建設省道発第一〇〇号
昭和三四年三月一二日

地方建設局長・各都道府県知事・五大市長あて

道路局長通達


道路法施行規則の改正について


昭和三四年三月四日付で道路法施行規則の一部を改正する省令(昭和三四年建設省令第一号)が公布され、同日施行されたが、この省令は、道路台帳の記載事項その他道路台帳の調整及び保管に関する事項を定めるとともに、道路区域の決定又は変更の公示に関する規定等を整備したものであるのでその運用に当っては、左記事項に留意の上、遺憾のないようにされたい。
なお、貴管下道路管理者にも、この旨周知徹底方お取計らい願いたい。

1 第一条の二(建設大臣への報告を要しない道路の占用)関係

現在、指定区間内の一級国道における占用の許可等に関する権限は、指定区間内の一級国道の管理の一部を委任する告示(昭和三三年建設省告示第一一四七号)により、都道府県知事又は指定市の長に委任されており、都道府県知事又は指定市の長がこれらの権限を行ったときは、道路法施行令第一条の二第二項の規定により、その旨を建設大臣に報告しなければならないこととなっているが、今後、これらの権限のうち、本条に規定する占用に係る権限の行使については、建設大臣への報告を要しないものとなること。

2 第二条(道路の区域の決定等の公示)関係

(1) 従来、道路の区域の決定又は変更の公示は、旧様式第四又は第五により行うこととなっていたが、これらの様式は、道路管理者としての都道府県知事、都道府県又は市町村が区域の決定等及び公示を行う場合を予想して定められていたため、一級国道の指定区間について道路管理者である建設大臣が区域の決定等を行い、公示しようとする場合又は一級、二級国道の直轄工事区間について建設大臣が、有料の道路について日本道路公団が区域の決定等を行う場合には、そのまま運用することが不適当であると考えられるので、本条においては、この点を改めて、必要な公示事項を規定するに止どめ、実態に即した公示方法をとることができるよう措置したものであること。
(2) あらたな公示事項として、区域を表示した図面を縦覧する期間が加えられたが、これは関係者の縦覧の便宜等を考慮したものであり、したがって、公示を行うに当っては、関係者の範囲等を勘案して合理的な縦覧期間を定めること。
(3) 日本道路公団等が道路管理者に代って道路の区域の決定等を行った場合には、道路管理者は、その旨を明らかにして公示すること。

3 第三条(供用の開始等の公示)関係

あらたな公示事項として、供用開始又は廃止の区間を表示した図面を縦覧する場所及び期間が加えられたが、これについては、前記1(2)の趣旨に基き処理すること。

4 第四条の二(道路台帳)関係

(1) 旧道路法による道路台帳について

旧道路法(大正八年法律第五八号)の規定に基き、又はこれに準じて道路台帳を調製し、保管しているものと考えられるが、今後は、本省令に基く道路台帳を調製し、保管しなければならないものであること。

(2) 道路橋梁現況台帳について

イ 従来の道路橋梁現況台帳の制度は、その記載事項の大部分が道路台帳に含まれることとなったので、原則として廃止すること。

なお、現況台帳のうち総括表の部分については、道路台帳の記載事項とされなかったが、地方交付税の算定等の場合において必要とされるので、今後は、統計資料として別に調製しておくことが適当であること。

ロ 道路台帳はすみやかに完備しなければならないものであるが、それまでの間は、暫定的に現況台帳に訂正を加えて保管すること。

(3) 調書の調製について

イ 調書の規格は、道路管理者において適宜定めて差し支えないこと。
ロ 第一表は、次の要領により調製すること。

(イ) 路線の指定又は認定の年月日

指定(認定)の政令(公示)番号を附記する。

(ロ) 路線の起点及び終点

指定(認定)の政令(公示)で示された起点及び終点を記入する。

(ハ) 路線の主要な経過地

指定(認定)の政令(公示)で示された重要な経過地のほか、管理区間の両端の地名及び管理区間内の主な経過地を記入する。

(ニ) 供用開始の区間及び年月日

A 道路法第一八条第二項の規定によりすでに使用の開始があったものとみなされる区間については、当該重複部分について道路の区域の決定又は変更が行われた年月日を記入する。
B 関係書類の焼失等により使用開始の年月日が不明の区間については、その旨を記入するとともに推定の日付を附記する。

(ホ) 路線の延長及びその内訳

A 路線の延長の欄には、管理区間内の延長を記入する。
B 重複延長の欄には、現況台帳の場合と同様に、道路法第一一条第一項から第三項までの規定により、他の道路に関する道路法の規定が適用される区間を記入し、実延長の欄には、その他の区間の延長を記入する。
C 供用されていない区間の延長の欄には、新設工事に着手していない区間、新設工事が未完了の区間及び新設工事は完了しているが供用の開始が行われていない区間の延長を記入する。

