当該建築物の地区整備計画への適合性のみならず地区計画の整備、開発及び保全に関する方針における建築物の規制・誘導の方針等への適合性についても判断し、また、敷地内の工作物の設置状況も含め、敷地内の空地の状況等具体の建築計画を総合的に勘案し、市街地環境の悪化を防止することにより良好な環境の街区が形成されるよう十分に配慮すること。なお、隣地境界線に面して壁面の位置の制限が定められていない場合は、壁面を隣地環境線と接して設けることによって街並みを誘導するという趣旨が当該地区計画の整備、開発及び保全に関する方針に定められている場合を除き、隣地斜線制限及び北側斜線制限の緩和は、原則として行わないこと。

6 届出・勧告制度について

街並み誘導型地区計画の区域のうち地区整備計画が定められた区域内における土地の区画形質の変更、建築物の建築等の行為については、従来どおり、都市計画法第五八条の二第一項各号に掲げる場合を除き、市町村長に対する届出が必要であるが、都市計画法施行令及び建築基準法施行令の一部を改正する政令(平成七年政令第二一四号)により、都市計画法施行令第三八条の七第三号が改正され、街並み誘導型地区計画については、容積率の最高限度が地区計画条例で制限として定められていない場合であっても、建築確認を要する行為については届出は不要とされたものであること。なお、街並み誘導型地区計画に係る地区整備計画において定められている容積率の最高限度が、前面道路幅員による容積率を下回っている場合には、容積率の最高限度を地区計画条例で制限として定めなければ建築確保と届出がそれぞれ必要であることに留意すること。

7 他の地区計画制度との併用等について

(1) 街並み誘導型地区計画と用途別容積型地区計画の併用

1) 地区の特性から、建築物の形態を一体的に誘導し、併せて住宅の用途に供する建築物に係る容積率の制限の特例を設ける必要がある場合には、街並み誘導型地区計画と用途別容積型地区計画を併用し、建築基準法第六八条の三第三項及び第四項を適用すること。この場合において、容積率の最高限度については、「住宅地高度利用地区計画制度及び用途別容積型地区計画制度の運用について、」(平成二年一二月二〇日付け建設省都計発第一六七号、建設省住街発第一四六号建設省都市局長、建設省住宅局長通達)記の第2の4の(二)の(ホ)の規定については、「指定容積率」とあるのは「街並み誘導型地区計画において定められる容積率の最高限度」と読み替えて適用すること。
2) 街並み誘導型地区計画と用途別容積型地区計画とを併用する場合には、市街地の環境を悪化させることのないよう、建築物の高さの最高限度、壁面の位置の制限など建築形態の適切な制限、用途の適正配分等により良好な市街地環境の形成を適切に誘導する内容となるよう努めること。

(2) 街並み誘導型地区計画と容積の適正配分の併用

1) 地区の特性から、建築物の形態を一体的に誘導し、併せて区域を区分して容積を適正に配分する必要がある場合には、街並み誘導型地区計画と容積の適正配分を併用し、建築基準法第六八条の三第二項及び第四項を適用すること。この場合において、容積率の最高限度については、「地区計画制度の運用等について」(平成五年六月二五日付け建設省都計発第九六号、建設省住街発第八九号建設省都市局長、建設省住宅局長通達)記のIの2の(4)のロの(イ)の規定については、「指定容積率」とあるのは「街並み誘導型地区計画において定められる容積率の最高限度」と読み替えて適用すること。
2) 街並み誘導型地区計画と容積の適正配分とを併用する場合には、市街地の環境を悪化させることのないよう、建築物の高さの最高限度、壁面の位置の制限など建築形態の適切な制限等により良好な市街地環境の形成を適切に誘導する内容となるよう定めること。

(3) 街並み誘導型地区計画と誘導容積制度の併用

地区の特性から、建築物の形態を一体的に誘導するとともに、その交通状況等からみてその交通を処理する一部の主要な道路について拡幅が必要な場合に地区施設を定める必要がある場合には、建築物の形態を一体的に誘導する必要のある区域に街並み誘導型地区計画を定めるとともに、当該道路沿道について誘導容積制度を併用し、建築基準法第六八条の三第一項及び第四項を適用すること。この場合において、目標容積率については、街並み誘導型地区計画において定められる容積率の最高限度と同一の値として定めるとともに、暫定容積率は、前面道路幅員による容積率の値以下であって、指定容積率の変更と併せて行う場合には、変更前の指定容積率にも配慮して定めることとすること。

