河防発第五一号
昭和五九年四月一二日

各都道府県土木部長・指定都市建設局長あて

建設省河川局防災課長通知


河川等災害関連特別対策事業実施要領の運用について


昭和五九年四月一二日付け建設省河川局長通達「河川等災害関連特別対策事業実施要領について」(建設省河防発第五〇号)別紙「河川等災害関連特別対策事業実施要領」(以下実施要領という。)に基づく事業の実施に当たっては、左記により運用することとするので通知する。
なお、貴管下市町村(指定都市を除く。)に対しても、この旨周知徹底方取り計らわれたい。

1 実施要領二定義中「工作物」とは河川管理施設、砂防設備及び許可工作物をいい、「許可工作物」とは、河川法第二六条(準用する場合を含む。)、砂防法第四条又は普通河川管理条例等の規定により、河川管理者等の許可を受けた工作物をいう。

なお、普通河川の区域内に設置されている工作物については、当該河川の管理の実態、工作物の設置の経緯等を勘案のうえ運用するものとする。

2 実施要領三採択基準(ロ)にいう「別に定める距離」とは、平成十年度においては、おおむね二〇〇メートルとする。
3 実施要領三採択基準(ニ)にいう「この事業の工事費」とは、改良復旧事業の効果の確保に支障となる原因を除去するために必要となった工事費(原因の除去によって必要となる護岸等の取付部分の工事費を含む。)のうち、河川管理者等が負担することとなる部分の工事費をいう。
4 実施要領三採択基準(ニ)にいう「別に定める金額の範囲内」とは、平成一〇年度においては、おおむね八〇〇万円以上、一億円未満とする。
5 実施要領四採択方法の「現地調査」は、当分の間、原則としてすべての事業要望箇所について、災害復旧助成事業及び災害関連事業の現地調査とあわせて実施するものとする。
6 実施要領五国の補助に規定する「この事業に要する費用」とは、前記三の河川管理者等が負担することとなる工事費に事務費を含んだ額をいう。
7 支障となる原因が許可工作物であって、これを除去又は改造しようとする場合の手続きは、平成元年五月二九日付け防災課長通知「河川等災害特定関連事業実施要領の運用について」(建設省河防発第四七号)の記二「本事業の事業主体と管理者が異なる障害物等の取扱い」によるものとする。
8 本事業の実施により必要を生じた他の工事に要する費用負担等の取扱いは、前記通知の記三「他の工事に要する費用負担等」によるものとする。
9 当分の間、本事業に関連する関連工事費一億二千万円以下の災害関連事業(以下「ミニ関」という。)の関連工事費の調査額は、災害査定時には仮決定の扱いとなる。なお、ミニ関の災害査定時における調査・検討方法は従来と同様で、昭和五八年三月一〇日付け防災課長通知「関連工事費が一億二千万円以下の災害関連事業(いわゆるミニ関)に関する調査額の確認について」(建設省河防発第四〇号)によるものとする。
10 本事業の実施にあたってのその他の取扱いは、別紙「河川等災害関連特別対策事業の取扱いについて」によるものとする。


別紙

河川等災害関連特別対策事業の取扱いについて

一 事業要望

都道府県知事又は市町村長(都道府県知事経由)は、災害復旧助成事業(「助成」)又は災害関連事業(「関連」)の要望に合わせ、建設大臣あてに河川等災害関連特別対策事業(「災特」)の要望書を提出する。
(一) 要望に必要な書類

(イ) 提出資料

1) 昭和 年発生災害に係る河川等災害関連特別対策事業の要望について(様式 災特―一)
2) 昭和 年度河川等災害関連特別対策事業要望箇所総括表(様式 災特―二)
3) 昭和 年度河川等災害関連特別対策事業要望概要書(様式 災特―三)
4) 位置図(五万分の一程度)
5) 箇所図(県の管内図)
6) 一般平面図(区間、概略法線、災害申請箇所等を記入すること。)
縦断図
横断図(災特及び助成又は関連区間の代表断面)
一般構造図等
7) 計画概要書
8) 写真(全景、出水状況、上下流の状況等)
9) 水文資料、水理計算書、流量配分図

(ロ) 添付資料

助成又は関連事業要望書(様式改―四)もしくは

助成又は関連事業調書(様式改―四―一)

