各都道府県知事、各地方建設局長あて
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別紙 河川工事に起因して生じる鉄道工事に関する運輸省・建設省協定
(目的)
第一条 この協定は、河川工事に起因して生じる旅客会社等の鉄道橋りよう及びこれに関連する施設の新設、改築等に関する事項を定め、河川及び鉄道の工事及び維持管理の円滑な実施を図ることを目的とする。
(意義)
第二条 この協定において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 河川管理者 河川法(昭和三九年法律第一六七号)第七条(同法第一〇〇条において準用する場合を含む。)に規定する河川管理者をいう。
(2) 旅客会社等 第一種鉄道事業の免許を受けた者としての旅客会社及び貨物会社(旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(昭和六一年法律第八八号)第一条第一項及び第二項に規定する旅客会社及び貨物会社をいう。)並びに旅客会社及び貨物会社が第一種鉄道事業の用に供している施設を所有する者としての新幹線鉄道保有機構等をいう。
(3) 河川工事 河川法第八条に規定する河川工事をいう。
(4) 鉄道工事 旅客会社等の鉄道橋りょう及びこれに関連する鉄道施設の新設、改築等をいう。
(工事の通知)
第三条 河川管理者が、鉄道工事の必要が生じるおそれのある河川工事を施行しようとするときはあらかじめ旅客会社等に通知するものとする。この通知があった場合には、河川管理者と旅客会社等とが協議を行うものとする。
(構造基準)
第四条 この協定の適用を受ける鉄道施設の構造は、当該施設が従前に有していた機能を勘案するとともに、河川管理施設等構造令(昭和五一年政令第一九九号)、新幹線鉄道構造規則(昭和三九年運輸省令第七〇号)、普通鉄道構造規則(昭和六二年運輸省令第一四号)及びこれらに準ずる諸基準によるものとする。
(河川改修における工事費)
第五条 河川工事(河川の新設及び捷水路の新設を除く。)に起因して生じる鉄道工事に要する費用(用地費を除く。)を河川改修における工事費とし、これを補償対象工事費、地盤沈下対策費及び増加費用に区分して、その範囲を、それぞれ次のとおりとする。
(1) 補償対象工事費 河川改修における工事費のうち地盤沈下対策費及び増加費用を除いた費用
(2) 地盤沈下対策費 河川改修における工事費のうち、地盤沈下のために増加したと想定される費用
(3) 増加費用 旅客会社等の要請により行われる線路増設又は軌道、信号設備若しくは連動装置の著しい改良のための工事(以下「増加工事」という。)に要する費用
(河川改修における工事費の負担)
第六条 河川改修における工事費の負担については、次の各号によるものとする。
(1) 補償対象工事費は、鉄道施設(資産価値の減耗を生じないものを除く。)の設置時からの経過年数に応じ、次の各号に掲げる式により求められる費用を旅客会社等が、その他の費用を河川管理者がそれぞれ負担するものとする。
(ア) 鉄道施設の耐用年数を経過していない場合(n<Nの場合)
C×0.9×(((1+i)n−1)/((1+i)N−1))
(イ) 鉄道施設の耐用年数を経過している場合(n≧Nの場合)
C×0.9
ここに
C‥復成価格(原簿価格及び当該価格設定時から工事施行協定締結までの間の物価上昇率により算出された価格)
i‥金利(当該鉄道施設の設置時から工事施行協定締結までの間の平均的金利)
N‥当該資産の耐用年数(減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和四〇年大蔵省令第一五号)に掲げる年数を標準とする。なお、実情に応じて適正な補正が必要と認められる場合にあっては、これを勘案することができるものとする。)
n‥経過年数
(2) 地盤沈下対策費は、河川管理者及び旅客会社等がそれぞれ原則として二分の一を負担するものとし、協議して負担額を決定するものとする。
(3) 増加費用は、旅客会社等が負担するものとする。
(河川の新設における工事費)
第七条 河川の新設(捷水路の新設を除く。)に起因して生じた鉄道工事に要する費用(用地費を除く。)を河川の新設における工事費とし、これを新設費用及び増加費用に区分して、その範囲は、それぞれ次のとおりとする。