第3 再開発地区計画制度及び住宅地高度利用地区計画制度の拡充について

1 二号施設決定の弾力化について

従来、再開発地区計画を定めるに当たっては、都市再開発法第七条の八の二第二項第一号に規定する当該区域の整備及び開発に関する方針(以下「再開発地区計画の方針」という。)並びに同項第二号に規定する施設(以下「再開発地区計画の二号施設」という。)の配置及び規模を、住宅地高度利用地区計画を定めるに当たっては都市計画法第一二条の六第二項第一号に規定する当該区域の整備、開発又は保全に関する方針(以下「住宅地高度利用地区計画の方針」という。)並びに同項第二号に規定する施設(以下「住宅地高度利用地区計画の二号施設」という。)の配置及び規模を、それぞれ同時に定めることとされていたが、再開発地区計画又は住宅地高度利用地区計画を大規模な対象地域において定める場合には、再開発地区計画の二号施設又は住宅地高度利用地区計画の二号施設を定めることが困難な状況も生じていることから、これらを再開発地区計画の方針又は住宅地高度利用地区計画の方針を定めるのと同時に定めることを要しないものとしたものであること。
なお、本改正に伴い、「都市再開発法及び建築基準法の一部改正について」(昭和六三年一二月二二日付け建設省経民発第五二号、建設省都計発第一四〇号、建設省都再開発第一三一号、建設省住街発第一二四号、建設省建設経済局長、建設省都市局長、建設省住宅局長通達)の一部を別紙一のとおり改正し、「住宅地高度利用地区計画制度及び用途別容積型地区計画制度の運用について」(平成二年一一月二〇日付け建設省都計発第一六七号、建設省住街発第一四六号、建設省都市局長、建設省住宅局長通達)の一部を別紙二のとおり改正するので、その運用に遺憾のないようにすること。

2 住宅地高度利用地区計画の用途地域要件の緩和について

本改正は、従来、住宅地高度利用地区計画は、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域又は第二種中高層住居専用地域においてのみ定めることとされていたが、地域の特性に応じ、一部これらの用途地域以外の区域を含んで一体的に住宅地高度利用地区計画を決定することができるよう、用途地域要件を緩和し、大部分がこれらの用途地域内にある区域において住宅地高度利用地区計画を定めることができることとしたものであること。
なお、本改正に伴い、「住宅地高度利用地区計画制度及び用途別容積型地区計画制度の運用について」(平成二年一一月二〇日付け建設省都計発第一六七号、建設省住街発第一四六号、建設省都市局長、建設省住宅局長通達)の一部を別紙二のとおり改正するので、その運用に遺憾のないようにすること。

第4 一団地の住宅施設の面積要件の撤廃について

本改正は、従来、一団地の住宅施設については、一ヘクタール以上のものとされていたところであるが、大都市地域等の既成市街地において高度利用を図りながら良好な住宅市街地を開発整備する必要性が高まったこと等により、都心における中高層住宅の供給を目的として、一ヘクタールの面積要件を撤廃することとしたものであること。
なお、本制度の適用に当たっては、次の点に留意すること。
1 良好な居住環境を有する住宅及びその居住者の生活の利便の増進のために必要な施設を一団の土地に集団的に建設するという一団地の住宅施設の趣旨を損なうことのないよう、公園、緑地等の整備など一層良好な居住環境が確保されるよう努めること。
2 市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域であるので、市街化を促進する都市施設については、これを定めないものとすることを踏まえ、用途地域が定められている区域以外の区域において一団地の住宅施設の都市計画決定をする場合には、都道府県及び市町村の都市計画担当部局は農林水産担当部局と十分連絡調整を図ること。

第5 前面道路幅員による容積率制限の合理化について

既成市街地を中心に、道路に沿って有効な空間を確保しつつ土地の有効利用を図ることが重要であることにかんがみ、今回、住居系用途地域等前面道路幅員による容積率制限における係数が〇、四である地域内で、前面道路の境界線から後退して壁面線の指定等がある場合において、壁面線又は壁面の位置の制限として定められた限度の線(以下「壁面線等」という。)を越えない建築物については、当該前面道路の境界線は、当該壁面線等にあるものとみなして、前面道路幅員による容積率制限を適用することができることとしたものであること。
なお、本規定の適用については、次の点に留意すること。
1 前面道路幅員による容積率制限については、建築基準法第五二条第七項に基づく特定行政庁の許可による特例制度が既に設けられているが、本規定は、許可によらず、確認手続によるものであり、同項第一号及び第二号に掲げる基準に適合する必要はないものであること。また、前面道路の反対側の境界線から後退して指定された壁面線等については、本規定の適用はないものであること。
2 本規定は、建築主の判断により、その適用についての選択が可能であること。
3 本規定は、壁面線のみならず地区計画において壁面の位置の制限が定められ、かつ、地区計画条例による制限として定められている場合においても適用が可能であること。
4 本規定の適用は、壁面線等を越えない建築物を対象としているが、ひさし、門、塀等の小規模な突出部については、道路の上部空間の開放性に与える影響が小さいため、壁面線等を越えることを許容するものであること。なお、本規定を適用する建築物については、建築後も引き続きその現況等の把握に努めること。
5 本規定の適用による前面道路幅員による容積率制限の上限は、前面道路幅員のメートルの数値に〇、六を乗じた値であること。また、前面道路と壁面線等との間の部分の面積は、容積率の算定に当たり敷地面積に算入しないものであること。さらに、今回の改正において、建築基準法施行規則を改正し、建築確認申請書の様式を改めたところであるので、建築確認の審査においてはその点に留意すること。

