建河発第五六九号
昭和二九年一二月二四日

各都道府県知事あて

河川局長通達


砂防指定地取締規則の罰則について

今般、標記に関して別紙甲号写の通り長崎県知事より照会があり、別紙乙号写の通り回答したから了知されたい。
(照会)別紙 甲
二九河砂第二六六号
昭和二九年一二月一〇日
長崎県知事

建設省河川局長 殿

砂防指定地取締規則の罰則について

砂防法中疑義について

砂防指定地の管理等に関する規則整備中のところ、取締りの完璧を期するためには、罰則の規定も必要と思料されますが、法第四一条の罰則の規定が規則に委任されたものとして罰則を規定すべきか、地方自治法第一五条第二項の過料として規定すべきかにつき、左記のとおり疑義が生じたので、至急何分の御指示仰ぎたく禀伺します。

一 砂防法第四一条の命令は政令のみを指すものであるか、省令、規則等をも含めさすものであるか。
(説明)
砂防法第四一条の罰則の委任規定は、同法施行規則に明文の定めがなく、更に都道府県規則に委任規定も見当らない。
国の機関委任を受けた都道府県知事は、法第四条により指定地内における一定行為を禁止、制限するため、同法施行規程第三条により都道府県規則(立法当時の府県令)をもつてこれが管理に当ることになつているが、管理の万全を期するためには、法令の解釈上罰則を規定することは可能とも思われるが、前述の如く府県規則に対する罰則の委任規定がないために、規則に規定した私人の義務について罰則を規定することは、可能であるか、地方自治法第一五条第二項の過料とすべきかが問題となる。
二 砂防法第四一条の規定は、地方自治法第一五条第二項の「特別の定」に該当するか。
(説明)
砂防法第四一条の規定は罰則の命令への委任規定であるが、この委任規定は地方自治法第一五条第二項の「特別の定」に該当するものとせば、過料を規定することは違法の措置となるものと思われる。
なお右砂防法の規定は前号の如く委任規定のみに止まり、河川法に見る如く命令における明文の規定がないので疑義の余地がある。
(回答)別紙 乙
建河収崎甲第一〇九号
昭和二九年一二月二四日
建設省河川局長

長崎県知事 殿

砂防法中疑義について

昭和二九年一二月一〇日付二九河砂第二六六号で照会のあつた右については、左記の通り回答する。
一 砂防法(明治三〇年法律第二九号)第四一条の命令は、特に狭義に解すべき根拠もないので、政令のみを指すものではなく省令及び規則をも含むものと解される。
二 砂防法第四一条の規定は、地方自治法(昭和二二年法律第六七号)第一五条第二項の「特別の定」に該当する。
従つて、砂防法第四条及び同法施行規程(明治三〇年勅令第三八二号)第三条の規定に基き砂防指定地における一定の行為を禁止若しくは制限するため都道府県規則を定める場合においては、同規則中に砂防法第四一条の規定に基いて罰則を設けることができる。しかしながら河川法施行規程(明治二九年勅令第二三六号)第一三条第二項は本件と類似する場合の規定であるので同条同項に規定する範囲内の罰則にとどめることが望ましい。

All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport