港管第一五八〇号・河政発第五七号
昭和四九年六月一四日

各都道府県知事・各港湾管理者の長あて

運輸省港湾局長・建設省河川局長通達


公有水面埋立法の一部改正について


公有水面埋立法の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)は、昭和四八年法律第八四号をもって昭和四八年九月二〇日に公布され、昭和四九年三月一九日から施行された。改正法の施行に伴い、公有水面埋立法施行令の一部を改正する政令(昭和四九年政令第五六号)及び公有水面埋立法施行規則(昭和四九年運輸省・建設省令第一号)がそれぞれ昭和四九年三月一八日に公布され、同年三月一九日から施行された。
今回の公有水面埋立法の改正の趣旨は、近年における埋立てを取り巻く社会経済環境の変化に即応し、公有水面の適正かつ合理的な利用に資するため、特に自然環境の保全、公害の防止、埋立地の権利処分及び利用の適正化等の見地から所要の改正を行ったものである。
本法令の施行に当たっては、左記の点に留意のうえ、遺憾なきを期するとともに、今後の埋立てについては、従来以上に環境保全等に留意しつつ公共の利益に寄与するよう慎重に処理することとされたい。
なお、本通達において、「法」とは公有水面埋立法(大正一〇年法律第五七号)を、「令」とは公有水面埋立法施行令(大正一一年勅令第一九四号)を、「則」とは公有水面埋立法施行規則をいうものとする。

一 埋立免許の願書等について(法第二条、則第一条、第二条及び第三条関係)

(1) 免許書の様式について(法第二条第一項関係)

免許書は、別記様式(1)によること。

(2) 願書等の提出部数について(法第二条第二項関係)

願書は、正本一通、副本(大臣認可に係るものに限る。)一通とすること。また、願書及び関係図書の写しは、縦覧、地元市町村長の意見徴取その他の諸手続を考慮して必要な部数を定め、出願時に提出させること。

(3) 埋立ての理由等について

免許の審査に際しては、埋立てを必要とする理由及び埋立ての規模の算出根拠を確認すること。また、工業用途の埋立てであって、立地予定業種が特定しているものについては、その生産規模を確認すること。

(4) 埋立地の用途について(法第二条第二項第三号、則第一条及び別記様式第一関係)

イ 法第二条第二項第三号の埋立地の用途は、法第三条の規定による出願事項の縦覧及び地元市町村長の意見徴取、法第四条の規定による埋立免許基準、法第一三条ノ二の規定による出願事項の変更並びに法第二九条の規定による埋立地の用途変更の許可等の埋立地の用途に関する規定の趣旨を考慮して定めさせる必要があるが、なるべく具体的であること。
ロ イの場合において、埋立地の用途のうち工業用途については、ハからホまでによるほか、少なくとも、統計法の規定による日本標準産業分類のうち中分類によること。
ハ 工業用途のうち、石油製品製造業用地と、石炭製品製造業用地は区分するものとし、また、金属製品製造業用地及び機械器具製造業用地は併せて金属機械器具製造業用地とすることができるものであること。
ニ 工業用途のうち、中小企業工業団地造成のための埋立てでロにより定め難いものについては、製造業用地として用途を定めることができるものであること。
ホ 主たる工業用地の関連工業用地は、主たる工業用地と同一の用途として取り扱うこと。
ヘ 独立した用途として表示されない公共施設用地についても、免許権者は、法第二四条第一項ただし書の規定に基づき、免許条件をもって公共帰属させることができるものであること。

(5) 環境保全に関し講じる措置を記載した図書について(則第三条第八号関係)

「環境保全に関し講じる措置を記載した図書」とは、埋立て及び埋立地の用途に関する環境影響評価に関する資料を含む環境保全措置を記載した図書であること。

二 縦覧等について(法第三条関係)

(1) 告示について(法第三条第一項関係)

イ 「事件ノ要領」として告示する事項は、法第二条第二項第一号から第三号までに掲げる事項、出願の年月日及び縦覧場所とすること。
ロ 告示は、免許権者の定める方法で行うこととし、必要に応じて、埋立予定区域を地先水面とする場所における掲示、新聞への掲載等により地域住民への周知を図ること。

