建設省都計発第五六号・都再発第四二号・都街発第一一号・都区発第二六号・道政発第三一号
昭和六二年五月一日

都道府県・指定都市都市計画担当部局長・道路管理担当部局長あて

都市局都市計画課長・都市局都市再開発課長・都市局街路課長・都市局区画整理課長・道路局路政課長通達


都市計画による駅前広場の造成に関する協定(昭和六二年四月一日成立 建設省・運輸省協定)について

建設省及び運輸省は、日本国有鉄道(以下「国鉄」という。)の分割・民営化に伴い昭和六二年三月三一日付けをもって失効する「都市計画による駅前広場の造成についての建設省・日本国有鉄道申合せ」(昭和四七年七月一五日成立。以下「旧申合せ」という。)にかわり、昭和六二年四月一日付けで、標記協定(以下「新協定」という。)を別紙写しのとおり締結したので、了知のうえ、左記事項に留意され、今後その取扱いに遺憾なきを期されたい。
おって、貴管下市町村(指定都市を除く。)関係部局に対しても、この旨徹底方御配意願いたい。

1 新協定の目的

新協定は、駅前広場(道路として都市計画決定される交通広場をいう。以下同じ。)の造成及び維持管理に関して都市計画事業施行者又は道路管理者と国鉄の承継法人である第一種鉄道事業の免許を受けた旅客鉄道株式会社又は新幹線鉄道保有機構(以下「旅客会社等」という。)とが、駅前広場の造成等につき個別の工事施行協定又は管理協定を締結するに当たり、その基準となる事項を定め、もって駅前広場の造成等の円滑な実施を図ることを目的としたものであること。

2 新協定の適用

(1) 新協定は、昭和六二年四月一日以降、個別の工事施行協定を締結し工事に着手する駅前広場について適用されるものであること(新協定附則第一項)。

なお、昭和六二年三月三一日以前に国鉄と締結した個別の管理協定又は個別の工事施行協定を締結し昭和六二年四月一日現在工事施行中の駅前広場に係る当該工事施行協定に基づく国鉄の一切の権利及び義務は、日本国有鉄道改革法(昭和六一年法律第八七号)第一九条第三項に規定する「実施計画」中において旅客会社等に継承されるように定められており、完成した駅前広場の維持管理又は継続事業については、既に締結された協定の内容に基づき行われるものであること。

(2) 新協定は、旧申合せと同様、街路事業、市街地再開発事業又は土地区画整理事業の施行により造成される駅前広場について適用されるものであること。なお、市街地再開発事業及び土地区画整理事業の新協定適用に係ることは、運輸省との間で別途確認済みであること。

3 駅前広場に関する都市計画

(1) 駅前広場は鉄道と道路交通の結節点であり、駅前における安全かつ円滑な交通の確保を図るとともに、交通機関相互の乗継ぎの利便性を増進するために設置されるものであるほか、都市美観上重要な空間を形成する都市施設であることにかんがみ、その計画は総合都市交通体系、土地利用計画、都市景観等を総合的に勘案して策定すること。また、駅前広場の区域は、将来の駅勢圏人口、乗降客数、交通機能等を考慮し適正に設定すること。なお、駅前広場に接して通過交通を主とする道路がある場合は、これを駅前広場区域内に含めないように計画するものとすること。
(2) 駅前広場に関する都市計画を定めるに当たって、都道府県又は市町村の都市計画担当部局は、あらかじめ、当該駅前広場を管理することとなる道路管理担当部局と十分連絡調整を図るとともに、都道府県知事又は市町村は、都市計画法(昭和四三年法律第一〇〇号)第二三条第六項の規定に基づき当該駅前広場を管理することとなる道路管理者又は旅客会社等に協議するものとすること。

4 用地補償費の負担対象面積等

新協定において、駅前広場の造成に係る用地補償費の負担対象区域は、駅前広場研究委員会算定式(昭和二八年制定)により算定された面積に基づき設定されることとなったが、新協定第四条第二項の規定は、駅前広場に関して都市計画決定された面積と負担対象面積が異なる場合があることを予定して定めたものであること。なお、同項第二号に定める「負担対象面積が駅前広場面積と異なる場合」は、例えば図―1のように負担対象区域を設けるものとすること(新協定第四条)。

