建設省都再発第九九号
平成三年一一月一日

都道府県知事・政令指定都市の長あて

建設省都市局長通知


駐車場法の一部改正について


道路法及び駐車場法の一部を改正する法律(平成三年法律第六〇号)は平成三年五月二日に、道路法施行令及び駐車場法施行令の一部を改正する政令(平成三年政令第三一七号)は同年一〇月四日に、路外駐車場に関する届出等に関する省令の一部を改正する省令(平成三年運輸省・建設省令第二号)は同年一〇月二八日にそれぞれ公布され、同年一一月一日より施行されたところであるが、改正後の駐車場法(昭和三二年法律第一〇六号。以下「法」という。)及び関連する政令、省令の運用に当たっては、特に左記の事項に留意して、積極的にその目的の達成に努められるとともに、この旨を貴管下市町村に周知徹底方取り計らわれたい。

一 国及び地方公共団体の責務について(法第二条の二関係)

(一) 改正内容について

近年の深刻な駐車場不足が、都市における中心市街地の活力低下、交通渋滞及び交通事故の増大等を招いている現状にかんがみ、国及び地方公共団体がそれぞれの立場で総合的かつ計画的に駐車場整備を推進することが求められている。
すなわち、駐車場行政に関係する機関が一致協力し、官民の適切な役割分担のもとに、駐車場の整備とともにその有効利用も併せて推進する等駐車場対策を総合的に推進することが必要である。
また、駐車場対策が、総合的な都市整備の一環として、駐車場整備計画の策定等を通じて計画的に推進されることが必要である。
このため、国及び地方公共団体の駐車場の総合的かつ計画的な整備の推進に関する責務を明確にしたものであること。

(二) 国及び地方公共団体の具体的な施策の分担について

1) 駐車場対策を推進する場合においては、各都市ごとの駐車場不足を背景として発生している都市機能の低下、交通混雑及び交通安全の低下等の状況を十分に考慮する必要があること、その都市の上位計画や都市計画、都市施策等との整合を図る必要があること等にかんがみ、駐車場対策を推進する第一義的な責務を有する主体は、市町村であるべきと考えられること。

したがって、市町村は、当該市町村における駐車場整備の必要性等の的確な把握に努め、必要に応じ、都市計画において駐車場整備地区(法第三条第一項)を定めるとともに、同地区に関する都市計画を定めた場合においては、駐車場の需要及び供給の現況及び将来の見通しを踏まえて、駐車場整備のマスタープランである駐車場整備計画(法第四条第一項)を定めること。

2) 国及び地方公共団体は、必要な駐車場の都市計画決定、駐車場の整備に関する事業を推進するとともに、駐車場整備に係る補助、融資及び税制等の特例措置を活用し、民間等による駐車場整備の促進に努める責務を有すること。

また、地方公共団体は、必要に応じて、駐車場法第二〇条及び第二〇条の二の規定に基づく附置義務条例の制定等を行う責務を有すること。

二 駐車場整備地区について(法第三条関係)

(一) 改正内容について

従来、都市計画に駐車場整備地区を定めることができるのは、都市計画法第八条第一項第一号の商業地域又は近隣商業地域内において自動車交通が著しくふくそうする地区を核とする地区としてきたところであるが、同号の住居地域又は準工業地域においても、商業地域又は近隣商業地域と同程度又はそれ以上に自動車交通のふくそうが著しい地域が増えてきている現状にかんがみ、住居地域又は準工業地域(同項第二号の特別用途地区で政令で定めるものの区域内に限る。)を駐車場整備地区の核となる地区に追加することとしたものであること。
この場合において、特別用途地区で政令で定めるものは、改正後の駐車場法施行令(昭和三二年政令第三四〇号。以下「政令」という。)第一条の規定により、商業・業務系用途の集積の保護・育成を図るべき地区として都市計画上位置付けられている小売店舗地区、事務所地区、娯楽・レクリエーション地区及び特別業務地区の四地区とされたところであること。
なお、駐車場整備地区の核となる地区の周辺の地区については、その用途地域のいかんにかかわらず、一定の要件に合致すれば、従前と同様、駐車場整備地区に含めることができるので念のため申し添える。

