建河発第三二五号
昭和三五年四月二八日

各地方建設局長・北海道開発局長・地理調査所長・土木研究所長あて

河川局長通達


治水特別会計法の執行について


治山治水緊急措置法(昭和三五年法律第二一号)第三条に規定する治水事業十箇年計画の実施に伴い、国が直轄で施行する治水事業及び多目的ダム建設工事に関する経理並びに都道府県知事が施行する治水事業に係る負担金又は補助金の交付等政府の経理を明確にするため、治水特別会計を設置することとし、このため治水特別会計法が制定され、同法は昭和三五年法律第四〇号として、同法施行令は昭和三五年政令第七〇号として、ともに昭和三五年三月三一日に公布施行され、昭和三五年度の予算から適用されることになったので、本特別会計の経理については、特に左記事項に留意の上遺憾のないよう取り扱われたい。
なお、昭和三五年度から治水特別会計で実施される直轄事業に係る地方公共団体負担金の納付については、従来の地方債証券(交付公債)による納付制度を改め、すべて現金で納付させることとなったので、これら地方公共団体負担金の収納状況は、直ちに本特別会計の運用及び事業の施行に影響することとなるから、事業の計画及び資金計画については、関係都道府県と密接な連絡をとり、特別会計の運用及び事業施行の円滑化を期せられたい。

1 治水特別会計で経理する範囲

この会計で経理する範囲は、次のとおりであること。
(1) 国が直轄で施行する治山治水緊急措置法(以下「法」という。)第二条第二項第一号から第三号までに掲げる事業(同条第三項の規定に該当するものを除く。以下「直轄治水事業」という。)及び同条第二項第四号に規定する工事(以下「多目的ダム建設工事」という。)……(特別会計法第一条第一項)並びに法第二条第三項第三号に規定する伊勢湾等高潮対策事業のうち直轄治水事業に密接な関連があって建設大臣が施行するもの(以下「直轄伊勢湾等高潮対策事業」という。)に関する経理……(特別会計法第一条第二項第一号)
(2) 都道府県知事が施行する法第二条第二項第一号から第三号までに掲げる事業(同条第三項の規定に該当するものを除く。)に係る負担金又は補助金の交付に関する経理……(特別会計法第一条第二項第四号)
(3) 建設大臣が地方公共団体等の委託に基づき施行する直轄治水事業又は直轄伊勢湾等高潮対策事業に密接な関連のある工事その他治水のため特に必要のある工事(以下「治水関係受託工事」という。)及び多目的ダム建設工事に密接な関連のある工事(以下「多目的ダム関係受託工事」という。)に関する経理……(特別会計法第一条第二項第二号)
(4) 法第二条第二項第一号又は第二号に規定する河川又は砂防設備に係る同条第三項第一号に規定する災害復旧事業及び海岸法(昭和三一年法律第一〇一号)第二条第一項に規定する海岸保全施設の新設、改良又は災害復旧に関する工事で建設大臣が施行するもの(以下「直轄海岸等事業」という。)並びにこれらの事業又は工事に密接な関係のある工事で建設大臣が委託に基づき施行するもの(以下「海岸等関係受託工事」という。)の管理に関する経理……(特別会計法第一条第二項第三号)

2 治水特別会計の管理

この会計の管理は、治水特別会計法(以下「特別会計法」という。)及び治水特別会計法施行令(以下「施行令」という。)に定めるもののほか、財政法、会計法、国有財産法、物品管理法及び国の債権の管理等に関する法律並びにこれらに基づく命令その他の法令の定めるところに従い、建設大臣が管理するものであること。……(特別会計法第二条)

3 治水特別会計の経理の原則

(1) この会計の歳入及び歳出並びに資産及び負債は、すべて治水勘定及び特定多目的ダム建設工事勘定に区分経理するものであること。……(特別会計法第三条)
(2) 特別多目的ダム建設工事勘定の歳入及び歳出並びに資産及び負債は、多目的ダム建設工事及び多目的ダム関係受託工事に区分し、更に多目的ダム建設工事を特定多目的ダム法(昭和三二年法律第三五号)第七条第一項の規定による負担金の算定の単位となる工事ごとに区分(経理上これらの区分によることが困難な特別の事情がある場合において、建設大臣が大蔵大臣に協議して定めるその他の区分を含む。(以下「工事別等の区分」という。)に整理するものであること。……(特別会計法第六条施行令第一条)
(3) 特定多目的ダム建設工事勘定において、工事別以外の区分により経理した歳入及び歳出並びに資産及び負債については、建設大臣が大蔵大臣に協議して定めるところにより、毎会計年度経過後すみやかに工事別の区分に応じ、これらを振替整理するものであること。……(施行令第一一条)
(4) この会計の歳出を支出するには、支出負担行為計画及び支払計画の示達によるほか、治水勘定においては、当該年度の収納済歳入額を支払元受高とし、特定多目的ダム建設工事勘定においては、工事別等の区分による当該年度の収納済歳入額を支払元受高とし、これを超えて支出することができないものであること。……(特別会計法第一四条第三項施行令第一〇条第一項及び第二項)

