建設省河治発第五六号、建設省河都発第三五号
平成元年九月一一日

北海道開発局建設部長、各地方建設局河川部長、沖縄総合事務局開発建設部長、各都道府県土木主管部長、各政令指定市土木担当部局長あて

建設省河川局治水課長、建設省河川局都市河川室長


河川行政と土地改良事業との調整について


平成元年七月七日付けで土地改良法施行令が改正され、国営土地改良事業の再編成、都道府県営土地改良事業の申請要件の変更等がなされた。同令の改正に際して、建設省と農林水産省は、別添写し一、二及び三の覚書(以下別添写し一の覚書を「基本覚書」、同二の覚書を「運用覚書」、同三の覚書を「一般覚書」という。)を取り交して河川行政と土地改良事業との調整を図ることとしたので、左記事項に留意のうえ適切に対処されたい。
なお、これらの覚書の取り交しについては、農林水産省から地方農政局及び都道府県に別添写し四のとおり通知がなされているので申し添える。

1 河川行政と土地改良事業との調整は基本覚書、運用覚書及び一般覚書に従って適切に行うこと。
2 改正後の土地改良法施行令(以下「令」という。)第四九条第一項第二号から第八号まで、第五〇条第一項第一号の二(決壊するおそれがあるため池の補強の事業に限る。)及び第五号の二(低コスト化水田農業大区画ほ場整備事業に限る。)並びに附則第三項及び第四項の事業(以下「本事業」という。)は、河川行政と密接な関係があるので、本事業の実施等については、河川行政と十分に調整がなされる必要があること。
3 基本覚書の記2は、本事業において、河川(河川法が適用され、又は準用される河川をいう。以下同じ。)の改良工事に該当するもの(河川法第八条に定める河川工事)については行わないことを確認したものであること。

ただし、河川の改良工事を含む事業を行う必要が生じたときは、あらかじめ河川管理者に協議を行い、許可又は協議の成立の見通しが立った後に土地改良事業計画を決定するものとしたが、この協議に臨む場合は基本覚書の記3及び4並びに運用覚書の記3に十分留意すること。

4 基本覚書の記5及び6は、本事業において、同本文に掲げる形態のものは河川管理者が施行すべきものであるので行わないことを確認したものであること。

具体的な事例ごとに河川管理者と協議が成立したものは例外的に実施できるものとしたが、この場合においては、事前に本省間で調整を行うので、ただし書きの適用の協議に臨む場合は、本省と連絡を密にすること。また、この協議に臨む場合は、基本覚書の記3及び4並びに運用覚書の記3に十分留意すること。

5 基本覚書の記7は、本事業のうち排水に関して河川法の協議又は許可を必要とするものについての建設省及び農林水産省等間の協議等について定めており、国営事業にあっては事前に本省間で協議等を行うこととし、また、都道府県営事業にあっては都道府県土地改良事業担当部局が地方建設局、北海道開発局又は都道府県の河川管理担当部局と事前に協議等を行うこととしているが、説明又は協議を受けたときは直ちに本省に報告すること。

また、河川法の協議又は許可を必要としない場合にあっても、本事業について、河川の流量に著しい影響を与えるものを計画する場合に説明を受けたときは直ちに本省に報告すること。なお、ここにいう「著しい」の定義については今後両省間でつめることとしていること。

6 一般覚書の記1は、土地改良事業を進めるに当たって、従来のすべての覚書(基本覚書の記13参照)を含め基本覚書を遵守し、また、各覚書に具体的に記述のない土地改良事業であっても基本覚書の趣旨を尊重することを確認したものであり、したがって、国営、都道府県営、団体営等の如何を問わず基本覚書に記された事項を尊重するよう努めること。特に、河川から河川の流水を河川又は海へ排水する形態のものについては河川管理者が施行すべきものであるので遺憾のないよう対応に十分留意のこと。
7 一般覚書の記2は、過去及び今回の覚書の実効性を担保するため、新規の土地改良事業について概算要求前の調整を行うよう検討を進めることとしたものであること。
8 一般覚書の記3は、農業用河川工作物応急対策事業の実施状況に鑑み、今後両省で調整を図りつつその推進に努めることとしたものであること。


(別添写し一)

覚書

(平成元年七月一日)
(河政発第五六号、元構改B第六八八号)
(建設省河川局長、農林水産省構造改善局長)
土地改良法施行令の一部を改正する政令の制定に当たり、建設省と農林水産省は左記のとおり了解する。
1 農林水産省は、国営土地改良事業として農用地の災害防止を目的とするダム事業を行わないこと。

