建設省道政発第四九号
平成六年九月三〇日

各地方建設局長・北海道開発局長・沖縄総合事務局長・道路関係四公団の長・各都道府県知事・各政令指定市長あて

道路局長通知


道路法第二四条の承認及び第九一条第一項の許可に係る審査基準について


標記について、行政手続法(平成五年一一月一二日法律第八八号)が本年一〇月一日から施行されることに伴い、同法第五条において審査基準を定めることとされているため、「承認工事審査基準(案)」(別紙―1)及び「道路予定区域における許可行為の審査基準(案)」(別紙―2)によりその指針を定めたので、貴職において、承認及び許可(以下「承認等」という。)の審査基準を定めるに際し、左記事項と併せて参考とされたい。
なお、都道府県にあっては、貴管下道路管理者(地方道路公社を含む。)に対しても、この旨周知願いたい。

1 審査基準の制定について

「承認工事審査基準(案)」及び「道路予定区域における許可行為の審査基準(案)」は、一般的な審査基準として定めたものである。
なお、「承認工事審査基準(案)」については、地方の特殊性、工事の態様等に応じて、本基準と異なった基準を定めることは差し支えないものであること。

2 審査基準制定の際の留意事項

審査基準の制定に当たっては、次の点に留意すること。
(1) 審査基準の具体化について

審査基準は、承認等の先例のないもの、稀であるもの又は当面申請が見込まれないものであって審査基準を定めることが困難な場合を除いてはできる限り具体的な基準とすること。
なお、これら承認等の先例のないもの等、当面審査基準を定めることが困難な場合にあっても、今後、申請事例の蓄積により、審査基準の具体化に努めていくこと。

(2) 審査基準の公表について

審査基準を定めた場合には、事務所等の申請受付け窓口に備え置くことや申請者の求めに応じて提示するなどにより、公にしておくこと。


別紙―1

承認工事審査基準(案)

1 車両出入口の承認基準

(1) 乗入幅は乗入規格表(別表第1)のとおりとする。
(2) 乗入口の構造は、別図第2―1から別図第2―5並びに別表第2の歩道改築標準図及び舗装厚表によること。
(3) 乗入箇所は、原則として出入対象施設について一箇所とし、出入口を分離する必要のある施設等特別の事情がある場合及び特に大型の貨物自動車の出入する場合は、二箇所まで承認することができる。
(4) 次に掲げる箇所以外の箇所であること。

a 横断歩道の中及び前後五m以内の部分。
b トンネルの前後各五〇m以内の部分。
c バス停留所、路面電車の停留場の中、但し停留所を表示する標柱または標示板のみの場合は、その位置から各一〇m以内の部分。
d 地下道、地下鉄の出入口及び横断歩道橋の昇降口から五m以内の部分。
e 交差点(総幅員七m以上の道路の交差する交差点をいう。)の中及び交差点の側端または道路の曲がり角から五m以内の部分、但しT字型交差点のつきあたりの部分を除く。
f バス停車帯の部分。
g 橋の部分。
h 横断防止柵、ガードレール及び駒止の設置されている部分、但し交通安全上特に支障がないと認められる区間を除く。
i 交通信号機、道路照明灯の移転を必要とする箇所、但し道路管理者及び占用者が移転を認め、申請者が移設をする場合は除く。

(5) 民地側に車庫、その他自動車の保管する場所がある箇所であること。
(6) 交差道路と隣接する場合は、交差道路との間に原則として二mの間隔をとるものとする。
(7) 官民境界沿いに側溝がある場合には、道路管理者の指定する側溝蓋を設置させること。
(8) 乗入口以外の場所から自動車が出入りするおそれのある場合は、駒止めを設置する等の措置をとらせること。

*) 自動車の出入口とするための歩道改築の承認申請が民家等にその家屋所有者の自家用車が出入りするもので、自動車の出入りの回数が少ない場合等であり、交通安全上特に支障のないと認められる場合は、(4)のbからd、fは適用しないことができるものとする。
2 法面埋立、切取等の承認基準