4 予算の執行

(1) 歳入事務

イ 歳入については、特別会計法第四条第一項各号及び同法第五条第一項各号に定めるところであるが、歳入徴収事務の所掌並びに歳入科目は次によるものであること。……(特別会計法第四条第一項、同法第五条第一項)
◎本省所掌事務(歳入徴収官建設大臣官房会計課長)

(イ) 特別会計法第四条第一項第一号に掲げる一般会計からの繰入金及び特定多目的ダム建設工事勘定からの繰入金
(ロ) 同法第四条第一項第二号に掲げる地方公共団体及びダム使用権者の負担金
(ハ) 同法第五条第一項第一号に掲げる一般会計からの繰入金
(ニ) 同法第五条第一項第二号に掲げる地方公共団体の負担金
(ホ) 同法第五条第一項第三号に掲げるダム使用権設定予定者の負担金及び受益者負担金並びにその他の負担金

(注) 北海道開発局にあっての一般会計の北海道開発事業工事事務費支弁に係る負担金を含む。

(ヘ) 同法第四条第一項及び第五条第一項に規定する附属雑収入のうち、同法第一九条の規定による余裕金の預託によって生ずる利子収入、治水特別会計に係る本省所属の不用物品の売払い収入その他治水特別会計に係る本省所掌事務に関して生ずる雑収入並びに予算決算及び会計令(昭和二二年拘束第一六五号)第六二条に規定する歳出支払未済繰越金及び隔地払資金一年経過の歳入組み入れ

(注) 歳出支払未済繰越金並隔地払資金一年経過歳入ニ組入ルル場合ノ取扱方(大正一二年三月三一日大蔵大臣達蔵第四四〇八号)

◎地方建設局等所掌事務

(イ) 特別会計法第四条第一項第三号に掲げる負担金
(ロ) 同法第四条第一項第四号に掲げる治水関係受託工事に係る納付金
(ハ) 同法第五条第一項第四号に掲げる多目的ダム関係受託工事に係る納付金
(ニ) 同法第四条第一項及び第五条第一項に規定する附属雑収入のうち、前記本省所掌事務以外の地方建設局等所掌の雑収入

(注) 北海道開発局にあっての、河川法第六七条及び北海道指定河川特例第三条の規定による指定河川より生ずる収入は、治水特別会計に属さないものであること。

歳入科目
(治水勘定)

他会計より受入
一般会計より受入
一般会計より受入
他勘定より受入
特定多目的ダム建設工事勘定より受入
特定多目的ダム建設工事勘定より受入
地方公共団体工事費負担金収入
地方公共団体工事費負担金収入
地方公共団体工事費負担金収入
附帯工事費負担金収入
附帯工事費負担金収入
附帯工事費負担金収入
受託工事納付金収入
受託工事納付金収入
受託工事納付金収入
雑収入
雑収入
公務員宿舎貸付料
 
 
建物及物件貸付料
 
 
不用物品売払収入
 
 
雑収入
(特定多目的ダム建設工事勘定)
他会計より受入
一般会計より受入
一般会計より受入
地方公共団体工事費負担金収入
地方公共団体工事費負担金収入
地方公共団体工事費負担金収入
電気事業者等工事費負担金収入
電気事業者等工事費負担金収入
電気事業者等工事費負担金収入
地方債証券償還収入
地方債証券償還収入
地方債証券償還収入
特定多目的ダム建設工事特別会計整理残余金受入
特定多目的ダム建設工事特別会計整理残余金受入
特定多目的ダム建設工事特別会計整理残余金受入
受託工事納付金収入
受託工事納付金収入
受託工事納付金収入
雑収入
雑収入
公務員宿舎貸付料
 