図―1 鉄道側負担対象区域の設定
5 用地補償費の負担等及び土地所有区分

(1) 旅客会社等が駅前広場の造成に関して負担する用地補償費は、負担対象区域の六分の一線(旧申合せは四半分線)の駅本屋側の用地補償費とされたこと(新協定第五条)。この場合において、駅前広場区域内に既に駅前広場の用に供している旅客会社等の用地が含まれる場合又は既存道路敷が含まれる場合は、引き続き無償で駅前広場敷として使用に供するものであること(新協定第五条第二項及び第三項)。
(2) 駅前広場区域における土地所有区分は、旧申合せと同様、土地所有区分線を設定し、旅客会社等がその駅本屋側の部分を、都市計画事業施行者がその他の部分を、それぞれ所有するものとしたこと(新協定第六条)。
(3) 新協定第五条及び第六条に定める事項を図示すれば、図―2のとおりとなるものであること。

図―2 用地無償費の負担等及び土地所有区分

(注) 図―2は、負担対象面積と駅前広場面積とが等しい場合である。

6 管理運営

都市計画事業施行者は、駅前広場の造成工事中において、将来道路区域となる区域内で次の行為を行おうとする場合は、あらかじめ、当該駅前広場を管理することとなる道路管理者に協議するものとすること。
(1) 設置される工作物について都市計画法第六五条第二項の規定に基づく意見を述べようとするとき。
(2) 設置される工作物((1)の工作物を除く。)について許可を与えようとするとき。

7 その他

都市計画事業施行者は、円滑かつ適正な事業の施行及び駅前広場の供用を図るため、駅前広場に係る設計の概要、施行、供用等について、当該駅前広場を管理することとなる道路管理者と十分連絡調整を行うこととすること。

都市計画による駅前広場の造成に関する協定

(目的)

第一条 この協定は、都市計画による駅前広場の造成に関する事項を定め、駅前広場の造成及び維持管理の円滑な実施を図ることを目的とする。

(定義)

第二条 この協定において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 旅客会社等 鉄道事業法(昭和六一年法律第九二号)第二条第一項に規定する第一種鉄道事業の免許を受けた者としての旅客会社(旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(昭和六一年法律第八八号)第一条第一項に規定する旅客会社をいう。)及び新幹線鉄道保有機構をいう。
二 地方公共団体 都市計画法(昭和四三年法律第一〇〇号)第五九条に規定する都道府県、市町村等の都市計画事業施行者をいう。
三 道路管理者 道路法(昭和二七年法律第一八〇号)第一五条から第一七条までの規定によつて都道府県道又は市町村道を管理する者であつて、都市計画法第二三条第六項の規定により、あらかじめ駅前広場に係る都市計画について協議を受け、当該駅前広場を管理することとなつた者をいう。
(都市計画)

第三条 都道府県知事又は市町村は、都市計画法に定めるところにより、駅前広場に関する都市計画を定めるものとする。
2 都道府県知事又は市町村は、前項の都市計画を定めようとするときは、都市計画法第二三条第六項の規定に基づき旅客会社等に協議するものとする。

(用地補償費の負担対象面積等)

第四条 旅客会社等が負担する用地補償費の算定の対象となる面積(以下「負担対象面積」という。)は、別添の駅前広場研究委員会算定式(昭和二八年制定)により算定するものとする。この場合において、乗降人員の算定は、二〇年後を目標とし、定期客の多い汽車駅については、その要素を加味するものとする。
2 駅前広場区域のうち、旅客会社等が負担する用地補償費の算定の対象となる区域(以下「負担対象区域」という。)は、次の各号の一に定めるところによるものとする。

一 負担対象面積が駅前広場面積と等しい場合においては、駅前広場区域を負担対象区域とする。
二 負担対象面積が駅前広場面積と異なる場合においては、駅本屋の建築線におおむね平行な、かつ、駅前広場の両端を結ぶ線をもつて駅前広場区域を区分し、その駅本屋側に設定された区域を負担対象区域とする。

3 前項の規定により設定された負担対象区域内に、通過交通を主とする道路がある場合においては、これを負担対象区域に含めないものとする。

(用地補償費の負担等)