(二) 駐車場整備地区を定めるに当たっての留意点

駐車場整備地区は、重点的に駐車場整備を行うべき地域に関して定めるものであるが、同地区に関する都市計画が定められた場合、市町村に対する駐車場整備地区の策定義務(法第四条)、地方公共団体による駐車場整備計画に基づく路上駐車場の設置(法第五条)、建設大臣、都道府県知事又は市町村に対する路外駐車場に関する都市計画決定努力義務及び地方公共団体に対する都市計画駐車場整備義務(法第一〇条)並びに地方公共団体による附置義務条例の制定(法第二〇条、第二〇条の二)といった効果が生ずるものであること。
したがって、総合的かつ計画的な駐車場対策を推進するため、自動車交通のふくそうが著しい地区など、駐車場整備の必要性等が顕在化している地区を中心に、積極的に駐車場整備地区を定めること。

三 駐車場整備計画制度の創設について(法第四条関係)

(一) 改正内容について

従来、駐車場整備地区においては、市町村は路上駐車場設置計画を定めることとされてきたが、路上駐車場のみならず路外駐車場も含めた駐車場の総合的かつ計画的な整備の推進を図ることが要請されてきていることから、当該地区の路上駐車場及び路外駐車場双方に係る総合的な駐車場整備に関するマスタープランである駐車場整備計画を定めることを義務付けることとしたものであること。

(二) 駐車場整備計画の内容について

駐車場整備計画においては、以下の1)、2)、3)、4)及び5)に掲げる事項のうち、地域の実情に応じて必要な事項を定めること。
1) 法第四条第二項第一号の「路上駐車場及び路外駐車場の整備に関する基本方針」は、駐車場整備地区内における、駐車場問題の現況(駐車場不足を背景として発生している都市機能の低下、交通混雑、交通安全の低下等)及び当該現況を踏まえた市町村の駐車場対策に臨む基本方針を定めること。
2) 法第四条第二項第二号の「路上駐車場及び路外駐車場の整備の目標年次及び目標量」は、駐車場整備地区内における当面の路上駐車場及び路外駐車場の整備の目標とする年次を市町村の実情に応じて設定するものとし(おおむね一〇年後程度)、当該目標年次に向けての整備目標台数を設定すること。この場合、当該駐車場整備地区の駐車需要は、原則的には路外駐車場で吸収することが望ましいことに留意して設定すること。

なお、目標量には、道路交通法(昭和三五年法律第一〇五号)の規定に基づき公安委員会が設置するパーキング・メーター等は含まれないので念のため申し添える。

3) 法第四条第二項第三号の「路上駐車場及び路外駐車場の整備の目標量を達成するために必要な路上駐車場及び路外駐車場の整備に関する施策」は、駐車場整備地区内における路上駐車場及び路外駐車場の供給方針と、それに対する公共と民間の整備の分担及びそれぞれの整備を推進するための施策(公共駐車場の整備施策、民間駐車場の整備施策、建築行為に伴う駐車施設の附置に関する施策、駐車場の有効利用に関する施策等)等について定めること。
4) 法第四条第二項第四号の「地方公共団体の設置する路上駐車場で駐車場整備地区内にある路外駐車場によっては満たされない自動車の駐車需要に応ずるため必要なものの配置及び規模並びに設置主体」については、従来の「路上駐車場設置計画」に該当するものであり、駐車需要はあくまで路外駐車場で吸収することが望ましいものであることから、路外駐車場によっては満たされない駐車需要に応ずるため必要な路上駐車場に限って定めること。また、当該路上駐車場の配置及び規模を定める場合においては、政令第二条に掲げるところにより定めること。
5) 法第四条第二項第五号の「主要な路外駐車場の整備に関する事業の計画の概要」は、駐車場整備計画の円滑な達成を図るために必要と判断される個別の路外駐車場の整備を地方公共団体としても特に推進していくために定めるものであり、都市計画駐車場やこれに準ずる特に重要な路外駐車場の整備に関する事業の計画の概要を定めるものであること。具体的には、「主要な路外駐車場」とは、都市計画駐車場、法第一二条の規定により届け出なければならない駐車場(以下「届出駐車場」という。)又は公的融資を受ける駐車場とし、以下の点に留意して、2)の目標年次までに事業化が見込まれるものについて、その位置、規模及び事業主体等の個々の路外駐車場の計画の概要を定めること。

また、駐車場整備計画の策定後においても、路外駐車場の新設又は増設が発生することとなるところであり、これらのうち前記観点から適当と考えられるものを必要に応じて当該計画において「主要な路外駐車場」として位置付けるため、法第四条第二項第五号に掲げる事項については、年一回程度適当と定める時期に見直しを行うものとすること。ただし、事業が完了し供用が開始された主要な路外駐車場について、その事業の完了をもって当該計画から削除することを意味するものではないので、念のため申し添える。
イ 駐車場整備計画策定前に整備された路外駐車場の取扱いについて