 
建物及物件貸付料
 
 
不用物品売払収入
 
 
雑収入

ロ 歳入徴収官事務規程(昭和二七年大蔵省令第一四一号)第九条に規定する納入告知書の歳入科目欄については、勘定名、款項目を記入するものであること。
ハ 歳入徴収官事務規程第二九条による徴収済報告書は、治水勘定及び特定多目的ダム建設工事勘定に区分し、治水勘定にあってはこれを款項目に、特定多目的ダム建設工事勘定にあっては款項目に区分し、款項目を更に工事別等の区分に区分作製し、毎月分を、翌月一五日までに建設大臣((正)大臣官房会計課長、(副)河川局長あて)に送付すること。……(/特別会計法第三条/特別会計法第一六条第一項/施行令第一七条/)

(2) 歳出事務

イ 歳出予算の移用及び流用については、財政法(昭和二二年法律第三四号)第三三条の規定の適用があることは勿論であるが本会計の昭和三五年度歳出予算については、特別会計予算総則第一三条によって各項の経費を彼此移用できることになっている。ただし、移用については真にやむを得ない特別の事由があるものに限られるものであり、移用及び流用は、資金計画とも密接不可分の関係にあるので、予算執行に当っては、その計画的執行に留意し、努めて移用等の事態が生じないよう実施すること。……(/財政法第三三条第一項及び第二項/予算決算及び会計令第一七条/昭和三五年度特別会計予算総則第一三条/)
ロ 歳出予算の移用及び流用を必要としない河川別工事費の流用についても、地方公共団体の負担金等特に直轄事業債との関係があるので、河川別流用を必要とする場合は、あらかじめ、河川局長の承認を受け実施すること。
ハ 地方建設局処務規程(昭和二四年建設省訓令第二〇号)第四条第二項の規定に基き、当該年度の実施計画の承認申請をするときは、別途、別紙様式第一による支出負担行為計画表及び別紙様式第二による支払計画表を、河川局長に提出すること。

なお、本計画は、一般会計からの繰入れ及び地方公共団体の負担金並びにダム使用権設定予定者の負担金の徴収等資金計画上特に重要なものであるから、十分検討の上調製するものとし、また、当該計画を変更しようとするときは、すみやかに変更計画表(様式は別紙様式第一及び第二に同じ。)を提出すること。

ニ 支払計画の示達は、支出官からの支払計画示達要求書(別に定める様式、建設大臣官房会計課長あて)により、示達されるものであること。
ホ 支払元受高は、支出官からの支払元受高転換要求書(別紙様式第三、河川局長あて)により要求するものとし、当該支出官の歳出金の支出権限の範囲として、治水勘定にあっては一般資金、附帯工事費資金及び受託工事費資金の資金区分により、特定多目的ダム建設勘定にあっては工事別等の区分により、別紙様式第四により、転換されるものであること。
ヘ 前号により転換された支払元受高は、資金区分の間又は工事別等の区分の間において彼此流用して支出してはならないものであること。……(/特別会計法第一四条第三項/施行令第一〇条第一項及び第二項/)
ト 前記支払計画示達要求及び支払元受高転換要求は、その所要額を十分検討の上提出するものとし、これらの計画のそごにより、資金が不足し、工事の施行に支障をきたし、或るいは支出見込みがないのに多額の遊休資金(支払元受残高)を保有することのないよう特に留意すること。

なお、支払計画の示達及び支払元受高の転換は、資金の調達その他の手続きに相当の日数を必要とするので、所定の期日までに、提出するよう厳守すること。

チ 本特別会計においては、特別会計法第一九条の規定により、支払い上現金に余裕があるときは、資金運用部に預託しなければならないので、支払元受高において多額の遊休資金を、かなり長期にわたって保有することとなる場合(治水勘定にあっては一、〇〇〇万円、特定多目的ダム建設工事勘定にあっては工事別等の区分ごとに一〇〇万円程度以上の余裕金を、一カ月以上にわたって保有する等)には、その余裕期間、金額等について十分検討の上、河川局長に報告し、その指示を受けること。

なお、資金運用部預託に関する事務は、資金運用部預託金担当者河川局長が行うものであること。

(特別会計法第一九条第一項及び第二項)

リ 支出官事務規程(昭和二二年大蔵省令第九四号)第七条及び第二六条に規定する支出官の振出す小切手及び国庫金振替書に附記することになっている事項のうち、部局等については、部局等の組織の別がないので記載する必要がないが、勘定名を附記するものであること。