(2) 縦覧について(法第三条第一項関係)

イ 縦覧事項としての「関係図書」とは、利害関係者が埋立ての内容を知るに足りる関係図書をいうものであり、少なくとも、則第二条第一号、第二号及び第四号並びに第三条第五号及び第七号から第九号までに掲げる図書は含まれるものであること。
ロ 縦覧場所は、地域住民の閲覧の利便を考慮して適当な箇所に定めること。

(3) 地元市町村長の意見徴取について(法第三条第一項及び第四項関係)

イ 期限の指定については、原則として四月以内の期限を指定するものとすること。なお、期限の指定に当たっては、特別に地元市町村議会の臨時会の開催を余儀なくさせることのないよう配慮すること。
ロ 意見徴取は、免許権者において免許し得べきものと思慮したときに直ちに行うものとすること。
ハ 意見徴取は、縦覧期間の満了の日前において行っても差し支えないものであること。

(4) 関係都道府県知事への通知及び関係都道府県知事の周知措置について(法第三条第二項、令第四条関係)

イ 通知すべき場合は、埋立てが埋立てそのもの及び埋立地の利用により他の都道府県の環境等に影響を及ぼすおそれがあると認められるときであり、通知事項は、(1)イの告示した事項及び告示した年月日とすること。
ロ 関係住民に周知させる事項は、免許権者から受けた通知事項であり、周知の方法は、(1)ロの方法に準ずるべきものであるので、通知の際、その旨関係都道府県知事に連絡すること。

(5) 意見書の取扱いについて(法第三条第三項関係)

免許者は、提出された個々の意見書についてその評価を行うとともに、合理的な理由があると認められるときは、これを尊重して免許処分に反映させる措置を講じること。

三 埋立ての免許基準について(法第四条第一項及び第二項、則第五条及び第六条関係)

(1) 埋立ての免許基準の性格について

法第四条第一項各号の基準は、これらの基準に適合しないと免許することができない最小限度のものであり、これらの基準のすべてに適合している場合であっても免許の拒否はあり得るので、埋立ての必要性等他の要素も総合的に勘案して慎重に審査を行うこと。

(2) 国土利用上適正かつ合理的なることについて(法第四条第一項第一号関係)

埋立てそのもの及び埋立地の用途が国土利用上適正かつ合理的であるかどうかにつき慎重に審査すること。

(3) 環境保全の配慮について(法第四条第一項第二号関係)

埋立てそのものが水面の消滅、自然海岸線の変更、潮流等の変化、工事中の濁り等に関し、海域環境の保全、自然環境の保全、水産資源の保全等に十分配慮されているかどうかにつき慎重に審査すること。

(4) 公共施設の配置及び規模について(法第四条第一項第四号、則第五条関係)

イ 則第五条第二号の公園、緑地及び広場に関する技術的細目を適用するに当たっては、環境保全等の重要性にかんがみ、埋立てが新たに土地を形成するものである点を考慮し、また、埋立地の規模、用途、区画割及び周辺の状況を勘案して、全体として十分なオープンスペースが確保されることとなるよう運用すること。
ロ 則第五条で規定する公共施設以外の公共施設についても、法第四条第一項第四号の規定により、その配置及び規模が適正であることが必要であり、審査に当たり十分留意すること。

(5) 令第七条の法人の行う分譲を目的とする埋立てについて(法第四条第一項第五号、令第七条関係)

イ 分譲を目的とする埋立ての主体を限定した趣旨にかんがみ、当該法人の事業活動の公共性、公益性、埋立地の処分方法等について慎重に審査すること。
ロ 土地の造成及び処分の業務の運営が、定款、協定等に基づき、資金計画、事業計画等の作成又は変更について、出資した国又は公共団体の許可、承認等を必要とすることとなっている等当該国又は公共団体の監督のもとになされることになっていることを確認すること。
ハ 令第七条各号の条件が免許後も維持されるよう、必要に応じ、免許条件を付することにより担保すること。

