水防活動の強化を図るため、今回第二二回国会において水防法の一部が改正せられ、七月一一日に昭和三〇年法律第六一号をもって、公布同日より施行されたが左記により貴県の水防態勢の整備を図られることはもとより、貴管下水防管理団体に対しても十分趣旨の普及徹底を図り、もって本法施行上遺憾なきを期せられたく、命により通達する。
第一 災害補償
1 水防団長又は水防団員が公務により死傷した場合又は水防法(以下「法」という。)第一七条の規定により水防に従事した者が水防に従事したことにより死傷した場合における災害補償の基準については、当省において準則を定めて別途通知する予定である。
2 消防機関に属する者が水防に従事したことにより死傷した場合における災害補償については、消防組織法の規定により、消防機関の属する市町村又は市町村組合が行うものとし、本法の規定にはよらないものである。
第二 洪水予報
1 建設大臣が中央気象台と共同して洪水予報を行う河川は、近く運輸大臣と協議して定め、別途通知する予定である。
2 法第一〇条の三に規定する「関係者」とは、建設省、中央気象台、関係都道府県、関係水防管理団体等である。
3 水位を通報する義務を有する水防管理者及び量水標管理者並びに水位の通報を受ける関係者に対しては、水防計画に定め、その旨をあらかじめ通知しておかれたい。
第三 水防警報
1 建設大臣が水防警報を行う河川は、近く指定して官報に告示する予定であるが、おおむね建設大臣が直轄維持又は改修工事を施行している河川となる見込みである。
2 都道府県知事は、適用河川の直轄改修工事完了後、県に引き継いだもの、国の予算補助の対象となっている河川、現に県において工事を施行している河川、重要な海岸等について水防警報を行われたい。
3 水防警報は、洪水予報、気象予報等に基き、又は自ら水位、流量その他の河川、海岸の状況等を判断して洪水又は高潮による災害が起るおそれがある場合で水防団又は消防機関を出動させ、又は出動の準備をさせる必要があると認めるときに、水防活動が迅速かつ適期に行われるように発せられたい。
4 法第一〇条の四に規定する「機関」とは、関係水防管理者及び関係のある消防、警察、自衛隊等の機関である。
第四 利益を受ける市町村の費用負担
1 洪水又は高潮により一旦堤防が決壊すればその被害の及ぶところは極めて広大な区域にわたる場合が多く、水防管理団体の水防は単に当該水防管理団体のみならず、他の市町村を利すること大なるものがある。かかる場合には、当該水防に要する費用を水防を行った水防管理団体のみの負担に帰せしめず、利益を受ける市町村にも負担させることは衡平の見地から必要なことである。これが法第三二条の二の規定が設けられた趣旨である。
2 水防管理団体又は市町村から負担する費用の額又は負担の方法についてあっせんの申請があった場合には、過去の水害の実績等を勘案してあっせんを行い、円満な解決を図るようにされたい。
3 本規定の適用がある区域の水防については、本規定により負担の衡平を図る外、水害予防組合法又は地方自治法の規定により水害予防組合又は市町村事務組合の設立又は区域の拡大をなし、当該区域の水防が十分行われるように適切な措置をとられたい。
第五 費用の補助
1 水防施設の設置に要する費用に対し、国が補助することのできる河川を限定したのは、水防の責任は水防管理団体及び都道府県が負うことをたてまえとするのであるが、水防管理団体の水防が国民経済上重要な影響を及ぼす場合には特に国が補助すべきであるという趣旨によったものである。
2 都道府県及び水防管理団体が水防用備蓄資材を整備するために要する費用等に対する国の補助に関する規定は設けられなかったが、これらの費用に対する国の措置は従前の取扱によるものと心得られたい。
第六 報賞
水防は、もとより自治団体の自主的行動であるが、その影響するところだけに当該自治団体の利益にとどまらず国の施設を保全し、ひろく公共の安全を保持する上に至大の貢献をなす場合があるのであって、国としてもかかる場合にてい身水防に従事した者に対してはその功労に報いることは当然のことである。これが法第三四条の二の規定が設けられた趣旨であり、報賞の具体的内容については近く建設省令で定める予定である。