各地方建設局河川部長、道路部長、土木研究所企画部長、河川部長、材料施工部長、北海道開発局局長官房長、建設部長、沖縄総合事務局開発建設部長あて
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別添 救急排水ポンプ設備技術指針
目次
第一章 総則
1 目的 2 用語の定義 3 適用
第二章 計画
4 計画基本条件 5 施設計画
第三章 ポンプユニット
6 ポンプ形式 7 電動機形式 8 ポンプユニットの仕様 9 ポンプユニットの構造 10 ポンプユニットの材料 11 ポンプユニットの付属品 12 ポンプユニットの互換性
第四章 配管
13 吐出弁 14 吐出配管
第五章 電源・操作設備
15 電源・操作設備の構成 16 電源系統 17 発電装置等 18 接地端子箱 19 保護装置 20 ケーブル 21 ケーブルリール
第六章 付属設備
22 補助燃料タンク 23 照明設備 24 スクリーン
第七章 塗装
25 塗装 26 識別
第八章 運転操作
27 操作 28 始動・停止の制御
第九章 設置用機械等
29 吊り上げ装置 30 運搬車
第一〇章 付属施設
31 吸水槽の流入形状と寸法 32 堤防法面対策 33 作業スペース
第一一章 検査
34 検査の種類 35 材料検査 36 外観寸法検査 37 性能検査 38 据付検査 39 総合検査
第一章 総則
(目的)
第一条 この指針は、建設機械関係事務取扱規定(昭和四六年建設省訓第一三号)第三一条の規定に基き、救急排水ポンプ設備に関する標準的な技術指針を示すことにより、当該設備技術の維持と向上を図ることを目的とする。
(用語の定義)
第二条 この指針において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
1 「救急排水施設」とは、救急内水対策事業において設置される救急排水ポンプ設備、設置用機械等及び付属施設をいう。
2 「救急排水ポンプ設備」とは、救急排水施設に設置されるポンプユニット、電源・操作設備、配管、付属設備をいう。
3 「設置用機械等」とは、ポンプ設備を運搬及び設置するために用いる吊上装置、運搬車両をいう。
4 「付属施設」とは、ポンプ設備を設置するための現地の土木構造物や施設をいう。
5 「ポンプ設備基地」とは、ポンプ設備を常時保管し、救急時に備え維持管理を行っておく基地をいう。
6 「ポンプユニット」とは、コラムパイプおよび水中モータを含むポンプ本体をいう。
7 「電源・操作設備」とは、可搬式発電装置及び接続盤等、ケーブル、ケーブルリール等、運転操作に必要な設備一式をいう。
8 「ポンプユニット効率」とは、ポンプ水動力とモータ入力との比率をいう。ポンプの範囲は、コラムパイプの吐出口までとする。
9 「吐出量」とは、ポンプが単位時間に吐き出す水の体積をいう。
10 「実揚程」とは、ポンプ運転時の放流端レベルとポンプ吸込側水位の差をいう。
11 「全揚程」とは、ポンプで発生する全水頭であって、実揚程に損失水頭を加えた揚程をいう。
12 「内水位」とは、排水機場におけるポンプ吸入側(堤内地側)の流入水路等の水位をいう。
13 「外水位」とは、排水機場におけるポンプ吐出側(堤外地側)の河川、海又は川表水路等の水位をいう。
14 「計画点」とは、ポンプ性能を示す計画上の基準点であり、ポンプ吐出量と全揚程の関係を示したポンプ性能曲線図におけるポンプ計画全揚程とポンプ計画吐出量の交点をいう。
(適用)
第三条 この指針は、河川管理施設としての内水排除施設のうち、救急排水ポンプ設備に適用する。
第二章 計画
(計画基本条件)
第四条 救急排水ポンプ設備は、次の各号の条件に基づいて計画するものとする。
1 ポンプユニットの仕様は、堤防高さによって高揚程型および低揚程型を標準化しているので計画水位条件に対し、所要の排水量が確保できるよう、ポンプ台数を計画すること。
2 ポンプ台数の計画範囲は、運搬設置作業を考慮し一機場につき概ね一〇台までとする。
3 安全で確実に運転でき、かつ操作取扱いが容易な設備とすること。
4 ポンプユニットの耐久性は、年間運転時間二〇〇時間、設計寿命一〇年を標準として計画すること。
5 ポンプ本体は、五〇Hz地区用、六〇Hz地区用のそれぞれに分けて計画をおこなうものとする。
(施設計画)