二 事前ヒヤリング

助成又は関連の事前ヒヤリング時に災特の事前ヒヤリングを合わせて行う。
(一) 必要書類

(イ) 提出資料

1) 河川等災害関連特別対策事業箇所総括表(様式 災特―二)
2) 河川等災害関連特別対策事業調書(様式 災特―三)
3) 河川等災害関連特別対策事業実施区間内災害箇所調書(様式 災特―四)
4) 要望時の提出資料の4)〜9)

(ロ) 添付資料

助成事業調書(様式助―一)又は関連事業調書(様式関三―一)

三 記載要領

(一) 事業(要望)箇所総括表(様式災特―二)

1) 番号は、県、市町村工事を通じて一連番号とする。ただし、助成、関連それぞれに係るものを別葉とする。
2) 事業費は、災特の事業費を記入すること。なお、災害合併がある場合には、備考欄に事業費外書きとして「災害○○千円」と書き、その内訳を様式災特―四に書くこと。
3) 内容欄は、支障の原因が解るように簡潔に書くこと。
4) 改良復旧事業からの距離は、助成又は関連の起点(終点)から災特の終点(起点)までの距離とする。

(二) 要望概要書又は調書(様式災特―三)

1) 改良の目的は、「支障の原因」が明確になるように記述すること。
2) 経済効果は次の事項を記述すること。

ア 関連する助成又は関連の経済効果
イ 災特の経済効果(一次効果、二次効果)
なお、災特の経済効果は別記「災特事業の経済効果の算出方法について」によること。

3) 要望時においては、事業費、主要工事内容については概算でさしつかえない。

(三) 計画概要書

以下について簡潔に記述すること。
1) 河川の概要
2) 既往河川改修の概要
3) 被害の概要
4) 災特事業要望理由
5) 計画概要(他の改良計画(計画規模、流量)、影響区間の現況河道(流下能力、治水安全度)等についても記入すること。)
6) 事業概要
7) 見取り平面図

(四) 図面、写真

1) 位置図には、助成又は関連箇所の外、他の改良計画箇所を記入すること。
2) 一般平面図、縦断図等は助成又は関連及び他の改良計画との関連がわかるようにすること。
3) 図面は、要望時は縮尺の大きな見やすいものとし、事前ヒヤリング時にはA―四判(折込み)を原則とするが、これにより難い場合は図面袋に入れて整理すること。
4) 写真は、災特の要望箇所が助成又は関連の支障となることがわかるようにすること。

(五) その他

災特の取扱いについてこの通知に明記されていない事項については、それぞれ関連する助成又は関連の取扱い要領に準ずるものとする。

四 全体計画の審査

助成又は関連の初年度の実施認可申請に合わせて災特の実施認可申請を行うこととし、その際全体計画審査を行う。
(一) 全体計画審査に必要な書類

1) 昭和五一年四月一二日付け建設省河川局長通達「河川局所管国庫補助事業に係る全体計画の認可について」の記I―四の別記様式第一の別紙計画書(いわゆるA、B表)
2) その他書類については事前ヒヤリングに準ずる。ただし、実施計画の書類で代用できる場合は、この限りでない。

五 その他

(一) 事業採択後のその他の事務手続きは、助成又は関連と同様である。
(二) 災特については再調査による事業費の増額は行わない。



別記

災特事業の経済効果の算出方法について

1 算出方法

災特の効果には2種類ある。
第1は事業の目的である改良復旧区間の効果増(1次効果という)であり、第2は、災特箇所に関して生ずる効果(2次効果)である。
それぞれの算出は次による。
(1) 1次効果

1) 災特を前提とした時の関連の計画流量をQ1とし、災特を実施しない場合の計画流量をQ0(災特箇所の流下能力みあい)とする。
2) 災特を実施した場合の流量増分 △Q=Q1−Q0
3) Q1の計画における流域資産 B1
4) 災特の効果 △B=B1×△Q/Q1

例えば Q1=100m3/S、Q0=80m3/S、B1=1000のとき

△Q=20、△Q/Q1―20/100=0.2
△B=1000×0.2−200

(2) 2次効果

災特箇所で氾濫させた時の想定氾濫区域内の資産をカウントB2とする。

(3) 災特の効果 B

B=△B+B2



様式〔略〕


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