

建設省住街発第六四号
平成六年六月二三日
建設省住宅局長通知
人にやさしいまちづくり事業制度要綱
第一 目的
この要綱は、本格的な高齢社会の到来、都市化の進展等に対応して、高齢者及び障害者(以下「高齢者等」という。)に配慮したまちづくりの推進を図り、高齢者等の社会参加を促進するため、市街地における高齢者等の快適かつ安全な移動を確保するための施設の整備、高齢者等の利用に配慮した建築物の整備等を行う事業について、地方公共団体等に対し、国が必要な助成を行う制度を確立し、もって公共の福祉に寄与することを目的とする。
第二 定義
この要綱において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(一) 人にやさしいまちづくり事業
この要綱で定める人にやさしいまちづくり整備計画に従って行われる移動システム等の整備に関する事業(以下「移動システム等整備事業」という。)及び認定建築物の建築に関する事業(以下「認定建築物建築事業」という。)をいう。
(二) 移動システム
動く通路、スロープ、エレベーターその他の高齢者等の快適かつ安全な移動を確保するための施設(当該施設に附属する高齢者等の移動のための案内装置を含む。)をいう。
(三) 移動システム等
移動システム及びこれと一体的に整備される広場、空地、アトリウム、ホール、ラウンジ、トイレ、身体障害者用駐車施設等の公衆のために公開された空間をいう。
(四) 特定建築物
高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(平成六年法律第四四号)第二条に規定する特定建築物をいう。
(五) 認定建築物
高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律第七条に規定する認定建築物をいう。
第三 整備区域
人にやさしいまちづくり事業の整備区域は、移動システム等整備事業にあっては次の(一)及び(二)を、認定建築物建築事業にあっては次の(一)を満たす土地の区域とする。
(一) 次のイからヘまでに掲げる区域内にあること。
イ 首都圏整備法(昭和三一年法律第八三号)第二条第三項に規定する既成市街地、同条第四項に規定する近郊整備地帯又は同条第五項に規定する都市開発区域
ロ 近畿圏整備法(昭和三八年法律第一二九号)第二条第三項に規定する既成都市区域、同条第四項に規定する近郊整備区域又は同条第五項に規定する都市開発区域
ハ 中部圏開発整備法(昭和四一年法律第一〇二号)第二条第三項に規定する都市整備区域又は同条第四項に規定する都市開発区域
ニ 人口五万以上の市の区域
ホ すこやかで活力あるまちづくり基本計画策定・普及啓発推進事業(平成一二年五月一日付け老発第四七五号老人保健福祉局長通知)、若しくはバリアフリーのまちづくり活動事業(平成一三年四月一二日付け障発第一六七号障害保険福祉部長、老健局長通知)又はこれらの事業に準ずる事業が実施され、又は当該年度に実施が予定されている市町村(特別区を含む。以下同じ。)の区域
ヘ 中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律(平成一〇年法律第九二号)第六条の規定により市町村が作成する基本計画で定める中心市街地の区域であって、次に掲げる条件に該当する区域
1) 昭和三五年国勢調査による人口集中地区(ただし昭和三五年に人口集中地区が設定されていない場合については、人口集中地区の設定の基準を満たすとみなされる地区)
2) 商業地域又は近隣商業地域が相当部分を占める区域
3) 当該計画に位置づけられた市街地整備に関する施策と商業振興に関連する施策が、適切かつ緊密な連携をもって実施される区域
4) まちづくり協議会、商店街振興組合等地域の住民、事業者等による組織が当該計画の実現に積極的に参加すると認められる区域
(二) 公共的な特定建築物又は専ら高齢者等が利用する施設(以下「公共的特定建築物等」という。)が整備され、又は整備される予定のある区域で、高齢者等の快適かつ安全な移動を確保する必要性が高い区域であること。
第四 人にやさしいまちづくり整備計画の決定等
一 人にやさしいまちづくり整備計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
(一) 整備区域
(二) 整備区域における人にやさしいまちづくりの基本方針
(三) 整備区域の土地利用に関する事項
(四) 整備区域における公共的特定建築物等の整備に関する事項
(五) 整備区域における移動システム等の整備に関する事項