駐車場整備計画策定後に新設される主要な路外駐車場については、把握できる限りの全てを定めることとするが、駐車場整備計画策定前に設置された既存の駐車場については、定めないこと。

ロ 増設の場合の取扱いについて

駐車場の増設事業が行われる場合については、当該増設前の駐車場自体が主要な路外駐車場として駐車場整備計画に既に位置付けられているときは、当該増設部分の規模のいかんにかかわらず、増設前の駐車場に係る事業の計画の概要に付加して増設の事業に係る計画の概要を定めること。当該増設前の駐車場自体が駐車場整備計画に位置付けられていないときは、増設に伴い、都市計画駐車場として位置付けられる場合、届出駐車場として届出される場合又は公的融資を受けることとなる場合に限り、当該増設の事業に係る計画の概要のみを定めること。

ハ 一般公共以外の用に供される部分(いわゆる月ぎめ駐車に供する部分)から一般公共の用に供される部分(いわゆる時間駐車に供する部分)への転用の取扱いについて単なる転用については、設備投資をほとんど要せず、「整備」に該当するとは言い難いこと等にかんがみ、定めないこと。

(三) 駐車場整備計画を定めるに当たっての留意点

1) 駐車場整備計画を定めるに当たっては、身体障害者の運転する自動車について配慮するとともに、当該計画には三(二)に掲げるもののほか、駐車場整備の必要性等の状況に応じて、商店街等荷さばきの頻度が高い地区における荷さばき施設の整備の方針に関すること、集合住宅等における駐車施設の整備の方針に関すること等の事項を定めることができること。
2) 関係機関との協議等について

市町村は、駐車場整備計画を定めるに当たっては、法第四条第三項の定めによるほか、以下の点に留意して関係機関との協議等を行うこと。
イ 市町村は、駐車場整備計画を定めるに当たっては、あらかじめ、地方運輸局長の意見を聴くとともに、当該計画を定めたときは当該地方運輸局長に遅滞なく当該計画を通知すること。
ロ 市町村は、駐車場整備計画を定めようとする対象区域内に日本国有鉄道清算事業団(以下「事業団」という。)及び事業団の出資する事業団の土地の処分に関する事業を行う法人の所有する土地が含まれている場合には、事業団と相互に緊密な連絡調整を行うとともに、事業団が策定する土地利用に関する計画等に関する事業団の意見に十分配慮すること。
ハ 市町村は、駐車場整備計画を港湾区域内の埋立地及び臨港地区において定めようとするときは、あらかじめ、港湾管理者の意見を聴くとともに、当該計画を定めたときは当該港湾管理者に遅滞なく当該計画を通知すること。
ニ 市町村は、駐車場整備計画を定めるに当たっては、法第四条第二項各号に掲げる事項について、あらかじめ、都道府県公安委員会の意見を聴くとともに、当該計画を定めたときは当該都道府県公安委員会に遅滞なく同項各号に掲げる事項について当該計画を通知すること。
ホ 市町村においては、駐車場整備計画を定めるに当たって、地域小売商業への影響に配慮するとともに、駐車場法担当部局と商工担当部局の間の調整により商業者からの意見を反映させ、商店街整備計画その他の地域の商業関連計画との整合を十分図ること。
ヘ 市町村においては、駐車場整備計画を定めるに当たって、道路担当部局と十分な調整を図ること。
ト 市町村は、駐車場整備計画の対象となる路外駐車場の設置主体(道路管理者を除く。)に対し、当該路外駐車場の設置に当たっては、あらかじめ、都道府県公安委員会と連絡調整するよう指導すること。

3) 駐車場整備計画の策定・公表の手続等について

イ 駐車場整備地区の見直しを要しない市町村については、法施行後速やかに駐車場整備計画の策定作業に着手し、遅滞なく公表すること。
ロ 新たに駐車場整備地区を指定し又はその見直しを要する既指定の市町村については、法施行後速やかに都市計画決定又は変更の準備及び駐車場整備計画の策定作業に着手し、原則として都市計画決定又は変更の告示に併せて公表すること。
ハ 駐車場整備計画の公表は、市町村の公報等に掲載することにより行うとともに、公表後は公衆の閲覧に供するものとすること。
ニ 駐車場整備計画は、法第四条第二項第五号に掲げる事項に係る見直しのほか、必要に応じ、おおむね五年を目途に包括的な見直しを行うこと。なお、その際の留意点、公表の手続等については、当該駐車場整備計画の策定時の留意点、公表の手続等に準ずること。

