河政発第五二号
平成六年九月三〇日

各地方建設局長・北海道開発局長・沖縄総合事務局長・各都道府県知事あて

建設省河川局長通知


行政手続法の施行に伴う河川法等における処分の審査基準の策定等について


今般、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益保護に資することを目的とした行政手続法(平成五年法律第八八号。以下「本法」という。)が平成五年一一月一二日公布され、平成六年一〇月一日に施行されることとなっている。
本法は、行政庁に対し、1)申請に対する処分に関して、その迅速かつ透明な処理を確保する観点から、申請に関する審査基準を定め、これを原則として公表すること(第五条)、2)申請の処理に通常要すべき標準的な期間(以下「標準処理期間」という。)を定めるよう努め、定めた場合にはこれを公にしておくこと(第六条)、及び、3)不利益処分について、行政運営における公正の確保を図るとともに処分の相手方の権利保護を図る見地から、不利益処分をするかどうかの判断の基準(以下「処分基準」という。)を定め、公にしておくよう努めること(第一二条)等を定めたものである。
貴職におかれては、本法の趣旨にかんがみ、左記の審査基準等により、本法により義務付けられた事項等に関し必要な措置を講じ、行政運営における公正の確保と透明性の向上について遺憾のないようにされたい。
また、速やかに関係事項を貴管下市町村長に周知方取り計らわれたい。

一 本通達の位置付けについて

本通達は、本法の施行に伴い必要となる、建設大臣が処分庁となる場合の審査基準等を定めるものであるとともに、法律を所管する立場から、地方支分部局の長又は地方公共団体の長が処分庁となる場合の審査基準等の策定の指針となるべき準則を示したものであること。
したがって、各処分庁は、基本的には本通達をもって自らの審査基準等として取扱うこととし、処分を行う地域の特性などに応じて必要な場合には、法令及び本通達の趣旨を逸脱しない範囲において本通達を補充する基準等を作成することも可能であること。

二 本通達の対象とする処分について

本通達は、河川局の所管する法令の規定による処分のうち、本法の規定により審査基準等を策定する必要のある処分をその対象とするものであること。
なお、他省庁と共管法律である「運河法」(大正二年法律第一六号)、「公有水面埋立法」(大正一〇年法律第五七号)、「海岸法」(昭和三一年法律第一〇一号)、「地すべり等防止法」(昭和三三年法律第三〇号)及び「砂利採取法」(昭和四三年法律第七四号)の規定による処分については、必要に応じ、関係省庁との調整が済み次第通達することとしているので了知されたいこと。

三 基準等の策定に当たっての留意点について

本通達においては、過去に処分例がないこと、処分の原因となる事実を個別の事案ごとに評価する必要があるため具体的な基準を画一的に定めることが困難であること等により基準等の設定が困難な処分を除き、定め得る基準等を定めたものであること。したがって、特に基準等が示されていない処分も存するが、そのような処分であっても、各処分庁において個別に基準等の策定が可能であるものについては、当該処分についても基準等を策定することは差しつかえないこと。

四 本通達又は本通達により策定された基準等の取扱いについて

本法は、策定された基準等について、原則として、法令により申請等の提出先とされている機関の事務所における備付けその他適当な方法により公にしておかなければならないことを定めていることから、本通達又は本通達により策定された基準等については、少なくとも法令により申請等の提出先とされている機関の事務所等に備え付け、申請者等が閲覧できるように措置されたいこと。

五 申請に対する処分に係る審査基準及び標準処理期間について

1 河川法(昭和三九年法律第一六七号)の規定による処分に係る審査基準及び標準処理期間について

河川法の規定による申請に対する処分を行うに当たっては、水系一貫管理の原則に従い、水系に係る河川における治水上及び利水上の行政の統一を確保するとともに、その公共用物としての性格にかんがみ、国民の生命及び財産を災害から防護すること、その適正な利用を推進すること、及び流水の正常な機能を維持することを旨として行うものであること。
また、工事実施基本計画が、水系に係る河川の総合的な保全と利用に関する基本方針を定めたものであり、河川の総合的管理を確保するうえで基本となるべきものであることにかんがみ、処分を行うに当たっても、工事実施基本計画に即して行う必要があること。
なお、河川環境管理基本計画が既に策定された河川にあっては当該計画と整合が図られたものとなるよう、未だ策定されていない河川においても当該河川及びその流域の特性に応じて、河川環境が適正に管理されるよう留意して行うこと。
この河川法の規定による処分を行うに当たっての審査の原則に加え、さらに河川法の個別の規定における申請に対する処分に係る審査基準は、それぞれ次のとおりである。
(1) 第二〇条(河川管理者以外の者が行う河川工事等の承認)の審査基準について

