建設省都再発第一四五号
平成一〇年一二月一一日

各都道府県担当部局長あて

建設省都市局都市再開発防災課長通達


都市局所管再開発緊急促進事業の運用について


都市局所管再開発緊急促進事業補助金交付要綱(以下「要綱」という。)については、平成一〇年一二月一一日付け建設省都再発第一四四号をもって建設省都市局長より通達されたところであるが、その運用に当たっては、さらに左記の点に留意の上、遺憾なきよう配慮されたい。

1 環境対応促進型事業の要件について

住宅部分については、住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主の判断の基準(昭和五五年二月二八日通産省・建設省告示第一号)又は住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する設計及び施工の指針(昭和五五年二月二九日建設省告示第一九五号)に適合すること。
非住宅部分については、建築物に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主の判断の基準(平成五年通産省・建設省告示第一号)に適合すること。

2 福祉対応促進型事業の要件について

住宅部分については、長寿社会対応住宅設計指針(平成七年六月二三日付け建設省住備発第六三号)及び設計指針の補足基準(平成七年六月二三日付け建設省住備発第六八号)を満たすこと。
非住宅部分については、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(平成六年法律第四四号)第二条に定める特定建築物が「特定施設を高齢者・身体障害者等が円滑に利用できるようにするための判断の基準(平成六年九月二七日建設省告示第一九八七号)」の第1基礎的基準に適合すること。

3 安全市街地形成促進型事業の要件について

要綱第3(5)中「建築基準法に基づく耐震関係規定、接道規定等に適合しない建築物が存在する等防災上問題のある」とは、次のいずれかに該当するものをいう。
(1) 建築基準法第二章及び第三章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定のうち建築物及び建築物の敷地に係る安全上、防災上、避難上及び通行の安全上の規定に適合しない建築物及び建築物の敷地が存在すること。
(2) 建築基準法第四二条第二項の規定に基づき特定行政庁の指定した道路が存在すること。

4 要綱第5第二号の規定による別途定める方法について

(1) 要綱第5第一号(1)中「省エネルギー化等環境負荷の低減を図るために付加的に要する費用」の算出は、以下の算式を用いてもよいこととする。

A=B1/10,000×C1+B2/10,000×C2

A:付加的費用の額
B1:別表1の1に掲げる環境対応促進項目のポイント合計
B2:別表1の2に掲げる環境対応促進項目のポイント合計
C1:1に掲げる要件を満たす施設建築物について、建築工事費(他の国庫補助金が交付される部分に相当する額を除く。)に非住宅部分の床面積(共用部分を含む)の全体床面積に対する割合を乗じたもの
C2:1に掲げる要件を満たす施設建築物について、建築工事費(他の国庫補助金が交付される部分に相当する額を除く。)に住宅部分の床面積(共用部分を含む)の全体床面積に対する割合を乗じたもの

なお、住宅部分と非住宅部分に共通な共用部分等住宅部分と非住宅部分に分けることが困難な部分にあっては、非住宅部分の床面積、住宅部分の床面積及び全体床面積から各々除いてC1及びC2を計算してよいこととし、非住宅部分に複数の用途が含まれる場合にも同様の考え方によること。

(2) 要綱第5第一号(2)中「バリアフリー化を図るために付加的に要する費用」の算出は、以下の算式を用いてもよいこととする。

A=B1/10,000×C1+B2/10,000×C2

A:付加的費用の額
B1:別表2の1に掲げる福祉対応促進項目のポイント合計
B2:別表2の2に掲げる福祉対応促進項目のポイント合計
C1:2に掲げる要件を満たす施設建築物について、建築工事費(他の国庫補助金が交付される部分に相当する額を除く。)に非住宅部分の床面積(共用部分を含む)の全体床面積に対する割合を乗じたもの
C2:2に掲げる要件を満たす施設建築物について、建築工事費(他の国庫補助金が交付される部分に相当する額を除く。)に住宅部分の床面積(共用部分を含む)の全体床面積に対する割合を乗じたもの

