行政手続法(平成五年法律第八八号。以下「本法」という。)の施行及びその施行に伴う河川法等における処分基準の策定等については、「行政手続法の施行に伴う河川法等における処分の審査基準の策定等について(平成六年九月三〇日建設省河政発第五二号各地方建設局長、北海道開発局長、沖縄総合事務局長及び各都道府県知事あて河川局長通達。以下単に「局長通達」という。)により通達したところであるが、局長通達所掲の法令及び河川局所管の他の法令の運用に当たっては、左記の事項に留意し、遺憾のないようにされたい。
一 局長通達における審査基準及び標準処理期間に関する運用について
1 河川法(昭和三九年法律第一六七号)の規定による処分に係る審査基準及び標準処理期間に関する運用について
(1) 第二〇条(河川管理者以外の者が行う河川工事等の承認)関係
局長通達五1(1)1)の「具体的な計画」とは、例えば、いわゆる指定区間外の一級河川における河川工事の実施に関する計画である「改修計画」、指定区間内の一級河川又は二級河川における河川工事の実施に関する計画である「全体計画」、特定多目的ダムの建設に関する基本計画などをいうものであること。
(2) 第二三条(河川の流水の占用の許可)関係
(1) 局長通達五1(2)の1)の審査に当たっては、水利使用に係る事業計画の国民生活や産業活動への影響、国土開発、水資源開発、電源開発、土地改良等に関する国又は地方の計画との整合性、河川水以外の水源への代替可能性等を勘案し、総合的に判断すること。
(2) 局長通達五1(2)の2)の審査に当たっては、以下の事項に留意すること。
1) 水利使用に係る事業計画が、関係法令に基づく許可等を受けているか、又は受ける見込みが確実であり、かつ、当該水利使用の内容が関係法令による許可等に係る事業内容と整合が図られていること。
2) 水利使用の申請者が、事業を遂行する能力及び信用を有すると客観的に判断される者であること。
3) 水利使用の許可に係る取水量が合理的な根拠に基づいて算定されたものであり、その目的、事業計画等からみて、必要かつ妥当な範囲内のものであること。
4) 他の水利使用、漁業等との調整がなされ、当該水利使用により損失を受けるおそれがある者が存する場合には、事前に当該水利使用についてその者の同意を得ておくことが望ましいこと。
(3) 局長通達五1(2)の3)の審査に当たっては、以下の事項に留意すること。
1) 取水予定量が、基準渇水流量(一〇年に一回程度の渇水年における取水予定地点の渇水流量)から河川の維持流量と他の水利使用者の取水量の双方を満足する水量(正常流量)を控除した水量の範囲内のものであること。
2) 正常流量の設定の詳細については、「河川砂防技術基準(案)」を参考とすること。
(4) 局長通達五1(2)の4)の審査に当たっては、以下の事項に留意すること。
1) 水利使用に係る土地の占用及び工作物の新築等が、当該水利使用の目的を達成するために必要な最小限度のものであること。
2) 局長通達五1(2)4)の「公益上の支障」とは、例えば河川区域外に設置される土捨場の崩壊による災害、水利使用に伴う排水による流水の汚濁などをいうものであること。
(3) 第二六条第一項(工作物の新築等の許可)関係
局長通達五1(5)の審査に当たっては、以下に掲げる行為の形態に応じ、それぞれ次の事項に留意すること。
(1) 河川区域内の土地における工作物の除却について
工作物が設置される以前の河道の状態に復元することを原則とする。除却により河川管理上の支障を生ずるおそれがある場合には、当該支障を少なくするための措置を併せて行わせることとする。
(2) 埋立等に係る河川の河口附近の海面において河川の流水を貯留又は停滞させるための工作物の新築及び改築について
1) 河川水位に与える影響が著しく小さいこと。
2) 著しい河床変動(河川及び河口部の堆砂・洗掘・低下)を生じないこと。
3) 河川及び河口部の波浪高(高潮時を含む。)が大きくならないこと。
4) 河川への津波の侵入を助長しないこと。
5) 河川及び河口部の水質が悪化しないこと。
(4) 第二七条第一項(土地の掘削等の許可)関係
局長通達五1(6)1)の運用に当たっては、以下に掲げる行為の形態に応じ、それぞれ次の事項について審査すること。
(1) 掘削及び切土
1) 掘削又は切土による断面が、河川の計画断面を侵すものではないこと。
2) 掘削又は切土を行う箇所が、河川管理施設等の保全上必要な一定の距離が確保されていること。
3) 局部的な箇所において実施する場合は、当該箇所において流水の乱れを生じないよう施行すること。
(2) 盛土
1) 上下流を含む盛土の行われる箇所における流下能力の低下をもたらさないこと。
2) 当該盛土により流速の乱れを生ずるものではないこと。
3) 盛土後の河川の形状の変化により流速の変化を起こすものではないこと。
