建設省河政発第五七号・道政発第四九号
昭和四七年六月一九日

各地方建設局長・北海道開発局長・沖縄総合事務所長・各都道府県知事・各指定市長あて

河川局長・道路局長通達


堤防と道路との兼用工作物管理協定(準則)について


堤防と道路との兼用工作物(以下「兼用工作物」という。)について、別添のとおり兼用工作物管理協定(準則)(以下「準則規定」という。)を定めたので、河川法(昭和三九年法律第一六七号)第一七条第一項および第六六条ならびに道路法(昭和二七年法律第一八〇号)第二〇条第一項本文および第五五条第一項の規定に基づく協議を行なう場合には、次の事項に留意のうえ、準則協定に準拠して管理協定を締結し、兼用工作物の管理の適正を図られたい。
なお、各都道府県にあつては、管下の準用河川および市町村道の管理者にもこの旨連絡願いたい。

1 準則協定の性格

準則協定は、一般的または標準的な兼用工作物を想定して定められているので、管理協定の締結に際しては、それぞれの兼用工作物の構造上の特性、慣行等を考慮し、合理的な範囲内で準則協定と異なる内容の管理協定を締結することとして支障がない。

2 兼用工作物の範囲等

(1) 準則協定別図(3)は、兼用工作物の構造上の区分に応じ、一般的または標準的な兼用工作物の範囲を図示しているが、それぞれの兼用工作物の構造上の特性等を考慮し、合理的な範囲内で同図に図示する範囲と異なる範囲を兼用工作物の範囲として定めることとして支障がない。
(2) 準則協定第三条第一項本文に規定する道路専用施設の範囲については、管理協定別図等において明確に定め、兼用工作物の管理責任の明確化を図るものとすること。

なお、準則協定別図(3)は、兼用工作物の構造上の区分に応じ、兼用工作物のうち、道路管理者が築造した部分を図示しており、一般的にはこの部分が道路専用施設となる場合が多いと考えられるが、当該部分が堤防の計画(定規)断面内にあり、堤防の管理上も特に必要がある部分である場合には、河川管理者と道路管理者とが協議して、合理的な範囲内で道路専用施設から除外することとして支障がない。

3 兼用工作物の管理

(1) 準則協定第三条第一項ただし書に規定する「路肩に接する法面」には、特殊堤または堤防管理用道路に接する法面が含まれないが、路肩が堤防上の平面に接する場合における当該平面については、これに含まれるものとする運用を行なうこと。
(2) 準則協定第三条第二項ただし書については、それぞれの災害に対する堤防または道路の復旧の緊急度に応じて災害復旧を行なう者を定めるものとする等の運用を行なうこと。

4 協議

(1) 準則協定第四条第一項第一号に規定する「兼用工作物の管理上重要な」維持または修繕とは、相当広範囲な舗装の打換え、オーバーレイもしくは注入または路床土の取換え等をいうものであり、道路の附属物の小破修繕もしくは塗装、舗装の目地もしくはクラツクの填充、応急処理、除草または清掃等については、それぞれ同号の規定による協議を要しないものである。
(2) 準則協定第四条第三項の規定による包括協議については、兼用工作物に関する工事の年間計画書、標準設計書等に基づいて行なう等の方法により、事務の能率的な処理に資するように配意すること。

5 占用料

準則協定第五条は、河川管理者および道路管理者以外の者の行為が河川法第二四条に規定する土地の占用および道路法第三二条第一項または第三項に規定する道路の占用のいずれにも該当する場合には、占用料を重複して徴収することを避ける趣旨で設けられたものであるので、各都道府県にあつては、兼用工作物に係る河川法第二四条に規定する土地の占用で、道路専用施設に係るものについては、河川法第三二条第一項の規定による占用料を徴収しないものとする取扱いを講ずるように配意すること。

6 兼用工作物の管理に要する費用

準則協定第六条ただし書の運用については、別途河川局および道路局において工事原因者が費用の一部または全部を負担するものとする方向で協議中であり、協議の成立をまって指示する予定である。
なお、同条ただし書の規定に該当する工事としては、道路の拡幅工事により必要を生じた堤防の腹付け工事または堤防の嵩上げ工事もしくは堤防管理用道路の設置により必要を生じた道路の移設工事等がある。