なお、住宅部分と非住宅部分に共通な共用部分等住宅部分と非住宅部分に分けることが困難な部分にあっては、非住宅部分の床面積、住宅部分の床面積及び全体床面積から各々除いてC1及びC2を計算してよいこととし、非住宅部分に複数の用途が含まれる場合にも同様の考え方によること。

(3) 要綱第5第一号(3)中「災害時に避難場所として活用可能な集会所、空地等公共的施設の整備費」のうち集会所、アトリウム等の施設(空地等以外のもの)に関する整備費の算出は、以下の算式を用いるものとする。

A=B×S1/S2+C

A:当該施設の整備費
B:施設建築物の建築工事費
S1:補助対象となる公共的施設の床面積の合計
S2:施設建築物の延床面積
C:当該施設の仕上等工事費

(注)
・当該施設は、集会所、アトリウム等のうち災害時に避難場所として活用可能な部分のみとする。
・他の補助対象項目で積算したもの(空地等整備費等)を重複積算しないこと。

5 要綱第5第一号(3)中「災害時に避難場所として活用可能な集会所、空地等公共的施設の用地相当額」のうち集会所、アトリウム等の施設(空地等以外のもの)に関する用地費の算出は、評価基準日における宅地評価額によるものとし、当該施設が施設建築物の一部となる場合には、以下の算出を用いるものとする。

A=B×C×D

A:当該施設の用地費相当額
B:評価基準日における当該施設の存する施設建築敷地内の宅地評価額の平均
C:当該施設の存する施設建築敷地の面積
D:権利変換計画に定められた当該施設の土地持ち分比の合計

(当該施設が権利変換計画上で一体となる施設の一部分である場合は、床面積割合により按分する。

(注)
・当該施設は、集会所、アトリウム等のうち災害時に避難場所等として活用可能な部分のみとする。
・施行者が取得済みの土地は、その取得額を宅地評価額とみなすこと。
・第二種市街地再開発事業においては、「評価基準日」を「算定基準日」、「権利変換計画」を「管理処分計画」と読み替えること。また、当該用地費に係る補助金交付申請が二ケ年以上にわたり、その間に算定基準日が変更された場合には、宅地評価額の平均を修正すること。

6 要綱第5第1号(3)中「用地費及び補償費」のうち空地等に関するものの算出は、公共施設管理者負担金(以下「管理者負担金」という。)の算出と同様に扱うものとする。また、管理者負担金で算出に使われた補償金は改めて補助対象としないが、管理者負担金による算出のうち、建築物等一部のみが算出の対象となっている場合は、その額を控除した額で補助対象とする。


別表1 環境対応促進項目

1 非住宅床の場合

項目
条件等
ポイント
1)外壁、屋根等に係る熱損失防止
PAL≦建築主の判断基準の基準値
50
 
PAL≦建築主の努力指針の基準値
100
2)空調設備に係る省エネルギー化
CEC/AC≦建築主の判断基準の基準値
80
 
CEC/AC≦建築主の努力指針の基準値
160
3)機械換気設備に係る省エネルギー化
CEC/V≦建築主の判断基準の基準値
20
 
CEC/V≦建築主の努力指針の基準値
40
4)照明設備に係る省エネルギー化
CEC/L≦建築主の判断基準の基準値
30
 
CEC/L≦建築主の努力指針の基準値
60
5)給湯設備に係る省エネルギー化
CEC/HW≦建築主の判断基準の基準値
20
 
CEC/HW≦建築主の努力指針の基準値
40
6)エレベーターに係る省エネルギー化
CEC/EV≦建築主の判断基準の基準値
15
 
CEC/EV≦建築主の努力指針の基準値
30
7)太陽光発電装置
発電能力10kW以上を有する太陽光発電装置を1式以上設置する
5
 
発電能力20kW以上を有する太陽光発電装置を1式以上設置する
10
8)太陽熱利用給湯
導入した場合
10
9)中水道
導入した場合
20
10)雨水再利用装置
導入した場合
10
11)設備配管のための階高増
(階高が3.6m以上の場合)
90
12)カーテンウォールの皮膜厚増
(皮膜厚が16μm以上の場合)
100

