警察庁丙備発第三五号・丙規発第三六号
昭和四三年九月二七日

各管区警察局長・警視総監・各道府県警察本部長・各方面本部長あて

警備局長・交通局長通達


災害時における道路交通被害防止対策の強化について


災害時における警備対策については、警備実施要則(昭和三八年、国家公安委員会規則第三号)、国家公安委員会・警察庁防災業務計画(昭和三八年八月一日、国家公安委員会、警察庁)および幹線道路における交通障害情報の収集・通報等実施要領(昭和四二年九月二一日警察庁丙規発第一七号)等に定めるところに従い、それぞれ適切に実施されているところであるが、去る八月一八日、岐阜県白川町地内国道四一号線道路上において、集中豪雨による土砂くずれにより発生したバス転落事故にかんがみ、今後、この種被害の再発を防止するため、左記により災害時における道路交通被害防止対策を強化されたい。
なお、この事故に関する国会決議(別紙)ならびに建設省道路局長通達(別添1)および運輸省自動車局長通達(別添2)の写を添付するので、これらを参考として関係機関との連絡協調および関係事業者等の指導につとめられたい。

1 道路交通に障害を及ぼすおそれのある危険箇所の再調査

(1) 国家公安委員会・警察庁防災業務計画第三章第三の(2)に基づき各都道府県警察においては握している危険地域のうち、とくに道路交通に障害を及ぼすおそれのある危険箇所について、この際、道路管理者、治山・治水担当機関等との密接な連絡のもとに再調査し、それらの危険箇所の実態、最近の災害発生状況等を確実には握しておくこと。
(2) 再調査の結果、早急に補強等の措置をとることが必要と認められる危険箇所については、道路管理者その他の担当機関に対し、所要の措置をとるよう要請すること。

2 災害に関する情報の収集、伝達体制の整備

(1) 警備実施要則第四一条および国家公安委員会・警察庁防災業務計画第三章第四の(1)に基づく気象情報その他の災害に関する情報の収集および伝達の一層の迅速、的確を期するため、気象関係機関はもちろん、道路管理者、消防(水防)機関その他の防災関係各機関との連絡、通報体制を再点検すること。また、関係機関からの気象情報、道路交通情報等の災害関係情報がもれなく、ただちに警察に連絡、通報される体制を強化するとともに災害の発生が明らかに予想される道路については、パトカー、白バイ等による視察警戒活動を強化して交通障害情報の収集その他警戒活動を強化すること。
(2) 路線バス、路線トラック、タクシー等の運輸事業者ならびにその運転者および危険箇所所在の道路沿線にあるモーテル、ドライブイン、ガソリンスタンド等運転者の立ち寄ることの多い業者との連絡協力体制を密にして、災害時における交通障害情報が積極的にこれらの者から連絡通報されるよう指導すること。また、警察では握した異常気象情報、交通障害情報および交通規制実施状況等の情報をこれらの業者に伝達することにより、当該道路を通行しまたは通行しようとしている車両の運転者等に必要な情報がこれら業者から伝達されるよう必要な措置をとること。
(3) 報道機関との連絡通報体制を一層強化し、気象ニュース、交通情報ニュース等の放送に道路交通に障害を及ぼすおそれのある災害関係情報、交通規制実施状況等が盛り込まれ、カーラジオ等で広く認識されるよう配意すること。

3 交通規制実施体制の整備と実施上の留意事項

(1) 前記1による再調査の結果を基礎として、道路管理者、その他関係機関と協議のうえ、災害時に交通障害が発生するおそれのある危険箇所を含む道路の区間についての交通規制実施計画を次により策定しておくこと。

ア 道路管理者と警察との連絡協力体制
イ 前記危険箇所および通行の禁止、制限等を実施すべき道路の区間
ウ 交通規制実施区間に対するう回路
エ 道路標識、指示看板等の設置箇所

(2) 災害時において道路交通に障害を及ぼすおそれのある災害が発生するかどうかの判断は、気象状況、過去の災害発生事例等を総合的に検討してしなければならないが、このような判断は、道路管理者の当該道路の地質、構造等についての専門知識とこれまでの管理経験に基づく判断が最も適正妥当と考えられ、別添一の建設省道路局長通達においても、直轄国道について道路管理者による迅速な交通規制体制の整備を指示しているところであるので、災害時における交通規制については、原則として道路法第四六条に基づく道路管理者による交通規制が実施されるよう道路管理者と協議すること。
(3) 道路管理者による交通規制については、その実効確保に警察として可能な限り協力するとともに、道路交通に関する障害が現にあることを警察において認知し、かつ、道路管理者による交通規制措置を待ついとまのない場合においては、道路交通法第七条第二項または同条第三項に基づく所轄警察署長または現場警察官による交通規制を実施するものとし、事後すみやかに道路管理者に通知すること。
(4) 前記計画に基づき、警察として必要な規制標識、指示看板のほか、要すればロープ、柵等の資器材を整備し、計画対象道路を管轄する警察署または最寄りの派出所、駐在所等にあらかじめ配置しておくこと。
(5) 危険箇所を含めた相当長区間にわたる交通規制を実施した場合、当該区間内にある車両等に対しては、交通規制が実施されていることおよび交通障害が発生しまたは発生するおそれがある箇所または区間についてその旨周知させる方策を講ずるとともに、警察官職務執行法第四条に基づく警告および安全な場所への避難、誘導等の措置を講ずるようにつとめること。

なお、前記箇所または区間に車両等の進入を防止するための指示看板の設置について配意すること。

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