今般、別添のとおり、道路交通法の一部を改正する法律(昭和六〇年法律第八七号。以下「改正法」という。)及び道路交通法施行令の一部を改正する政令(昭和六〇年政令第二一八号。以下「改正令」という。)が昭和六〇年七月五日に公布された。
これらの法律等の改正により、一定の広幅員道路に係る交差点における原動機付自転車(以下「原付」という。)の右折方法については、軽車両の右折方法と同様にあらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、交差点の側端に沿って徐行すべきこと(以下「二段階右折」という。)とされ、原付の二段階右折に係る改正法及び改正令の規定が昭和六一年一月一日から施行されることとなったので、今後は左記事項に留意して道路の交通の安全と円滑を図るため、道路管理の運営上遺憾のないよう措置されたい。
1 二段階右折の内容について
改正法により改正された後の道路交通法(昭和三五年法律第一〇五号。以下「法」という。)第三四条第五項の規定により、原付が二段階右折することとされるのは、左表に示す「多通行帯道路」及び「指定道路」の交通整理の行われている交差点において右折する場合とされた。また、同項の道路標識等により交通の規制を行おうとするときは、当該規制の適用される道路の管理者の意見を聴かなければならないこととされた(法第一一〇条の二第三項)。これに関連する改正法及び改正令の骨子は以下のとおりである。
表
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多通行帯道路
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指定道路
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定義
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道路の左側部分(一方通行となっている道路にあっては、道路)に三以上の車両通行帯が設けられている指定道路以外の道路。
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道路標識又は道路表示(以下「道路標識等」という。)により交通整理の行われている交差点における原付の右折につき交差点の側端に沿って通行すべきことが指定されている道路。
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原付の右折方法
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二段階右折
ただし、交通整理が行われている交差点における原付の右折につきあらかじめ道路の中央又は右側端に寄るべきこと(いわゆる内小まわり)が道路標識等により指定されているときはその方法による。
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二段階右折
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二段階右折の実施時期
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改正法及び改正令の施行日(昭和六一年一月一日)
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改正法及び改正令の施行日(昭和六一年一月一日)以降道路標識等により二段階右折すべきことが指定された時
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道路管理者の意見聴取
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法第三四条第五項ただし書の規定によりいわゆる内小まわりの右折方法を指定しようとするときは、法第一一〇条の二第三項の規定により道路管理者の意見を聴く。
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法第三四条第五項の規定により二段階右折すべきことを指定しようとするときは、法第一一〇条の二第三項の規定により道路管理者の意見を聴く。
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2 改正法及び改正令の施行に伴い、道路管理者が留意すべき事項について
(1) 道路管理者は、二段階右折の実施のため関係交差点について事前に行われる調査の結果について、警察から通知を受けることとなっていること。
(2) 二段階右折の実施のために必要となる交通安全確保のための措置は、基本的には警察において講ぜられるものであるが、警察において取り得る対策が講じられてもなお道路構造の改変等が必要と認められる道路については、道路管理者は警察から協力を求められる場合があること。なお、警察は、当該協力を求める場合には、あらかじめ十分な時間的余裕をもって行うべきこととされていること。
(3) 道路管理者は、(2)により警察から協力を求められた場合においては、原付が交差点の側端に沿って通行し、向きを変えるためのスペース(いわゆる滞留スペース)を確保することができるか否かを十分検討し、道路構造の改変等を行うことが技術上、財政上、工事工程上等の理由から困難である場合には、原付運転者等の安全を確保するため、多通行帯道路において当面いわゆる内小まわりを指定する道路標識等を設置することを求める等二段階右折の実施時期等について警察と十分調整を行うこと。
(4) 多通行帯道路には、路線を通じて三以上の車両通行帯が設けられている道路だけではなく、右左折のためのいわゆる屈曲レーンが設けられている場合等交差点付近で三以上の車両通行帯を有している道路も含まれるが、後者は前者に比して滞留スペースの確保に問題が多いことに鑑み、道路管理者は警察との(3)に係る調整に特に留意すること。
(5) 指定道路の指定の基準については、当該交差点が全体的に交通量の多い交差点であって、かつ原付の右折交通量が多く、原付が右折するために交差点の手前で道路の中央又は右側端に寄る際及び交差道路を横切る際に他の車両と交錯する危険性がある場合とされているが、法第一一〇条の二第三項の規定に基づき指定道路の指定について道路管理者の意見を聴かれた場合には、当面、多通行帯道路の実施状況等を勘案して指定道路の指定の必要性について道路管理者としての判断を行うこと。
(6) 冬季の路面積雪時、集中豪雨による路面冠水時等において原付の右折につき問題が生ずる場合もあるので、当該場合には、道路管理者は警察と密接な連絡をとり、警察において交通安全確保のため警察官等による街頭指導等適切な措置が講ぜられるよう努めること。