河治発第六二号
昭和四九年七月二二日

各地方建設局長・北海道開発局長・沖縄総合事務局長・各都道府県知事あて

河川局長通達


砂利等の採取に関する規制計画の策定及び特定採取制度について


河川砂利基本対策要綱の改定については昭和四九年四月三〇日付け建設省河計発第四二号、砂利等採取許可準則の改定については昭和四九年七月二二日付け建設省河治発第六一号をもつて建設事務次官より通達されたところであるが、改定後の同要綱二(2)及び(3)の運用並びに改定後の同準則第九及び第一〇については、左記によることとされたい。

1 砂利等の採取に関する規制計画の策定について

(1) 砂利等の採取に関する規制計画は、砂利等の採取を計画的に規制する必要がある区間について別紙一の要領により策定すること。
(2) 既に定められている砂利等の採取に関する基本計画及び規制計画は、引き続き有効とするが、改定する場合には、基本計画と規制計画を一本化し、別紙一の要領により策定すること。
(3) 規制計画の対象区間において特定採取計画を策定したときは、すみやかに規制計画を変更すること。

2 特定採取制度について

(1) 特定採取制度は、砂利等の需給状況がひつ迫している地域における河川について適用すること。
(2) 特定採取制度を適用しようとするときは、あらかじめ、別紙二の要領により特定採取に関する計画(以下「特定採取計画」という。)を策定すること。
(3) 特定採取計画は、当該計画に係る河川に依存する地域における砂利等の需給状況を考慮して適正なものとすること。
(4) 対策工事の施行については、次の点に留意すること。

1) 対策工事の円滑な施行を確保するため、地方建設局長若しくは北海道開発局長又は都道府県知事は、特定採取計画において採取を予定する砂利採取業者と対策工事の施行に関して協定を締結し、必要な事項を定めておくこと。
2) 河川対策工事は、1)の砂利採取業者が河川法第二〇条の規定による承認を受けることにより、施行するよう措置すること。
3) 許可工作物対策工事は、当該許可工作物の管理者と1)の砂利採取業者による費用負担等の協議が整つた後において河川法の規定による許可を受けることにより、施行するように措置すること。


別紙一

砂利等の採取に関する規制計画の策定要領

(規制計画策定の趣旨)
第一 砂利等(土石又は砂をいう。以下同じ。)の採取に関する規制計画(以下「規制計画」という。)は、水系ごとに一貫した計画のもとに河川管理上支障のない範囲内で掘削基準河床及び掘削基準断面を定め、これらに基づき規制の方針、禁止区域、掘削可能量、採取可能量、年次別計画等を定めるとこにより砂利等の計画的な採取を行わせ、もつて河川管理の適正化を図ることを目的とする。
(規制計画の策定手続)
第二 地方建設局長(北海道においては北海道開発局長。以下同じ。)はその管理する指定区間外の一級河川について、都道府県知事は、その管理する指定区間内の一級河川及び二級河川について、それぞれ水系ごとに別記様式により規制計画を策定するものとする。

この場合において、都道府県知事は、指定区間内の一級河川、河川法施行令第四一条第一項に規定する指定河川又は沖縄振興開発特別措置法第七条第一項の規定に基づき指定された区間内の二級河川(同法附則第五条第一項の規定に基づき指定された区間内の河川を含む。)について規制計画を策定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ所轄地方建設局長又は沖縄総合事務局長に協議しなければならない。ただし、特定採取計画の策定又は変更に伴い規制計画を変更しようとするときは、その旨をこれらの者に通知することをもつて足りる。

(規制計画の内容)
第三 規制計画は、次の各号に掲げる事項について、それぞれ当該各号に定めるところにより策定するものとする。

一 対象区間

規制計画は、砂利等の採取を計画的に規制する必要のある区間について定めるものとする。

二 規制の方針

規制の方針は、今後の砂利等の採取の許可又は認可に関する規制の方針等を定めるものとする。

三 掘削基準河床及び掘削基準断面

掘削基準河床及び掘削基準断面は、現在の河状、河床変動の動向、河川管理施設及び許可工作物の状況、用水の取水状況、高水敷の公園、緑地等としての利用の状況、自然環境への影響等を勘案するとともに、今後の河川工事の実施を考慮のうえ、工事実施基本計画に規定する計画河床及び計画横断形の範囲内で定めるものとする。

四 禁止区域等

(1) 禁止区域

禁止区域は、規制計画の対象区間のうち数キロメートル以上にわたつて河床が全般的に掘削基準河床以下である区間又は砂利等の採取により河川管理施設、許可工作物等に支障を生ずると認められる区間で当分の間砂利等の採取を一切禁止する区間について定めるものとする。

(2) 保安区域

保安区域は、河岸、河川管理施設、許可工作物等の保全、河川改修計画上の必要等から原則として砂利等の採取を行わせない区域については、河状、出水の状況、河川改修工事の進捗状況等を勘案して定めるものとする。

