都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律(平成一一年法律第二五号。以下「改正法」という。)は、本年三月三一日に公布されたところであるが、今般、その一部が六月三〇日より施行されるとともに、これに併せて都市再開発法施行令(昭和四四年政令第二三二号)及び土地区画整理法施行令(昭和三〇年政令第四七号)の一部について所要の改正が行われ、同日付けで施行された。
なお、改正法のうち、今後施行される土地区画整理事業と市街地再開発事業の一部体的施行制度の創設及び土地区画整理士技術検定に係る指定検定機関制度の創設に係る部分については、別途通達するところによられたい。
第一 改正法の一部の施行
一 組合施行及び個人施行の市街地再開発事業に係る認可規定の改正等
1 市街地再開発組合の設立認可に係る規定の改正は、組合設立認可に係る手続きの透明性を高め、関係権利者の保護をより確実なものにするため、組合設立認可基準として都道府県知事の事業計画修正命令に違反しているかどうかを判断すべき旨を明記する(都市再開発法(昭和四四年法律第三八号。以下「法」という。)第一七条第二号)とともに、都道府県知事の命令を受けて事業計画を修正した場合の再縦覧の規定を整備(法第一六条第五項)した上で、都道府県知事は法第一七条各号のいずれにも該当しないと認めるときは「認可をしなければならない」(法第一七条柱書き)としたものである。
ついては、昨年通達した「都市再開発法の認可に関する適正な手続の確保について」(平成一〇年七月七日建設省都再発第七五号、建設省住街発第七三号都市再開発防災課長、市街地建築課長通達)の趣旨も踏まえ、今後とも適正な認可に努められたい。
2 個人施行については、関係権利者全員の同意に基づく事業であり、事業計画の縦覧、修正等の規定はないため、施行の認可に係る規定について「認可をしなければならない」(法第七条の一四柱書き)と改正し、認可手続きの透明性を高めることとした。
3 また、一により規定された組合事業に係る事業計画の再縦覧の規定は、地方公共団体及び住宅・都市整備公団等が施行する場合にも手続の透明性を高めるために準用することとした。この場合には、従来の縦覧手続の規定を踏まえ、
1) 地方公共団体施行の場合には、施行主体が自ら再縦覧を行うこととし、(法第五三条第二項)
2) 住宅・都市整備公団等が施行する場合には、建設大臣に申告して再縦覧を行うこととなる。(法第五八条第三項)
二 市街地再開発事業に係る地区外転出者に対する補償金等の算定方法の見直し
1 第一種市街地再開発事業(法第九一条)
第一種市街地再開発事業に係る地区外転出者に対する補償金等は、法第八〇条第一項に規定する三〇日の期間を経過した日(評価基準日)における従前権利の価額に、当該評価基準日から権利変換期日までの期間につき年六%の割合により算定した利息相当額を付して支払うこととされていた。(別添図11))
しかし、近年の経済情勢にかんがみ、利息相当額を年六%と固定することが不適切となっており、また、施行者は権利変換期日前に補償金を支払う場合にも権利変換期日まで利息相当額を付さなければならなかった。
このため、今回の改正では、評価基準日から施行者が補償金を支払うことが可能となる権利変換計画の認可の公告の日までの間については、法第一一八条の二三で用いられている物価変動修正率を乗じることとし、その後は施行者による速やかな補償金支払を促すため、当該修正率を乗じて得た額に権利変換計画の認可の公告の日から補償金を支払う日までの期間について年六%の割合により算定した利息相当額を付することとした。(別添図12))
また、施行者が地区外転出者に係る従前権利の価格として権利変換計画に定めた額について、収容委員会が法第八五条第一項の規定に基づき裁決を行い、権利変換計画で定めた額よりも多い価額を定めた場合の差額についても、評価基準日から権利変換計画の認可の公告の日までの間については物価変動修正率を用いることとし、その後権利変換期日までの間は年六%の割合により算定した利息相当額を付することとした。
ここで、物価変動修正率の算定に当たっては、算定期間中公表されている最近の全国総合消費者物価指数及び投資財指数を用いることとされているため(都市再開発法施行令第四六条の八の二)、譲受け希望の申出を撤回した日の直前にこれらの指数が公表される場合にも、指数の公表を待って物価変動修正率を算定する必要がある点に留意する必要がある。
なお、これらの改正規定の施行前に評価基準日が到来している場合には、改正規定の施行後にも従来の方法により補償金を算定することとされている。(改正法附則第二条)
この場合、法第七一条第一項の規定による三〇日の期間を経過した日が当該改正規定の施行日前であっても、当該施行日以降に同条第五項(同条第六項において読み替えて適用する場合を含む。)の規定により、新たな評価基準が設定された場合には、改正規定に基づき補償金等を算定することとなるので留意すること。
2 第二種市街地再開発事業(法第一一八条の一五等)
第二種市街地再開発事業において、譲受け希望の申出をした者が当該申出を撤回した場合に、その者の従前権利が契約又は収用により施行者に取得され、又は削滅しているときは、施行者は、当該者に対し、その対償として従前権利が施行者により取得等された時から当該対償を支払うまでの期間につき年六%の割合により算定した利息相当額を付して支払うこととされていた。(別添図21))
しかし、近年の経済情勢にかんがみ、利息相当額を年六%と固定することが不適切となっており、また、当初から転出を決めている権利者の取扱い(別添図22))との均衡をとる必要が生じていた。
このため、今回の改正では、従前権利が施行者により取得等された日から施行者が対償を支払うことが可能となる譲受け希望の申出を撤回した日までの間については、法第一一八条の二三で用いられている物価変動修正率を用いることとし、その後は施行者による速やかな対償支払いを促すため、譲受け希望の申出を撤回した日から当該対償に修正率を乗じて得た額を支払う時までの期間について年六%の割合により算定した利息相当額を付することとした。(別添図23))
