「市街地再開発事業の円滑かつ迅速な推進について」は、平成一〇年七月七日付け建設省都再開発第七四号、同住街発第七二号をもって建設省都市局長及び住宅局長から通達されたところであるが、市街地再開発組合(以下「組合」という。)の設立認可又は権利変換計画認可に係る指導等については、行政手続法(平成五年法律第八八号)の目的とする行政運営における公正の確保と透明性の向上の観点から、さらに下記の点に留意し、運用に遺憾なきを期されたい。
1 行政指導のあり方について
行政指導については、行政手続法第三二条に規定するとおり、「行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意」し、また「相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない」点に留意する必要がある。
2 申請に対する審査応答義務について
行政手続法第七条は、申請がなされたときは遅滞なく当該申請の審査を開始するか、申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに申請者に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない旨定めている。すなわち、個々の申請が、権限ある機関の事務所に到達したにもかかわらず、申請を受け付けない、受理しない等の取扱いをし、その間に申請の取り下げや申請内容の変更を求める行政指導を行ったり、処理を遅延させる等の事態は許されないものである。
3 認可に係る審査基準の設定に関する留意点について
組合設立認可及び権利変換計画認可に係る審査基準の設定に関しては、特に以下の点に留意すること。
(1) 組合設立認可
組合設立の認可基準は、都市再開発法(昭和四四年法律第三八号)第一七条に規定されているとおりであり、関係権利者の同意割合については、同法第一四条に定めるように三分の二の同意があれば適法な申請といえるものである。したがって、これを超える一定の同意割合をもって認可の基準とし、これを満たさない限り認可をしないとすることは不適当と考えられる。
(2) 権利変換計画認可
権利変換計画認可に当たっては、都市再開発法第三章第二節に定める権利変換手続に関する規定に従い権利変換計画が策定されているか否かの審査を行うものであり、全員同意等関係者の一定の同意割合を基準とし、これを満たさない限り認可をしないとすることは不適当と考えられる。
4 標準処理期間について
行政手続法第六条は「行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努める」ことと規定している。今般、以下のとおり標準的な処理期間の目安となるものを定めたので、各行政庁においてはこれに準じ標準処理期間を定めるよう努め、市街地再開発事業の迅速化、手続の透明化に努めること。
(1) 組合設立認可
組合を設立しようとする者が都道府県知事の認可を受けようとする場合に、認可の申請に要する書類が都市再開発法施行規則(昭和四四年建設省令第五四号。以下「規則」という。)第二条第一項の規定により提出先とされている市町村長の事務所に到達してから、都道府県知事が当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間は、おおむね九〇日程度(事業計画に関する縦覧並びに意見書提出期間及び処理期間を含む。)とする。
イ 市街地再開発組合の設立認可の申請に要する書類が申請者から市町村長の事務所に到達した後都道府県知事の事務所に到達するまでに通常要すべき標準的な期間は、おおむね一〇日程度を目安とする。
ロ 市街地再開発組合の設立認可の申請に要する書類が市町村長から都道府県知事の事務所に到達した後都道府県知事が当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間は、おおむね八〇日程度を目安とする。
(2) 権利変換計画認可
認可の申請に要する書類が規則第二六条の規定により提出先とされている都道府県知事の事務所に到達してから、都道府県知事が当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間はおおむね六〇日程度とする。
(注一) 上記(1)及び(2)に定める期間は、適正な申請を前提とするものであり、形式上の不備の是正等を求める補正に要する期間を含まないものである。また、適正な申請がなされても、審査のため都道府県知事が申請者に必要な資料の提供等を求める場合は、申請者がその求めに応答するまでの期間は含まないものである。
(注二) 上記の期間は、申請の処理に要する期間の目安であり、その期間の経過をもって直ちに「不作為の違法」に当たることにはならないと考える。