標記方針については、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法(昭和五〇年法律第六七号。以下「法」という。)第三条の六の規定に基づき、新たに、大都市地域に係る都市計画区域で住宅及び住宅地の供給を促進するため良好な住宅市街地の開発整備を図るべきものとして建設大臣が指定する都市計画区域について定めなければならないこととされ、「大都市地域における住宅及び住宅地の供給に関する基本方針の施行等について」(平成三年六月二四日建設省住政発第七一号、建設事務次官通達)により、その策定に当たっての基本的事項について通達されたところである。今般、同方針策定のための基準その他の事項を左記のとおり定めたので、これにより、計画、事業担当部局間で充分協議、連絡を図りその策定に努めるとともに、これに基づく良好な住宅市街地の開発整備の一層の推進に努められたい。
一 住宅市街地の開発整備の方針について
住宅市街地の開発整備の方針(以下「住宅地整備方針」という。)は、大都市地域に係る都市計画区域で平成三年三月二八日付け建設省告示第七九九号により建設大臣が指定したものの区域内における、住宅及び住宅地の供給を促進するため行う良好な住宅市街地の整備又は開発の方針として、当該都市計画区域に係る市街化区域及び市街化調整区域の整備、開発又は保全の方針(以下「整備、開発又は保全の方針」という。)において定めるものである。
住宅市街地の開発整備については、従来より、必要に応じて、整備、開発又は保全の方針において定めることとされているが、今般新たに、住宅地整備方針として内容を充実し、その策定を義務付けることを明文で明らかにすることにより、住宅及び住宅地の供給促進に係る施策を総合的に講じ、もって良好な住宅市街地の一層計画的な開発整備の推進を図ろうとするものである。
この住宅地整備方針は、良好な住宅市街地の開発整備を図るための長期的かつ総合的なマスタープランであり、都市計画区域内の住宅市街地の開発整備の目標及び方針に従って、住宅市街地の開発整備の構想の明確な位置付けを行うとともに、住宅市街地に係る土地利用、市街地開発事業及び都市施設等の計画を一体的に行うことにより、住宅市街地の開発整備に関する個々の事業を効果的に実施すること、民間の建築活動等を適正に誘導すること等をねらいとしている。
住宅地整備方針は以上のような目的を有するものであり、以下の点に留意してできるだけ速やかに定めること。
二 住宅地整備方針の策定について
(一) 基本的留意事項
住宅地整備方針は、当該都市の基本構想等を踏まえ、都市計画に関する基礎調査等を活用して、法第三条の六第一項に基づき建設大臣が指定する都市計画区域内の住宅市街地の開発整備の目標及び良好な住宅市街地の開発整備の方針並びに同項第二号に定める地区(以下「重点地区」という。)及び当該地区の整備又は開発の計画の概要を定めるものとする。
この場合においては、重点地区において将来実施されることとなる土地区画整理事業、市街地再開発事業、住宅街区整備事業等の面的整備事業及び公的住宅建設事業等並びに土地区画整理促進区域、住宅地高度利用地区計画等による規制・誘導について十分配慮すること。
また、住宅地整備方針は都府県の定める供給計画に適合するように定めなければならないこととされていることから、住宅地整備方針を定めるに当たっては、住宅・宅地担当部局と緊密な連絡調整を図ること。
(二) 住宅市街地の開発整備の目標等
当該都市計画区域について、次の事項を定める。
(イ) 住宅市街地の開発整備の目標
当該都市計画区域において実現すべき住宅市街地のあり方、住宅の建設及び更新、良好な居住環境の確保等に係る目標を定める。
(ロ) 良好な住宅市街地の整備又は開発の方針
イ 住宅市街地の適切な配置及び密度の確保、その他の適切な土地利用の実現に関する事項
ロ 既成住宅市街地の更新・整備及び新住宅市街地の開発に関する事項
ハ 良好な居住環境の整備改善に関する事項
ニ その他良好な住宅市街地の整備又は開発に関して特に必要な事項
(三) 重点地区の選定及び当該地区の整備又は開発の計画の概要
(イ) 重点地区の選定基準
重点地区は、特に計画的な住宅市街地の整備又は開発が必要な地区として住宅地整備方針に定める地区である。
重点地区の選定に当たっては、住宅市街地の開発整備の目標、都市全体の整備構想を踏まえつつ、公共施設の整備状況及び将来の見通し、土地利用の状況、面的整備事業の実施可能性等を総合的に勘案して、都府県の定める供給計画の重点供給地域において、次のイ、ロに掲げる地区を定めること。
なお、法第三条の六第一項第二号の規定は、重点地区を既存の市街化区域において優先的に定めることを趣旨としており、「イ又はイ及びロに掲げる地区」とされているとおり、イに掲げる地区は必ず定めるものとし、ロに掲げる地区のみを定めることはできないものであること。
イ 一体的かつ総合的に良好な住宅市街地を整備し、又は開発すべき市街化区域における相当規模の地区
市街化区域内において、工場跡地等の低・未利用地、農地、低層住宅密集市街地などの既存住宅地等を含む一団の土地の区域であって、土地区画整理事業、市街地再開発事業、住宅街区整備事業等の面的整備事業の実施又は住宅地高度利用地区計画、再開発地区計画等の都市計画決定を行うこと等により、良好な住宅市街地として計画的に開発整備すべき相当規模の地区
ロ 市街化区域の市街化の状況等を勘案し、良好な住宅市街地として計画的に開発することが適当と認められる市街化調整区域における相当規模の地区
当該都市計画区域の市街地内人口の目標値(以下「人口フレーム」という。)の一部を保留している場合で、当該保留された人口フレームのうち、計画的な市街地整備の実施の見通しがある程度立っているものとして、整備、開発又は保全の方針にその位置を明らかにしうる市街化調整区域内の土地の区域であって、特に土地区画整理事業等により良好な住宅市街地として計画的に開発整備することが適当である相当規模の地区
(ロ) 整備又は開発の計画の概要
次のイからハの事項を定めるとともに、必要に応じてニからトの事項を定めるものとする。
イ 地区の整備又は開発の目標
ロ 用途、密度に関する基本的方針、その他の土地利用計画の概要
ハ 都市施設及び地区施設の整備の方針
ニ 良好な住宅市街地の整備又は開発の推進のために必要な公共及び民間の役割、開発整備の促進のための条件の整備等の措置
ホ おおむね五年以内に実施が予定されている土地区画整理事業、市街地再開発事業、住宅街区整備事業等の面的整備事業又は住宅建設事業等のうち主要な事業の計画の概要
ヘ おおむね五年以内に決定又は変更が予定されている高度利用地区、特定街区等の地域地区、土地区画整理促進区域、住宅街区整備促進区域等の促進区域、都市施設、再開発地区計画、住宅地高度利用地区計画その他の地区計画等の都市計画に関する事項
ト その他特記すべき事項
三 良好な住宅市街地の開発整備の推進について
開発整備の方針に従い、重点地区において次のような措置を積極的に講ずるとともに、その他の地域においても、住宅市街地の開発整備を促進するための必要な都市計画上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(イ) 土地区画整理促進区域、住宅地高度利用地区計画をはじめ、市街地再開発促進区域、住宅街区整備促進区域、遊休土地転換利用促進地区、地区計画、再開発地区計画その他の都市計画の決定
(ロ) 土地区画整理事業、新住宅市街地開発事業、市街地再開発事業、住宅街区整備事業等の面的整備事業の実施及び良好な住宅市街地の整備に関連して必要となる道路、公園等の都市基盤施設その他の公共の用に供する施設の整備