7 その他

(1) 準則協定末尾の記名部分において、道路が指定区間外の国道である場合における道路管理者を地方建設局長等との連名とすることとしているのは、指定区間外の国道の新設または改築については原則として地方建設局長等が行なうものとされていることによるものであり、したがって準則協定第三条第一項等の道路管理者は、指定区間外の国道の新設(道路の附属物に係るものに限る。)または改築に関しては、原則として地方建設局長等となるものである。
(2) 管理協定の締結は、現在すでに兼用工作物となっているものについてはすみやかに行ない、将来新たに兼用工作物となるものについては河川法第二四条、第二六条、第二七条第一項本文もしくは第九五条または道路法第三五条前段の規定による許可等の所要の手続きを行なった後に行なうものとすること。


(別添)

※1)
堤防と道路との兼用工作物管理協定(準則)

(※1) この部分は、「○○川○岸堤防と○○道○○線との兼用工作物管理協定」とする。)

(目的)

第一条 この協定は、兼用工作物について河川法(昭和三九年法律第一六七号)第一七条第一項及び第六六条並びに道路法(昭和二七年法律第一八〇号)第二〇条第一項本文及び第五五条第一項の規定に基づき、その管理の方法及び管理に要する費用の負担に関し必要な事項を定めることを目的とする。

(兼用工作物の範囲等)

第二条 この協定の対象となる兼用工作物は、○○地先から○○地先までの間において、○○川水系○○川の○岸堤防と○○道○○線とが相互に効用を兼ねるもの又は相互に効用を兼ねる部分とする。
2 兼用工作物の位置及び範囲は、別図のとおりとする。

(兼用工作物の管理)

第三条 兼用工作物の新設(道路の附属物に係るものに限る。以下同じ。)改築、維持又は修繕は、道路専用施設(路面(路盤までの部分を含む。)、路肩、道路の附属物その他のもつぱら道路の管理上必要な施設又は工作物をいう。以下同じ。)については道路管理者が、当該施設以外の部分については河川管理者が行なうものとする。ただし、路肩に接する法面で、当該路肩から法長一メートルまでの範囲内にあるものについては、道路管理者が維持を行なうものとする。
2 兼用工作物の災害復旧(公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和二六年法律第九七号)第二条第二項に規定する災害復旧事業(同法第二条第三項において災害復旧事業とみなされるものを含む。)をいう。以下同じ。)は、次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該各号に掲げる者が行なうものとする。ただし第一号又は第二号に掲げる場合においても、特に緊急に災害復旧を行なう等の必要があるときは、その都度協議して定めるところにより、河川管理者又は道路管理者がこれを行なうものとする。

一 災害復旧がもつぱら道路専用施設に係る場合 道路管理者
二 災害復旧がもつぱら道路専用施設以外の部分に係る場合 河川管理者
三 前二号に掲げる場合以外の場合 その都度協議して定めるところにより、河川管理者又は道路管理者

3 前二項の規定によるほか、河川法又は同法に基づく命令の規定による兼用工作物の管理は河川管理者が、道路法又は同法に基づく命令の規定による兼用工作物の管理は道路管理者が行なうものとする。ただし、河川管理者は、道路専用施設については河川法第一八条又は第六七条の規定による権限を行使しないものとし、道路管理者は、当該施設以外の部分については道路法第二二条第一項又は第五八条第一項の規定による権限を行使しないものとする。

(協議等)

第四条 河川管理者又は道路管理者は、前条の規定により次の各号に掲げる兼用工作物の管理を行なう場合においては、緊急やむを得ない事情があつて協議することができないときを除き、あらかじめそれぞれ道路管理者又は河川管理者と協議するものとする。協議した事項を変更する場合においても、同様とする。

