建設省道一発第三二号
昭和四三年九月一八日

各地方建設局・北海道開発局・道路部長あて

道路局国道第一課長通達


道路の災害による事故防止の強化対策に関する実施要領について


標記について、昭和四三年九月六日道路部長会議において検討されたところにより別紙のとおり定めたので、遺憾のないよう措置されたい。



(別紙)

道路の災害による事故防止の強化対策に関する実施要領

1 総点検

地すべり地区、落石地区、河川の水衝部地区等の危険箇所の総点検を実施し、その実態を把握すると共に、これに対する具体的な対策を実施し、道路交通の危険防止と交通安全の確保に努め、総点検の実施結果は別紙により十月末日迄に報告すること。なお、沢崩れ等で保安林、砂防指定地等について対策を実施する必要のあるものは、それぞれの管理者にその対策の実施を要請するものとする。

2 交通規制基準の作成

過去の災害に関する資料を収集し、降雨量、洪水流量、風速、積雪量、震度等に応じた災害の発生状況を想定し、箇所ごとにこれに対応した交通規制措置を実施するための基準(今回は特に降雨量を対象とする。)を作成し、本省と協議するものとする。(別紙様式(略)参照、期限は前記と同じ。)
なお、交通規制基準の作成に当っては、あらかじめ警視庁及び道府県警察本部ならびに都道府県道路担当部局と充分協議するものとする。

3 情報連絡について

別途道路情報センターの設置を来年度から実施すべく要求しているが、取りあえず左記について早急に実施するものとする。

3―1 一斉通報による情報の周知

気象、警察、消防機関等と密接な連絡をとるとともにより広範囲に情報を周知徹底し、情報もれを防ぐために本局において各地からの情報をとりまとめ、各事務所へ一斉通報により流すものとする。

3―2 道路情報モニターの委嘱

広範囲かつ迅速に情報の収集及び提供を行なうため台風雨、集中豪雨、降雪等により洪水、落石、倒木、土砂崩壊、雪害等の発生するおそれの高い箇所について附近の民間の人を道路情報モニターに委嘱し、当該附近の道路情報の収集及び通報を行なわせるとともに必要に応じて道路標識等の設置取りはずしを依頼するものとする。なおバス会社、トラック会社等に対しても情報提供についての協力を要請するものとする。
これらの実施方法は次のとおりとする。
(1) 道路情報モニターの委嘱

災害発生の可能性の高い地域を選定し、この区域について五〜一〇kmに一人を標準として委嘱する。この選定に当っては電話の所有者又は電話・電報発信所を容易に利用出来うる。外出がちでない者を基準とし、ガソリンスタンド、ドライブイン、モーテル、峠の茶屋等の施設関係者には積極的に委嘱するものとする。なお、ガソリンスタンド等で積極的に情報提供を期待しうる道路情報モニターを厳選して、「国道情報連絡所」の看板を掲示させ、道路利用者の協力を広く求めるものとする。

(2) 通報の内容

道路情報モニターからの通報の内容は原則として、第一に発生の日時、場所、第二に被災の規模、第三に道路の状態を連絡せしめるようにするものとする。
また、道路情報モニターは民間の人であるから、連絡のために通報の内容の表現方法等をあらかじめ様式等を以って定めるものとする。

(3) 道路標識等の設置取はずし

交通規則のための道路標識の設置は道路管理者自らが行なうのが原則であるが、緊急を要する場合や遠隔地等の場合には必要に応じて国道情報連絡所を標示している道路情報モニターに、道路標識又は道路についての情報を表示する道路標示板(以下「道路標識等」という。)の設置取りはずしを依頼するものとする。なおこの場合道路情報モニターは、道路標識等の設置取りはずしを行なった後、ただちに道路管理者に連絡するとともに道路管理者は事後においてすみやかに当該措置の確認を行なうものとする。

(4) 報酬

通報に対する報酬は一回の通報に対して四〇〇円を基準とし国道情報連絡所を標示した道路情報モニターには月額一七〇〇円を支払うものとする。なお洪水地域の場合等刻々と変化するもの等の継続的な被災状況についての通報は、報告の時点をあらかじめ定めるものとする。

3―3 道路情報担当官の設置等

本局事務所に道路情報担当官を設置し、道路情報モニター等からの受信、道路通行者への情報提供等を行なう。
なお、道路情報モニターからの通報は主に出張所長又は出張所の管理係長が受けるものとする。

3―4 情報施設の整備

道路標識を整備しておき、災害緊急の場合の交通規制措置が直ちに行なえる様にするとともにこれらの自動化等を促進するものとする。

4 巡回の強化

巡回については従来より強力に実施してきたところであるが、さらに危険箇所について強化するため、次の事項について実施するものとする。
(1) 巡回日誌の統一した様式を定め、その記録の整備を行なうこと。
(2) 危険箇所については定期的に徒歩巡視を行なうこと。
(3) 夜間巡回を定期的に実施すること。

なお、巡回の際には極力、前記モニターと連絡をとり積極的に情報収集に努めるものとする。


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