五 掘削可能量及び採取可能量

掘削可能量は、掘削基準断面内の土量をおおむね二〇〇〜五〇〇メートルごとの横断から算定するものとし、採取可能量は、掘削可能量のうち、粒度分布等を勘案して採取することができる砂利等の量(民地に係るものを外書とする。)を求めるものとし、これらを適当な区間ごとに算出するものとする。

六 年次別計画

年次別計画は、採取可能量、砂利等の需給の実態、長期の安定供給等を勘案して、おおむね五年ごと(五年未満の期間で砂利等の採取が不可能になる場合は、採取可能の期間とする。)における許可又は認可の予定量を年次別に定めるものとする。この場合において、過去における砂利等の採取の実績と河床変動の状況との関係から将来流下する砂利等の量を考慮することが適当である場合は、これを採取可能量に加えて年次別計画を策定することができる。

七 その他必要な事項

(規制計画の報告)
第四 地方建設局長又は都道府県知事は、規制計画を策定し、又は変更したときは、すみやかに河川局長に報告しなければならない。



別記様式〔略〕



別紙二

砂利等の特定採取に関する計画の策定要領

(特定採取計画策定の趣旨)
第一 砂利等(土石又は砂をいう。以下同じ。)の特定採取(河川砂利基本対策要綱一に定める特定採取制度に基づく採取をいう。以下同じ。)に関する計画(以下「特定採取計画」という。)は、砂利採取業者が、河川管理上の支障を排除するための河川工事(以下「河川対策工事」という。)又は許可工作物の改築若しくは補強工事等(以下「許可工作物対策工事」といい、河川対策工事と併せて以下「対策工事」という。)を実施することにより、砂利等の採取が可能となる場合において、掘削基準河床及び掘削基準断面、対策工事、掘削可能量及び採取可能量、年次別計画等を定めることにより特定採取の計画的かつ円滑な実施を図ることを目的とする。
(特定採取計画と策定手続)
第二 地方建設局長(北海道においては北海道開発局長。以下同じ。)はその管理する指定区間外の一級河川について、都道府県知事はその管理する指定区間内の一級河川及び二級河川について、それぞれ砂利等の特定採取を計画的に行わせる必要のある河川ごとに別記様式により策定するものとする。この場合において、都道府県知事は、指定区間内の一級河川、河川法施行令第四一条第一項に規定する指定河川又は沖縄振興開発特別措置法第七条第一項の規定に基づき指定された区間内の二級河川(同法附則第五条第一項の規定に基づき指定された区間内の河川を含む。)について特定採取計画を策定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ所轄地方建設局長又は沖縄総合事務局長に協議しなければならない。
(特定採取計画の内容)
第三 特定採取計画は、次の各号に掲げる事項について、それぞれ当該各号に定めるところにより策定するものとする。

一 特定採取計画の策定方針

特定採取の必要性、対策工事の実施方針等を定めるものとする。

二 特定採取計画区間

特定採取計画の対象区間(以下「特定採取計画区間」という。)は、砂利採取業者に対策工事を施行させることにより、河川管理上支障なく砂利等の採取を行わせることができると認められる一連の区間を定めるものとする。
この場合において、特定採取計画区間は対策工事の施行区間及び当該施行区間に接続する区間についての、河川管理上の影響を十分に検討して定めるものとする。

三 砂利採取業者

砂利等の特定採取を行わせることのできる砂利採取業者は、対策工事を確実に施行することができると認められる者とし、原則として砂利採取業者からなる協同組合等を定めるものとする。

四 掘削基準河床及び掘削基準断面

掘削基準河床及び掘削基準断面は、現在の河状、河床変動の動向、河川管理施設及び許可工作物の状況、用水の取水状況、高水敷の公園、緑地等としての利用状況、自然環境への影響等を勘案するとともに、今後の河川工事と対策工事との関連を考慮のうえ、原則として、工事実施基本計画に規定する計画河床及び計画横断形の範囲内で定めるものとする。

五 対策工事

対策工事は、砂利採取業者がその費用を負担して施行するものについて、その種別、数量、概算事業費、施行計画等を定めるものとする。

六 掘削可能量及び採取可能量

掘削可能量は、掘削基準断面内の土量をおおむね二〇〇〜五〇〇メートルごとの横断から算定するものとし、採取可能量は、掘削可能量のうち粒度分布等を勘案して採取することができる砂利等の量(民地に係るものを外書とする。)を求めるものとし、これらを適当な区間ごとに算定するものとする。

七 年次別計画

年次別計画は、対策工事の施行計画、採取可能量、砂利等の需給の実態、長期の安定供給等を勘案して今後の許可又は認可の予定量を年次別に定めるものとする。この場合において、過去における砂利等の採取の実績と河床変動の状況との関係から将来流下する砂利等の量を考慮することが適当である場合は、これを採取可能量に加えて年次別計画を策定することができる。

八 その他必要な事項

(特定採取計画の報告)
第四 地方建設局長又は都道府県知事は、特定採取計画を策定し、又は変更したときは、すみやかに河川局長に報告しなければならない。

ただし、小規模な特定採取計画の策定又は特定採取計画の軽微な変更については、この限りでない。



別記様式〔略〕


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