ただし、河川管理者が行うダム事業又は都道府県営農地防災ダム事業との共同事業として行われる国営土地改良事業によるかんがいダム事業を除く。

2 改正後の土地改良法施行令(以下「令」という。)第四九条第一項第二号から第八号まで、第五〇条第一項第一号の二(決壊するおそれがあるため池の補強の事業に限る。)及び第五号の二(低コスト化水田農業大区画ほ場整備事業に限る。)並びに附則第三項及び第四項の事業(以下「本事業」という。)について、河川(河川法が適用され、又は準用される河川をいう。以下同じ。)の改良工事に該当するものについては行わないものとすること。

ただし、河川の改良工事を含む事業を行う必要が生じたときは、あらかじめ河川管理者に協議を行い、許可又は協議の成立の見通しが立つた後に土地改良事業計画を決定するものとする。

3 本事業における受益地は農用地のみとすること。
4 本事業においては、現況河道疎通能力、工事実施基本計画等に定められた計画高水流量を勘案し、本事業の完了時点での河道疎通能力を超えるような計画は行わないこととすること。
5 本事業(令第四九条第一項第二号及び第八号の事業に限る。)について、河川から河川の流水を河川又は海へ排水する形態のものについては行わないものとすること。

ただし、事例ごとに河川管理者との協議が成立したものについては、この限りでない。この場合において、当該排水に係る工事は、河川法第二〇条に基づく工事として行うものとする。

6 本事業(令第四九条第一項第三号及び第四号、第五〇条第一項第五号の二(低コスト化水田農業大区画ほ場整備事業に限る。)並びに附則第三項及び第四項の事業に限る。)について、河川から河川の流水を河川又は海へ排水する形態のものについては行わないものとすること。

ただし、事例ごとに河川管理者との協議が成立したものについては、この限りでない。この場合において、新たに行う当該排水に係る工事は、河川法第二〇条に基づく工事として行うものとする。

7 本事業のうち排水に関して河川法の協議又は許可を必要とするものについては農林水産省(都道府県営事業にあっては、都道府県土地改良事業担当部局)は建設省(都道府県営事業にあっては、河川管理担当部局)に対し、調査時に説明を行うとともに全体実施設計(都道府県営事業にあつては、着工)に係る予算要求前に十分に協議すること。

また、本事業について、河川の流量に著しい影響を与えるもの(河川法の協議又は許可を必要とするものを除く。)を計画する場合には、農林水産省(都道府県営事業にあっては、都道府県土地改良事業担当部局)は、あらかじめ建設省(都道府県営事業にあっては、河川管理担当部局)に対し十分に説明すること。

8 令第四九条第一項第五号に定めるため池で決壊するおそれがあるものの補強であって、防災機能を付与するもの(以下「五号事業」という。)の計画については、次のように取り扱うこと。

(1) 五号事業のうち、次の河川の区間に係る地域を受益の対象とするものは、計画しないものとする。

1) 河川改修事業を実施済み、又は実施中の区間、及び河川改修事業を行う予定のある区間
2) 五号事業の計画において、調節前の計画洪水量が五〇〇m3/S以上となる区間、及び最大調節流量が一〇〇m3/S以上となる区間

(2) 五号事業を計画するに当たっては、建設省に上記(1)について協議を行うものとする。
(3) 前記(2)により、建設省は、必要に応じて河川計画への影響について検討するものとする。
(4) 協議調整は、事業の性格にかんがみ、速やかに行われるように双方努力するものとする。
(5) 事業採択の前に協議の成立を確認するものとする。

9 令第四九条第一項第六号の事業においては、河川である池、沼又は湖に隣接する農用地の災害を防止するため必要な堤の新設又は変更を行わないこと。

ただし、事例ごとに河川管理者との協議が成立したものについては、この限りでない。

10 令第四九条第一項第七号及び第八号に掲げる事業を以下の(1)、(2)に掲げる区域内において実施する場合には、次によるものとすること。
(1)

1) 砂防法第二条の規定により指定された砂防指定地
2) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第三条の規定により指定された急傾斜地崩壊危険区域
3) 地すべり等防止法第三条の規定により指定された地すべり防止区域
前記1)、2)又は3)の区域内において実施する場合にあっては、法令の定める所要の手続を了した後に着手するものとする。

(2)