(1) 新設費用 河川の新設における工事費のうち増加費用を除いた費用
(2) 増加費用 増加工事に要する費用
(河川の新設における工事費の負担)
第八条 河川の新設における工事費の負担については、次の各号によるものとする。
(1) 新設費用は、河川管理者が負担するものとする。
(2) 増加費用は、旅客会社等が負担するものとする。
(捷水路の新設における工事費の負担)
第九条 捷水路を新設し、旧川部の橋りょうを存置しない場合における鉄道工事に要する費用の負担については、第五条及び第六条を準用するものとする。
2 捷水路を新設し、旧川部の橋りょうを存置する場合における鉄道工事に要する費用の負担については、第七条及び第八条を準用する。
(施設の帰属及び管理)
第一〇条 鉄道工事完成後の施設の帰属及び管理については、原則として、鉄道施設は旅客会社等に、その他の取付護岸、河川管理用通路等の施設は河川管理者に帰属するものとし、それぞれ当該施設の所有者が管理するものとする。ただし、河川管理用通路を道路法(昭和二七年法律第一八〇号)第二条第一項に規定する道路として兼用する場合の管理については別途協議するものとする。
(用地費の負担)
第一一条 鉄道工事に要する用地費の負担については、次の各号によるものとする。
(1) 増加工事により必要となる用地の取得に要する費用は、旅客会社等が負担する。
(2) 第五条及び第六条(第九条第一項により準用する場合を含む。)の適用を受ける工事において、新たに河川区域となる旅客会社等の鉄道施設の敷地については、旅客会社等が無償で提供するものとする。
(3) 前二号以外の用地を取得するために要する費用は、河川管理者が負担するものとする。
(土地の帰属)
第一二条 鉄道工事完成後の土地の帰属は、次の各号によるものとする。
(1) 鉄道施設の敷地となる土地(河川区域となる土地を除く。)は、旅客会社等に帰属するものとする。
(2) 前号以外の土地は、河川管理者に帰属するものとする。
(残存物件の帰属)
第一三条 工事の結果残存する物件は、河川管理者に帰属するものとする。
(工事の実施)
第一四条 工事の実施については、河川の管理並びに鉄道の運転保安及び施設管理の重要性を考慮し、河川管理者及び旅客会社等の技術力、経済性等を勘案しながら協議して決定するものとする。
(実施のための指導)
第一五条 この協定により鉄道工事が円滑に実施されるよう、運輸省は旅客会社等を、建設省は河川管理者をそれぞれ指導するものとする。
(その他)
第一六条 砂防工事に起因して生じた鉄道工事については、砂防設備管理者(砂防法(明治三〇年法律第二九号)第一条に規定する砂防設備を管理する者をいう。以下同じ。)と旅客会社等とが、この協定の趣旨を勘案して協議を行うよう、運輸省は旅客会社等を、建設省は砂防設備管理者をそれぞれ指導するものとする。
第一七条 この協定に定めのない事項については、公共事業の施行に伴う公共補償基準要綱(昭和四二年二月二一日閣議決定)に定めるところによるものとし、詳細については、河川管理者と旅客会社等とが協議して定めるものとする。
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附 則 1 この協定は昭和六四年一月一日以降、工事施行協定を結び工事に着手するものについて適用するものとする。
2 この協定の適用前に工事施行協定を締結したものについては、従前の工事施行協定に基づいて工事を行うものとする。ただし、この協定の適用に伴いこの協定の内容に合わせ変更することを規定している工事施行協定を締結したものについては、この限りではない。
3 この協定は、河川工事に起因して生じた旅客会社等の鉄道工事等の円滑な実施を図るための暫定協定とする。
4 この協定を円滑に運用するため、引き続き運輸省と建設省とで協議するものとする。
この協定を証するため、協定書二通を作成し、おのおのその一通を保有する。
昭和六三年一二月二八日
運輸省大臣官房国有鉄道改革推進総括審議官 [印]
建設省河川局長 [印]
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