ここで、物価変動修正率の算定に当たっては、算定期間中公表されている最近の全国総合消費者物価指数及び投資財指数を用いることとされているため(都市再開発法施行令第四六条の八の二)、譲受け希望の申出を撤回した日の直前にこれらの指数が公表される場合にも、指数の公表を待って物価変動修正率を算定する必要がある点に留意する必要がある。
なお、これらの改正規定の施行前に従前権利が施行者により取得等されている場合には、改正規定の施行後も従来の方法により対償等を算定することとされている。(改正法附則第二条)
三 特定建築者制度の拡充
従来、施行者は、権利変換計画又は管理処分計画において施行者がその全部を取得するよう定められた施設建築物(いわゆる保留床のみの施設建築物)に限って、特定建築者に建築させることができることとされていた。しかし、民間事業者を活用した事業推進を図るためには制約が大きく、十分な活用が図られているとはいえない状況にかんがみ、今回の改正により、第二種事業を含め、権利床のみからなる施設建築物以外のすべての施設建築物を対象に特定建築者制度を活用できるよう制度の拡充を図ることとした。ついては、民間事業者等の能力の活用を推進する観点から、当該制度の積極的活用に努められたい。
今回の制度拡充に係る改正規定の概要は以下の通りである。
1) 施行者は、権利変換計画又は管理処分計画の定めるところにより、施設建築物(全てが権利床であるものを除く。)の建築を特定建築者に行わせることができる。(法第九九条の二第一項、第一一八条の二八第一項)
2) 施行者は、特定建築者が建築する施設建築物(以下「特定施設建築物」という。)のうち自らが取得するもの(以下「保留床」という。)の全部又は一部を特定建築者に取得させる旨を権利変換計画又は管理処分計画において定める。(法第九九条の二第二項、第一一八条の二八第二項)
3) 特定建築者となる者の建築計画及び管理処分に関する計画は、事業計画に加えて権利変換計画又は管理処分計画に適合していなければならない。(法第九九条の三第二項、第一一八条の二八第二項)
4) 特定建築者は、自らの負担により特定施設建築物を建築し、保留床の全部又は一部を権利変換計画又は管理処分計画において定めるところにより取得する。(法第九九条の二第三項、第一一八条の二八第二項)
5) 施行者は、特定建築者が特定施設建築物の建築を完了した後に、施行者が所有する地上権等のうち、特定建築者が取得する保留床の所有を目的とする部分を特定建築者に譲渡する。(法第九九条の六第二項、第一一八条の二八第二項)
6) 特定建築者が取得する保留床以外の特定施設建築物の整備費は、本来施行者が負担すべきものであるため、当該整備費と5)の地上権等の譲渡対価とを清算する。(法第一〇四条第二項、第一一八条の二八第二項)
この場合、施行者が負担すべき特定施設建築物の整備費は、特定施設建築物全体の整備費から特定建築者が取得する保留床の整備費を控除する方法により算出し、当該特定建築者が取得する保留床の整備費は、都市再開発法施行令付録第二の式を用いて算出するものとする。(都市再開発法施行令第四一条の二、第四六条の一四)
第二 市街地再開発事業及び土地区画整理事業に係る分割徴収清算金に付すべき利子の利率に関する規定の改正
一 市街地再開発事業に係る分割徴収清算金に付すべき利子の利率に関する規定の改正(都市再開発法施行令第四二条)
法第一〇六条第一項(第一一八条の二四第二項において準用する場合を含む。)の規定により清算金を分割徴収する場合には、年六%の利率で利子を付することとされていたが、近年の経済情勢をかんがみると年六%の利率は相対的に高く、本来清算金の徴収を受ける権利者の便宜を図るための制度である分割徴収制度の活用が図りにくい状況となっていた。
このため、今回の改正において、分割徴収清算金に付すべき利子の利率は、年六%以内で施行者が定めることとし、清算金の強制徴収を行える市街地再開発組合、地方公共団体等については、その他の分割徴収に関し必要な事項と同様に定款又は施行規程で定めなければならないこととした。
なお、個人施行の場合については、分割徴収清算金に付すべき利子の利率その他清算金の分割徴収に関し必要な事項を定める方法は特定されていないが、基準又は規約において定めることを排除するものではない。
また、本政令の施行の際現に施行中の市街地再開発事業については、改正規定に基づき施行者が定めた分割徴収清算金に付すべき利子の利率が適用されるまでの間は、なお従前の例により年六%の利率により利子が付されることとされている。(改正政令附則第二条)
二 土地区画整理事業に係る分割徴収清算金に付すべき利子の利率に関する規定の改正(土地区画整理法施行令第六一条)
土地区画整理法第一一〇条第二項の規定により清算金を分割徴収する場合には、年六%の利率で利子を付することとされていたが、近年の経済情勢をかんがみると年六%の利率は相対的に高く、本来清算金の徴収を受ける権利者の便宜を図るための制度である分割徴収制度の活用が図りにくい状況となっていた。
このため、今回の改正において、分割徴収清算金に付すべき利子の利率は、年六%以内で施行者が定めることとし、その他の分割徴収又は分割交付に関し必要な事項と同様に基準、規約、定款又は施行規程で定めなければならないこととした。
なお、本政令の施行の際現に施行中の土地区画整理事業については、施行者が改正規定に基づき基準等に定められた分割徴収清算金に付すべき利子の利率が適用されるまでの間は、なお従前の例により年六%の利率により利子が付されることとされている。(改正政令附則第三条)
また、清算金の分割交付の際には当該清算金に付すべき利子の利率については、施行者による清算金の早期交付を促進することが権利者の保護に資する等の観点から、従来どおり年六%の定率としている。