1) 砂防指定予定地
2) 土石流危険渓流
3) 急傾斜地崩壊危険箇所
4) 地すべり危険箇所
前記1)、2)、3)又は4)の区域内において実施する場合にあっては、その工事内容につき都道府県土木担当部局(直轄砂防区域内にあっては、建設省地方建設局又は北海道開発局の河川担当部局)と事前に十分な調整を図るものとする。
なお、令第四九条第一項第七号の事業にあっては、急傾斜地崩壊危険箇所内において、崩壊防止工事を実施する必要があり、当該工事が建設省の補助事業工事採択基準に合致する場合にあっては、原則として建設省所管工事を優先させるものとする。前記以外の場合で農地、農業用施設を災害から未然に防止するため必要な崩壊防止工事については、原則として、農林水産省所管の工事を優先させるものとする。また、この区域内において農林水産省所管工事を実施する場合においては、農林水産省の関係部局は、あらかじめ崩壊防止工事の実施場所、工法等について都道府県土木担当部局に協議するものとする。

11 令第五二条第一項第二号の二の改正に係る事業は、広域農業水利施設総合管理事業(以下「総合管理事業」という。)のみであること。
12 総合管理事業については、

(1) 河川法第二三条又は第九五条による許可又は同意に係る申請内容の変更及びその際、個別の水利使用に付された条件の変更を伴うものは含まれないものであること。

ただし、個別の水利使用ごとに法の所定の手続を了して行うものについては、この限りでない。

(2) 河川法第四四条から第五一条までに規定するダムに関する特則を遵守すること。なお、複数の利水ダムにわたる洪水時の放流調節は含まれないものであること。
(3) 総合管理事業ごとに、計画構想段階において、河川管理者に説明を行うこと。

13 前記のほか、土地改良事業に関し、従来からの建設省と農林水産省との間で確認された合意の内容、趣旨は、今回の政令改正により何ら変更されるものでないこと。
14 農林水産省は、前記2から13までの内容について通達で関係行政機関に示すこととし、通達については事前に十分な時間的余裕を持って建設省に協議すること。



(別添写し二)
(平成元年七月一日)
(河政発第五七号、河計発第五四号、河治発第四三号、河都発第二六号、河開発第八六号、元―二)
(建設省河川局水政課長、河川計画課長、治水課長、都市河川室長、開発課長、農林水産省構造改善局施設管理室長、地域計画課長、事業計画課長、設計課長、水利課長、整備課長、開発課長、防災課長)
建設省及び農林水産省は、覚書(平成元年七月一日付け河政発第五六号、元構改B第六八八号)の締結に当たり、左記について確認する。
1 覚書2について

河川の改良工事とは、河川法第八条に定める河川工事である。

2 覚書3について

受益地は農用地のみとするが、不可避的に受益する土地を含むことがあるものとする。また、農用地には、事業の実施により農用地となる土地を含む。

3 覚書4について

(1) 本事業の完了時点での河道疎通能力については、河川改修の進捗の見通し等を考慮して合理的に判断するものとする。
(2) 「工事実施基本計画等」の「等」とは、一級河川直轄区間においては直轄河川改修計画を、一級河川指定区間及び二級河川においては河川改良工事全体計画をいい、応急的なものは含まないものとする。

4 覚書5及び6について

令第四九条第一項第五号、第六号及び第七号並びに第五〇条第一項第一号の二の事業には、河川から河川の流水を河川又は海へ排水する形態のものは含まれない。

5 覚書6について

「新たに行う当該排水に係る工事」とは、「既設排水施設の従前の規模を上回らない更新工事以外の工事」をいう。

6 覚書8について

本事業で付与される防災機能とは、農用地の災害を防止するものに限る。

7 覚書12について

(1) 総合管理事業については、河川流水の統合運用は行わないものとする。
(2) 覚書12の(3)において、総合管理事業が河川法第九五条の協議を必要とする場合は、「説明」は「事前協議」と読み替えるものとする。
(3) 覚書12の(3)にいう河川管理者とは、総合管理事業に係る個別の水利使用について許可又は同意を行った者をいう。



(別添写し三)

土地改良事業と河川行政の調整について

(平成元年七月一日)
(河計発第五五号、河治発第四四号、河都発第二七号、河開発第八七号、元―二)
(建設省河川局河川計画課長、治水課長、都市河川室長、開発課長、農林水産省構造改善局施設管理室長、地域計画課長、事業計画課長、設計課長、水利課長、整備課長、開発課長、防災課長)
標記の件について左記のとおり確認する。
1 河川行政と土地改良事業の円滑な推進のため、河川に関係する土地改良事業を進めるに当たっては、両省局長間の覚書(平成元年七月一日付け河政発第五六号、元構改B第六八八号)の内容を遵守するとともにその趣旨を尊重するものとする。
2 過去及び今回の覚書の実効性を担保するため、新規の土地改良事業について概算要求前に事業箇所等を建設省に説明すること及び河川管理者との事前調整状況を確認することを含め、今後両省はその方策について早急に検討するものとする。
3 農業用河川工作物応急対策事業は、