又、支出官が予算決算及び会計令第六四条の規定により、提出する支出済額報告書は、治水勘定及び特定多目的ダム建設工事勘定に区分し、治水勘定にあっては項目に区分し、特定多目的ダム建設工事勘定にあっては項目に区分し、項目を更に工事別等の区分に区分作製し、毎月分を翌月一五日までに、建設大臣((正)大臣官房会計課長、(副)河川局長)に提出すること。

(3) 国庫債務負担行為

イ 国庫債務負担行為に係る支出負担行為計画の示達を受けようとするときは、別紙様式第五による当該工事等の内容及びこれに基づいて支出すべき年度及び年割額を示した国庫債務負担行為要求書を、河川局長あて提出し、示達を受けるものであること。
ロ 前号による支出負担行為計画の示達をうけ、国庫債務負担行為をしたときは、すみやかに、様式第五に準じ作製した国庫債務負担行為結果報告書を、河川局長に提出すること。
ハ 国庫債務負担行為に係る支出負担行為計画については、示達された事項別金額及び工事別等の区分による金額は、事項別の間又は工事別等の区分の間において彼此流用してはならないものであること。

(4) 事務費等の経理(注 北海道開発局を除く。)

イ 治水事業工事事務費で、その給与等の経費を支弁する職員の範囲は、地方建設局の工事事務所及び出張所等に勤務する者で、直轄治水事業、直轄伊勢湾等高潮対策事業及び治水関係受託工事並びに特定多目的ダム建設工事及び多目的ダム関係受託工事並びに直轄海岸等事業及び海岸等関係受託工事に従事するものであること。
ロ 前号による職員の定数は、予算に定められた職名別等級別の予算定員及び常勤職員給与に積算された人数により別に指示する地方建設局別定数によるものであること。
ハ 治水事業工事事務費支弁に係る職員俸給等については、毎月一日現在における職員給与関係調(別に定める様式、(正)会計課長、(副)河川局長)を毎月一〇日までに提出すること。
ニ 前記のとおり河川局所掌のすべての直轄事業に係る工事事務費及び事務費(一般会計で支弁する建設事業附帯事務費を除く。)は、本特別会計の治水事業工事事務費及び事務費により経理するものであること。従って、当年発生の直轄河川等災害復旧事業に係る工事事務費及び事務費で従来一般会計の予備費で支出されていたものに相当するものは、本特別会計の予備費の支出によって支弁されるものであること。……(/特別会計法第一五条第一項及び第二項/施行令第九条/)
ホ 治水事業工事事務費及び事務費の一括経理に伴う直轄治水事業費、直轄伊勢湾等高潮対策事業費、治水関係受託工事費及び特定多目的ダム建設工事費、多目的ダム関係受託工事費並びに直轄海岸等事業費、海岸等関係受託工事費の精算に当っての工事事務費及び事務費の精算は、次によるものであること。

(イ) 工事事務費及び事務費の支出の目的により明らかに事業種別(予算の「目」若しくは「目の細分」ごとの事業種別並びに附帯工事及び受託工事の工事別をいう。)ごとに区分できない経費については、当該工事事務所及び出張所が所掌する事業種別ごとの工事費の支出済額に按分した額によるものとすること。
(ロ) 治水事業工事事務費及び事務費のうち、特定多目的ダム建設工事及び多目的ダム関係受託工事に係る工事事務費及び事務費の額に相当する金額は、施行令第四条第一項に定める金額を除き、毎会計年度四半期ごとに、これらの工事の施行計画及び実施状況に応じ工事別等の区分に従って、特定多目的ダム建設工事勘定から治水勘定に繰り入れるものであること。

なお、当該繰り入れの事務は、本省において行なうものであること。……(/特別会計法第八条第一項及び第二項/施行令第四条第一項及び第二項/)

(ハ) 治水関係受託工事又は多目的ダム関係受託工事に関する事務費のうち、一般会計において支弁したものがあるときは、施行令第五条に定める金額(当分の間従来の方法により算出した金額)を、当該受託工事の納付金を収納した年度内において、治水関係受託工事に係る分にあっては治水勘定から、多目的ダム関係受託工事に係る分にあっては特定多目的ダム建設工事勘定から、それぞれ一般会計に繰り入れるものであること。

なお、当該繰入れの事務は地方建設局において行なうものであること。(治水勘定にあっては、現在歳出科目がないので科目設置の予定である。)……(/特別会計法第九条/施行令第五条/)