第五条 施設計画は、救急排水ポンプ設備が可搬式設備であることを考慮し、その機能が十分発揮できるよう付属施設や設置用機械等について計画すること。
第三章 ポンプユニット
(ポンプ形式)
第六条 ポンプ機種形式は、コラム形着脱式立軸斜流水中モータポンプとする。
(電動機形式)
第七条 電動機の形式は、水中乾式かご形三相誘導電動機とする。
(ポンプユニットの仕様)
第八条 ポンプユニットの仕様は、次のとおりとする。
(ポンプユニットの構造)
第九条 ポンプユニットは、常設されたコラムパイプに緊急時に短時間で容易にポンプ本体を取付けられる構造とし、連続運転に耐えうるものとする。
(ポンプユニットの材料)
第一〇条 ポンプユニットに使用する材料は、次表に掲げるものとする。
(ポンプユニットの付属品)
第一一条 ポンプユニットには、運転に必要な付属品及び据付、取外し、分解組立に必要な工具を具備するものとする。
(ポンプユニットの互換性)
第一二条 ポンプユニットの主要寸法を統一して互換性を持たせるものとし、共通寸法は次の通りとする。
![]() 第四章 配管
(吐出弁)
第一三条 コラムパイプの吐出口には、吐出弁を設けることを標準とする。吐出弁の口径はφ七〇〇mm、中心高さは取付座から五〇〇mmとする。
(吐出配管)
第一四条 救急排水ポンプ設備の吐出配管は、水漏れや空気溜まりがなく、対外傷性に富み、内水圧等に耐えられるものとする。
第五章 電源・操作設備
(電源・操作設備の構成)
第一五条 救急排水ポンプ用電源・操作設備の構成、接続は次のとおりとする。
1 自家発電装置を運転操作する発電機盤
2 ポンプを運転操作する操作盤
3 ポンプ付近に設置され、ポンプ用ケーブルと制御ケーブルを接続する接続盤(立地条件により設置する)
4 吸水槽の吸水位検知用の電極式水位計
5 機器を接続する動力ケーブル(立地条件により設置する)、制御ケーブル
![]() (電源系統)
第一六条 救急排水ポンプ設備の電源方式は次のとおりとする。
1 救急排水ポンプ設備の運転に必要な電力は発電装置より供給する。
2 発電装置は電源搭載車に搭載し、必要な時には移動できることを原則とする。
3 救急排水ポンプ駆動用電動機の電圧は、交流四〇〇V又は四四〇Vとする。
4 照明および制御操作用の電圧は、交流一〇〇V又は一一〇Vとする。
(発電装置等)
第一七条 発電装置等の形式および要項は次のとおりとする。
1 全体の構造
発電装置として必要な原動機、発電機、燃料槽、排気消音器、始動用蓄電池、充電器、発電機盤および操作盤などの機器を、屋外形仕様の外装と共に一体化して軽量コンパクトに設計された装置であるとともに、騒音の低減に努めることとする。
但し、現地の状況等により操作盤と発電装置を独立して設置する場合は、別途設計仕様を定めるものとする。
2 原動機
形式 4サイクルディーゼル機関
燃焼室形式 直接噴射式
冷却方式 ラジエータ式
潤滑方式 強制潤滑
始動方式 電気式
使用燃料 A重油または軽油
原動機出力
3 交流発電機
形式 JEM1354 陸用ディーゼル直結交流発電機
外被構造 防滴保護形
冷却方式 自己通風
励磁方式 ブラシレス方式
絶縁の種類 E種以上
定格 連続
発電機電圧 50Hz:400/100V 60Hz:440/110V
4 内蔵燃料槽
鋼板溶接構造、油面計付、連続運転三時間以上の容量とする。
5 始動用蓄電池
自動車用鉛蓄電池 電圧二四V 容量二〇〇AH以上
6 充電器
自動充電器
7 発電機盤
前面扉にすべての操作、監視機構を設けるものとする。
1) 盤面取付器具
操作開閉器、切替開閉器、非常停止釦、電圧計、電流計、電力計、周波数計、圧力計、回転数計、温度計
2) 盤内収納機器
配線用遮断器、計器用変圧器、変流器、保護リレー、タイマー、補助リレー、ブザー
3) 付属品
単相照明回路用接続端子
8 操作盤
ポンプの始動、停止操作を行うもので、ポンプ二台が操作できる機器を取り付けた一面/ポンプ二台とする。
前面扉にのぞき窓を設け、計器、表示灯の監視ができること。また小扉を設け、小扉内に運転停止操作開閉器、切替開閉器、押釦開閉器を設けること。
1) 盤面取付器具
電圧計、電流計、運転時間計、運転表示灯、故障表示灯、照明灯
2) 小扉内取付器具
操作開閉器、切替開閉器、押釦開閉器
3) 盤内収納機器
配線用遮断器、始動補償機、始動用限流リアクトル、電磁接触器、計器用変圧器、変流器、保護リレー、タイマー、補助リレー、照明灯、端子台