河川工事等の承認を行うに当たっては、以下の基準に該当するかどうかを審査したうえで承認することができるものであること。
1) 工事実施基本計画に基づき実施される改良工事に関する具体的な計画が策定されている場合には、当該計画に反しないこと。
2) 当該河川工事が上下流及び左右岸の改修状況と比較して不調和でないこと。
3) 周辺の河川管理施設等への支障を及ぼさないものであること。

(2) 第二三条(流水の占用の許可)の審査基準について

河川の流水の占用の許可並びにこれに関する法第二四条、第二六条第一項、第二七条第一項、第五五条第一項等の許可を行うに当たっては、以下の基準に該当するかどうかを審査したうえで許可を行うことができるものであること。
1) 水利使用の目的及び事業内容が、国民経済の発展及び国民生活の向上に寄与し、公共の福祉の増進に資するものであること。
2) 申請者の事業計画が妥当であるとともに、関係法令の許可、申請者の当該事業を遂行するための能力及び信用など、水利使用の実行の確実性が確保されていること。
3) 河川の流況等に照らし、河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持に支障を与えることなく安定的に当該水利使用の許可に係る取水を行えるものであること。
4) 流水の占用のためのダム、堰、水門等の工作物の新築等が法第二六条第一項(工作物の新築等の許可)の審査基準を満たしているなど、当該水利使用により治水上その他の公益上の支障を生じるおそれがないこと。

(3) 第二四条(土地の占用の許可)の審査基準について

河川区域における土地の占用の許可を行うに当たっては、「河川敷地の占用許可について」(平成六年一〇月一七日付け建設省河政発第六一号建設事務次官通達)により審査したうえで許可を行うことができるものであること。

(4) 第二五条(土石等の採取の許可)の審査基準について

河川区域における土石等の採取の許可を行うに当たっては、以下の基準に該当するかどうかを審査したうえで許可することができるものであること。
1) 河川管理施設若しくは許可工作物を損傷し、又は河川の流水に著しい汚濁を生じさせるなど、河川管理上著しい支障が生じるものではないこと。
2) 申請者の事業計画が妥当であるとともに、当該土石等の採取を行うことについての関係法令の許可、申請者の事業を遂行するための能力及び信用など、事業の実施の確実性が確保されていること。
3) 砂利等の採取については、「砂利等採取許可準則」(昭和四一年六月一日建設事務次官通達)によること。
4) 竹木、あし、かや、埋もれ木、笹、じゅん菜その他の産出物については、その採取に係る地域の慣行や、慣行に基づく権利性の度合いを考慮すること。

(5) 第二六条第一項(工作物の新築等の許可)の審査基準について

河川区域における工作物の新築等の許可を行うに当たっては、以下の基準に該当するかどうかを審査したうえで許可することができるものであること。
1) 治水上又は利水上の支障を生じるおそれがないこと。

この場合において、治水上又は利水上の支障の有無を検討するに当たっては、以下に掲げる事項について、それぞれ次に定める基準により、水位、流量、地形、地質その他の河川の状況及び自重、水圧その他の予想される荷重などから総合的に検討すること。
イ 工作物の一般的な技術基準について、「河川管理施設等構造令」(昭和五一年政令第一九九号)
ロ 設置について、「工作物設置許可基準」
ハ 土木工学上の安定計算等について、「河川砂防技術基準(案)」

2) 社会経済上必要やむを得ないと認められるものであること。
3) 当該河川の利用の実態からみて、当該工作物の設置により他の河川使用者の河川の使用を著しく阻害しないこと。
4) 当該工作物の新築等を行うことについての権原の取得又はその見込み、関係法令の許可、申請者の事業を遂行するための能力及び信用など、事業の実施の確実性が確保されていること。

(6) 第二七条第一項(土地の掘削等の許可)の審査基準について

河川区域における土地の掘削等の許可を行うに当たっては、以下の基準に該当するかどうかを審査したうえで許可することができるものであること。
1) 当該掘削等に係る行為により生じる河川の流水の方向、流速等の変化により、河川管理施設若しくは許可工作物を損傷するおそれや、河川の流水に著しい汚濁を生じさせ、他の河川使用者の河川の使用を著しく阻害するなど、河川管理上著しい支障を生じるものではないこと。
2) 当該土地の掘削等を行うことについての権原の取得又はその見込み、関係法令の許可、申請者の事業を遂行するための能力及び信用など、事業の実施の確実性が確保されていること。

(7) 第二八条第一項(竹木の流送等の制限等)の審査基準について

竹木の流送等の許可を行うに当たっては、地形、河川管理施設又は河川区域内に設置されている工作物の状況、河川の自由使用の状況等を勘案して、河川管理上の支障の有無について審査を行い、支障を生じるおそれがない場合に許可をすることができるものであること。

(8) 第二九条第一項(河川の流水等について河川管理上支障を及ぼすおそれのある行為の禁止、制限又は許可)の審査基準について

第二九条第一項の規定に基づく河川法施行令(昭和四〇年政令第一四号)第一六条の八第一項の河川の流水等について河川管理上支障を及ぼすおそれのある行為の許可を行うに当たっては、以下の基準に該当するかどうかを審査したうえで許可することができるものであること。
1) 河川区域内の土地において土、汚物、染料その他の河川の流水を汚濁するおそれのあるものが付着した物件を洗浄する場合

イ 人体や生物に有害であると認められるものでないこと。
ロ 流水を著しく汚濁するおそれがないものであること。

2) 河川区域内の土地において土石、竹木その他の物件を堆積し又は設置する場合

イ 相当程度の期間継続して堆積若しくは設置するものでないこと。
ロ 残土等の一時的な仮置きについては、土石、竹木その他の物件を、河川工事又は河川区域内に他の行為によってやむを得ず一時的に仮置きする場合において、出水時への対応措置が講じられていること。

(9) 第三〇条第一項(許可工作物の完成)の審査基準について

完成検査を行うに当たっては、完成検査を受けようとする施設が、その設置された位置、構造、規模その他の河川法第二六条第一項の許可の内容又は当該許可に付された条件に適合しているかどうかを確認し、それらに適合している場合について合格させるものであること。
なお、第四四条第一項のダムについては、ダム検査規程(昭和四三年建設省訓令第二号)によるものとすること。

(10) 第三〇条第二項(完成前の許可工作物の一部使用の承認)の審査基準について

完成前の許可工作物の一部使用を承認するに当たっては、当該工作物の一部を使用することによってもその機能を発揮することが可能である場合において、その設置について工期が長いことにより全体の工事が完成するまで相当の年月を要し、かつ完成前の一部使用に対する社会的要請が強い場合、又は工事の施工方法からみてやむを得ないものである場合に、以下に掲げる要件に該当するものについて承認することができるものであること。
1) 使用をしようとする部分について、法第三〇条第一項の完成検査の例により検査を受け、当該検査に合格したものであること。
2) 一部使用することによる河川管理上の支障が生じないよう必要な措置が講じられていること。
3) 一部使用しようとする目的が、当該工作物全体について受けた許可の目的に反しないこと。

(11) 第三四条第一項(権利譲渡の承認)の審査基準について

第二三条から第二五条までの規定による許可に基づく権利の譲渡を承認するに当たっては、必要やむを得ないと認められる場合であって、以下の基準に該当する場合に承認することができるものであること。
1) 譲渡の前後において、承認の申請に係る許可に基づく権利の同一性が確保されていること。
2) 申請者の事業計画の妥当性、関係法令の許可、譲り受けようとする者の事業を遂行するための能力及び信用など、事業の実施の確実性が確保されていること。