(1) 切土、盛土の施工高及び縦横断勾配は、原則として当該道路の計画を勘案したうえでの構造、勾配に整合させること。
(2) 官民境界沿いの官地側にU型、L型、半円径等の側溝を設置するものとし、種類、構造、勾配等については隣接地区における状況を考慮し、道路管理者において決定するものとする。但し既設の側溝があり、二重側溝となって管理上不都合な場合はこの限りでない。
(3) 盛土の場合は、良質土(道路管理者が定める)をもって盛土すること。
(4) 盛土によって従来の側溝を埋める必要のある場合は、用排水機能に支障を与えないよう十分な断面と強度を有する構造物とすること。
(5) 法面切取の場合は、民地の切取断面及び構造が崩落、落石等により道路に危険を及ぼさない構造のものであること。
(6) 側溝がある場所を出入口として使用する場合は、道路管理者の指定する蓋を設置すること。
(7) 法面切取及び埋立の場合については、路肩保護のため車道端から側帯に相当する幅を車道舗装厚と同厚とし、その外側については道路管理上支障のないよう必要な措置をとらせること。
(8) 乗入口以外の場所から自動車が出入りするおそれのある場合は、駒止めを設置する等の措置をとらせること。
(9) 法面埋立の末端が段落ちとなる場合等、承認工事の施工により一般交通に危険が生じるおそれのある場合は、これを防止するために必要な安全施設を設置すること。

3 その他の承認工事の承認基準

前項以外の承認工事については、道路構造令のほか、道路管理者がその工事を行う場合の技術基準等によること。



別表第1
乗入規格表

申請目的により通行の可能性のある自動車の種類を判断し下表を適用する。
単位:m
型式
車種
A型
B型
 
 
I種
乗用、小型貨物自動車
4.0
II種
普通貨物自動車等(6.5t以下)
8.0
7.0
III種
大型及び中型貨物自動車等(6.5tをこえるもの)
12.0
8.0

(注) A型、B型は歩道改築標準図のA型、B型をいう。

(1) 取付方法については、別図第1を標準とし特殊な箇所については別途考慮することができる。
(2) 出入する車種の最大のものを適用する。
(3) 車種はいずれも単車の場合である。トレーラー又は特殊な車両が出入りする箇所は別途考慮することができる。
(4) 乗入幅の数値はA型、B型いずれも乗入方向に直角方向の長さとする。
(5) 申請者の都合により乗入幅は上記の値より縮小することができる。



別図第1



別表第2

舗装厚表

乗入規格表による車種により下表を適用する。
単位:cm
種別
車種
セメントコンクリート舗装
 
アスファルト舗装
 
 
 
 
コンクリート
路盤
密粒度
粗粒度
路盤
I種
乗用、小型貨物自動車
15
10
5
 
25
II種
普通貨物自動車等
20
20
5
5
25
III種
大型及び中型貨物自動車等
25
25
5
10
30

(注)

(1) 舗装厚は出入する車種の最大のものを適用する。
(2) コンクリート舗装の場合コンクリート舗装要綱によるものとし生コンクリートの呼び強度(設計基準強度)σ28=210kgf/cm2以上とする。
(3) アスファルト舗装の場合はアスファルト舗装要綱によるものとする。
(4) 路床土は良質土を用いるものとする。
(5) 路盤材料は粒調砕石又はクラシャーランを用いるものとする。
(6) 申請者の都合により乗入幅を縮小する場合においても舗装厚は、減じないものとする。
(7) 上表は申請者自らが施工する場合であり道路管理者の工事と同時施工で道路管理者が施工する場合の舗装厚については別途考慮できるものとする。



別図第2―1 A型

歩道幅員が約2.5m以上の場合

平面図

(注) 民地側にへい等を設置することが確実な場合は、駒止等の設置を省略することができる。

a―a’断面図
b―b’正面図



別図第2―2 A型

歩道幅員が約2.5m未満で民地が低い場合

平面図
a―a’断面図
b―b’正面図



別図第2―3 A型

歩道幅員が約2.5m未満の場合

平面図
a―a’断面図
b―b’正面図



別図第2―4 B型

(注) 正面図、断面図はA型に同じ



別図第2―5

乗入間口の間隔は、A型は2.0m以上B型は5.0m以上とする。
乗入間口間隔が10m未満となる場合には、歩道高さと乗入間口高さは同一とする。
a―a’断面図
b―b’断面図
 
 
 
 

a部詳細図



別紙―2

道路予定区域における許可行為の審査基準(道路法第九一条第一項)(案)

道路予定区域における許可を行うに当たっては、

・当該道路工事の施行時期
・当該道路予定区域の権原の取得の時期及び方法
・当該道路予定区域の形質変更又は当該工作物の新築等の内容(構造、移転除却の難易度等を含む)及び期間
・当該道路予定区域の従来の利用方法

等を総合的に勘案して判断し、道路工事の施行上著しい支障を及ぼさない場合に許可することができるものであること。

なお、通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で以下に掲げる場合には原則として許可するものとする。
1) 非常災害のため必要な応急措置として行う工作物の大修繕等並びにこのために行う土地の形質変更
2) 法令又はこれに基づく処分による義務の履行として行う工作物の新築等又は土地の形質の変更
3) 既存の工作物の管理のために必要な土地の形質の変更
4) 現に農林漁業を営む者が農林漁業を営むために必要な土地の形質の変更


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