なお、延長の算定は、具体的な工事計画に基いて行うものとするが、具体的な工事計画の未だ存しない場合には、予測延長でも差し支えない。

D 道路の欄には、トンネル、橋(延長二メートル以上のものをいう。)及び渡船施設以外のものの延長を記入する。

なお道路のうち、高架道路については、その延長を特記する。

E 永久橋及び木橋の欄には、後記ホ(ハ)(橋調書における橋種及び型式)に掲げる永久橋(鋼橋、コンクリート橋及び石橋)及び木橋の延長を記入し、混合橋の欄には、永久橋及び木橋から構成されている橋の延長を記入する。
F 車道の幅員の欄は、道路構造令(昭和三三年政令第二四四号)第二条第二号に規定する車道の幅員を記入する。
G 舗装道の欄には、セメント、コンクリート舗装道・アスファルト舗装道及び塊舗装道について記入し、砂利道の欄には、安定処理道、水締マカダム道、砂利道その他舗装道以外の車道について記入する。
H 自動車交通不能区間の欄には、本条第四項第八号に規定する自動車交通不能区間の延長を記入する。

なお、自動車交通不能の認定は、原則として、車道の幅員三メートル未満を基準として行うものとする。

(ヘ) 最小車道幅員等

A 最小車道幅員の欄には、供用されている区間内において車道幅員が最小である箇所及びその車道幅員を記入する。

なお、この車道幅員は、(ホ)Fの車道幅員と同様とする。

B 最小曲線半径の欄には、供用されている区間内において曲線半径が最小である箇所及びその曲線半径を記入する。

なお、この曲線半径は、道路構造令第一四条に規定する曲線半径とする。

C 最急縦断勾配の欄には、供用されている区間内において縦断勾配が最急である箇所及びその縦断勾配を記入する。

(ト) 有料道路の区間、延長等

道路法第二五条の規定による有料の橋又は渡船施設及び道路整備特別措置法(昭和三一年法律第七号)の規定により日本道路公団又は道路管理者が管理する有料の道路について記入する。

(チ) 道路と効用を兼ねる主要な他の工作物の概要

堤防、護岸、駅前広場等の主要な他の工作物と効用を兼ねる区間について、その兼用工作物の名称、管理者、管理方法その他必要な事項を記入する。

(リ) 軌道その他主要な占用物件の概要

道路工事その他の道路管理上、特に留意すべき軌道、鉱道、地下街等の主要な占用物件について、その占用者、占用期間、占用場所等を記入する。

(ヌ) その他特記すべき事項

現況台帳の制度の廃止に伴う暫定措置として、従来の道路現況台帳に準じて、改良済及び未改良の別の延長を記入する。

ハ 第二表(実延長調書)は、次の要領により調製すること。

(イ) 区間

幅員の構成、路面の種類等の共通な区間ごとに記入する。

(ロ) 幅員

道路構造令第二条に規定する車道、歩道、分離構及び路肩について、それぞれ幅員を記入する。

(ハ) 追加延長

区間ごとの延長を追加して記入する。

(ニ) 路面の種類

次の表に掲げるところにより記入する。

路面の種類
 
記号
舗装道
セメント、コンクリート舗装道
C
 
アスファルト、コンクリート舗装道
A
 
アスファルト舗装道(アスファルト、コンクリート舗装道を除く。)
a
 
塊舗装道
B
砂利道
安定処理道、水締マガダム道、砂利道、その他舗装道以外のもの
G

(ホ) 備考

自動車交通不能のほか、重複する道路で道路法第一一条第一項から第三項までの規定により、その道路に関する道路法の規定が適用されないもの、有料道路、兼用工作物等に関する事項を記入する。
なお、当分の間、改良済及び未改良の別についても記入するものとする。