(12) 第五五条第一項(河川保全区域における行為の許可)の審査基準について

河川保全区域における許可を行うに当たっては、河岸又は河川管理施設の保全上の支障の有無について審査を行い、当該河岸又は河川管理施設の保全上の支障を生じるおそれがない場合に許可をすることができるものであること。

(13) 第五七条第一項(河川予定地における行為の制限)の審査基準について

河川予定地における許可を行うに当たっては、河川工事の施行上の支障の有無について審査を行い、当該河川工事の施行上の支障を生じるおそれがない場合に許可をすることができるものであること。

(14) 河川法の規定による処分に係る標準処理期間について

標準処理期間については、各処分の性格、処分を行うまでに経ることを要する手続の相違等に応じ、それぞれ以下のような期間とすること。
1) 水利使用に関する処分に係る標準処理期間

水利使用に関する処分に係る標準処理期間については、建設大臣が行うものにあっては一〇ケ月とし、各地方建設局長が行うものにあっては五ケ月を目安とすること。
なお、これらの標準処理期間は、あくまで通常の水利使用の態様における処理を前提とした場合の目安であり、多数の既得の水利使用の態様を把握する必要がある案件や、大規模な工作物の新築等を伴うことにより当該工作物についての治水上の安全性を特に精査する必要のある案件、発電水利使用に係る許可の更新で新たに河川維持流量に関する定めを行う必要のある案件等特に慎重かつ精緻な審査を要する案件については、この限りではないこと。

2) 1)以外の処分に係る標準処理期間

イ 地方建設局長が処分権限を有する処分(水利使用の許可に係るものを除く。)に係る標準処理期間は、おおむね三ケ月を目安とすること。
ロ 前記イに該当する処分のうち、治水上又は利水上与える影響が著しいことなどにより建設大臣又は河川局長の承認等を要することとされているものに係る標準処理期間は、おおむね四ケ月を目安とすること。

3) 都道府県知事又は市町村長が行う処分に係る標準処理期間

都道府県知事又は市町村長が行う処分に係る標準処理期間についても、前記1)及び2)の期間を目安に、各処分の性格、処分を行うまでに経ることを要する手続の相違等を勘案して設定すること。

2 砂防法(明治三〇年法律第二九号)の規定による処分に係る審査基準及び標準処理期間について

砂防法の規定による申請に対する処分に係る審査基準及び標準処理期間は、それぞれ次のとおりである。
(1) 第四条第一項(砂防指定地内における一定行為の制限)

(1) 審査基準について

砂防指定地内における行為について許可に係らしめられている場合には、以下の基準により審査するものとすること。
1) 申請された行為の内容が、当該土地の砂防指定地に指定された理由及び現況から判断して、土地の形質の変更等により砂防設備の設置、機能の維持に支障を生じさせ、土砂の生産・流出を発生若しくは増幅させ、又は竹木の伐採等により竹木が有する土砂崩壊防止等の機能を減少させる等、治水上砂防に悪影響を及ぼすものではない場合は許可するものとすること。

なお、宅地、ゴルフ場等の造成など、その行為の性格からみて治水上砂防に著しい悪影響を及ぼすおそれのある行為については、別に定める技術的基準に適合しなければならないこと。

2) 砂防設備の埋没等の内容を含む行為については、治水上砂防に悪影響を及ぼすものではない場合であって、当該行為を行うにつきやむを得ないと認められる相当の理由があり、かつ、必要に応じ当該砂防設備の埋没等により阻害された治水上砂防の機能を回復させるための代替措置が講じられる場合に許可することができるものであること。
3) 砂防設備を占用する行為については、治水上砂防に悪影響を及ぼすものではない場合であって、申請者が申請に係る事業を遂行するための能力及び信用を有する者である場合に許可することができるものであること。

(2) 標準処理期間について

標準処理期間については、処分の性格、処分を行うまでに経ることを要する手続の相違等に応じ、それぞれ以下の期間を目安とすること。
1) 都道府県知事が自ら処分を行う場合の標準処理期間は六週間を、土木事務所等の出先機関の専決の処分とされている処分についての標準処理期間は三週間を目安とすること。
2) 建設大臣が行う砂防工事等に影響のある処分等であることにより地方建設局等への協議を要するものについては、都道府県知事は、標準処理期間の設定に当たって地方建設局等と協議し、決定することとし、当該協議に要する期間は三週間を目安とすること。
3) 市町村を経由機関としているものについては、都道府県知事は、標準処理期間の設定に当たって過去の実績を勘案して決定(勘案すべき過去の実績がない場合には当該市町村と協議して決定)することとし、当該市町村の経由に要する期間は二週間を目安とすること。