(1) 関係実施要綱等に基づくとともに、「農業用河川工作物の応急対策について(覚書)」(昭和五二年七月一五日付け五二―五一七、建設省河治発第四五号)を踏まえて行っているところであるが、その実施に当たっては、農林水産省は事業の性格にかんがみ予算の確保に努めるとともに、地元負担の軽減を図るため、国の補助金を除いた残額は極力都道府県、市町村等地方公共団体の費用をもって充当するよう指導するなどして事業の推進に今後とも努める。
(2) 更に、農林水産省の地方局又は都道府県の農林担当部局と建設省の地方局又は都道府県の土木担当部局間の協議を強化することにより、事業の一層の推進を図ることとする。このほか、両省間の担当者レベルでの打合せの場を設置することとする。



(別添写し四)

土地改良法施行令の一部を改正する政令の運用について

(平成元年七月七日)
(元構改B第九六七号)
(各地方農政局長、北海道開発局長、沖縄総合事務局長あて農林水産省構造改善局長)
土地改良法施行令の一部を改正する政令(平成元年政令第二一六号)が平成元年七月七日に公布、施行されたが、その運用に当たっての留意事項を左記のとおり定めたので、御了知の上、事業の実施につき特段の御配慮をお願いする。
また、管内都道府県知事には貴職から通知するとともに、指導方よろしくお願いする。
なお、このことについては、建設省と了解がついているので、念のため申し添える。
1 改正後の土地改良法施行令(昭和二四年政令第二九五号。以下「令」という。)第四九条第一項第二号から第八号まで、第五〇条第一項第一号の二及び第五号の二並びに附則第三項及び第四項関係

(1) 令第四九条第一項第二号から第八号まで、第五〇条第一項第一号の二(決壊するおそれがあるため池の補強の事業に限る。)及び第五号の二(低コスト化水田農業大区画ほ場整備事業に限る。)並びに附則第三項及び第四項の事業(以下「本事業」という。)について、河川(河川法(昭和三九年法律第一六七号)が適用され、又は準用される河川をいう。以下同じ。)の改良工事(河川法第八条に定める河川工事をいう。以下同じ。)に該当するものについては行わないものとする。

ただし、河川の改良工事を含む事業を行う必要が生じたときは、あらかじめ河川管理者に協議を行い、許可又は協議の成立の見通しが立った後に土地改良事業計画を決定するものとする。

(2) 本事業における受益地は農用地(事業の実施により農用地となる土地を含む。)のみとするが、不可避的に受益する土地を含むことがあるものとする。
(3) 本事業においては、現況河道疎通能力、工事実施基本計画等に定められた計画高水流量を勘案し、本事業の完了時点での河道疎通能力を超えるような計画は行わないこととする。

この場合において、
1) 本事業の完了時点での河道疎通能力については、河川改修の進捗の見通し等を考慮して合理的に判断するものとする。
2) 「工事実施基本計画等」の「等」とは、一級河川直轄区間においては直轄河川改修計画を、一級河川指定区間及び二級河川においては河川改良工事全体計画をいい、応急的なものは含まないものとする。

(4) 令第四九条第一項第五号、第六号及び第七号並びに第五〇条第一項第一号の二(決壊するおそれがあるため池の補強の事業に限る。)の事業には、河川から河川の流水を河川又は海へ排水する形態のものは含まれない。
(5) 本事業(令第四九条第一項第二号及び第八号の事業に限る。)について、河川から河川の流水を河川又は海へ排水する形態のものについては行わないものとする。

ただし、事例ごとに河川管理者との協議が成立したものについては、この限りでない。この場合において、当該排水に係る工事は、河川法第二〇条に基づく工事として行うものとする。

(6) 本事業(令第四九条第一項第三号及び第四号、第五〇条第一項第五号の二(低コスト化水田農業大区画ほ場整備事業に限る。)並びに附則第三項及び第四項の事業に限る。)について、河川から河川の流水を河川又は海へ排水する形態のものについては行わないものとする。