四 駐車場整備連絡協議会の設置について

(一) 市町村は、駐車場整備地区に関する都市計画を定めた場合においては、総合的かつ計画的な駐車場整備の必要性に応じ、駐車場整備計画の策定その他当該地区における駐車場の計画的な整備の推進のために必要な連絡及び協議を行うため、都道府県、都道府県公安委員会、市町村及び当該市町村の区域内における道路の道路管理者を構成員とする駐車場整備連絡協議会を設置すること。
(二) 駐車場整備連絡協議会は、必要に応じて、駐車場問題に関し学識経験を有する者その他駐車場の管理、運営に関係を有する者等の参加を求めること。また、小売商業に密接に関係する事項について協議がなされる場合は、商店街等の意見を反映させるため、市町村又は都道府県の商工担当部局の参加を求めること。

なお、当該協議会の庶務は、市町村(駐車場法担当部局)が行うこととすること。

(三) 駐車場整備連絡協議会の設置に際して、従来から同種又は類似の目的を持つ組織が存する場合においては、両組織の設置目的、審議内容等が重複しないように配慮すること。

五 駐車場整備計画の実施に係る地方公共団体の責務について(法第四条の二関係)

(一) 改正内容について

本条は、駐車場整備計画に基づく総合的かつ計画的な駐車場の整備の推進を担保するため、当該計画の確実な実施を地方公共団体の責務として具体的に規定しているものであること。

(二) 留意点

駐車場整備計画を定めた市町村には当該計画の全体について、都道府県には当該計画のうち法第四条第三項の規定に基づき協議を受けた範囲内の事項について、計画の遂行の義務が生じることとなること。ただし、本条は、一般的な計画達成の責務を規定したものであり、地方公共団体に対して直ちに個別特定の駐車場の整備について努力義務を課するものではないこと。
なお、国は、駐車場整備計画の策定について、具体的な関与は定められていないが、駐車場整備計画の達成が図られるよう、必要な助言、指導等を行っていく責務を有するところであるので、念のため申し添える。

六 路上駐車場に関する規定の整備について(法第五条等関係)

(一) 改正内容について

1) 路上駐車場設置計画の廃止について

駐車場整備計画の創設に伴い、路上駐車場設置計画は廃止することとしたが、改正前の駐車場法(以下「旧法」という。)の規定により定められている路上駐車場設置計画及び当該計画に定められている路上駐車場については、道路法及び駐車場法の一部を改正する法律附則第二条の規定により、当面は引き続き有効であるが、今般の法改正の趣旨にかんがみ、可能な限り速やかに駐車場整備計画に移行すること。

2) 深夜等料金不徴収規定の廃止について

深夜等料金不徴収規定については、今般の改正により、今日大都市の都心部を中心に、深夜等においても料金を徴収し、駐車の回転率を高めることが適当である場合があることから、深夜等の料金徴収については、路上駐車場を設置する地方公共団体が路上駐車場の料金徴収に係る条例を定める際に判断することとし、全国一律の不徴収規定は廃止することとしたものであること。

(二) 路上駐車場についての留意点

1) 路上駐車場の位置付けについて

路上駐車場については、道路の走行車線上に設けられるものであり、道路交通上の観点からは、必要性を勘案して、限定的に設置を許容されるべきものであると考えられることから、今般の改正後も、従来どおり路外駐車場によっては満たされない自動車の駐車需要に応ずるための暫定的なものであるという位置付けは変更されないこと。
したがって、路上駐車場を設置する地方公共団体は、駐車場整備地区において、都市計画において定められた路外駐車場が整備されるに応じて、逐次当該路上駐車場を廃止すること。なお、廃止する場合においては、あらかじめ都道府県公安委員会の意見を聴くこと。