第五条 負担対象区域における用地補償費の負担は、次に掲げる要件のすべてに該当する負担対象区域を区分する線(以下「六分の一線」という。)を設定し、旅客会社等がその駅本屋側の部分の用地補償費を、地方公共団体がその他の部分の用地補償費を、それぞれ負担するものとする。

一 駅本屋側の面積が、負担対象区域の面積の六分の一となること。
二 駅本屋の建築線におおむね平行であること。
三 駅前広場の両端を結ぶこと。

2 前項の規定にかかわらず、駅前広場区域内に既に駅前広場の用に供している旅客会社等の用地が含まれる場合又は既設道路敷等が含まれる場合は、駅前広場敷としての使用に供するものとする。
3 地方公共団体又は旅客会社等が用地補償費を負担する部分に相手側の所有する用地(前項に掲げる用地を除く。)がある場合は、これを有償で譲り受けるものとする。

(土地所有区分)

第六条 駅前広場区域における土地所有区分は、次に掲げる要件のすべてに該当する土地の所有を区分する線(以下「土地所有区分線」という。)を設定し、相互の土地を等積等価により交換して、旅客会社等がその駅本屋側の部分を、地方公共団体がその他の部分を、それぞれ所有するものとする。

一 地方公共団体と旅客会社等とが、相互の土地を等積等価により交換できること。
二 六分の一線におおむね平行であること。
三 駅前広場の両端を結ぶこと。
(舗装等の工事費の負担)

第七条 駅前広場の造成に係る舗装等の工事費は、旅客会社等が土地所有区分線の駅本屋側の部分に要する工事費を、地方公共団体がその他の部分に要する工事費を、それぞれ負担するものとする。

(管理運営)

第八条 駅前広場区域のうち、土地所有区分線の駅本屋側の部分は、道路区域に含めないものとする。
2 駅前広場の管理は、道路管理者と旅客会社等との間で管理協定を定めて、円滑に運営を行うものとする。
3 駅前広場施設の維持等に要する費用は、旅客会社等が土地所有区分線の駅本屋側の部分に要する費用を、道路管理者がその他の部分に要する費用を、それぞれ負担するものとする。

(新駅等に関する駅前広場)

第九条 駅の新設又は駅裏口の新設により必要となる駅前広場については、地方公共団体と旅客会社等との間で協議して定めるものとする。

(実施のための指導)

第十条 この協定により、都市計画による駅前広場の造成及び管理が円滑に実施されるよう、運輸省は旅客会社等を、建設省は地方公共団体及び道路管理者を、それぞれ指導するものとする。

(駅前広場協議会)

第十一条 この協定の運営について協議するため、運輸省及び建設省の職員で構成する駅前広場協議会を設けるものとする。


附 則
1 この協定は、昭和六二年四月一日以降工事施行協定を結び工事に着手する駅前広場に適用するものとする。
2 この協定の適用前に都市計画決定又は変更された駅前広場は、都市計画法第二三条第六項に基づく協議を行い決定又は変更されたものとみなす。
この協定を証するため、協定書三通を作成し、各々一通を保有する。

昭和六二年四月一日

運輸省大臣官房国有鉄道改革推進総括審議官 林淳司
建設省都市局長 北村廣太郎
建設省道路局長 鈴木道雄



別添 駅前広場研究委員会算定式(昭和28年制定)

電車駅の場合
 
 
 標準式
A=0.119x 
(x≦73,000)
 
or 0.0259x+25.09√x 
(x>73,000)
 上限
A=0.128x  
(x≦73,000)
 
or 0.0277x+26.85√x 
(x>73,000)
 下限
A=0.878x  
(x≦73,000)
 
or 0.0189x+18.30√x 
(x>73,000)
汽車駅の場合
 
 
 標準式
A=0.238x+9.85√x  
(x≦30,000)
 
or 51.65√x 
(x>30,000)
 上限
A=0.271x+11.22√x  
(x≦30,000)
 
or 58.90√x 
(x>30,000)
 下限
A=0.217x+8.99√x  
(x≦30,000)
 
or 47.16√x 
(x>30,000)
  A:負担対象面積(m2)
 
 
  x:年間平均1日鉄道乗降人員(人/日)
 
 


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