事務連絡
平成一一年七月一五日

関東農政局建設部整備課長、関東地方建設局河川部河川計画課長あて

農林水産省構造改善局建設部整備課課長補佐、建設省河川局治水課課長補佐


農業地域における高規格堤防整備と農業農村整備の事業連携について


高規格堤防は、堤防上の通常の土地利用を許容することから、その整備が地域の土地利用再編の大きな誘因となりうるとともに、水辺の空間を活かした良好な地域づくりに大きく貢献するものとなりうる。
利根川東氾区域等農業地域における高規格堤防整備と農業農村整備の事業連携を行うことにより、土地利用の整序化、農地の集団化等農業生産性の向上や農村振興の契機ともなりうることから、事業展開にあたり、別添のとおり両省間で確認し、事業連携を推進することとしたので、左記事項に留意のうえ、積極的な取り組みをお願いする。

1 農業地域における高規格堤防整備と農業農村整備の事業連携については、別添の確認の趣旨に従って適切に行うこと。
2 個別地区における事業計画の策定等にあたっては、地域の実情に応じて事業連携のメリットが十分に活かせるよう関係機関間での調整を随時行うこと。
3 高規格堤防整備と農業農村整備の事業連携を具体地区において、順次、円滑に進めていくため、関東地方建設局は、高規格堤防特別区域及びその周辺地域において実施が予定される農業農村整備事業の着工時期を十分考慮し、関東農政局等と連絡・調整のうえ、高規格堤防整備を推進するものとする。


別添
平成一一年七月一五日

農業地域における高規格堤防整備と農業農村整備の促進について

農林水産省構造改善局建設部整備課長
建設省河川局治水課長
高規格堤防は、氾濫域に多くの人口や資産、国土の中枢機能等を擁する地域を、大洪水による壊滅的な被害から守ることを目的として主要な河川において整備される幅の広い堤防である。
高規格堤防の整備にあたっては、堤防上の通常の土地利用を許容することから、地域の土地利用再編の大きな誘因ともなりうるとともに、水辺の空間を活かした良好な地域づくりに大きく貢献するものとなりうる。
高規格堤防の整備区間及び背後地を含む一定の地域においては、土地利用上農業上の利用に配慮しつつ、農業生産基盤及び生活環境の整備と一体的な事業展開を行うことにより、良好な農業・農村の振興を図ることが期待される。
このため、国土保全、食料の安定的供給といった課題に対処しつつ、安全・安心で良好な田園空間の形成を通じて、活力と魅力ある地域づくりを推進するという観点から、事業連携を進めていくにあたって、互いに以下の点に留意しつつ、具体地区における整備を順次進めていくことを確認するものである。
1 事業連携の考え方

○ 農業地域において高規格堤防整備を実施する場合、優良農地の確保等土地利用の整序化を図りつつ事業展開を行う。

また、地域の状況に応じて堤防上への集落、畑地の集積等土地利用の調整を検討する。

○ 高規格堤防整備により治水安全度が格段に向上することは、農業従事者を含む農村住民にとっても大きなメリットであるとともに、農地の区画形状の整理を通じた農業生産性の向上、集落再編による定住環境の向上等、農業・農村整備の好機とも捉えられることから、積極的に連携事業の実施を検討する。
○ 農業生産基盤、生活環境基盤の整備にあたっては、地域の状況(農業生産、土地利用の動向及びビジョン等)、地元農業者を含む住民、関係団体等の意向を十分踏まえたうえで実施する。

2 事業連携のメリット

○ 合理的な土地利用秩序の形成
○ 治水安全度の向上

・大洪水による広域かつ壊滅的被害の防止
・農地等湛水被害の防止・軽減及び定住条件の向上 等

○ 農地の諸条件の改善

・農地の再編、区画の整序による団地化の促進、生産性の向上
・高規格堤防整備による沿川地域の排水条件の改良 等

○ 集落の再編、生活環境基盤の整備による定住環境の向上

・面的整備の実施による土地利用の整序化(集落の再編整備、適性立地)
・生活環境基盤施設の整備による定住環境の向上 等

○ 堤防裏法部の活用による公共空間の創設

・公園、集落道路等としての活用
・公共施設等の配置による減歩の緩和 等

○ 事業連携による効率的整備

・事業費の軽減
・手戻りの防止 等

連携事業により、以上の課題に総合的に取り組むことが可能となるため、広域的な地域づくりの観点から、地域の振興・活性化に大きく寄与することが期待される。

3 その他

○ 治水事業と農業農村整備事業の連携にあたっては、施行区分方式による共同事業化を原則とし、基本的には以下の考え方によるものとする。

・双方の事業の役割分担が明確なものについては、それぞれの事業で費用負担。
・双方の事業が一体的に実施されるものについては、費用負担等を協議して実施。
なお、個別地区の事業費負担等に関する調整については、その整備内容を踏まえつつ、農政局、地方建設局、県及び市町村の担当者間で円滑に進めるものとする。

○ モデル的な取り組みとして、以下の具体的な検討を順次進める。

・治水上の効果が高く、農業上の土地利用が太宗を占める、利根川右岸中流域を主な対象地域として具体化。
・平成一二年度以降の事業化に向け、地元調整を実施。


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