4) 盤正面(または側面)取付
ブザー
(接地端子箱)
第一八条 接地端子箱
接地端子箱の形式と構造は次のとおりとする。
屋外鋼板製自立閉鎖形
内部端子台 五点端子
(保護装置)
第一九条
1 救急排水ポンプ設備の各機器に異常が生じた場合のために、保護装置を設けるものとする。
2 前項の保護装置は、重故障に対しては非常停止、警報及び表示を軽故障に対しては、警報及び表示を行うものとする。
3 吸水位低下の保護装置として、警報及び表示を行うものとする。
(ケーブル)
第二〇条 ケーブルの仕様は次のとおりとする。
1 ケーブルの種類
二種EPゴム絶縁クロロプレンキャブタイヤケーブル(二PNCT)とする。
2 仕様一覧表
注)N:発電装置の台数を示す。
3 ケーブルコネクタ仕様一覧表
4 ケーブルコネクタは、高、低揚程用別に識別する。
(ケーブルリール)
第二一条 ケーブル巻取装置として、鋼製リールを必要数付属させるものとする。
1 水位計〜操作盤間制御ケーブル(二mm2、二C、五〇m)用可搬式リール
2 発電装置間渡り制御ケーブル(二mm2、二C、二〇m)用可搬式リール
3 操作盤〜接地端子箱間接地ケーブル(三八mm2、一C、五〇m)用可搬式リール
第六章 付属設備
(補助燃料タンク)
第二二条 発電装置への燃料供給のため、補助燃料タンクを設けるものとする。
(照明設備)
第二三条 現地での夜間作業は、固定式または移動式照明灯等により照明を行い、作業の安全を確保するものとする。
(スクリーン)
第二四条 ポンプの吸水槽にはスクリーンを設けるものとする。
第七章 塗装
(塗装)
第二五条 救急排水ポンプ設備は、機器の保護、美観及び保安を考慮して必要な部分の塗装を行うものとする。
塗装仕様は、設備環境、保守等を考慮して定めるものとする。
(識別)
第二六条 高・低揚程用の識別は、色分け及び文字表示にて行うものとする。
第八章 運転操作
(操作)
第二七条
1 発電装置の運転操作は発電機盤の盤面上での手動操作とする。
2 救急排水ポンプの運転操作は操作盤の盤面上での手動操作とする。
(始動・停止の制御)
第二八条 始動条件は、発電装置、ポンプとも次のとおりとする。
1) 接触器が投入されていないこと。
2) 保護継電器が復帰していること。
また、各ポンプの始動・停止の制御はすべて同一で確実なものとする。
第九章 設置用機械等
(吊り上げ装置)
第二九条 各機場に適合した、トラッククレーン等の吊り上げ装置を事前に準備し、円滑に出動できる組織体制を整えておくものとする。また、安全についても十分配慮するものとする。
クレーンや吊り上げ装置の容量は、吊り上げる機器の重量及び作業半径を考慮して決定する。
(運搬車)
第三〇条 ポンプ設備をポンプ設備基地から現地まで運搬するための配車計画は、通路状況などに合わせて行うものとする。
第一〇章 付属施設
(吸水槽の流入形状と寸法)
第三一条 ポンプの吸水槽形状と水槽の幅や高さの寸法は、ポンプの運転に有害な水流の乱れのないものとする。
(堤防法面対策)
第三二条 堤防法面の吐出管布設部は、布設時の足場確保や漏水、堤体への安全性等を考慮して補強するものとする。
(作業スペース)
第三三条 救急排水ポンプ設備を、円滑に据付、運転するために、配置計画をもとにトラッククレーンや各運搬車両の搬入道路、配置及び作業スペースを確保しなければならない。
第一一章 検査
(検査の種類)
第三四条 救急排水ポンプ設備の製作、据付けにあたっては、次の検査を行うこととする。
材料検査
外観寸法検査
性能検査
据付検査(現地検査)
総合検査( 〃)
(材料検査)
第三五条 ポンプ設備の主要部材は、材料検査を行い、記録を保管するものとする。ただし、汎用機器については省略できるものとする。
(外観寸法検査)
第三六条 救急排水ポンプ設備の主要機器は、外観上の欠陥および主要寸法について検査を行い、記録を保管するものとする。
(性能検査)
第三七条 救急排水ポンプ設備の主要機器は、性能、機能等について検査を行い、記録を保管するものとする。
(据付検査)
第三八条 ポンプ設備及び付属設備は、現地据付検査を行い、記録を保管するものとする。
(総合検査)
第三九条 現地で、各機器の運搬、据付け、運転、撤去の全ての作業について確認し、記録を保管するものとする。
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