ヘ 事務費の使途及び基準については、別に指示するところによること。

(5) 附帯工事費の経理
(項) 附帯工事費により経理する附帯工事は、次によるものであること。

イ 河川法第一一条第二項の規定による附帯工事については、従前どおり直轄治水事業費で直接施行し、又は河川法第三二条第二項の規定により工作物の管理者に対して負担金を交付して管理者が施行するものであるが、本費は、国が直接施行する附帯工事で、当該附帯工事の施行により公共団体又は私人が特に利益を受ける場合における当該利益を受ける公共団体又は私人の負担金((歳入)附帯工事負担金収入)を財源として施行する部分の工事である。
ロ 附帯工事は、地方建設局処務規程第四条第二項の規定による実施計画の承認後、前記支出負担行為計画表(別紙様式第一)及び支払計画表(別紙様式第二)に基づいて、各四判期ごとに附帯工事費負担金を収納して、行なうものであること。

なお、附帯工事に係る工事事務費及び事務費(一般会計において支弁されるものを含む。)に係る負担金についても、当該附帯工事の施行計画及び実施状況に応じて収納するものであること。

ハ 附帯工事に係る雑収入については、附帯工事費の精算上必要があるので補助簿を備え、附帯工事ごとに区分して整理するものとすること。
ニ 附帯工事に係る支払元受高の転換は、別紙様式第六による附帯工事費負担金収入の収納速報(河川局長あて)により行なうものとし、当該附帯工事に係る工事事務費及び事務費分をも含まれるものであること。

(6) 受託工事費の経理について
(項) 受託工事費により経理する受託工事は、次によるものであること。

イ 建設省設置法(昭和二三年法律第一一三号)第三条第二六号の二から第二六条の五までの規定により国以外の者からの委託に基づいて、建設大臣が施行するもののうち、この特別会計で経理する直轄治水事業及び多目的ダム建設工事並びに直轄伊勢湾等高潮対策事業に密接な関連のある工事その他治水のため特に必要のある工事(これらの事業又は工事に密接な関連のあるその他の事務を含む。)である。
ロ 河川法第一〇条第一項及び第二項の規定による兼用工作物に係る工事について、同法第三〇条の規定により当該工作物の管理者たる公共団体若しくは私人の負担金を財源として施行する部分の工事並びに同法第三一条の規定による営業の結果による原因者工事についての営業者の負担金及び同法第一一条第一項の規定による原因者工事についての同法第三二条第一項の規定による原因たる工事の費用負担者の負担金を財源として施行する部分の工事についても、前記受託工事に準じて受託工事費により経理するものであること。
ハ 前記治水関係受託工事には、昭和三五年三月三一日以前に受託契約を締結した治水関係受託工事に相当する工事で、昭和三五年四月一日以降新らたに当該受託工事を請負に附し、若しくは直営により施行するものを含むものであること。

なお、治水関係受託工事にあっては治水勘定で、多目的ダム関係受託工事にあっては特定多目的ダム建設工事勘定で経理するものであること。

ニ 河川法第四条第二項の規定に基づく共同施設に関する省令(昭和二九年四月二七日省令第一一号)に基づく共同施設を建設大臣が管理する場合には、当該施設に係る管理及び維持修繕のうち、電気事業者等が負担すべき部分については、受託工事として取り扱わないで直轄堰堤維持費により一括施行するものであること。
ホ 受託工事は、地方建設局処務規程(昭和二四年建設省訓令第二〇号)第四条第二項の規定による実施計画の承認及び受託事務処理規定第四条の規定による承認後、受託契約を締結し、支出負担行為計画表(別紙様式第一)及び支払計画表(別紙様式第二)に基づいて、各四半期ごとに受託工事納付金を収納して行なうものであること。

なお、受託工事に係る工事事務費及び事務費(一般会計において支弁されるものを含む。)に係る納付金についても、当該工事の施行計画及び実施状況に応じて収納するものであること。

ヘ 受託工事に係る雑収入については、受託工事費の精算上必要があるので、補助簿を備え、受託工事ごとに区分整理するものとすること。
ト 受託工事に係る支払元受高の転換は、別紙様式第六による受託工事納付金収入の収納速報(河川局長あて)により行うものとし、当該受託工事に係る工事事務費及び事務費分をも含まれるものであること。
チ 受託工事についても、直轄治水事業等と同様支払元受高(委託者からの納付金の収納済額)がなければ受託工事費の支出ができないので実施計画と納付金の徴収計画の調整について十分配意し、支払遅延或るいは工事を中止する等、本来の工事に支障をきたすことのないよう留意すること。