(2) 第四条第二項(砂防指定地内における一定行為の制限)の審査基準について

本条項による建設大臣の砂防指定地内における行為の制限は、法第四条第一項において都道府県知事が行うこととされている行為の制限に関する権限を代行するものであることから、(1)(1)の基準を満たす場合に許可するものであること。

3 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和四四年法律第五七号)の規定による処分に係る審査基準及び標準処理期間について

急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律の規定による申請に対する処分に係る審査基準及び標準処理期間は、それぞれ次のとおりである。
(1) 第七条第一項(急傾斜地崩壊危険区域内における行為の許可)

(1) 審査基準について

急傾斜地崩壊危険区域内における行為の許可は、当該行為の内容が当該急傾斜地崩壊危険区域の現況から判断して、急傾斜地の崩壊を助長し、又は誘発するおそれのないものについて行うこと。

(2) 標準処理期間について

標準処理期間については、原則として処分権限を有する者ごとに設定することとすること。
都道府県知事が自ら処分を行う場合の標準処理期間は四週間を、土木事務所等の出先機関の専決の処分とされている処分についての標準処理期間は二週間を目安とすること。

4 特定多目的ダム法(昭和三二年法律第三五号)の規定による処分に係る審査基準及び標準処理期間について

特定多目的ダム法の規定による申請に対する処分に係る審査基準及び標準処理期間は、それぞれ次のとおりである。
(1) 第一三条(ダム使用権設定前の多目的ダムの利用の許可)

(1) 審査基準について

ダム使用権設定前の多目的ダムの利用を許可するに当たっては、特定多目的ダム法施行規則第五条に規定する申請書等に基づき、個別具体の場合に応じて以下に掲げる基準により審査したうえで、許可することができるものであること。
1) ダムによる流水の貯留を申請者が利用することにより、当該ダムの工事の状況及び試験湛水に支障を生じるおそれがないこと。
2) 申請者が流水の占用の許可を受けていること。

(2) 標準処理期間について

本条の処分に係る標準処理期間は、約三ケ月を目安とすること。

(2) 第二二条(ダム使用権の処分に係る許可)

(1) 審査基準について

ダム使用権の処分に係る許可を行うに当たっては、ダム使用権を設定しようとする場合に必要とされる第一五条第二項に掲げる要件に適合すると認められる場合に許可することができるものであること。

(2) 標準処理期間について

本条の処分に係る標準処理期間は、約四ケ月を目安とすること。

六 不利益処分に係る処分基準の策定について

1 河川法の規定による処分に係る処分基準について

(1) 第一八条(原因者への工事施行命令)の処分基準について

工事原因者への河川工事の施行の命令は、他の工事又は河川の損傷若しくは河川の現状を変更する必要を生じさせた行為が原因であることが明らかであり、かつ、その結果河川工事を要する場合において、当該原因者が河川工事を行うことが河川管理上の支障を生じさせないときに、当該河川工事の施行を命じることができるものであること。
なお、工事原因者が能力、信用等を有しないことなどにより、当該工事原因者に当該河川工事を施行させることが河川管理上の支障を生じさせるおそれがある場合には、当該工事原因者に当該河川工事の施行を命じないこと。

(2) 第二九条第一項(河川の流水等について河川管理上支障を及ぼすおそれのある行為の禁止、制限又は許可)の処分基準について

第二九条第一項の規定に基づく河川法施行令第一六条の六第二項の河川の汚濁が著しい場合等の措置命令は、河川の流量が当該河川の平均渇水流量以下に減少した場合などの異常な渇水等により河川の汚濁が著しく進行し、上水道等の原水として利用することが不可能となるおそれがあるなど河川の管理に重大な支障を及ぼすおそれがある場合に行うことができるものであること。この場合において、汚水の排出者に求めるべき内容は、当該河川の水質の状況、利用の状況及び開発の状況を勘案し、河川の特性に応じて決定するものであること。