(3) 竹木の栽植
竹木の栽植を許可するに当たっては、「河岸等の植樹基準(案)」(昭和五八年一二月一日建設省河川局長通達)及び河川局治水課作成に係る「河道内の樹木の伐採・植樹のためのガイドライン(案)」(平成五年一一月一〇日)によるものとすること。
(4) 竹木の伐採
竹木の伐採を許可するに当たっては、「河川法施行令の一部を改正する政令の施行について」(平成六年七月八日建設省河川局長通達)及び「河川法施行令の一部を改正する政令の運用について」(平成六年七月八日建設省河川局水政課長、治水課長通達)によるものとすること。
(5) 第二八条第一項(竹木の流送等の制限等)関係
局長通達五1(7)の運用に当たっては、「河川法施行令の一部を改正する政令の運用及び解釈について」(昭和四五年一〇月七日建設省河川局水政課長通達)記第一及び第二により審査すること。
(6) 第二九条第一項(河川の流水等について河川管理上支障を及ぼすおそれのある行為の許可)関係
局長通達五1(8)の河川の流水等について河川管理上支障を及ぼすおそれのある行為として、第一六条の八第一項の規定により河川区域内の土地において土石、竹木その他の物件を堆積し又は設置する場合のうち、雪を堆積する行為については、次の全ての要件を満たす場合に限り許可するものであること。
1) 堆積しようとする主体が原則として国、地方公共団体その他の公的主体であること。
2) 堆積しようとする量及び位置が、融雪期における流水の流下を妨げず、また、付近の河岸及び河川管理施設の構造に著しい支障を及ぼさないこと。
3) 排雪作業により付近の河岸及び河川管理施設の構造に著しい支障を及ぼさないこと。
4) 汚物若しくは廃物を投棄しないこと。
(7) 第三〇条第一項(許可工作物の完成)関係
局長通達五1(9)の運用に当たっては、位置、構造、規模等の審査については工事記録等により確認するとともに、以下に掲げる施設の種類に応じ、それぞれ次の事項について審査すること。
(1) 河川管理施設と効用を兼ねる施設について
1) 河川管理施設として、操作等を確実に行うことができるものであること。
2) 観測施設、通報施設及び警護施設が、それぞれ機能に応じて的確に作動すること。
(2) 堤防を開削して設置される工作物について
開削され埋め戻された堤防について、必要な強度が保たれていること。
(8) 第三四条第一項(権利譲渡の承認)関係
局長通達五1(11)の審査に当たっては、異なる目的への許可に基づく権利の譲渡は認められず、例えば、第二三条の水利使用の許可に基づく権利の譲渡について、工業用水道のための流水の占用の権利を上水道のための流水の占用の権利として譲渡するような形態は、両者の水利使用の目的が異なるので認められないこと。
一方で、このことは、既存の許可に基づく権利を廃止し、新たに異なる目的を有する許可の申請を行うことを妨げるものではないこと。
また、原則として、当該権利を譲り受けようとする者が、新たに当該権利に係る許可の申請を行うとすれば許可することができると認められる者である場合に承認することができるものであること。
(9) 第五五条第一項(河川保全区域における行為の許可)
局長通達五1(12)の運用に当たっては、以下に掲げる行為の形態に応じ、それぞれ次の事項について審査すること。
(1) 土地の掘削、盛土、切土その他土地の形状を変更する行為について
1) 掘削及び切土について
イ 当該掘削又は切土により堤防の荷重バランスを崩さないものであること。
ロ 基盤漏水の原因とならないものであること。
2) 盛土について
イ 堤防法尻に滞水することのないよう雨水等の排水に考慮すること。
ロ 河川管理施設の維持管理上支障がないこと。
(2) 工作物の新築又は改築について
1) 当該工作物の荷重により堤防の荷重バランスを崩さないものであること。
2) 基盤漏水の原因とならないものであること。
3) 止水性のある工作物にあっては、堤防内の浸潤面の上昇の程度を把握し、堤防の法面の崩壊の原因とならないこと。
(10) 第五七条第一項(河川予定地における行為の許可)
局長通達五1(13)の運用に当たっては、以下に掲げる行為の形態に応じ、それぞれ次の事項について審査すること。
(1) 土地の掘削、盛土、切土その他土地の形状を変更する行為について
1) 土地を利用するための形状の変更については、原則として認めないこと。
2) 土石等の採取のための形状の変更については、河川工事の施行に支障がないこと。
(2) 工作物の新築又は改築について
河川予定地の指定の日において当該河川予定地内の工作物を居住、利用等に供している者又はその一般承継人が、当該工作物について、河川工事に着手するまでに除却することが確実な仮設物等を増築等する場合に限り、認められるものであること。