(7) 帳簿について

イ 支出官は、予算決算及び会計令第一三三条の規定による支出簿及び同第一三四条の規定による支出負担行為差引簿のほか、会計規則及特別会計規則ノ規定ニ依リ調整スルコトヲ要スル帳簿ノ様式及記入ノ方法並書類ノ様式ニ関スル省令(大正一一年三月二九日大蔵省令第二〇号)の規定による支払元受高差引簿を備え、支払元受高の転換を受けたとき、歳出予算を支出するとき及び支出済になった返納金を歳出の金額に戻入するときは、そのつど支払元受高差引簿に登記しなければならないものであること。……(施行令第一五条及び第一六条)
ロ 前記支出官の支出簿、支出負担行為差引簿及び支払元受高差引簿並びに歳入徴収官の予算決算及び会計令第一三一条に規定する徴収簿の登記は、治水勘定及び特定多目的ダム建設工事勘定の別に区分し、更に特定多目的ダム建設工事勘定に係るものにあっては、工事別等の区分に従って行なわなければならないものであること。……(施行令第一七条)

5 経過措置及び資産等の経理

(1) 昭和三四年度以前の年度の一般会計の直轄治水事業に相当する事業若しくは直轄伊勢湾等高潮対策事業に相当する事業の施行又は直轄海岸等事業に相当する事業の管理に関する予算で昭和三五年度に繰り越したものについては、従前どおり一般会計で経理するものであること。……(特別会計法附則第四項)
(2) 昭和三四年度以前の年度の特定多目的ダム建設工事特別会計の多目的ダム建設工事の施行に関する予算で昭和三四年度中(出納整理期間を含む。)に支出を終らないものについては、不用額として整理するものであること。このため、昭和三五年度に繰り延べとなった工事については予算の範囲内(別に指示する。)においてこの特別会計で経理するものであること。

なお、この場合の河川法第二七条ただし書き又は第三三条の規定による地方公共団体の負担金の算定については、当該繰り延べとなった事業の年度の負担率によるものであること。

(3) 特別会計法附則第四項及び第五項の規定による資産及び負債の帰属については、施行令附則第三項の規程により大蔵大臣と協議決定の上別途通知されるが、直轄治水事業及び直轄伊勢湾等高潮対策事業に係るすべての未収債権及び未払債務等の資産及び負債(河川法第二七条ただし書若しくは第三三条、砂防法第一四条第二項若しくは第一七条、特定多目的ダム法第三三条第一項又は地すべり等防止法第二八条の規定による地方公共団体の負担金に係る債権、債務を除く。)並びに特定多目的ダム建設工事特別会計の廃止の際同会計に属するすべての資産及び負債は、無償でこの会計に帰属することとなる予定である。
(4) 国有財産及び物品の経理については、次のとおりであること。

イ 国有財産及び物品を、この特別会計の勘定相互間及び他の会計との間において所属換、管理換又は一時使用するときは、法令に特別の規定がある場合を除くほか、すべて有償として整理するものであること。
ロ 行政財産の用途を廃止した場合又は普通財産を取得した場合においては、国有財産法施行令(昭和二三年政令第二四六号)第四条に掲げる特別会計及び同法施行令第五条に規定する引き継ぎ不適当の財産を除き、国有財産法(昭和二三年法律第七三号)第八条第一項の規定により大蔵大臣にこれを引き継ぐこととされているが、同法施行令第四条が改正(国有財産法施行令第四条に治水特別会計を掲げる予定)されるまでの間、同法施行令第五条の規定により取り扱われることとなるものであること。……(/国有財産法第八条第一項/国有財産法施行令第四条及び第五条/)

6 その他

(1) この特別会計の管理は、河川局水政課で行なうものであること。ただし、本省における事務の処理については、別に定めるところによるものであること。……(建設省組織令第二一条第七号)
(2) 左記通達は、廃止するものであること。

なお、特別会計法附則第三項の規定による取扱いに関しては、なお従前の例によるものであること。
イ 特定多目的ダム建設工事特別会計の執行について(昭和三二年一〇月二四日付建河発第五七八号河川局長通達)
ロ 特定多目的ダム建設工事特別会計法及び同法施行令の一部改正について(昭和三四年四月一三日付建河発第三二六号河川局長通達)
ハ 特定多目的ダム建設工事特別会計の支払計画示達要求等について(昭和三三年六月二五日付建河発第四五七号河川局長通達)


様式〔略〕


All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport