建設省都計発第九号・道交発第五号
昭和六二年一月二九日

知事あて

都市局長・道路局長通達


道路交通法の一部を改正する法律等の施行に伴う時間制限駐車区間規制の実施に際しての留意事項について


昭和六一年五月二三日、道路交通法の一部を改正する法律(昭和六一年法律第六三号)が公布され、昭和六二年四月一日から施行されるが、その主たる内容は、1)路上における短時間の駐車時間制限区域の拡大を中心とする違法駐車対策、2)罰金及び反則金の限度額の引き上げ、3)反則通告制度の適用範囲の拡大の三点である。
上掲法律を承けて、道路交通法施行令の一部を改正する政令(昭和六一年政令第三二九号)が昭和六一年一〇月一四日に、道路交通法施行規則の一部を改正する総理府令(昭和六一年総理府令第五〇号)及び道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部を改正する命令(昭和六一年総理府・建設省令第二号)が昭和六一年一一月一五日にそれぞれ公布され、昭和六二年四月一日より施行される。
これら一連の改正法令中、路上駐車対策に関連する部分については、都市計画、駐車場行政及び道路管理との関係が深く、建設省としても所要の調整を図ったところである。
改正後の道路交通法第四九条に基づき、公安委員会が時間制限駐車区間規制を実施しようとするときは、同法第一一〇条の二により、道路管理者等の意見を聴かなければならないこととされているが、この規制の実施がより一層円滑に行われるようにするため、警察庁は、建設省と協議の上、別紙のとおり時間制限駐車区間規制の実施基準を作成し、交通局長及び交通規制課長から通知・連絡した。
この実施基準においては、時間制限駐車区間規制の対象としうる道路の条件、構造、路外駐車場との関係等について定めるとともに、都市計画担当部局、駐車場担当部局及び道路管理者並びに警察を構成員とする協議会を作成し、この場において、この規制の実施に当たって必要な調整を行うこととしており、貴職におかれても、この基準に充分留意して、駐車対策の実効を上げ、かつ、都市計画、駐車場行政及び道路管理に支障を生ずることのないよう対応に万全を期されたい。
なお、時間制限駐車区間規制の実施に際しての留意すべき事項の詳細については、別途課長通達する。



(別紙)
警察庁丙規発第二号
昭和六二年一月五日

各管区警察局長・
警視総監・
各道府県警察本部長・
各方面本部長

警察庁交通局長

時間制限駐車区間規制の実施基準について

この度の道路交通法(昭和三五年法律第一〇五号)の一部改正により、新たに時間制限駐車区間に関する制度が設けられたことに伴い、次のとおり時間制限駐車区間規制の実施基準を定めたので、今後は、この基準により合理的な運用を図ることとされたい。
なお、本実施基準中の幹線道路の意義等について、別途通知することとしているので念のため申し添える。
第1 目的

この基準は、改正後の道路交通法(以下「法」という。)第四九条第一項に規定する時間制限駐車区間の規制を実施する場合に必要な一般的基準を定めることを目的とする。

第2 用語の定義

一 パーキング・メーター

法第四九条第一項のパーキング・メーターをいう。

二 パーキング・チケット発給設備

法第四九条第二項のパーキング・チケット発給設備をいう。

三 パーキング・メーター等

パーキング・メーター及びパーキング・チケット発給設備をいう。

四 路上駐車場

駐車場法(昭和三二年法律第一〇六号)第二条第一号に規定する路上駐車場をいう。

五 路外駐車場

駐車場法第二条第二号に規定する路外駐車場をいう。

六 駐車場整備地区

駐車場法第三条第一項に規定する駐車場整備地区をいう。

第3 規制実施の考え方

時間制限駐車区間規制は、交通の安全と円滑を確保することを目的として行うものであるが、駐車需要は路外駐車場で満たすという原則を踏まえ、地域の駐車需要と路外駐車場等との需給バランス、当該地域の都市計画、対象道路の機能等に配意して、必要やむを得ない短時間駐車需要に応ずるため、これを行うものとする。

第4 時間制限駐車区間規制を実施する地域、道路及び駐車することのできる道路の部分の指定等

一 地域

商業地域、近隣商業地域その他短時間駐車需要が大きい地域で、道路における違法駐車が問題となっている地域であり、当分の間当該地域の短時間駐車需要を路外駐車場で吸収することが困難であると認められる地域であること。

二 道路

(1) 原則として、幹線道路以外の道路であること。ただし、幹線道路であっても交通量に比して著しく車道幅員に余裕があり、かつ、パーキング・メーター等を設置しても当該道路の交通の安全と円滑に支障がない場合は、設置できるものとする。
(2) 歩車道の区別のある道路であること。ただし、歩道のない道路についても、原則として幅員二・〇メートル以上の路側帯を確保できる場合は、差し支えない。

なお、歩行者、自転車及び自動車の通行量が少なく交通の安全に支障がない場合は、この幅員を一・五メートル以上確保すれば足りるものとする。

(3) 車道幅員については、相互通行の場合片側三・二五メートル以上、一方通行の場合四・〇メートル以上確保できること。ただし、交通規制等により大型車の通行がない場合は、相互通行の場合片側三・〇メートル以上、一方通行の場合(道路の両側に歩道又は路側帯がある場合に限る。)三・五メートル以上確保すれば足りるものとする。
(4) バス路線でないこと。ただし、バス路線についても、片側三・五メートル以上の車道幅員が確保でき、かつ、バスの運行に支障を生じない場合は差し支えない。
(5) 啓発道路又は大震火災時における避難地、避難路の機能を確保する上で支障を生じないこと。

三 駐車することのできる道路の部分の指定

(1) 原則として、法定駐(停)車禁止場所は、駐車する道路の部分として指定しないこと。
(2) 縦断勾配が四パーセント以下であること。ただし、縦断勾配が六パーセント以下の道路で車道幅員が一三メートル以上の場合はこの限りでない。
(3) 陸橋の下、橋又はトンネルでないこと。
(4) 沿道の利用に支障を来さないこと。
(5) 駐車することのできる道路の部分の指定に伴い、その内側にさらに駐車がなされることにより、いわゆる二重駐車の生ずることのないよう配意すること。
(6) 停車需要、交通容量等を勘案し、問題がある場合には、同時に道路の両側を連続して指定しないこと。
(7) 駐車方法は、平行駐車を原則とすること。
(8) はしご車による消防活動に支障を来さないこと。

四 路外駐車場との関係

路外駐車場の入口からおおむね一〇〇メートル以内の場所については、時間制限駐車区間の指定を避けること。ただし、当該駐車場のスペース及び利用の状況並びに近隣周辺の駐車需要を勘案し、駐車対策上、当該駐車場の有効な利用を損なうおそれがないと認められる場合はこの限りでない。

第5 時間制限

時間制限駐車区間で引き続き駐車することのできる時間は、三〇分から一二〇分以内とし、原則としておおむね六〇分以内とする。

第6 パーキング・メーターとパーキング・チケット発給設備の設置区分

時間制限駐車区間規制において設置する施設は、パーキング・メーターを原則とするが、道路の構造その他道路又は交通の状況から判断して、パーキング・メーターによることが適当でないと認められる場合には、パーキング・チケット発給設備を設置するものとする。この場合に、経済的事情は判断の基準とならない。

第7 駐車場整備地区内における路上駐車場との調整

駐車場整備地区内におけるパーキング・メーター等の設置については、現に路上駐車場が設置され、又は近く設置が予定されている場合には、原則として、その地区については、路上駐車場によるものとする。

第8 関係者との協議

時間制限駐車区間規制の実施に当たっては、時間制限駐車区間の設定、道路の部分の指定等とその地域の現在及び将来の駐車対策全体との調整を図るため、次の関係者で構成する協議会において協議するものとする。
一 警察
二 道路管理者
三 都道府県及び関係市町村の都市計画担当部局及び駐車場担当部局

第9 規制の廃止等

路外駐車場の整備状況等により、時間制限駐車区間規制が上記第四の基準に適合しなくなった場合は、公安委員会は、速やかに当該規制を廃止するものとする。
また、道路管理者が行う歩道等の設置、拡幅その他の工事に起因して、パーキング・メーター等の撤去又は移設が必要となった場合には、公安委員会は、速やかにこれを撤去又は移設するものとする。

事務連絡
昭和六二年一月五日

各管区警察局交通担当部長  
警視庁  交 通 部 長 殿
各道府県警察(方面)本部長  

警察庁交通局交通規制課長

時間制限駐車区間規制の実施基準にいう幹線道路の意義等について

時間制限駐車区間規制の実施基準(昭和六二年一月五日付け警察庁丙規発第二号)にいう幹線道路の意義については、建設省との協議において、左記のとおり了解を得ているところである。
なお、同実施基準においては、時間制限駐車区間規制の実施に当たり、警察、道路管理者等の関係者で構成する協議会において協議するものとされているが、当庁と建設省との協議において、この「道路管理者」には、時間制限駐車区間規制が行われる道路の管理者のほか、当該規制の影響が及ぶ道路管理者も含まれるものである旨了解されているところであるので、併せて申し添える。

幹線道路の意義

実施基準にいう幹線道路とは、主として通過交通に利用される道路の区間を想定している。これは、「道路構造令の解説と運用」(日本道路協会)の中で述べられている主要幹線道路及び幹線道路に対応すると考えられる。

(1) 主要幹線道路

主として地方生活圏及び主要な都市圏域の骨格を構成するとともに地方生活圏相互を連絡する道路で、地方部にあっては、トリップ長が長く交通量も多い道路をいい、都市部にあっては交通量が多く、トリップ長が長・中である道路をいう。
したがって地方部では高速自動車国道、主要な一般国道及び一部の主要地方道が、また都市部では都市高速道路、一般国道及び主要地方道が主要幹線道路に対応する。

(2) 幹線道路

地方部にあっては、主として地方生活圏内の二次生活圏の骨格を構成するとともに、主要幹線道路を補完して二次生活圏相互を連絡する道路で、トリップ長が比較的長く交通量も比較的多い道路をいう。都市部にあっては、その骨格及び近隣住区の外郭となる道路で、トリップ長が中・短で交通量も比較的多い道路をいう。
したがって地方部では、一般国道、主要地方道及び一部の一般都道府県道が、都市部では、一般国道、主要地方道、一般都道府県道及び一部の幹線市町村道が幹線道路に対応する。

<参考>

(社)日本道路協議会編集・発行に係る「道路構造令の解説と運用」の中で述べられている道路の機能分類は次のとおりである。

(1) 主要幹線道路

主として地方生活圏及び主要な都市圏域の骨格を構成するとともに地方生活圏相互を連絡する道路で、地方部にあっては、トリップ長が長く交通量も多い道路をいい、都市部にあっては交通量が多く、トリップ長が長・中である道路をいう。
したがって地方部では高速自動車国道、主要な一般国道及び一部の主要地方道が、また都市部では都市高速道路、一般国道及び主要地方道が主要幹線道路に対応する。

(2) 幹線道路

地方部にあっては、主として地方生活圏内の二次生活圏の骨格を構成するとともに、主要幹線道路を補完して二次生活圏相互を連絡する道路で、トリップ長が比較的長く交通量も比較的多い道路をいう。都市部にあっては、その骨格及び近隣住区の外郭となる道路で、トリップ長が中・短で交通量も比較的多い道路をいう。
したがって地方部では、一般国道、主要地方道及び一部の一般都道府県道が、都市部では、一般国道、主要地方道、一般都道府県道及び一部の幹線市町村道が幹線道路に対応する。

(3) 補助幹線道路

地方部にあっては、主として地方生活圏内の一次生活圏の骨格を構成するとともに、幹線道路を補完して一次生活圏相互を連絡する道路をいう。都市部にあっては、近隣住区内の骨格を構成する道路をいう。
したがって地方部では、一部の主要地方道、一般都道府県道、幹線市町村道の道路が、都市部では一部の主要地方道、一般都道府県道、幹線市町村道が補助幹線道路に対応する。

(4) その他の道路

補助幹線道路から各戸口までのアクセス機能を主とした道路でトリップ長、交通量とも小さい道路をいう。
したがって、地方部では一部の幹線市町村道と一般市町村道が、都市部では一部の幹線市町村道と一般市町村道が該当する。


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