ただし、事例ごとに河川管理者との協議が成立したものについては、この限りでない。この場合において、新たに行う当該排水に係る工事(既設排水施設の従前の規模を上回らない更新工事以外の工事をいう。)は、河川法第二〇条に基づく工事として行うものとする。

(7) 本事業のうち排水に関して河川法の協議又は許可を必要とするものについては、農林水産省(都道府県営事業にあっては、都道府県土地改良事業担当部局)は建設省(都道府県営事業にあっては、河川管理担当部局)に対し、調査時に説明を行うとともに全体実施設計(都道府県営事業にあつては、着工)に係る予算要求前に十分に協議すること。

また、本事業について、河川の流量に著しい影響を与えるもの(河川法の協議又は許可を必要とするものを除く。)を計画する場合には、農林水産省(都道府県営事業にあっては、都道府県土地改良事業担当部局)は、あらかじめ建設省(都道府県営事業にあっては、河川管理担当部局)に対し十分に説明すること。

2 令第四九条第一項第五号関係

(1) 令第四九条第一項第五号に定めるため池で決壊するおそれがあるものの補強であって、防災機能(農用地の災害を防止するものに限る。)を付与するもの(以下「五号事業」という。)の計画については、次のように取り扱う。

1) 五号事業のうち、次の河川の区間に係る地域を受益の対象とするものは、計画しないものとする。

ア 河川改修事業を実施済み、又は実施中の区間、及び河川改修事業を行う予定のある区間
イ 五号事業の計画において、調節前の計画洪水量が五〇〇m3/S以上となる区間、及び最大調節流量が一〇〇m3/S以上となる区間

2) 五号事業を計画するに当たつては、建設省に前記1)について協議を行うものとする。
3) 前記2)により、建設省は必要に応じて河川計画への影響について検討するものとする。
4) 協議調整は、事業の性格にかんがみ、速やかに行われるように双方努力するものとする。
5) 事業採択の前に協議の成立を確認するものとする。

3 令第四九条第一項第六号関係

令第四九条第一項第六号の事業においては、河川である池、沼又は湖に隣接する農用地の災害を防止するため必要な堤の新設又は変更を行わない。
ただし、事例ごとに河川管理者との協議が成立したものについては、この限りでない。

4 令第四九条第一項第七号及び第八号関係

令第四九条第一項第七号及び第八号に掲げる事業を以下の(1)、(2)に掲げる区域内において実施する場合には、次によるものとする。
(1)

1) 砂防法(明治三〇年法律第二九号)第二条の規定により指定された砂防指定地
2) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和四四年法律第五七号)第三条の規定により指定された急傾斜地崩壊危険区域
3) 地すべり等防止法(昭和三三年法律第三〇号)第三条の規定により指定された地すべり防止区域
前記1)、2)又は3)の区域内において実施する場合にあつては、法令の定める所要の手続を了した後に着手するものとする。

(2)

1) 砂防指定予定地
2) 土石流危険渓流
3) 急傾斜地崩壊危険箇所
4) 地すべり危険箇所
前記1)、2)、3)又は4)の区域内において実施する場合にあつては、その工事内容につき都道府県土木担当部局(直轄砂防区域内にあっては、建設省地方建設局又は北海道開発局の河川担当部局)と事前に十分な調整を図るものとする。
なお、令第四九条第一項第七号の事業にあっては、急傾斜崩壊危険箇所内において、崩壊防止工事を実施する必要があり、当該工事が建設省の補助事業工事採択基準に合致する場合にあっては、原則として建設省所管工事を優先させるものとする。前記以外の場合で農地、農業用施設を災害から未然に防止するため必要な崩壊防止工事については、原則として、農林水産省所管の工事を優先させるものとする。また、この区域内において農林水産省所管工事を実施する場合においては、農林水産省の関係部局は、あらかじめ崩壊防止工事の実施場所、工法等について都道府県土木担当部局に協議するものとする。

5 令第五二条第一項第二号の二関係

(1) 令第五二条第一項第二号の二の改正に係る事業は、広域農業水利施設総合管理事業(以下「総合管理事業」という。)のみである。
(2) 総合管理事業については、

1) 河川法第二三条又は第九五条による許可又は同意に係る申請内容の変更及びその際、個別の水利使用に付された条件の変更を伴うものは含まれないものである。

ただし、個別の水利使用ごとに法の所定の手続を了して行うものについては、この限りでない。

2) 河川法第四四条から第五一条までに規定するダムに関する特則を遵守する。なお、複数の利水ダムにわたる洪水時の放流調節は含まれないものである。
3) 総合管理事業ごとに、計画構想段階において、河川管理者(当該総合管理事業に係る個別の水利使用について許可又は同意を行った者をいう。)に説明(当該総合管理事業が河川法第九五条の協議を必要とする場合は、事前協議)を行う。