2 住宅床の場合

項目
条件等
ポイント
1)熱損失係数
省エネルギー基準を満たす断熱構造とする
90
 
次世代省エネルギー基準を満たす断熱構造とする
240
2)日射取得係数
0.10以下
80
 
0.08以下
120
3)太陽光発電装置
発電能力3kW以上を有する太陽光発電装置を1式以上設置する
15
 
発電能力5kW以上を有する太陽光発電装置及び蓄電能力200Ah以上を有する蓄電装置を1式以上設置する
25
4)太陽熱利用給湯(アクティブソーラー)
太陽熱を利用した給湯装置を原則として全住戸に設置する
45
5)太陽熱利用暖房(パッシブソーラー)
太陽熱を利用した暖房装置を全住戸の5%以上の住戸に設置する
5
 
太陽熱を利用した暖房装置を全住戸の10%以上の住戸に設置する
10
6)省エネルギー対応分電盤
過電流警報機能付分電盤を原則として全住戸に設置する
15
7)常時小風量換気
導入した場合
60

(注)
・建築主の判断基準:エネルギーの使用の合理化に関する法律に基づく建築主の判断基準(平成5年7月29日通商産業省・建設省告示第1号)
・建築主の努力指針:エネルギー等の使用の合理化及び再生資源の利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法に基づく建築主の努力指針(平成5年7月29日大蔵省・厚生省・農林水産省・通商産業省・運輸省・建設省告示第3号)
・16)については、共用通行部分整備費が補助対象となる事業については計上できない。
・21)及び2)については、住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主の判断の基準(昭和55年通商産業省・建設省告示第1号(平成4年改正))の算出方法による。また、住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する設計及び施工の指針(昭和55年建設省告示第195号(平成4年改正))への適合が確認されたものについては、自動的に170ポイント計上してよい。



別表2 福祉対応促進項目
1 非住宅床の場合

項目
条件等
ポイント
1)床仕上げ配慮
実施した場合
95
2)フリーアクセスフロア
導入した場合
150
3)身体障害者対応EV設置
基礎的基準適合
30
 
誘導的基準適合
60
4)車椅子対応エスカレーター設置
設置した場合
10
5)廊下・階段の幅員・勾配対応
基礎的基準適合
30
 
誘導的基準適合
70
6)誘導・注意喚起床材敷設
敷設した場合
5
7)階段手摺設置
基礎的基準適合
2
 
誘導的基準適合
5
8)音声触知図案内板
導入した場合
5
9)劇場、集会場等における車椅子対応
実施した場合
40
10)事務所における机面照度
500LX確保
20
 
700LX確保
60
11)ホテルにおける室内バリアフリー化
浴室・洗面等に実施した場合
20
12)博物館、美術館等文化施設での車椅子対応
実施した場合
20

2 住宅床の場合

項目
条件等
ポイント
1)共用廊下の床仕上げ
実施した場合
35
2)廊下・階段の幅員・勾配対応
実施した場合
80
3)手摺設置
設計基準適合
30
 
設計基準のうち推奨基準適合
60
4)身体障害者対応EV設置
設計基準適合
10
5)住戸内床段差解消
設計基準適合
30
6)住戸内手摺設置可能措置
設計基準適合
90
7)建具・設備(9)を除く)
設計基準適合
80
8)高齢者対応浴室
設計基準適合
100
 
設計基準のうち推奨基準適合
110
9)通報装置
設計基準適合
5
 
設計基準のうち推奨基準適合
10
10)浴室暖房
導入した場合
80

(注)
・基礎的基準:特定施設を高齢者・身体障害者等が円滑に利用できるようにするための判断の基準(平成6年9月27日建設省告示第1987号)第1基礎的基準
・誘導的基準:特定施設を高齢者・身体障害者等が円滑に利用できるようにするための判断の基準(平成6年9月27日建設省告示第1987号)第2誘導的基準
・設計基準:長寿社会対応住宅設計指針(平成7年6月23日建設省住備発第63号)及び設計指針の補足基準(平成7年6月23日付け建設省住備発第68号)に基づく基準
・11)及び2)に関し共用通行部分整備費が補助対象の事業については×0.8
・13)〜7)は共用通行部分整備費が補助対象の事業については計上できない。
・21)〜4)は共用通行部分整備費が補助対象の事業については計上できない。


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