2) 路上駐車場の設置主体について

旧法の路上駐車場の設置主体は、原則として「道路管理者である地方公共団体」(指定区間内の一般国道にあっては都道府県又は指定都市、指定区間外の一般国道にあっては都道府県又は市)とされていたが、今般の改正により、道路法の規定に基づき道路管理者が道路上の自動車駐車場を設置することとなることから、法に基づき路上駐車場を設置する主体は、固有事務を執行する地方公共団体とされたものであること。
なお、路上駐車場を設置する地方公共団体は、道路法(昭和二七年法律第一八〇号)第二〇条の規定に基づき道路管理者と協議してその管理の方法を定めること。

3) 商工担当部局との連携について

地方公共団体においては、商店街・商業地域において路上駐車場を設置するに当たって、駐車場法担当部局と商工担当部局の間の調整により商業者の状況を十分把握し、商店街整備計画等との整合を十分図ること。

七 附置義務の強化について(法第二〇条関係)

(一) 改正内容について

今般の改正は、著しく拡大した駐車需要を建築物の敷地内において適正に吸収する必要があるところ、旧法の規定により建築物の延べ面積三、〇〇〇m2という規模を基準として附置義務を課すのであれば、その効果を十分期待し得ないことから、当該基準を見直すこととしたものであること。具体的には、
1) 駐車場整備地区内又は商業地域内若しくは近隣商業地域内において附置義務を課することのできる非特定用途建築物の条例で定める規模の下限を三、〇〇〇m2以上から二、〇〇〇m2以上に、
2) 1)の地域以外の一定の都市計画区域内において、附置義務を課することのできる特定用途建築物の条例で定める規模の下限についても、三、〇〇〇m2以上から二、〇〇〇m2以上に、それぞれ引き下げるものであること。

(二) 附置義務の強化についての留意点

建築物の建築者に対して適正な原因者負担を課す観点から、都市計画に駐車場整備地区を定めた都市についてはもとより、自動車交通のふくそうの著しい地区など駐車場整備の必要性等が顕在化している地区を含む都市のうち、附置義務条例未制定の都市にあっては、条例の制定に努めるとともに、既に制定している都市にあっては、「標準駐車場条例の改正について」(平成二年六月一一日付け建設省都再発第五八号建設省都市局長通達)に示したひな型を参考としてその見直しを進めること。なお、標準駐車場条例の今般の法改正に伴う改正については別途通達することとしているので念のため申し添える。

八 地方税法の改正について(道路法及び駐車場法の一部を改正する法律附則第七条関係)

(一) 改正内容について

地方税法においては、既に可決成立した一部改正法(平成三年法律第七号。平成三年四月一日施行)により、法第二条第二号に規定する路外駐車場(複数の階に設けられるもの、地下に設けられるもの又は自治省令で定める特殊の装置を用いて設けられるものに限る。以下「特定路外駐車場」という。)で都市計画において定められたもの(以下「特定都市計画駐車場」という。)の用に供する家屋(固定資産税にあっては、家屋及び償却資産)について、不動産取得税(当該取得が平成三年四月一日から平成五年三月三一日までの間に行われたときに限る。)及び固定資産税(平成三年一月二日から平成五年一月一日までの間に建設され、又は設置されたものの用に供するものに限る。)のそれぞれの課税標準を、地下に設けられる部分は二分の一に、地上に設けられる部分は三分の二とする軽減措置(固定資産税にあっては、当初五年度分に限る。)が講じられることとなっていること。
今般の改正は、これと併せて、特定都市計画駐車場以外の特定路外駐車場で、法第一二条の規定による届出に係るもの(駐車場整備計画において、法第四条第二項第五号に掲げる事業として定められた事業に係るもので当該計画に従って整備されるものに限る。以下「特定届出駐車場」という。)の用に供する家屋(固定資産税にあっては、家屋及び償却資産)についても、不動産取得税(当該取得が平成五年三月三一日までに行われたときに限る。)及び固定資産税(平成三年一一月一日から平成五年一月一日までの間に建設され、又は設置されたものの用に供するものに限る。)のそれぞれの課税標準を、地下に設けられる部分は三分の二に、地上に設けられる部分は四分の三とする軽減措置(固定資産税にあっては、当初五年度分に限る。)を講ずることとするものであること。

