建設省河政発第五八号
平成一〇年六月一〇日

各地方建設局長・北海道開発局長・沖縄総合事務局長・各都道府県知事あて

建設省河川局長通達


河川内の船着場の使用の促進について


河川内には、河川管理者が河川管理、震災対策等を目的として設置する船着場と占用工作物として河川管理者以外の者が設置する船着場がある。河川舟運を振興するためには、これらの船着場の有効活用を図ることが重要であり、今般、この観点からの船着場の使用方法の基本的考え方を左記のとおりまとめたので、これによりその使用を促進することとされたい。

1 河川管理者が設置する船着場の使用方法の基本的考え方

河川管理者が設置した船着場(以下「河川管理用船着場」という。)は、河川管理、震災対策等を目的として設置されているが、これ以外の目的のためであっても河川舟運のため当該施設を有効利用することは国民経済的に望ましい。国有財産法(昭和二三年法律第七三号)第一八条第三項においても「行政財産は、その用途又は目的を妨げない限度において、その使用又は収益を許可することができる。」とされており、当該規定の特例規定である河川法(昭和三九年法律第一六七号。以下「法」という。)第二四条においても同様の運用ができるものと解する。また、震災時等の非常時には、河川管理者だけでなく民間の舟運事業者等にも緊急物資の運搬等について協力を得ることが不可欠であり、舟運関係者が常日頃から当該施設を使用することにより震災時等における当該施設の円滑な活用が可能となる。
このよう観点から、河川管理上支障のない範囲内で、法第二四条の許可により河川管理用船着場を河川管理等以外の目的に使用させることが適当である。
(1) 占用主体

河川管理用船着場の舟運のための使用については、1)当該船着場の設置が公的資金で行われていること、2)洪水時等における適正な管理が要請されること、3)複数の者の共同使用に当たっては公平な使用調整が必要であることから、地方公共団体、第三セクター等の公的主体を占用主体として、河川管理用船着場及び停泊水面の占用許可を法第二四条の規定に基づき行い、当該占用主体が民間舟運事業者等に使用させることが適当である。
この場合、1)河川管理者が必要とする場合には、事前に占用主体に連絡の上船着場を使用すること、2)震災時等の非常時に河川管理者の指示に従うこと、3)治水上、河川環境上、河川利用上必要な事項等を許可条件として付すことが適当である。

(2) 使用方法

河川管理用船着場の使用を希望する船舶が競合した際の優先順位は、公共性の観点から決定することが適当である。
この観点から、占用主体は、基本的には、定期的な航路事業を行っている水上バス又は貨物船の運航者に対して、優先的に、あらかじめ曜日、時間帯等を指定して包括的な使用の承認を与えることが適当である。この場合、震災時等の非常時に緊急物資輸送等に協力することを条件とする必要がある。
次に、水上バス等のうち不定期に航行するもの、遊覧船等の事業として行われている舟運について、船着場の使用状況に余裕のある場合に、あらかじめ使用する日時を指定して包括的に、または各使用回ごとに、占用主体の承認を得て使用させることが適当である。
また、プレジャーボート等については、船着場の使用状況に余裕のある場合に、各使用回ごとに、事前に占用主体の個別の承認を得て、上記の定期的な航路事業等の運航に支障を与えない範囲で船着場を使用させることが適当である。ただし、船着場の使用状況に十分な余裕がない場合には、プレジャーボート等の船舶数が極めて多く関係者との使用調整が困難であること、特定の個人の私的な使用であること等から、緊急時の使用を除き、河川管理用船着場の使用は認め難い。
なお、占用主体は、あらかじめ河川管理者と協議して定めた公正妥当な使用料をこれらの使用者から徴収できるものとすることが適当である。

2 占用工作物としての船着場の使用方法の基本的考え方

(1) 占用主体

占用工作物としての船着場は、公的主体のほか民間の航路事業者も設置することが可能である。河川管理者は、法第二四条及び第二六条の規定に基づき許可するに当たり、占用主体に対し、1)震災時等の非常時に河川管理者の指示に従うこと、2)治水上、河川環境上、河川利用上必要な事項等を許可条件として付すことが適当である。

(2) 使用方法

占用工作物としての船着場の管理は当該占用主体が行うこととなるが、その使用を促進するため、占用主体の船着場使用に支障を生じない範囲で、河川管理者は、上述の河川管理用船着場の使用方法と同様の考え方により、他の者の使用を広く認めさせるよう占用許可条件を付すことが適当である。

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