第6 道路斜線制限の合理化について

近年、特に既成市街地を中心として、良好な居住環境を確保しつつ、土地の有効利用を図る必要性が高まっていること、また、道路斜線制限の限度一杯に建築物が建築されることによる上部が斜めに切り取られた不整形な建築物の出現を防ぐなど合理的な建築計画と適切な市街地環境との調和を図ることが重要であることにかんがみ、今回道路の上部空間の開放性を総合的に評価することにより道路斜線制限の合理化を行い、住居系用途地域における前面道路幅員が一二メートル以上である建築物について、前面道路の反対側の境界線からの水平距離が前面道路幅員の一・二五倍以上の区域内においては、道路斜線制限の勾配を一・五とすることとしたものであること。
なお、本規定の適用については、次の点に留意すること。
1 前面道路の境界線から後退した建築物については、建築基準法第五六条第二項に規定するいわゆるセットバック規定と同様の緩和措置を設けたものであること。なお、本緩和措置は、建築主の判断により、その適用について選択が可能であること。
2 建築基準法施行令第一三〇条の一二の改正においては、従来のセットバック規定を適用する場合と同様の趣旨により、建築基準法第五六条第四項の規定を適用する際の後退距離の算定に当たり建築物から除かれる部分として、物置、ポーチ、門、塀等の小規模な突出物等を定めたものであること。
3 前面道路の幅員が一二メートルに満たない場合であっても、壁面線等と前面道路の境界線との間の部分の幅員も含めて一二メートル以上である場合においては、第7で示すとおり、建築基準法施行令第一三一条の二第三項の規定による特定行政庁の認定により、前面道路の幅員が一二メートル以上である建築物として建築基準法第五六条第三項の規定が適用されるものであること。

第7 壁面線等を越えない建築物に係る道路斜線制限の緩和について

前面道路の境界線又はその反対側の境界線からそれぞれ後退して壁面線の指定がある場合等において、当該壁面線等を越えない建築物で特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるものについては、前面道路の境界線又はその反対側の境界線が当該壁面線等にあるものとみなして道路斜線制限を適用することとしたものであること。
これは、壁面線の指定等により道路に沿って有効な空間が確保された場合における道路斜線制限の緩和措置を設けたものであり、土地の有効利用を図りつつ、道路に沿って有効な空間を確保するとともに、整った街並みを形成する観点から有効なものであることから、次の点に留意しつつ、その積極的な活用を図ること。
1 本制度は、壁面線のみならず地区計画において壁面の位置の制限が定められ、かつ、これが地区計画条例に定められている場合においても適用が可能であること。
2 本制度は住居系用途地域に限定されるものではなく、商業系用途地域等においても適用可能であること。

第8 建築協定制度の拡充について

1 土地区画整理事業における仮換地権者の特例

従来、土地区画整理事業等が事業中である区域内における建築協定制度については、事業の従前と従後において所有関係等が異なるため、その活用が困難な面もあったことから、今回、土地区画整理事業等において仮換地が指定された段階で、仮換地に対応する従前の土地の所有者等が当該土地について建築協定を締結できることとしたものであること。
土地区画整理事業等の事業地区内においては、関係部局との連携を図りながら、仮換地の指定の段階での建築協定の締結を促進することにより、良好な街並みの形成に努めること。

2 建築協定区域隣接地

従来、建築協定制度については、既に締結、認可された建築協定に周辺の土地所有者等が参加しようとする場合、当該建築協定を廃止した上で、あらためて全員の合意による新たな建築協定の締結を必要としていたが、今回、建築協定区域隣接地制度を設け、建築協定区域の周辺の土地所有者等が後日当該建築協定に簡易な手続きにより参加できることとしたものであること。
建築協定区域隣接地制度は、建築協定によるまちづくりを、周辺市街地に拡大し、面的な展開を図ろうとする場合や、協定締結の同意が得られないこと等により建築協定区域の規模や形状が必ずしもまちづくりの単位として望ましいものでない場合等において有効な制度であり、その積極的な活用に努めること。

3 一人建築協定

本改正は、建築基準法第七六条の三に規定する一人建築協定について、その失効期間を一年から三年に延長することとしたものであるが、これは、協定の締結の一層の促進を図ることを目的としたものであり、民間宅地開発事業者等に対しても関係部局との連携のうえ、制度の活用について指導すること。

4 建築協定制度のより一層の活用について

建築協定制度については、前記1から3によるほか、既成市街地において道路に沿って連続した有効な空地を創出することによる質の高い市街地空間の形成、都心地域等住宅供給の促進が必要な地域における住宅の非住宅への用途転用の防止による良質な住宅市街地の形成と維持等に資する制度であることにかんがみ、制度の一層の普及及び活用に努めること。
特に、建築協定は、市町村条例により定めた区域においてのみ締結できることとされているので、現在条例を制定していない市町村に対しては、市町村における執行体制について配慮のうえ、必要に応じて条例制定について助言等を与えるよう努めること。


別紙一及び二〔略〕


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