2 砂防法(明治三〇年法律第二九号)の規定による処分に係る審査基準及び標準処理期間に関する運用について
(1) 第四条第一項(砂防指定地内における一定行為の制限)関係
(1) 局長通達五2(1)(1)1)の「砂防指定地の指定理由及び現状」とは、「砂防指定地指定要綱」(平成元年九月一二日建設省河川局長通達)第二をいうものであり、具体的には以下に掲げるものをいうものであること。
1) 渓流若しくは河川の縦横侵食又は山腹の崩壊等により土砂等の生産、流送若しくは堆積が顕著であり、又は、顕著となるおそれのある区域
2) 風水害、震災等により、渓流等に土砂等の流出又は堆積が顕著であり、砂防設備の設置が必要と認められる区域
3) 火山泥流等により著しい被害を受け、又は受けるおそれがある区域で砂防設備の設置が必要と認められる区域、火山地及び火山麓地
4) 土石流危険渓流等による土石流の発生のおそれのある区域又は土石流の氾濫に対処するため砂防設備の設置が必要と認められる区域
5) 地すべり防止区域で治水上砂防のため、渓流、河川に砂防設備の設置が必要と認められる区域
6) 開発が行われ又は予想される区域で、その土地の形質を変更した場合、渓流等への土砂流出等により、治水上砂防に著しい影響を及ぼすおそれのある区域
7) その他、公共施設又は人家等の保全のため、砂防設備の設置又は一定の行為の禁止若しくは制限が必要と認められる区域
(2) 局長通達五2(1)(1)の「治水上砂防」とは、おおむね次のような内容をいうものであること。
土砂の生産は、山地の斜面が降雨等による表面侵食等によって削り取られ、また、渓床や渓岸が流水により縦横侵食を起こすことによって絶えず行われており、これにより生産された土砂も不断に下流の河川へと流送され、あるいは台風や梅雨等による異常降雨時には土石流等となって莫大な量の土砂を流出させる。これら土砂の生産及び流出は、河状を常に変化させ、また、河床上昇等の現象を生じさせ、水害の主要な原因を形成するとともに、土石流等による生命、身体、財産等への被害を引き起こす土砂災害を生ぜしめる。
このような土砂の生産を抑制し、流送土砂を扞止調節することによって災害を防止することが「治水上砂防」とされているものであること。
(3) 局長通達五2(1)(1)1)の「技術的基準」とは、「砂防指定地及び地すべり防止区域内における宅地造成等の大規模開発審査基準(案)」(昭和四九年四月一九日建設省河川局砂防課長通達)」等を指すものであること。
なお、この基準は全国レベルでの標準的な基準を定めたものであり、この基準のI(総説)2及び3に定めてあるとおり、必要に応じ、個別の基準を定めることも可能であること。
また、個々の申請の内容によっては、この基準を原則としつつも、当該砂防指定地の現状を考慮して運用することが可能であること。
(4) 局長通達五2(2)の標準処理期間については、「砂防指定地内の行為の許可について」(昭和四四年三月七日建設省河川局砂防部長通達)に係る事案は、処分件数が極めて少数であり、かつ内容が定型化されていないため、標準処理期間の策定の対象としていないものであること。
二 不利益処分に係る行政手続法の運用に当たっての留意事項について
1 不利益処分に係る処分基準を運用するに当たっては、以下の手順により行うものであること。
1) 法令上の要件に該当する事実について、その内容を把握し、確認すること。
2) 確認した内容について、河川管理上の支障の有無及びその程度など、法令の趣旨に沿って支障の有無及び支障がある場合にはその程度を把握すること。
3) 2)により支障がある場合には、その程度に応じた対応策を検討すること。
4) 3)の検討による対応策について、必要と判断される具体的な処分の内容を確定すること。
2 不利益処分について、行政手続法第三章第二節の定めるところにより行う聴聞の手続に関しては、地方建設局長が行うこととされている処分に係る聴聞の手続は「建設省聴聞手続規則」(平成六年建設省令第二四号)によるものとすること。
また、都道府県知事又は市町村長が行うこととされている処分に係る聴聞の手続は、総務庁より通知された「聴聞の運用のための具体的措置について」又は当該通知に基づき各地方公共団体において設けられた聴聞規則等によること。
三 建設省河川局の所管する法令(他省庁と共管のものを含む。)のうち、局長通達の審査基準等の策定を要する処分について
建設省河川局の所管する法令(他省庁と共管のものを含む。)のうち、申請に対する処分並びに当該処分の行政手続法における適用除外規定の適用関係及び既存の審査基準については(別紙一)のとおりであり、また、不利益処分並びに当該処分の行政手続法における適用除外規定の適用関係及び既存の処分基準については(別紙二)のとおりであるので、行政手続法の運用に当たって参考とされたいこと。