建設省会発第三七一号
昭和四九年六月二五日

各部局長あて

会計課長通知


行政財産である土地について地上権設定契約を締結する場合の取扱いについて


標記について、別添のとおり大蔵省理財局長から通知があったので、通知する。
蔵理第二四五四号
昭和四九年六月一七日

殿

大蔵省理財局長 竹内道雄

行政財産である土地について地上権設定契約を締結する場合の取扱いについて

国有財産法第一八条第一項ただし書の規定により行政財産である土地について地上権設定契約を締結する場合の取扱いを別添「行政財産である土地について地上権設定契約を締結する場合の取扱要領」の通り定めたから、通知する。



別添

行政財産である土地について地上権設定契約を締結する場合の取扱要領

第1 基本原則

1 行政財産である土地について、地下又は空間に上下の範囲を定めて施設を設置するため地上権を設定する場合は、当該行政財産の用途又は目的が現在及び将来にわたって妨げられないと認められ、かつ、地上権を設定することが真にやむを得ないと認められる場合に限るものとする。
2 地上権の設定は、地方公共団体又は国有財産法施行令(昭和二三年政令第二四六号。以下「令」という。)第一二条の三各号に掲げる法人が、鉄道、道路又は令第一二条の四各号に掲げる施設を設置する場合に限り、できるものとする。

第2 地上権設定の申請

行政財産である土地に地上権を設定しようとする者に対して別紙様式一による地上権設定申請書に次の各号に掲げる書類のうち、それぞれ必要なものを添付して提出させるものとする。
(1) 申請物件の利用計画書
(2) 事業計画書
(3) 地上権設定の目的である土地及び地上権を設定する範囲を明確に表示した図面

(平面図及び立面図)

(4) 申請者が地方公共団体であって、当該申請が当該地方公共団体の議決機関の議決を要するものである場合は、その議決書の写し、執行機関の専決処分に属するものであるときは、その根拠となる条例の条項及び予算措置を要するものであるときは、当該経費の支出を明らかにした予算書
(5) 申請人が法人(地方公共団体を除く。)である場合は、当該法人の名称、住所及び代表者等を記載した登記簿抄本、定款並びに最近の損益計算書、貸借対照表、財産目録及び事業(決算)報告書
(6) 申請人が法人(地方公共団体を除く。)であって、当該施設の取得に当り予算措置を要するものであるときは、当該経費の支出を明らかにした書類
(7) 監督官庁の許可又は認可を要するものである場合は、その許可書、認可書(内認可を含む。)若しくはその謄本又は許可若しくは認可があった旨の証明書
(8) 利害関係人の同意を必要とするものである場合は、その同意書
(9) 申請者及び利害関係人の印鑑証明書

第3 物件の特定

地上権を設定する場合は、必要最少限度に限るものとし、地上権設定の目的である土地の区域及び当該土地の地下又は空間の範囲を明確にしなければならない。
物件の特定にあたっては、次の点に留意するものとする。
(1) 地上権を設定する区域は、当該施設の水平投影面の各端からの垂直線が地表に投影した区域とする。

ただし、当該施設の保安上又は工事技術上必要とする場合には、その状況により必要とする区域を加えることができる。

(2) 地上権を設定することができる付属設備の範囲は、主たる施設の機能を全うするために必要な設備であって、例えば地下鉄の場合には乗降のための地下道、駅、換気口等がこれに含まれる。
(3) 地上権を設定する区域を定める場合において、登記簿上の一筆の土地の一部を区域とする場合には、あらかじめ分筆を行うこと。
(4) 地下又は空間の範囲を定める場合は、平均海面(測量法(昭和二四年法律第一八八号)第一一条、同法施行令第二条第二項参照)又は地上権を設定する土地の地表の特定の地点を含む水平面を基準として、次のいずれかにより定めること。

イ 東京湾平均海面上  メートルから  メートルの間
ロ 標高  メートルから  メートルの間
ハ 土地  の地点を含む水平面を基準として下  メートルから  メートルの間