ニ 第三表(トンネル調書)は、次の要領により調製すること。

(イ) 図面対照番号

図面に附した番号に対応する番号を記入する。

(ロ) 名称

名称がないものについては、起点より順次番号を附する等の方法により記入する。

(ハ) 構造

A 幅員の欄は、実延長調書に同様な取扱とする。
B 拱及び側壁の欄には、それらの厚さ、長さ、材質等に関する事項を記入する。

なお、仰拱については、拱の欄に記入し、その旨を附記する。

G 排水施設の欄には、その位置、構造等に関する事項を記入する。

(ニ) 建設年次

大修繕を行った場合には、その年次も記入する。

(ホ) 備考

修繕その他の保全の状況、路面の種類、坑内の有無、地質等に関する事項を記入する。

ホ 第四表(橋調書)は、次の要領により調製すること。

(イ) 図面対照番号

図面に附した番号に対応する番号を記入する。

(ロ) 名称

名称のないものについては、トンネル調書の場合と同様に取り扱うものとする。

(ハ) 橋及び型式

次の表に掲げるところにより記入する。
なお、混合橋にあっては、橋種別に構造等の事項を記入する。

橋種
型式
記号
鋼橋
鋼桁橋
Sg
 
鋼構橋
St
 
鋼拱橋
Sa
 
鋼剛構橋
Sr
 
吊橋(補剛桁が鋼材のもの)
Sus
コンクリート橋
コンクリート床版橋(又は桁橋)
Kb
 
コンクリート拱橋
Ka
 
コンクリート剛構橋
Kr
 
PSコンクリート床版橋(又は桁橋)
Pb
 
PSコンクリート剛構橋
Pr
石橋
石版橋(又は桁橋)
Mb
 
石拱橋
Ma
木橋
木桁橋
Wb
 
木構橋
Wt
 
吊橋(補剛桁が木材のもの)
Suw

(ニ) 建設年次

大修繕を行った場合には、その年次を記入し、その旨を附記する。

ヘ 第五表(鉄道等との交差調書)は、次の要領により調製すること。

(イ) 図面対照番号

図面に附した番号に対応する番号を記入する。

(ロ) 鉄道又は新設軌道の名称

鉄道等の事業者名及び線名を記入する。

(ハ) 交差の方式

立体交差及び平面交差の別を記入し、立体交差の場合には跨道及び跨線の別を附記する。

(ニ) 幅員

平面交差の場合には、踏切道の幅員(踏切道の敷板又は敷石の縁端から縁端までの幅をいう。)を記入する。

(ホ) 備考

A 立体交差の場合には、有効高等について危険防止の措置その他特記すべき事項があれば記入する。
B 平面交差の場合には、踏切道の種別、保安設備、道路の交通量、鉄道等の運転回数等に関する事項を記入し、これらの調査年月日を附記する。

(4) 図面の調製について

イ 縮尺は、一〇〇〇分の一以上とし、市街部等において特に必要がある場合には、拡大図を附すること。
ロ 図面は、次の要領により調製すること。

(イ) 道路の区域の境界線等は、次の例を参考に記入する。

事項
 
記号
色別
道路の中心線
 

 
(幅0.3mm)

境界線
道路の区域

 
(幅0.5mm)

 
都府県

 
(〃)

 
郡市

 
(〃)

 

 
(〃)

 
町村

 
(幅0.4mm)

 
大字

 
(〃)

 
民有地である道路敷地

 
(幅0.3mm)

車道の幅員
 

 
 

曲線半径
 

 
 

縦断勾配
 

 
 


(ロ) 路面の種類

(3)ハ(ニ)の記入要領による。

(ハ) 道路元標その他主要な道路の附属物

道路元標、並木、街灯、駒止、自動車駐車場等のうち主要なものについて、その位置を記入する。

(ニ) 道路の敷地の国有、地方公共団体有又は民有の別及び民有地の地番

A 国有等の別は、色別により記入する。
B 民有地以外についても、地番があれば記入する。

(ホ) 道路と効用を兼ねる主要な他の工作物

主として前記(3)ロ(チ)により第一表に記入した兼用工作物を対象とする。

(ヘ) 交差し、若しくは接続する道路又は重複する道路並びにこれらの主要なものの種類及び路線名

A 重複する道路は、道路の種類を問わずすべて記入する。
B 一般自動車道、林道、農場等についても、重要なものがあれば記入する。

(ト) 交差する鉄道又は新設軌道及びこれらの名称

交差方式を明らかにして記入する。

(チ) 軌道その他主要な占用物件

主として前記(3)ロ(リ)より第一表に記入した占用物件を対象とする。

5 第四条の三(一級国道に係る占用料の徴収方法の変更に伴う経過措置)関係

本条は、一級国道について指定区間の指定又はその廃止が行われる場合、指定区間内の一級国道について建設大臣が有する占用料の徴収権限の委任又はその解除が行われる場合等においては、一級国道に係る占用料の徴収方法が変更される事態が生ずる(道路法施行令第一九条の三第一項から第三項まで参照)ので、この場合における必要な経過措置としてそれまでの取扱と同様の方法により徴収することと定めたものであること。(道路法施行令第一九条の三第四項)

6 第一〇条(報告の提出)関係

本条は、道路法第七六条の規定による道路整備計画の報告等について規定したものであるが、本条の趣旨にかんがみ、今後は、報告義務を生じた場合には、遅滞なく所要の手続をとることとし、事務の処理の円滑を図ること。

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