建設省河政発第二四号
昭和六二年三月三〇日

各地方建設局長、北海道開発局長、沖縄総合事務局長、各都道府県知事あて

建設省河川局長通達


日本国有鉄道の改革の実施に当たり河川管理上留意すべき事項について


先般、公布された日本国有鉄道改革法(昭和六一年法律第八七号)、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(昭和六一年法律第八八号)、新幹線鉄道保有機構法(昭和六一年法律第八九号)、日本国有鉄道清算事業団法(昭和六一年法律第九〇号)、日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職の促進に関する特別措置法(昭和六一年法律第九一号)、鉄道事業法(昭和六一年法律第九二号)、日本国有鉄道改革法等施行法(昭和六一年法律第九三号)等により、日本国有鉄道(以下「国鉄」という。)の改革が昭和六二年四月一日に実施されることとされているところである。
これにより、国鉄は、北海道旅客鉄道株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社、九州旅客鉄道株式会社、日本貨物鉄道株式会社、新幹線鉄道保有機構、鉄道通信株式会社、鉄道情報システム会社及び財団法人鉄道総合技術研究所(以下「承継法人」という。)にその事業又は業務を引き継ぎ、日本国有鉄道清算事業団(以下清算事業団」という。)に移行することとなるが、河川法(昭和三九年法律第一六七号。以下「法」という。)第九五条の規定により国鉄が河川管理者とした協議に基づく占用又は行為の取扱い等河川管理上対応すべき点もあるところであるので、左記の事項に留意し、遺憾のないようにされたい。

1 国鉄改革後の承継法人及び清算事業団の法上の取扱いについて

昭和六二年四月一日に国鉄の改革が実施された後の承継法人及び清算事業団(以下「承継法人等」という。)については、法の適用について国とみなされないこととなり、同日以前に国鉄として河川管理者と協議を行っている場合を除き、新たに河川区域内の土地の占用等を行おうとする場合には、法に基づく許可等を受けることが必要となるものであること。

2 法第九五条の規定による協議に基づく占用又は行為等について

(1) 従来、国鉄が法第九五条(法第一〇〇条第一項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定により河川管理者とした協議に基づき行っている占用又は行為については、日本国有鉄道改革法等施行法の施行に伴う経過措置等に関する政令(昭和六二年政令第五三号。以下「経過措置政令」という。)において、当該占有又は行為に係る権利及び義務を継承した承継法人(当該占有又は行為に係る権利及び義務を承継法人が承継しない場合にあっては、清算事業団)に対して河川管理者がした許可に基づく占用又は行為とみなすこととしており、承継法人等は、新たに法に基づく許可申請を行うことなく、当該占用又は行為を継続することができるものであること。
(2) また、従来日本鉄道建設公団(以下「鉄建公団」という。)が所有してきた鉄道施設に係る資産についても、国鉄に貸し付けている新幹線鉄道等に係るものは、当該資産に係る鉄建公団のその他の権利及び義務とともに国鉄が承継し、さらに国鉄から承継法人が承継し、又は清算事業団に帰属するものとされているところである。この場合において、従来鉄建公団が法第二四条(法第一〇〇条第一項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定による河川管理者の許可に基づき行っている占用であって国鉄が承継した権利及び義務に係るものについても、経過措置政令において、当該占用に係る権利及び義務を承継した承継法人(当該占用に係る権利及び義務を承継法人が承継しない場合にあっては、清算事業団)に対する法第二四条の規定による河川管理者の許可に基づき行っている占用とみなすこととしており、承継法人等は、新たに法に基づく許可申請を行うことなく、当該占用を継続することができるものであること。
(3) 従来国鉄が法第九五条の規定により河川管理者とした協議に係るダムの操作規程については、経過措置政令において、法第四七条第一項の規定により、当該ダムに係る権利及び義務を承継した承継法人に対して河川管理者がした承認に係るダムの操作規程とみなすこととしており、承継法人は、新たに法に基づく承認申請を行うことなく、当該操作規程によることができるものであること。

3 工事協定等について

建設省及び国鉄間の「河川工事と日本国有鉄道工事が相互に関連して必要を生じた工事費用の分担に関する規定」及び「河川工事と日本国有鉄道工事が相互に関連して必要を生じた工事費用の分担について細部協定」に基づき、現在、個別の協定、覚書等を締結している事業であって昭和六二年三月三一日までに完了しないものについては、承継法人に承継されることとされており、これに伴い、当該個別の協定、覚書等の定める内容に係る一切の権利及び義務についても承継法人に承継されるものであること。

4 流水占用料等について

従来、国鉄の行う事業については、国の行う事業とみなして流水占用料等を徴収しないこととしてきたところであるが、承継法人等の行う事業に係る流水占用料等の徴収については、従来の地方鉄道事業者、電気事業者等と同様に取り扱うことができるものであること。

5 承継法人等による河川区域内の土地の占用状況等の把握について

上記1及び2のとおり、承継法人等は、新たに法に基づく許可申請を行うことなく、河川区域内の土地の占用等を継承することとなるが、継承法人等が多数にわたることにかんがみ、別途通知するところより、各承継法人等から当該占用等の状況を示す資料を徴し、その十分な把握に努めること。

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