第4 設定の期間

三〇年以内とする。ただし、施設の存続期間をこえてはならない。
設定期間が満了した場合における更新の場合も同様とする。

第5 設定の対価及びその徴収方法

地上権設定の対価は、当該物件の所在地を管轄する財務局の算定した額によるものとし、あらかじめ評価を依頼する。また、その対価は地上権設定時に一括徴収する。

第6 使用上の制限

1 地上権設定物件の使用に当っては、当該行政財産の用途又は目的を妨げる行為をしない旨及び善良なる管理者の注意をもって維持保全する旨を記載した念書を徴求する。
2 地上権設定物件の原状を変更しようとする場合は、当該原状変更がやむを得ない事由によるものであって、当該行政財産の用途又は目的を妨げない場合にのみ事前の申請によりこれを認めることができる。

第7 地上権の譲渡

1 地上権の譲渡は原則として認めないものとする。ただし、真にやむを得ない事由により地上権を譲渡しようとするときは、事前に譲渡申請書を提出させ、当該行政財産の用途又は目的を妨げないと認められ、かつ、第1の2の地上権を設定できる範囲に該当する場合に限って、これを認めることができる。
2 地上権の譲渡を承認しようとする場合は、承認に先だって大蔵大臣に対し国有財産法(昭和二三年法律第七三号。以下「法」という。)第一四条第七号による協議をするものとする。
3 地上権譲渡の承認申請は、別紙様式三によるものとする。
4 地上権の譲受人と地上権設定契約を締結する場合には、地上権の譲受人には、国と地上権の譲渡人との間の契約における地上権者の一切の地位(債務者たる地位を含む。)を承継させるものとする。

第8 契約の履行義務違反に対する措置

地上権設定契約に定める履行義務の違反を確認した場合は、次に掲げる区分に応じすみやかに設置するものとする。
1 使用上の制限に違反したとき

(1) 使用上の制限に違反したときは、ただちに是正を求め、次の算式による違約金を徴求する。

Y=B×0.2

(注)

Y:違約金の額
B:制限違反を確認した時点における地上権設定の目的である土地の国有財産台帳価額。
以下2においては、これらの記号はそれぞれこの(注)に掲げる内容を表示する。

(2) 是正に応じない場合は、契約を解除するとともに原状回復させるものとする。

2 実地調査及び報告等の拒否等をしたとき

Y=B×0.2

第9 契約の解除

地上権設定期間中に、地上権設定物件の一部又は全部について、国において公共用又は公用に供する必要が生じたときは、地上権設定契約を解除することができる。

第10 原状回復

地上権が消滅し、権利を放棄し又は契約を解除したときは、期間を指定して地上権者の所有する施設を撤去させ土地を原状に回復させるものとする。
また、地上権設定契約の解除をしたときは、当該土地の地上権抹消登記承諾書を徴求しなければならない。

第11 協議書の添付書類

法第一四条第七号による大蔵大臣への協議に当っては令第一〇条の三に掲げるもののほか、次に掲げる書類を協議書に添付するものとする。
(1) 別紙様式1による地上権設定申請書及び同申請書に添付すべき附属資料
(2) 別紙様式2による国有財産地上権設定契約書(案)

第12 特別措置

この基準により処理することが適当でないと認められる特別の事情がある場合には、理財局長の承認を得て特例措置によることができる。

第13 その他

1 地上権設定契約を締結する際に、別紙様式四による地上権設定登記嘱託請求書、登録免許税現金領収証書等設定登記の嘱託に必要な書類を寄託させておくものとする。
2 地上権設定登記の嘱託を行う場合は、別紙様式五によるものとする。
3 地上権を設定した場合の国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律(昭和三一年法律第八二号。以下「交付金法」という。)に基づく国有資産等所在市町村交付金の算定は、当分の間、国有財産台帳価格に一を乗じて得た額(以下「価格」という。)を基礎として算定するものとし、当該価格を交付金法第六条の規定による国有財産台帳等に記載された当該固定資産の価格として、同条の規定により前年の一一月三〇日までに当該土地の所在地の市町村長に通知するものとする。



様式等 〔略〕


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