去る八月二〇日、かねてより係争中の一般国道五六号高知県須崎市地内における落石事故について、最高裁の判決があったが、その判決理由において、道路管理者は「落石注意」等の標識を設置したのみで、防護柵等の設置、落下しそうな岩石の除去あるいは事前の通行止め等の措置をとっていなかったことについて管理の瑕疵があり、そのための予算措置を講ずることが困難であるからといって、責任は免れないものとしている。したがって、道路管理者においては、左記事項に十分留意のうえ、事故の防止に万全を期せられたい。
また、今後落石による事故が発生した場合においては、このたびの判決の趣旨に照らして賠償の要があるか否かについて検討し、本省と緊密な連絡のうえ、適切な措置を講ぜられたい。
1 危険箇所の総点検について
標記については、昭和四三年八月一九日付け、道路局長通達「道路の災害による事故防止の強化」により通知したところであるが、このたびの判決の趣旨にかんがみ、危険箇所について再度総点検を実施し、その調査結果を本職あて報告すること。
なお、様式等については、別途指示する。
2 交通規制について
異常気象時における道路通行規制については、既にその基準を定めて実施されているところであるが、今後は異常気象時のみならず、地すべり、落石等により、通行者に危険をおよぼすおそれのある場合も随時、事前に通行規制を行なう必要があると思料するので、現在の道路通行規制基準に加え、新たにこれらの特殊危険地域に対する基準を作成して本職の承認をうけること。
3 道路の巡回、点検について
道路の巡回、点検については、既に実施されていることと思われるが、さらに常時の巡回について実施の徹底を図ること。
なお、梅雨期、台風期、融雪期等の異常気象時においては、危険箇所について重点的に巡回し、地すべりの徴候または落石の有無を確認するとともに、路面上のみならず、発生の原因となるおそれのある地点についても調査すること。
4 落石地区における落石防止措置について
落石地区においては、防護壁、ロックネット等の防護施設を設置するよう努めるとともに、これらの施設の適切な維持を図ること。