建設省都再発第一〇五号
平成七年五月二五日

建設事務次官通知


大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律の施行について


大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律(平成七年法律第一五号)は平成七年三月一日に、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法施行令の一部を改正する政令(平成七年政令第二一五号)及び大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令(平成七年建設省令第一四号)は平成七年五月二四日に、それぞれ公布され、いずれも平成七年五月二五日から施行された。
本改正の趣旨を踏まえ、左記の事項に十分留意の上、法令に基づく制度の的確かつ円滑な運用に特段の御配慮をお願いする。

1 法改正の趣旨

今日まで、国民の居住水準は全体として着実に向上してきているが、大都市地域においては、通勤時間の増大による中堅所得者の住宅立地に対する不満や都心における便利な生活のニーズの高まり等を背景に、都心の地域を中心として良質な住宅に対する著しい需要が存在し、また、災害に強いまちづくりを積極的に推進していくことが喫緊の課題となっているところである。このような状況に適切に対処するためには、大都市地域の都心の地域を中心として良質な住宅及び住宅地の円滑な供給を促進することが不可欠である。
このため、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法(以下「法」という。)を改正し、供給基本方針の策定に際し旨とすべき事項に、居住に関する機能の低下を来たしている大都市地域内の都心の地域及びその周辺の地域における居住に関する機能の向上を総合的に推進することを追加するとともに、これらの地域において良質な共同住宅を供給する都心共同住宅供給事業の制度を創設し、また、住宅及び住宅地の供給と併せて道路、公園等の公共施設の整備を行い良好な住宅市街地を形成する特定土地区画整理事業及び住宅街区整備事業の拡充を図ることとしたものである。
法の積極的な活用により、大都市地域における都心地域を中心とした安全で快適な都市居住が実現されるよう努められたい。

2 特定土地区画整理事業の推進について

(1) 大都市地域において、低・未利用地を活用し、良好な住宅市街地の整備を推進するため、特定土地区画整理事業を機動的、弾力的に実施することが求められているところであり、本改正による土地区画整理促進区域の指定要件の緩和、特定土地区画整理事業の施行地区の面積要件の緩和等の内容を適切にいかしつつ、特定土地区画整理事業の一層の推進に努めること。
(2) 特定土地区画整理事業の実施により、ゆとりをもった良好な生活環境の形成、計画的土地利用の早期実現を誘導するための公益的施設の適切な整備を促進し、特色ある質の高い生活空間の実現を図るため、本改正により設けられた医療施設、社会福祉施設等居住者の共同の福祉又は利便のため必要な施設の用に供するための保留地制度の積極的な活用に努めること。

3 住宅街区整備事業の推進について

大量の住宅の供給と良好な住宅街区の整備を図るため、土地の集約及び基盤整備を行った上で施行者自ら中高層住宅の建設を行う住宅街区整備事業は、大都市地域において良質な住宅を供給するための事業手法として積極的な活用を図ることが求められているところであり、本改正による住宅街区整備促進区域の指定要件の緩和及び住宅街区整備事業の面積要件の緩和の内容を適切にいかしつつ、住宅街区整備事業の一層の推進に努めること。

4 都心共同住宅供給事業について

(1) 都心共同住宅供給事業が実施される地域

都心共同住宅供給事業は、改正後の大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法施行規則第一条に規定するとおり、東京都の特別区の区域、大坂市の区域及び名古屋市のいわゆる旧市街地の区域(首都圏、近畿圏及び中部圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律施行令(昭和四一年政令第三一八号)第一条に規定する区域)であって、改正後の法第三条の三第二項第四号の住宅及び住宅地の供給を重点的に図るべき地域(いわゆる重点供給地域)の区域において実施されるものであること。

(2) 計画の認定

1) 法第一〇一条の三の規定に基づく計画の認定については、認定を行う都知事、大阪市長又は名古屋市長(以下「認定権者」という。)が、法第三条の三に規定する供給計画を踏まえ、良質な中高層の共同住宅の供給を促進する必要性を勘案して行うものであること。
2) 賃借人又は譲受人の選定については、共同住宅の供給に対し公的助成が行われることにかんがみ、認定権者は、その選定が公正に行われるよう認定事業者に対する指導を徹底すること。
3) 本事業においては、民間事業者による良質な中高層の共同住宅の供給が期待されていることから、説明会の開催等により、本事業の趣旨及び内容、認定基準その他認定の方針等について周知徹底に努めること。
4) 本事業による中高層の共同住宅の供給は、東京都にあっては各特別区、大阪市にあっては大阪府、名古屋市にあっては愛知県の住宅政策と密接な関係を有するものであることから、認定権者は、認定基準その他認定の方針等についてこれら特別区、府又は県と十分に調整し、相互に連携して適切な共同住宅の供給が行われるよう配慮すること。

(3) 共同住宅の管理又は譲渡

都心共同住宅供給事業については、認定基準を満たす良質な中高層の共同住宅及び関連公益的施設が建設又は整備されるだけでなく、その管理及び譲渡が適正に行われることが重要であること。このため、認定計画に従い管理又は譲渡が適正に行われるよう、適宜認定事業者に対し報告を求め、必要な助言及び指導を行うとともに、認定事業者が認定計画に従って住宅の管理又は譲渡を行っていないと認めるときは、改善命令を行う等所要の措置を講じること。

(4) 都心共同住宅供給事業に係る助成措置

1) 都心共同住宅供給事業に係る費用の補助等の各種の助成措置については、本事業が実施される区域に係る地方公共団体において、地域の住宅事情や市街地の特性に応じ、規模、構造、設備等に関し良質な中高層の共同住宅等の供給及び良好な居住環境の確保が図られるよう、的確な実施に努めること。
2) 都心共同住宅供給事業に係る費用の補助等は、都府県、市又は特別区のいずれにおいても行うことができるものであり、地域の住宅事情等に応じた適切な助成措置がとられるよう都及び特別区又は府県及び市相互間で十分に連絡・調整を行うこと。

(5) 公共施設等の整備

本事業の実施と併せ適切な公共施設等の整備がなされた良好な居住環境の住宅市街地が形成されるよう、関係機関との緊密な連携に努めること。

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