(六) 特定建築物(公共的なものを除く。)の整備の方針
(七) 交通安全事業と連携に関する方針
(八) その他必要な事項
二 都道府県知事は、人にやさしいまちづくり整備計画を定めるときは、あらかじめ、関係市町村の意見を聴き、かつ、国土交通大臣の承認を受けなければならない。
三 市町村の長は、人にやさしいまちづくり整備計画を定めるときは、あらかじめ、都道府県知事と協議し、かつ、都道府県知事を経由して国土交通大臣の承認を受けなければならない。
四 前二項の規定は、都道府県知事又は市町村の長が人にやさしいまちづくり整備計画を変更する場合に準用する。ただし、次に掲げる軽微な変更については、国土交通大臣への届出をもって足りるものとする。
(一) 一(三)に掲げる事項の変更で各用途別面積の一〇分の一未満を増減するもの
(二) 建築物に関する事項の変更で一(二)に掲げる基本方針に影響のないもの
五 大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法(昭和六三年法律第四七号)第九条に規定する認定計画(第一項に掲げる事項を全て包含するものに限る。)については、第二項及び第三項の承認を受けた人にやさしいまちづくり整備計画とみなす。
第五 地方公共団体の責務
都道府県知事及び市町村の長は、建築物、道路等の整備に関する施策と福祉施策の密接な連携の下に、整備区域の総合的整備が行われるよう人にやさしいまちづくり事業の促進その他必要な措置を講じるものとする。
第六 地方公共団体等に対する国の補助
一 国は、予算の範囲内において、地方公共団体に対し、人にやさしいまちづくり整備計画の作成(人にやさしいまちづくりの推進のためのコーディネート業務を含む。)に要する費用の三分の一以内を補助することができる。
二 国は、予算の範囲内において、地方公共団体又は都市基盤整備公団に対し、整備区域において人にやさしいまちづくり整備計画に従って行われる次に掲げる事業に要する費用の三分の一以内を補助することができる。
(一) 屋外の移動システムの整備
(二) 建築物の新築又は改修に伴い整備される屋内の移動システム(市街地における移動ネットワークの一部を形成するものに限る。)の整備
(三) 移動システムと一体的に整備される広場、空地、アトリウム、ホール、ラウンジ、トイレ等の公衆のために公開された空間の整備
(四) 移動ネットワークの一部を形成する身体障害者用駐車施設の整備(ただし、補助対象は身体障害者用駐車施設の整備により追加して必要となる費用に限る。)
第七 地方公共団体の補助に対する国の補助
一 国は、地方公共団体が地方公共団体以外の者に対し第六第二項各号に規定する事業に要する費用について補助する場合には、予算の範囲内において、その補助に要する費用の二分の一以内で、かつ、その事業に要する費用の三分の一以内を、当該地方公共団体に対し補助することができる。
二 国は、地方公共団体が地方公共団体以外の者に対し次に掲げる事業で認定建築物に係るものに要する費用について補助する場合には、予算の範囲内において、その補助に要する費用の二分の一以内で、かつ、その事業に要する費用の三分の一以内を当該地方公共団体に対し補助することができる。
(一) 屋外の移動システム(平面通路に限る。)の整備
(二) 屋内の移動システム(認定建築物内の公益的施設に至る経路に係るものに限る。)の整備
(三) 移動システムと一体的に整備される広場、空き地、アトリウム、ホール、ラウンジ、トイレ等の公衆のために公開された空間の整備
第八 交通安全事業等との連携
人にやさしいまちづくり事業(第七第二項に係るものを除く。)の実施に当たっては、これと関連して行われる交通安全事業等と充分な連携を図るものとする。
第九 監督等
国土交通大臣は、地方公共団体又は都市基盤整備公団に対し、この要綱の施行のために必要な限度において、人にやさしいまちづくり事業の適正な執行を確保するために必要な措置を命じ、又は必要な勧告、助言若しくは援助を行うことができる。
第一〇 雑則
人にやさしいまちづくり事業の運営は、この要綱に定めるところによるほか、別に住宅局長の定めるところによるものとする。
附 則
1 この要綱は、平成一三年四月一日から施行する。
2 福祉の街づくりモデル事業制度要綱(平成三年四月一一日付け建設省住街発第五七号建設事務次官通知)は、廃止する。ただし、施行日前に当該要綱に基づく事業を継続している地区については、当分の間、当該要綱を適用するものとする。
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