なお、本事業については、河川流水の統合運用は行わないものとする。

6 前記のほか、土地改良事業に関し、従来からの建設省と農林水産省との間で確認された合意の内容、趣旨は、今回の政令改正により何ら変更されるものでない。



<参考>

河川行政と土地改良事業との調整について

(平成六年六月八日)
(事務連絡)
(各地方建設局河川部長、北海道開発局建設部長、沖縄総合事務局開発建設部長、各都道府県河川事業担当課長あて河川局治水課沿川整備対策官、都市河川室建設専門官)
標記については、平成元年九月一一日付け建設省河治発第五六号、建設省河都発第三五号をもって、治水課長、都市河川室長より通達されているところであるが、本省への報告について今後左記によることとしたので、適切に対処されたい。
1 通達の記5について、土地改良事業の説明又は協議を受けたときは、直ちに本省に報告することとしているが、本省間の打合せを円滑に進めるため、概算要求前と事業予算決定後にも本省に報告することとされたい。
2 前記の報告は、原則として、概算要求前は八月上旬、事業予算決定後は三月下旬までに行うこととし、次の資料を提出すること。

1) 対象土地改良事業総括表(別紙様式)
2) 土地改良事業担当部局との連絡会議等の資料(打合せ内容、合意事項のメモ等を含む。)

3 高規格堤防整備事業を実施する地方建設局にあっては、「高規格堤防の整備に係る土地改良事業との連絡調整について」(平成四年六月四日付け治水課沿川整備対策官事務連絡)における次の資料もあわせて提出すること。

1) 高規格堤防整備事業に係る概要表(様式―一)
2) 地区概要表(高規格堤防整備事業関係)(様式―二)
3) 地区概要図(高規格堤防整備事業関係)(様式―三)



<参考>

河川行政と土地改良事業との調整について

(平成七年七月五日)
(事務連絡)
(各地方建設局河川部河川計画課長、北海道開発局建設部河川計画課長補佐、沖縄総合事務局開発建設部河川課長、各都道府県河川事業担当課長あて河川局治水課課長補佐、河川環境課都市河川室課長補佐)
標記については、平成元年九月一一日付け建設省河治発第五六号、建設省河都発第三五号をもって、治水課長、都市河川室長より通達しており、また、本省への報告について、平成六年六月八日付け事務連絡(以下、「平成六年事務連絡」という。)をもって、治水課沿川整備対策官、都市河川室建設専門官より連絡しているところであるが、平成六年事務連絡の記二により提出するべき資料に関して左記の通りとするので、適切に対処されたい。
1 平成六年事務連絡の記2の中の1)の「対象土地改良事業総括表」(別紙様式)(以下「総括表」という。)は、原則として当該年度に新規に全体実施設計に着手するかあるいは新規着工する地区のみについて提出することとする。ただし、継続実施中の地区であっても、記5に挙げるような問題点のある地区については提出することとする。
2 総括表の「関係河川名」の欄で関係河川が直轄、補助のいずれにも該当しない場合には、管理者を括弧書きで記入するものとする。
3 総括表の「事業名」の欄には、事業名と併せて、括弧書きで国営・県営の別を記入するものとする。
4 総括表の「設計、着工、実施中の別」の欄には、全体実施設計の着手年度、終了(予定)年度及び事業着工(予定)年度、終了予定年度を記入するものとする。
5 総括表の「備考(問題点等)」の欄には、現在協議している懸案事項のほか、問題点への対処方針、処理状況等を簡潔に記入すること。また、これらも含め、以下のような観点で問題のある内容を詳細に別紙様式―2に記入すること。

・河川水を河川に放流する排水施設の有無。
・土地改良事業が行う河川の改良工事(二〇条工事)の有無。
・河川の流量に著しい影響を与えるもの(流域変更、排水機場の新設等)の有無。

6 平成六年事務連絡の記2の中の2)の「資料」としては、具体的に以下のものを指すものとする。

(1) 対象土地改良事業の概要表及び概要図(土地改良事業の説明または協議の際の資料として受け取ったもの(別紙;例―一、二)
(2) 調整状況を記したもの(議事録、協議メモ等)
(3) その他参考資料



別紙〔略〕


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