一 兼用工作物の新設、改築、維持、修繕又は災害復旧(維持又は修繕にあつては兼用工作物の管理上重要なものに限り、災害復旧にあつては前条第二項の規定による協議に係るものを除く。)
二 兼用工作物に係る河川法第一八条、第二〇条本文、第二四条、第二六条、第二七条第一項本文、第三一条第二項、第六七条、第七五条、第九〇条第一項若しくは第九五条又は道路法第二二条第一項、第二四条本文、第三二条第一項若しくは第三項、第三四条前段、第三五条前段、第三七条第一項、第四〇条第二項、第四六条第一項、第五八条第一項、第七一条第一項若しくは第二項若しくは第八七条第一項の規定による権限の行使

2 河川管理者又は道路管理者は、前条第二項又は前項の規定による協議に係る兼用工作物の管理を行なつた場合においては、それぞれ道路管理者又は河川管理者に通知するものとする。前項の規定により緊急やむを得ない事情があつて協議することができなかつた兼用工作物の管理を行なつた場合においても、同様とする。
3 河川管理者又は道路管理者は、第一項各号に掲げる兼用工作物の管理で、兼用工作物の管理上定型的なものについては、同項の規定による協議又は前項の規定による通知を包括して行なうことができる。
4 河川管理者又は道路管理者は、前条の規定により道路管理者が行なうものとされている兼用工作物の管理で、堤防の管理上特に必要があると認められるもの又は同条の規定により河川管理者が行なうものとされている兼用工作物の管理で、道路の管理上特に必要があると認められるものについて、それぞれ道路管理者又は河川管理者に対し、適時かつ適切にこれらを行なうように要請することができる。

(道路の占用料)

第五条 道路管理者は、兼用工作物に係る道路の占用で、もつぱら道路専用施設以外の部分に係るものについては、道路法第三九条第一項本文の規定による占用料を徴収しないものとする。

(兼用工作物の管理に要する費用)

第六条 兼用工作物の管理に要する費用は、第三条の規定により河川管理者が行なう兼用工作物の管理に要するものについては河川法第五九条の規定により堤防の管理に要する費用を負担すべき者の負担とし、第三条の規定により道路管理者が行なう兼用工作物の管理に要するものについては道路法第四九条の規定により道路の管理に要する費用を負担すべき者の負担とする。ただし、次の各号に掲げる兼用工作物に関する工事に要する費用の負担については、その都度河川管理者と道路管理者とが協議するものとする。

一 河川管理者が道路専用施設以外の部分について行なう工事で、道路管理者が行なう工事又は行為により必要を生じたもの
二 道路管理者が道路専用施設について行なう工事で、河川管理者が行なう工事又は行為により必要を生じたもの
(雑則)

第七条 兼用工作物の管理の方法又は管理に要する費用の負担で、第三条から前条までの規定によることが適当でないと認められるものについては、その都度河川管理者と道路管理者とが協議するものとする。この協定に定めのない事項又は疑義を生じた事項についても、同様とする。
2 この協定の実施に関し必要な細目的事項については、河川管理者と道路管理者とが協議して定めるものとする。

附 則

この協定は、平成○○年○○月○○日から実施する。
この協定を証するため、協定書二通を作成し、それぞれ一通を保有する。

(※2) この部分は、道路が指定区間外の国道である場合には「三通」とする。)

平成○○年○○月○○日

河川管理者 ○○○○ [印]
道路管理者 ○○○○ [印]

(※3) この部分は、道路の指定区間外の国道である場合には、地方建設局長等との連名とする。)



別図
(1) 位置図

(※4)この図は、縮尺五万分の一程度の平面図とする。)

(省略)

(2) 実測平面図

(※5)この図は、縮尺二五〇〇分の一程度の平面図とする。)

(省略)

(3) 標準断面図

(※6)この図は、縮尺縦一〇〇分の一程度・横二〇〇分の一程度の断面図とする。)

イ ○○地先から○○地先までの間
ロ ○○地先から○○地先までの間
ハ ○○地先から○○地先までの間
ニ ○○地先から○○地先までの間
ホ ○○地先から○○地先までの間
ヘ ○○地先から○○地先までの間


(イ) 
との間は、兼用工作物の範囲であることを示す。
(ロ) …………の部分は、道路管理者が築造した部分であることを示す。


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