都市再開発法(昭和四四年法律第三八号)に基づく認可手続の迅速化については、既に「市街地再開発事業の円滑かつ迅速な推進について」(平成一〇年七月七日付け建設省都再発第七四号、建設省住街発第七二号、建設省都市局長・住宅局長)及び「都市再開発法の認可に関する適正な手続の確保について」(平成一〇年七月七日付け建設省都再発第七五号、同住街発第七三号、建設省都市局都市再開発防災課長・住宅局市街地建築課長)をもって通知されたところであるが、今般、「都市再生のために緊急に取り組むべき制度改革の方向」(平成一三年一二月四日都市再生本部決定)及び「規制改革の推進に関する第一次答申」(平成一三年一二月一一日総合規制改革会議答申)において、別添一及び別添二のとおり指摘を受けたところである。
1 都市再開発法に基づく認可等に関する手続の適正な実施について
(1) 都市計画決定
市街地再開発事業の都市計画の決定は、事業化の見通しをもって行うことが必要ではあるが、地権者等の同意は要件とされていないことから、都市計画決定に当たり、大多数の地権者等の同意や、同意を証明する書面の提出を必要とするなど、過度に慎重な対応を行うことは不適当であること。
(2) 組合設立の認可
市街地再開発組合の設立の認可に当たっての関係権利者の同意割合については、都市再開発法第一四条に定めるとおり三分の二以上の同意があれば適法であり、都市再開発法第一七条各号のいずれにも該当しないと認めるときは、「認可をしなければならない」(都市再開発法第一七条柱書き)ものであること。
また、認可申請に要する書類が都市再開発法第一一条第四項の規定により提出先とされている市町村長の事務所に到達してから、都道府県知事が当該申請に対する処分をするまでの標準的な期間として、おおむね九〇日程度(事業計画の縦覧期間、意見書提出期間及び処理期間を含む。)を目安とすること。
(3) 権利変換計画の認可
権利変換計画の認可に当たっては、都市再開発法第三章第二節に定める権利変換手続に関する規定に従い権利変換計画が策定されているか否かの審査を行うものであり、認可に際して、全員同意等関係権利者の一定の同意割合を基準とし、これを満たさない限り認可をしないとすることは不適当であること。
また、認可申請に要する書類が都市再開発法施行規則(昭和四四年建設省令第五四号)第二六条の規定により提出先とされている都道府県知事の事務所に到達してから、都道府県知事が当該申請に対する処分をするまでの標準的な期間として、おおむね六〇日程度を目安とすること。
2 事業計画の軽微な変更等への適切な対応について
(1) 都市計画の計画書の記載内容
市街地再開発事業、高度利用地区、再開発地区計画等の都市計画の計画書に記載する内容については、過度に詳細化すると、軽微な内容の変更についても都市計画の変更を要することとなり、事業の遅延等を招くおそれがあるので、そのようなことのないように配慮すること。
(2) 同一街区内で複数の建築物を計画する場合の対応
同一街区内で複数の建築物を計画する場合、容積率の適切な配分変更等を円滑に行えるようにするため、建築基準法(昭和二五年法律第二〇一号)第八六条第一項の規定による一団地の総合的設計制度等を活用することが考えられること。ただし、関係権利者の全員の同意を得ることが困難な場合は、高度利用地区又は再開発地区計画等の都市計画において容積率の配分変更等を行うことが必要となるが、この場合、容積率の異なる区域の境界を地形地物に限定せず設定するなどにより、建築計画に支障のないものとすること。また、権利調整を進め建築計画を確定する段階において、建築物ごとの容積率の内訳について都市計画の変更が必要となる可能性があることを、当初の都市計画決定の時点で都市計画審議会等においてあらかじめ説明しておくなどの配慮をすること。
3 都市計画変更の手続の迅速化について
事業の進捗等に伴い事業計画の変更等が必要となった場合において、都市計画の変更により対応すべき場合には、迅速に手続を行うよう努めること。
4 権利変換期日後の土地の明渡し等に応じない場合における対応について
施行者は、市街地再開発事業に係る工事のために必要があるときは、施行地区内の土地又は物件の占有者に対して、期限を定めて、土地の明渡しを求めることができ(都市再開発法第九六条第一項)、この明渡しがなされない場合には、都道府県知事は、施行者の請求により、行政代執行を行うことができるものとされている(都市再開発法第九八条第二項)。
市街地再開発事業の施行に当たっては、権利者の要望を取り入れつつ、その円滑な実施を図っていくことが必要であるが、様々な調整等を経てもなお事業への協力が得られない権利者に対しては、土地の引渡し等の代執行も含めて、都市再開発法等の法令の規定に則した的確な対応を行うよう努めること。この場合、(社)全国市街地再開発協会の発行した「権利調整マニュアル(案)」を参考とされたい。
5 道路法に基づく路線認定等の手続について
市街地再開発事業の施行地区内において、市町村道等の路線の認定、廃止又は変更、道路区域の決定又は変更、供用の開始又は廃止が必要となる場合は、市街地再開発事業の施行者は、事業のスケジュール等を勘案して、道路法に基づくこれらの手続に関して、早期から道路管理者と調整を行うこと等により、円滑な事業の実施に努めること。