(二) 不動産取得税及び固定資産税の軽減措置の特例の対象となる特定届出駐車場についての留意点

1) 駐車場整備計画に定める「主要な路外駐車場」には、継続的に特定の者の利用に供される月ぎめ駐車場等は含まれず、したがって、不動産取得税及び固定資産税の軽減措置の特例は、月ぎめ駐車場等には適用されないこと。
2) そもそも法第二条第二号の路外駐車場には、月ぎめ駐車場等は含まれず、「届出駐車場」も、駐車場のうち一般公共の用に供されるいわゆる時間駐車に供する部分の面積が五〇〇m2以上である等一定の要件を満たすもののうち、月ぎめ駐車に供する部分を除外した時間駐車に供する部分に限定されるものであること。したがって、月ぎめ駐車に供する部分と時間駐車に供する部分が併設されている場合であっても、特定届出駐車場として不動産取得税及び固定資産税の軽減措置の特例の対象となるのは、当該駐車場のうち、法第一二条の規定に基づく届出に係る一般公共の用に供される部分に限定されること。
3) 特定届出駐車場は、駐車場整備計画に従って整備されるものであることが要件とされており、駐車場整備計画策定前に設置された届出駐車場は含まれないものであること。
4) 駐車場の増設事業が行われる場合の既存部分(当該部分が駐車場整備計画に位置付けられていない場合に限る。)及び一般公共以外の用に供される部分(月ぎめ駐車に供する部分)のうち一般公共の用に供される部分(時間駐車に供する部分)に転用される部分は、駐車場整備計画に定められないことから、特定届出駐車場に該当しないこと。

九 路外駐車場に関する届出等に関する省令(昭和三三年運輸省・建設省令第一号。以下「省令」という。)の改正について

(一) 改正内容について

法の運用を適正化するため、法第一二条の届出を行う際の、省令で定める届出書の様式について以下の内容の改正を行った。
1) 「境域面積」を「駐車場の区域の面積」とすること。(その意義については従前どおりとする。)
2) 「駐車の用に供する部分の面積」については、一般公共の用に供する部分とそれ以外の部分の双方がある駐車場に関しては、本来、前者のみが法律上の「駐車の用に供する部分」に該当するところであるが、届出書にはそれぞれの部分の面積等を記載させることとすること。
3) 従前の「駐車の用に供する部分の面積」に加えて、車路等も含めた「駐車場の用に供する部分の面積」を記載させることとすること。
4) 機械式駐車装置を用いる路外駐車場に関しては、当該駐車装置に係る「建設大臣の認定番号」等を記載させることとすること。

(二) 届出書作成等に当たっての留意点

1) 「届出駐車場に係る駐車場法の運用と機械式駐車装置の安全性の確保について」(平成二年九月一一日付け建設省都再発第六六、六七、六八号建設省都市再開発課長通達)において、時間駐車と月ぎめ駐車の双方を取り扱う駐車場について、月ぎめ駐車に供する部分も含めて駐車の用に供する部分の面積が五〇〇m2以上であるならば、当該駐車場の設置者には駐車場法第一二条の規定による届出義務があると解される旨通達したところであるが、今後は、上記改正に伴い、いわゆる時間駐車に供する部分のみの面積が五〇〇m2以上である場合に限り、届出義務があると解して運用に当たること。
2) 都道府県知事(指定都市にあっては、その長。以下同じ。)は、法第一二条の届出に係る路外駐車場を設置する者(以下「路外駐車場管理者」という。)に対し、一般公共の用に供される部分(時間駐車に供する部分)と一般公共以外の用に供される部分(月ぎめ駐車に供する部分)とが併設される場合にあっては、八の税制上の特例措置の対象が一般公共の用に供される部分に限られること等を踏まえ、両部分を明確にして記載するよう指導すること。変更の届出についても同様とすること。
3) 都道府県知事は、路外駐車場管理者に対し、駐車の用に供する部分の中に一般公共以外の用に供される部分がある場合にあっては、省令第一条第二号及び第三号の平面図において、一般公共の用に供される部分及び一般公共以外の用に供される部分それぞれの範囲を明確に分離して示すよう指導すること。
4) 都道府県知事は、税制上の特例措置(所得税・法人税)の対象となる路外駐車場の路外駐車場管理者に対し、当該特例措置の対象について、駐車場の用に供する部分(車路等を含む。以下同じ。)の床面積が二、〇〇〇m2以上又は駐車場が設置される建築物の床面積のうち当該駐車場の用に供する部分の床面積の占める割合が二分の一以上であることが要件となっていること等にかんがみ、建築物内の駐車場の用に供する部分の面積を明確にするよう指導すること。
5) 都道府県知事は、路外駐車場管理者に対し、特殊の装置に係る政令第一五条の「建設大臣の認定」の概要(認定番号、特殊の装置の名称及び製造者名)を記載するよう指導すること。

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