四 出願事項の変更等の許可について(法第一三条ノ二関係)

(1) 埋立区域の変更について

法第一三条ノ二の規定により出願事項のうち埋立区域の縮少等の許可の制度が創設されたが、免許に係る埋立区域以外の区域を新たに埋立区域とするときは、新規の免許が必要となるので留意すること。

(2) 主務大臣の認可について

主務大臣の認可に係る埋立てについて法第一三条ノ二第一項の規定による許可又は法第四二条第三項ただし書の規定による承認をしようとするときは、主務大臣の許可を受けること。(1)による新たな埋立てで主務大臣の認可に係る埋立てに接続して行われ、当該認可に係る埋立てと利用計画上一体と認められるものの免許又は承認についても、同様とすること。

五 竣功認可の告示等について(法第二二条第二項関係)

(1) 竣功認可の告示について(法第二二条第二項関係)

告示する事項は、竣功認可の年月日、竣功認可を受けた者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあってはその代表者の氏名、埋立区域の位置、区域及び面積、埋立ての免許の年月日及び番号並びに法第二二条第三項の市町村名とすること。

(2) 関係図書の範囲について(法第二二条第二項関係)

市町村長に送付すべき「関係図書」には、少なくとも、則第一一条第二項各号に掲げる図面は含まれるものであること。

六 埋立地の所有権取得について(法第二四条第一項関係)

埋立地の所有権取得の時期については、従来の竣功認可の日から竣功認可の告示の日に改められ、これに伴って埋立地の表示登記はこの告示の写しを持参することにより行われることとなるので留意すること。

七 埋立地に関する権利の移転又は設定の許可について(法第二七条関係)

(1) 権利の移転又は設定の相手方の選考方法について(法第二七条第二項第四号関係)

権利の移転又は設定の相手方は公募することが望ましいが、公募により難い特別の事由がある場合には、公募以外の方法による選考もあり得ること。

(2) 相手方が用途変更する場合の権利の移転又は設定の許可について(法第二七条第二項第五号関係)

権利の移転又は設定の相手方が埋立地を法第一一条又は第一三条ノ二第二項の規定により告示した用途と異なる用途に供しようとする場合には、法第二九条第二項第二号から第四号までの許可基準をも照らし合わせ、法第二七条第一項の許可の可否を決定すべきものであること。

八 追認制度の廃止について(改正法による改正前の法第三六条第二項及び第三項関係)

追認制度の廃止に伴い、無願埋立てについては、免許権者は法第三五条第一項の規定による原状回復又は同条第二項の規定による土砂その他の物件の国有帰属の厳正な措置をとらなければならないこととなったので、この点十分留意すること。

九 主務大臣の認可について(法第四七条第一項、令第三二条関係)

認可申請書は、別記様式(2)によること。

一〇 経過措置について(改正法附則第二項関係)

改正法施行前に免許された埋立てについての法令の適用については、改正法附則第二項の規定により、すべて従前の例によることとなっているので、その取扱いに留意すること。

一一 その他

(1) 関係先との調整について

免許権者は、法第二条第一項の規定による免許、法第一三条ノ二第一項の規定による許可又は法第二九条第一項の規定による許可をするに当たっては、関係の環境保全部局と十分調整し、また、必要に応じて、関係機関とも十分調整して行うこと。

(2) 免許等の条件について

埋立ての免許、許可その他の処分に条件を付するに当たっては、出願人等に対して不当な義務を課すことにならないよう配慮すること。

(3) 埋立地の遊休化防止について

今回の法改正の趣旨に沿って、埋立地の適正な利用の確保に資するため、埋立地の遊休化防止に努めるものとし、分譲を目的とする埋立てについては、埋立地の処分契約において買い戻しの特約をつけさせる等とし、また、その他の埋立てにあっても、相当の期間内に用途に従った利用を開始させられるよう適切な指導を行うこと。

(4) 従来の通達の取扱いについて

従来の公有水面埋立法令関係の通達であって、本法令及び本通達に抵触するものは、その部分に限り、改廃されたものとして取り扱われたいこと。


別記様式〔略〕


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