(3) 第三一条第二項(許可工作物を用途廃止した場合における原状回復命令等)の処分基準について

許可工作物を用途廃止した場合には、河川区域内における河川管理上必要な工作物以外の工作物の存在は、本来好ましくないものであることから、工作物をそのまま又は一部改造して存置することが河川管理上望ましい場合を除き、用途廃止された工作物は撤去させること。
また、治水上、利水上、河川環境の保全上、歴史上又は他の河川の使用状況等から、当該工作物をそのまま又は一部改造することにより存置することが望ましい場合においても、当該工作物を存置することによる河川管理上の影響を明確にし、必要な措置を講じさせなければ存置させることはできないこと。

(4) 第六七条(原因者負担金)の処分基準について

河川工事の必要を生じさせた他の工事又は他の行為の費用負担者に当該河川工事の費用を負担させるに当たっては、当該河川工事が河川法第一八条により工事原因者に施行を命じるべきものに該当する場合において、当該他の工事又は他の行為により工事の必要が生じた時点における河川又は河川管理施設の機能回復に要した費用を限度として負担させること。

(5) 第六八条第二項(附帯工事の原因者負担金)の処分基準について

第六八条第一項の附帯工事に要する費用について、当該附帯工事の原因となった河川工事が他の工事又は他の行為により必要を生じた場合には、河川法第一八条及び前条の処分基準の例によること。

(6) 第七五条(監督処分)の処分基準について

監督処分を行おうとする場合には、処分の原因及び対象、河川管理上の支障の程度、態様等からみて必要な場合に行うことができるものとし、処分を行う場合の方法についても、河川管理上必要な範囲において、比例の原則に照らし、違反の程度や河川管理上の支障の程度から相当と認められるものを選択すること。

2 砂防法の規定による処分に係る処分基準について

(1) 第八条(原因行為者への工事施行命令)の処分基準について

原因行為者への砂防工事又は砂防設備の維持(以下「砂防工事等」という。)の施行の命令は、他の工事、作業その他の行為が砂防工事を施行する必要を生じさせた原因であることが明らかであり、かつ、その結果砂防工事等を要する場合において、当該原因行為者が砂防工事等を行うことが治水上砂防の支障を生じさせないときに、当該砂防工事等の施行を命じることができるものであること。
また、原因行為者に対する施行命令の範囲は、原則として当該砂防工事の必要を生じさせた限度とすること。
なお、原因行為者が能力、信用等を有しないことなどにより、当該原因行為者に当該砂防工事等を施行させることが治水上砂防の支障を生じさせるおそれがある場合には、当該原因行為者に当該砂防工事等の施行を命じないこと。

(2) 第一六条(原因行為者の工事費用負担命令)の処分基準について

砂防工事の必要を生じさせた他の工事、作業その他の行為の費用負担者に当該砂防工事の費用を負担させるに当たっては、当該砂防工事が砂防法第八条により砂防工事又は砂防設備の維持を命ずるべきものに該当するものであり、かつ、当該砂防工事を都道府県知事等が施行した場合において、当該他の工事、作業その他の行為により工事の必要が生じた時点における砂防設備の新設又は機能回復に要した費用を限度として負担させること。

(3) 第二九条(許可の取消、原状回復命令等)の処分基準について

本条に基づく処分は、例えば砂防工事を施行するため必要を生じたとき、許可に係る行為が土砂の流出のおそれその他の治水上砂防に著しい支障を生ずることとなったとき等、治水上砂防の観点から必要な場合に行うことができるものとし、処分を行う場合の方法についても、治水上砂防の観点から真に必要な範囲において、比例の原則に照らし、相当と認められるものを選択すること。

(4) 第三〇条(違反事実更生、損害予防設備命令)の処分基準について

本条に基づく処分は、法律、命令又は許可の条件に違反した者に対し、治水上砂防の観点から必要な場合に行うことができるものとし、処分を行う場合の方法についても、比例の原則に照らし、違反の程度や治水上砂防の支障の程度から相当と認められるものを選択すること。

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